女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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あらしをよぶおんな(※でおち)

「ついに見つけたぞレイ・アルトリウス! いざ、尋常に決闘……を……」

 

 レイの家でだらけてたら、ドアを蹴り開けて知らない女が入ってきた。メアリより少し上、成人(十五歳)は迎えたくらいか。ようやくじめっとした季節が過ぎ去ろうとしているのに、暑苦しいなあ、とあたしが考えていると、知らない女は魚みたいに口をパクパクさせてあたしを指差す。

 

「な……ま……」

「生?」

「なんで魔族がここに居るんだァー!?」

「あっ」

 

 ここでは完全に受け入れられてるから一瞬反応が遅れてしまった。そりゃあたし魔族なんだから、人間の領域でうろうろしてたらびっくりされるに決まってるじゃん。翼を隠して隣街に行ったのとは話が違う。だって今何も隠したりしてないし、完全にオフだったし。

 レイは狩りに出ているから今は居ない。メアリはダレンさんの奥さんに料理を習いに行っている。つまりあたし一人でどうにかしなきゃいけないってこと?

 

「ええい、理由は分からんが魔族にかける情けはなし! その首貰い受けるッ!」

「短気ねぇ」

 

 もう少し理由を考えたりしても良いんじゃない、と思うがそれはあたしが平和ボケしてるだけか。不審者女は腰の剣を抜くと、室内なのに斬り掛かってくる。良い踏み込みだ。ちゃんとしたところで稽古をつけてもらった動き。でも、あたしは愚か、レイにも遠く及ばない。

 

「壊したらレイに怒られるのあたしなんだけど。おとなしくして頂戴な」

 

 さくっと魔法で腕と手足を縛り上げる。剣と鞘も回収。捕まえたは良いけどレイが来るまで待ってなきゃダメよねこれ。ジタバタ暴れるけど芋虫ぐらいにしか動けていない。剣も取り上げたからメアリを近付けても安心なくらいだ。別の意味で近付けたくないけど。

 

「卑劣な! 拘束を解け、たたっ斬ってくれるわッ!」

「戦いに卑怯も卑劣も無いでしょ。ていうか真正面からだったじゃない」

「小癪な技を使っておいてよく言うわ」

「魔法は真っ当な能力ですぅ」

 

 時々言われるけど本当に心外だ。魔法がどうこう言ったって、人間もしっかり対応してきてるじゃん、って思う。魔法がないのに互角に渡り合う方がおかしいと思うのよね。人間の方が数は多いとはいえ、レイみたいなめちゃくちゃ強いのも出て来るのは本当にズルいと思う。あれ、もしかして魔族に当てはめるとあたしがその枠になるのか。まあそこはどうでもいいや。

 

「で、あんた誰よ」

「魔族に名乗る名などないッ」

「別にそれでもいいっちゃ良いんだけど。レイが戻ってくるまで見張りついでにお話するんだから、お互い名前くらい知っといた方が建設的じゃない?」

「ふん、あの女。魔族に魂を売っていたとはなッ。見下げ果てたわ」

 

 どうやらレイの知り合いらしい。尋常になんとか言ってたし、同じ騎士団とか? それにしては随分実力に開きがある……ってレイクラスが何人も居たら前線は今の戦力じゃ足りないわね。

 ま、そこはどうでも良いんだけど。

 

「レイのこと悪く言うのはちょっと許せないかな」

 

 ダン、と不審者女の頭のすぐ横を踏み付ける。あたしが馬鹿にされんのは良いけど、レイを馬鹿にされるのは駄目だ。

 ひっ、と真横の足を見て小さく悲鳴をあげた。でも意外とメンタルが強いのか、キッと強く睨みつけてくる。

 

「ええい、私は魔族に屈しなどしない! 殺すなら殺せッ!」

「……とりあえず、人の家で刃傷沙汰を起こすのはやめてもらおうか」

 

 ちょうどナイスなタイミングでレイが帰ってきた。明らかに顔は困惑している。いやあたしだって状況あんまり飲み込めてないんだけど。

 

「レイ、この子知り合い?」

「いや、見たことある気はするんだが」

 

 ん、知り合いじゃないの? この子の方は明確にレイに敵意を向けているけど。逆恨みとかだろうか。

 

「生涯のライバルを忘れたとは言わせんぞレイ・アルトリウスゥ!」

「こう言ってるけど」

「本当に思い出せないな……」

「馬鹿なッ! 見え透いた芝居など私にはお見通しだ! 自身の小心を晒す前に認めた方が賢明だぞ」

「そう言われても分からんものは分からん。思い出してもらいたいのなら名前くらい名乗れ」

「ぐぬぬぬぬ……フッ私が恐ろしくて記憶から消してしまったのだな。ならば呼び起こしてやろうッ! 私の名前はクリムヒルト・ガスコーニュ!」

「ガスコーニュ?」

 

 名前の方には聞き覚えがあったようだ。レイがかわいそうなものを見る目でクリムヒルト某を見下ろしている。なんだかんだ、ある程度の礼儀を持って接するレイにしては珍しく、失礼百パーセントの顔だ。いや、悲しみも混ざってる。

 

「もしかしてお前、ガスコーニュ伯の娘か」

「ふはははははッ! 思い出したようだな!」

「……伯は余程子育てに失敗したと見える。いや、一過性のはしかみたいなものか」

「そうやってスカしているのも今のうちだ。魔族に屈した貴様に正義の刃を振り下ろしてッいや本当に動けないんだがッ!?」

 

 そりゃそうだ。拘束してるんだもの。

 

「で、誰なの、この嵐みたいな面白迷惑ガールは」

「あー……関係性を話すと少し長くなるんだが、一言で言うと」

 

 心底嫌そうに彼女は言った。

 

「私の親戚だ」




じつはいちだいじ


かんそうひょうかおまちしております
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