女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可) 作:異種百合推進委員会
「ニルヴァート・クロッツェ。ただいま着任いたしました」
「ニールー! 来てくれて良かったー!」
あたしと同じくらいの背丈、執事服を着て髪の毛を短く切りそろえた彼女に抱きつく。
部下の一人であるニル。西方の復興作業に従事していた彼女が戻ってきてくれたことであたしの野望は大きく前進した。ふっふっふ、ニルかプルメオじゃないとどうしようもないと思ってたのよ。しかもプルメオは斜め上の方向に変なことしそうだし。
「ニル、来てもらって早速だけど、とても大事なお願いが二つあります!」
「なんでしょう」
「一つは、この近くにある人間の集落と友好関係にあります! だからニルも仲良くしてくれると嬉しい!」
「ああ、それに関しては多少聞き及んでおります」
「そうなの? なら話が早いわ。で、もう一つのお願いなんだけど」
ずっとやりたかったけど出来なかったこと。
「このおうちのリフォームがしたい!」
「承知いたしました」
さくっと了承してくれる。そう言ってくれると思ってた。ニルは物作りが得意だ。家具とか、ちょっとした小物をいろいろ作ってくれる。西方の復興もその手腕を評価されてのものだ。まあ、あの辺更地にしたのはあたしなんだけど。いやー懐かしいなあ。ジスタと会ったのも西方焼け野原にしたときだっけ。
「事実、少々無骨に過ぎますからね。ギルネリア様に命じられずとも、私の方から提案していたでしょう」
「ねー、あたしでどうにかしようかなって思ったんだけど手の付け方分からなくて」
「大規模になると図面に起こした方が早いですからね」
あとはー、そうだ。アズキは今村に行ってるけど、ジスタはお部屋の方に居るし、紹介しておこう。
「それと、新しく仲間になった子を紹介するわ。ちょっとついてきてね。リフォームにはその子の意見も必要だと思うし」
「御意に」
ニルを連れてジスタの部屋へと向かう。質素な仕切りをノックすると、少しして仕切りが開いた。ジスタの部屋は、彼女が持ち込んだ画材道具? とかで意外と散らばっている。本人の性格と部屋の様子って意外性出るわよね。豪放磊落って感じのアズキはお部屋きれいだし。
「ギルネリア様? どうかしましたか?」
「ん、また部下が来たからジスタに紹介しようと思って。こっち、ニルよ」
「お初にお目にかかります。ニルヴァートと申し……ジスタさん?」
「え、あれ、ニルヴァートさん?」
「何、何知り合いだったの?」
それは初耳だ。広い魔界で部下と部下が以前からの知り合いである確率ってどれくらいあるんだろう。
「ええ、以前ご縁がありまして」
「ボクの画材を作ってくれたのがニルヴァートさんなんです」
「あー、そう言えばニルもフレイザー・リオルの絵は気に入ってたわね」
「ええ、方向性は違いますが尊敬する方の一人です」
なるほど、なるほど。そういう繋がりか。ジスタの道具って何処で手に入れたんだろうって思わなくも無かったけどそういうことか。いやごめん嘘全然気にしたことなかった。
「ということは、ニルヴァートさんもこちらに?」
「そうよ。また賑やかになるでしょ?」
「よろしくお願いしますね」
ちょっと不安になるジスタとのファーストコンタクトがこんなにするりと進むとはラッキーだ。いやだって、あたしの部下の中には増えるとやだーって顔する子も居るから、ヘレネとか。そしてジスタも凄い人見知りするから衝突したりしたら嫌じゃない? だからできるだけあたしの居る時に紹介しておきたい。
「ふむ。今のところ部屋はギルネリア様とジスタさん。あとアズキが既に来ているという話は聞いています。他に誰か到着していますか?」
「いや、まだね。全員来たら流石にここじゃ手狭になるわねえ」
「その拠点についてはまた追々考えましょう。大仕事はプルメオが居た方がやりやすいですから」
「はーい」
専門外のことだからその辺はニルにお任せしちゃおう。
「部屋のレイアウトについて、お二人は何かご希望がありますか?」
「えと、ボクは部屋に関してはあまり……で、でもイーゼルが傷んできてて」
「はい。ではジスタさんのお部屋はアトリエとしての配置を意識しましょう」
既に頭の中に案は出来ているようで、視線があちらこちらを見定めているのが分かる。
「はい、はい! あたしも希望ある!」
「お伺いします」
「部屋じゃなくて広間の方なんだけど、台所が欲しいの!」
「台所……調理場ですか。経験はありませんが、最善を尽くしましょう」
「やった!」
「それにしても料理ですか。アズキがレシピに気を惹かれたのですか?」
「えっ、ううん。違う違う。あたしよ。あたしが作るの」
「ギルネリア様が料理を……!?」
そんなにびっくりすることかしら。そりゃあたしも今まであんまり食に興味を持ってた訳じゃないけど。でもそれは、本当に美味しいものを食べたことが無かったからだ。とまで言い過ぎだけど、メアリが作ってくれた料理がきっかけになっているのは間違いない。
「あなたもメアリの料理を食べれば分かるわ」
「メアリと言うのは人間の方ですよね。ふむ……」
ニルはしばらく考え込んでいた。
「その方の調理場を見せてもらうことは可能でしょうか」
もちろん。あたしも、ニルをメアリとレイに紹介したかったもの。
りょうりするだけでおどろかれるおんな
かんそうひょうかおまちしております