女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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はたらかざるもの(※くうべからず)

「でぇぇぇぇい!」

「よっと」

 

 木剣を振り上げて力強く斬りかかったクリムがアズキの一払いで転ばされた。よくもこう毎日のように突っかかれるものだ。毎回律儀に付き合うアズキもアズキだけど。

 ちなみに鬼モードはまたお蔵入りになった。実際やってみてあんまり効果があると思えなかったらしい。今はクリムが疲れ果てるまで襲い掛かり、それを全部返り討ちにするって形を取っている。座学も良いけどまずは体を慣れさせる、らしい。あたしには戦法のことはよく分からない。

 

「クリム様、来た当初よりずっと楽しそうなお顔ですわね」

「来た時は理不尽暴君モードだったしそれ以下にはならないでしょ」

 

 結局理由はよく分かんなかったけど、アズキ曰く悪い子じゃないとのことで。ワガママで無謀な物言いは変わってないけど、丸くはなったしまあ良いかで気にしないでいる。

 

 それよりミランダ。あたしが引き剥がしを諦めたのを良いことにどんどんスキンシップがエスカレートしてない? 今も座ってるあたしの頭にミランダのおっぱいが乗っかってるような形なんだけど。喧嘩なら買うが。

 

「うふふふ……」

「その意味有りげな笑い方やめて怖いから」

 

 全身胡散臭いで構成されているけど、案外まだやらかしてはない。

 

「ぐわあッ!」

 

 投げ飛ばされたクリムがあたしの目の前まで転がってきた。うーん、手加減が上手ねアズキは。兄弟多いからかしらやっぱり。上がしっかりしなきゃ、って仕事も色々やってたみたいだしね。今はあたしの方で兄弟が食うに困らないよう働きかけてるから、伸び伸びしてるけど。

 

「そう言えば、クリムってちゃんとミランダの手伝いとかしてるの?」

「ぐおおう……なんだオジョー、薮から棒に」

 

 オジョーて。アズキの呼び方が変に移ってる。

 

「働かざる者食うべからず、って言うでしょ。衣食住ミランダに養ってもらってるんだから、何かちゃんとお返ししてる?」

「お返し……?」

 

 やってないなこれは。最初から頭になかった、って感じの反応だ。あたしが初めて人間文字を見たのと全く同じだもん。お貴族様だ、ってレイも言ってたし誰かが何かしてくれるって言うのが当たり前の感覚なんだろう。あたしも部下に色々頼んだり任せたりが多かったのであんまり人のこと言えないけど。

 

「ちゃんと働かない子は酷い目に遭うわよ。ねえミランダ?」

「酷いですわギルネリア様、もう少し後で引き返せなくなってから明かすつもりでしたのね」

「ま、待てミランダッ、私に何をするつもりだったんだッ!?」

 

 いつものうふふ笑いにクリムの顔も青ざめる。この短い間でどんな印象を与えたのよあんた。あたしの時ほどファーストコンタクト悪くなかったでしょうよ。完全に身の危険を感じてるじゃない。

 

「だだだがッ、働いていないのは私だけでは無いだろう!?」

「どうかしらねえ」

「レイは」

「騎士の任務で駐在してるんだから、住んでるだけで仕事してるわね。そうでなくても狩りしたり糸を撚ったりしてるし」

「アズキはッ」

「某は早朝に皆の畑仕事を手伝わせて頂いてますが」

 

 クリムがやってくる前のほんとに朝早くにね。前は昼頃までやってたけど、クリムが来てからは時間帯をズラした。アズキが来たおかげで今まで手が回らなかった部分も耕せるようになったって言うんで、いつの間にかアズキ用の農地までもらっていた。趣味で出来るくらいのほんのちょびっとだけどね。

 

「オ、オジョーは」

「力仕事って案外需要あるのよね」

 

 そもそもレイと一緒でここに居ること自体仕事の範疇だけど。ちょっと何か運びたいとかそういう時にあたしはよくお呼ばれする。街と行き来する商人のサトに頼まれて荷造りとかね。余剰分の作物とかを街でいろんな品物に変えてくれる無くてはならない人だから、あたしも真面目にお手伝いしている。今年は東の方にある集落が不作らしいので、この辺りの作物の需要が高まっているからウハウハだって言ってた。

 ちなみにミランダは怪我の診察とかお薬の調合みたいなことをしている。怪我は最悪アズキの治癒魔法で治せるんだけど、あたしが出来るだけ魔法は使わないようにしようって決めた。特に人間には。それ頼りになっていざという時にトラブルが起きたら嫌だもん。

 

「あ、後は……」

「ジスタは村の子達の面倒を見てるし、ニルは壊れたものの修復とかしてるわね」

 

 ただ追っかけ回されてるだけだったジスタもいつの間にか相手するのが上手になってまとめ役みたいになっている。言う事聞かないスタンにはまだ追いかけ回されてるけど。お母さん方は有り難がってるので一番ジスタが仕事してるかもしれない。

 

「ここに長く居ることになるんだから、何かしら考えておきなさいな」

 

 長く居るのが本来おかしいあたしが言うのも何だけど。

 

 クリムはむむむ、と起き上がるのも忘れて考え唸っていた。ああ、と思い出したようにミランダが手を叩く。

 

「触れるだけで危険な薬品とか、それなりに管理に気を付けなきゃならないものもあるので、わたくしの助手、というのはオススメしませんわ」

 

 クリムの逃げ道が塞がった




はたらけにーと

かんそうひょうかおまちしております
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