女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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ゆめをえがく(※そうだいに)

「って話をサトとしたのよね」

「将来の夢ですかぁ」

 

 あの後レイのおうちに突撃して、酒盛りの前におつまみを作っている。いや実際に作ってくれてるのはメアリだけど、あたしも横でお手伝いをしている。包丁の扱いもそれなりに慣れてきた。何かを新しく覚えるってこと自体なかなか無い経験だから、やっぱり楽しい。干し肉をカットして、にんじんと山菜と一緒に茹でる。秋が見えてきたとはいえ、夏って山菜のイメージ無かったけど意外と取れるのよね。味付けは干し肉から溶け出した塩やスパイスが出汁になってくれる。これで口直しスープの出来上がり

 

「メアリはどう? 将来なりたいものってある?」

 

 あとはお芋を素揚げして、チーズをどろどろに溶かしたものを容器に移す。そして素揚げしたお芋ードーン。表面についたチーズが冷めてちょっとずつ固まってくれば、美味しいチーズポテトだ。

 

「お料理屋さん、開いてみたいです」

「良いわねえ、あたし毎日通っちゃうかも」

 

 実際、メアリの料理はこの村で一番おいしいと他の村人からもお墨付きを頂いている。街に出て、料理屋さんを開いても美味しさで客は集まるだろう。

 

「あとは、いろんなところを旅してみたい」

「旅するの?」

「はい。海のお魚を使った料理も食べてみたいし、南の方は見たこともない景色がたくさんあるってミランダさんが言ってました!」

「南の方ねえ、あたしも行ったことないなあ」

 

 魔族にとって南の方って、人間の勢力圏のことを表すから。人間の方だと北方が同じような感覚なのかもしれない。あっちの方は魔王城付近ともまたちょっと異なる文化をしてるから。まあだから魔王様の言うことちゃんと聞かなかったりするんだけど。

 

「でも」

「でも?」

「今はこうやってギルネさんとお喋りしながらお料理してるのが一番楽しいです!」

 

 あーもう、かわいいし天使か? 天使だな。お料理中じゃなかったら抱き締めて撫で回してたところだ。

 

「あ、スープそろそろ良いんじゃない?」

「そうですね。レイさんも待ちくたびれちゃってるかもしれませんし、ご飯にしましょうか」

「いえーすまーむ」

 

 スープをお椀に移し、平皿にチーズポテトを乗っけていく。ちょっと固くなり始めたパンも一緒に乗っけて、後はお酒用のグラスを二つ。

 

「レイーお待たせー」

「ん」

 

 毛糸を編み棒に引っ掛けて、編み物をして待っていたレイが顔を上げる。今から冬に向けて暖かい服を作るのだそうだ。この辺りは比較的暖かい気候だけど、それでもやっぱり冬は薄着ではキツい。

 

「先飲んでても良かったのに」

「つまみの準備を任せているのに流石にやらんよ」

「真面目ねえ、はいグラス」

「ありがとう。メアリは何飲むんだ?」

「あ、私はスープ作ったので」

 

 テーブルに料理を広げてグラスに果実酒を注ぐ。レイも編み棒を置いてグラスを手に持った。

 

「乾杯」

「かんぱーい」

 

 チーズポテトをもぐもぐしながら、レイにも同じ話になる。といっても、レイの場合は将来の夢をもう叶えているようなものだけど。

 

「騎士になりたかった理由か?」

「うん。だって将来の夢って言っても、騎士で終わりでしょ?」

「まあ、そうだが」

「だから、なんで騎士になりたかったのかなって」

 

 お貴族様に縁のある家系で、良いとこのお嬢さんなんだから、騎士以外にも道ってたくさんあった筈だ。才能的にもレイにとっては天職だと思ってるけど、きっかけが無いと選択肢にも出てこないんじゃないかな。

 

「ふむ、説明するのが難しいが。騎士という職業に憧れは昔からあったな。キピタで行進に参加している騎士の鎧姿はかっこよかった」

「あー、なんとなく分かるわ。兵士達がずらっと並んで歩いているのって壮観よね」

 

 ぐっとグラスを傾ける。もうしばらくあの光景を見ていないなあ。あたし前線めったにいかないから。

 

「だが、きっかけと言われると。八つの頃の社交界だろうな」

「社交界」

「おいなんだ、その意外過ぎて面白いみたいな顔は」

「だってイメージつかないんだもん。護衛として入り口に立ってる方が想像しやすいもん」

「でもレイさんのドレス、とても似合いそうですよ」

「好き勝手言ってくれるな」

 

 唇を尖らせてチーズポテトを噛み切る。

 

「ごめんて。話の続き聞きたいなー」

「なー」

「はいはい……まあ、その年頃には暴れん坊の男児も居るものでな。いじめっ子ってのが幅を利かせてたわけだ」

「殴り飛ばした?」

「ネタを潰すな」

 

 だってレイの性格からして黙ってるとか想像出来ないし。

 

「まあその通りだ。戦う才能があると知ったのはその時だったな。相手も騎士志望だったらしいんだが、三人ぐらい叩き潰した」

「怖い怖い」

「その時に、ああ私は騎士になれるんじゃないか。って思ってな」

 

 話だけ聞くと乱暴者だけど、きっとそのいじめっ子から誰かを守ろうとした結果なんだろうな。

 

「その結果、トントン拍子に進みすぎてトバされた、と」

「ま、そんなところだ」

「レイらしいわ」

「どういう意味だそれは」

「さーどういう意味でしょうねー」

 

 わざとらしく酔ったようなポーズを見せて、もう一杯グラスに果実酒を注ぎ込んだ。




れいはくうきがよめない

かんそうひょうかおまちしております
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