女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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たまにはうんどうも(※ほぼあそび)

「運動しなきゃいけない気がする」

「え、突然どうしたんですか?」

 

 朝のお絵かきを終えて画材道具を仕舞っていたジスタがまた変なこと考えだしたなみたいな顔をしているが、あたしはいつだって大真面目だ。

 

「ここ最近、食べたり飲んだりばかりでちゃんと動いてない気がするの。これじゃ良くないわ」

 

 動いてるといえばお手伝いくらいで、レイのおうちに行ってはお酒飲んだり。ミランダの様子を見に行っては狩りで得たお肉を分けてもらったり、ニルのとこに行ってそれを焼いて食べたり。お腹の辺りがプニッとしてきた、ような気がする。いや気のせいだけど、全然気のせいだけどね。

 

「はあ。確かに体は動かさないと鈍ってしまいますけど」

「そうなのよ、そこでジスタ」

「なんですか?」

「なんか良い運動無い?」

 

 自分に聞かれても、と声に出されなくても思っているのが分かる。ジスタももう少し動いた方が良いんじゃないって言い返そうにも、村の子供の面倒見てる分一番動いてるまであるのよね。鬼ごっことかいつも追いかけ回されてるし。

 

「アズキさんやレイさんの鍛錬に混ざれば良いんじゃないでしょうか」

「あたし、剣とか使い方よく分からないのよね、かといって魔法使ったらやりすぎちゃいそうだし」

「じゃあギルネリア様から攻撃しなければ良いのでは」

「それじゃあ鍛錬に……いや、ちょっと待って」

 

 ジスタの言う通りかもしれない。あたしが手を出さなければ良いんだ。でもそれだけだと的に振り回してるのと大差無いから、ルールをつけてあげれば良い。つまり

 

「鬼ごっこよジスタ!」

「は、はいぃぃぃぃ!?」

 

 思い立ったが吉日、ジスタを引っ張って鍛錬場に向かう。今の時間ならアズキがクリムと鍛錬しているはずだ。

 

 実際到着すると、レイとニルも眺めに来ていた。一、二、三、四、五。うん、人数的には十分ね。

 

「どうしたギルネ。いたずらを思いついたような顔して」

「んー、ちょっと運動したいと思ってね」

「運動ですか。自分も最近は工作で肩が凝るので良いですね」

「でしょ? だからね、みんなで鬼ごっこしましょう!」

「ぎゅむ、鬼ごっこだと? それは童の遊びじゃないか」

 

 アズキに叩かれていたクリムが馬鹿にしたように言う。ふっふっふっ、甘いわね。

 

「負けるのが怖いのねクリム」

「なんだと?」

 

 目の色が一気に変わる。負けず嫌いはこれだけで簡単に乗せられるからチョロい。ニルとアズキは既にウォームアップを始めていた。話が早くて助かるけどまだルール説明もしてないんだけど。

 

「どう、レイ。やらない?」

 

 不動のレイに聞いてみると、ちょっと考えた様子で目を瞑り、首をぽきりと鳴らした。

 

「今日は暇だし、体を動かすのは構わんが。ルールはちゃんと決めておきたいな」

「そう言うと思った」

 

 安心してほしい。ちゃんとここに来るまでにルールは考えてある。

 

「ルールは簡単な方が良いと思うの。つまり、あたしが追っかけるからみんなは逃げて」

 

 鬼の交代とかそういうルールを入れちゃうと、ニルとかが不利になり過ぎちゃう。この面子、よくよく考えたら普通に身軽なのばっかりだしね。一番簡単そうなのがニル除いたらクリムだし。

 それに、あたしがのびのび動き回りたいからあたしが鬼の方が楽しい。

 

「場所は?」

「外れの林の中、で良いんじゃない? 外に出ちゃ駄目で」

「そうなると隠れんぼでもありますわね」

 

 ニュッと顔を出したミランダがニコニコ顔で補足する。どこから話を聞いていたんだろう。

 

「ミランダも参加する?」

「走ったりは苦手ですが、隠れんぼであれば」

 

 どうやって出てきたのか分からないけど、参加者が増えるのは良いことだ。これであたしが捕まえなきゃいけないのは六人か。

 

「最初にあたしが二百数えるから、その間に林に入って。期限は日没まで。あたしに触れられたら脱落。あ、後魔法は禁止ね。そんなに強い使い方はできないと思うけど、あたしも縛るから」

「オジョー、報酬は無いのか?」

 

 報酬。確かにあたしの遊びに付き合わせるんだから、勝者には何かあって叱るべきだ。なんか良いものあったかな。

 

「……そうね、生き残った人にはサトから買えるもので何でも一つ、プレゼントするわ」

「それはそれは、俄然やる気も出て来やすね」

 

 魔族組はお金を持ってるわけじゃないから、サトから何か買う機会は少ない。だからモチベーションにはなるだろう。あたしだって、買うんじゃなくて手伝いの報酬でしか貰ってないから、負けたらその分タダ働きだ。タダ働きは嫌なので精一杯頑張る。

 

「じゃあ、準備は良い。数え始めるわよ」

「あの、ボクも参加するんですか?」

 

 引っ捕まえてきたジスタがおずおずと尋ねる。

 

「んー、嫌なら二百ここで待ってればタッチして終わるわよ」

「えぇ……うーん……」

「でも勝ったらサトに頼んで人間の絵画とか手に入れられるかもね」

「やります」

 

 心変わりが早い。まあ、分かってて人参ぶら下げたのもあたしだけど。

 

「じゃあ、数えるわよ。逃げてみなさい!」

 

 一、と数え始めると皆が一斉に動き出した。楽しい鬼ごっこの始まりだ。




ときどきおにごっこしたくなるよね

かんそうひょうかおまちしております
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