女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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まどぎわのおしごと(※がすぬきもひつよう)

「私のことエロい目で見てんじゃねえぞクソ上司ー!」

「だぁれがぼっち魔族じゃこっちは出会いすら無いんじゃあ!」

 

 れっつヒートアップうぃずお酒。

 

 周りも宴会が始まってどんちゃん騒ぎ。四杯目くらいからレイのブレーキが壊れてめっちゃ面白いことになってる。あたしも同じくらいのテンションなんだけど。もうね、メアリをなでなでする手が止まらない。お酒も止まんない。

 

「にしても枕強要されて断ったら左遷って天下の白狼騎士団も腐ってるのねえ!」

「いーや腐ってんのはあいつだけだ鼻つまみものだし。貴族の次男坊だからってイキリ散らしてるんだ」

「あーいるいる親の権力傘に着てるデブハゲ。うちなんかさぁ、人間よりもめっちゃ喧嘩っ早いからそれで舐めた口聞いた奴消し飛ばして親同士で戦争とか起こったことあんのよ」

「こっちは年がら年中政争で足の引っ張り合いだ。嫌になるほんとに」

 

 お互い結構アウトなこと喋ってる気がするけどお互い様なので気にしない。酒の席は無礼講なのである。政治と宗教の話以外は。あれ、政治の話な気がするけどまあいいや。

 

「というかそもそも、なんで魔族は攻めて来るんだ!」

 

 ばぁんとジョッキを机に叩き付けた。

 

「あぁれぇ、知らないのぉ?」

「学院では長い間戦争していることしか習わん。理由を聞いても教師は皆古くからの生存競争と答えるばかりだ」

「へぇー、結構雑なのねえ」

「ギルネリアは理由を知っているのか?」

「知ってるけど」

 

 まあ言われてみれば魔族の中でももうどうでも良くて忘れられてる話はする。

 

「ほら人間の首都あるじゃない。きびだんごだっけ?」

「キピタだ」

「あそこねえ。魔族の宗教にとって古い聖地なのよ」

「おい初耳だぞ! あそこは私達の宗教にとっても聖地だ!」

「だって戦争の途中でその宗教廃れちゃったし。当時の魔王が敬虔だったから聖地奪還うおおおお! って盛り上がったんだけど」

「じゃあお前達が攻め込む理由は無いのか!?」

「あんまり無いわねー」

 

 元の理由なら、だけど。

 

「でもそっちも魔界まで攻めてきてるし! 好戦的なのが魔王様無視して人間ちぎって投げるし! ここでやめたら若いのから舐められるし! グダグダ戦争よグダグダ!」

「最悪だ!」

「最悪よ!」

 

 今の魔族の文化が戦争で手柄をあげたら一人前になってるのが悪い。

 

「それで前線は嫌だって駄々こねたら僻地送りよ! いや僻地送りは良いのよ戦わないから! 問題は部下無しよぼっちよ!」

「幹部級なのに部下が居ないのか!?」

「そう! だから後輩に『えー先輩そんな歳にもなって恋人の一人も居ないんですかー?』って煽られてさあ! もう頭握り潰してやろうかと!」

「ケツひっぱたいてやりたいな!」

 

 ぐでーっと机の上に伏せる。転職先探そうかな、でも今より待遇良いとこもたぶん無いんだよね。

 

「お水貰ってきました」

 

 見かねてメアリが水を貰ってきてくれる。んもー気配りまで出来るなんて偉い。

 

「見てよレイ。この健気でかわいいメアリ! 本当にもう天使!」

「え? え?」

「うむ! 実に利発そうな顔をしている! 器量良しとはこの事だな!」

「あ、ありがとうございます?」

 

 もう二人がかりでメアリを褒め倒す。だってもう全部がパーフェクトにかわいい。お水をがーっと飲み干して、ちょっとだけ酔いが冷めた気分。嘘まだふわふわしてる。

 

「はああああ……出会いが欲しい。レイ誰か紹介してよ」

「私だって独り身だ。紹介する相手が居ると思うか?」

「えーレイ、モテそうじゃん。男どもに見る目がないの?」

「いや、軟弱者ばかりだから切り捨てた」

「あっはっは、理想高すぎて行き遅れるタイプだわ」

「別に伴侶が欲しいわけでもないしな」

 

 だいぶ酔いが回っているのかだいぶ目が据わっている。

 いや、若い頃はみんなそう言うのよ。仕事の方が楽しいとか、趣味に忙しくて時間を割けないとか。

 

「そんときはそれで良くても、ふとした瞬間孤独に気付くのよ。恋人とは言わずとも軽口叩ける友人は作っておきなさい」

「言葉が重い」

 

 経験則だもの。間違いないわ。

 

「あ、メアリ。このタルトも美味しいわよ。デザートにどうかしら」

「本当ですか?」

 

 レイはすっかり酔い潰れて眠ってしまった。周りもすっかりおしまいの様相を呈している。起きてるのは料理作ってた女衆と配膳のお手伝いしていた子どもたち。あとあたしくらい。ついでに言えばあたしも眠い。

 

「あなたの面倒もレイが見てくれるって言うし。安心ね」

「ギルネリアさんは、もうこちらには来ないんですか?」

 

 メアリの質問に難しい顔をする。今回はお世話になっちゃったけど。魔族と人間が一緒に居るのはいろいろと良くない部分がある。

 

「でも、ギルネリアさんは人間と戦う理由は無いんですよね?」

「今のところはね」

「私、ギルネリアさんには助けられてばっかりで。だから、私からギルネリアさんに何か返したくて」

 

 そんなこと気にしなくていいのに。だって、あたしはただの気まぐれで。

 

「ギルネリアさんとお友達になりたいのに、もう会えないって悲しいです」

「ぎゅうぅ!」

 

 かわいいにノックアウトされたあたしが最後に見たのは、心配そうな顔であたしを支えてくれるメアリの姿なのであった。




ひょうかかんそうおまちしてます
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