女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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あきをたのしむ(※おまつり!)

「おー、今回もぱぱっと準備が終わりそうね」

「ニルが来たのがかなり助かっていやすね」

「クリムも力仕事は任せられるしね」

 

 夏に祭りをやったかと思えば秋にも祭り。今年は豊作だったからと収穫祭だ。聞けば冬はやらないけど春の始まりにも年明けの祭りをするらしい。祭り好きねと言ったら、むしろ少ない方だと言われた。多い地域では年に十回くらいやるのだそうだとミランダが教えてくれた。

 

 食事の用意も前回より量が増えているはずなのだが、むしろ早く終わりそうだ。組み立てが早く終わることが分かったから、その分準備も早く始まっていたからだろう。日が落ちる前にもう宴会を知らせる鐘がなる。

 

「さあ、ニル。久々の酒なんですから飲みやしょう!」

「引っ張らないでください。あなたのペースに合わせたら月を見る前に潰れてしまいます」

「いってらー」

 

 アズキがニルをずるずる引っ張ってエール樽の方へと歩いていく。部下の飲みに上司が顔を出しすぎるのも良くないだろうと見送って、飲まない組のジスタを目で探す。

 でも、ジスタはジスタで子供達の引率に忙しそうだ。前はおもちゃにされていたのに、半年もすれば扱い方もこなれてきている。あれからジスタを引き剥がすのはかわいそうか。それならばとメアリを探すも彼女は料理を追加する戦場で忙しなく動き回っている。

 

「うーん……」

 

 一人になってしまった。こうしているとぐんと疎外感に襲われる。いや、そんな言い方をするのはみんなに失礼だ。あたしが、あたしでちょっと距離を置いてしまっているだけなんだから。

 なんていうか、あたしはどうも、誰かが仲良くしているところに足を踏み入れるのが苦手らしい。部下がわちゃわちゃしていると、つい遠巻きに眺めてしまう。そのせいで部下からは、大人数での集まりが好きじゃないと思われているみたいだ。まあでも、つるみたいなら今のアズキと一緒に行けば良かっただけなんだから。あながち間違いでは無いのかもしれないというか。

 

「こら」

 

 勝手な悲嘆にくれていると後ろから頭をはたかれる。振り返ると、エールジョッキを二つ抱えたレイが立っていた。

 

「せっかくの祭りにそんな辛気臭い顔をするな」

「うー、後ろからだからレイに顔は見えないでしょ」

「見なくても分かる。お前らしくもない。普段はダル絡みの化身みたいだと言うのに」

 

 それは言い過ぎじゃない? 反論しようとするもジョッキの片方を押し付けられる。

 

「ここじゃお前は管理者でも責任者でも無いんだ。気を張るな」

「性分なのよ」

「なら捨ててしまえそんなもの。別にお前の酒癖なんてこの村の人間は知っているし、お前が強くても、無闇やたらに力を振るわないことも知っている。別にお前が輪に入った所で空気が悪くなることも、怖がることもない」

 

 確かに、初めてこの村に降り立った時、あたしはレイと村人と潰れるまで飲み明かした。あの時と違うのは、たいして知らない他人同士ではなく、嫌われたくない友人達に変わっているという点だ。

 

「……なんでもお見通しってこと?」

「お前が分かりやすいだけだ。ちゃんと顔を見ればな」

 

 目の前でレイがグビッと飲み干す。あたしはエールの金色の水面に視線を落とす。泡が抜け始めたところから、うっすらとあたしの顔が映った。辛気臭いか。そうとしか言えない困り眉だ。

 

「もう、どうなっても知らないわよ」

 

 意を決して飲み干す。アルコール特有の喉が焼けるような感覚がすっと上っていく。まだ一杯目だけど、酔いが一気に回った気がした。雰囲気酔いって奴だ。

 

「こんなんじゃ全然足りないわ。レイ、おかわり貰いに行きましょ」

「ああ、そうだな」

 

 並んで祭りの中心へと歩き出す。

 

「そういえばクリムは一緒じゃないの?」

「奴ならミランダにいの一番に挑んで潰れたぞ」

「うわぁおばか……っていうかミランダまたやってるの?」

「顔色一つ変えないのはどうなってるんだろうな。私が見た時にはもう四、五人は並んでいたが」

「前回何人抜きだっけ?」

「確か十八人とか言ってたな」

「やっば」

 

 祭りの広場では前と同じようにアズキが酔っ払って踊り出してる。ニルもそれに付き合わされて、慣れない足取りでふらふら動いている。

 

「アズキのあの踊りは魔界の定番なのか?」

「んー、アズキの故郷だとそれなりらしいけど、中央じゃ全然見ないわね。故郷の思い出って奴かしら」

「いつの間にか村全体に伝染しているんだよな」

「結構酔ってなくとも踊ったりするからね。前回ので味を占めた奴らもいるでしょうし」

「なるほどな……ところでニルヴァートは助けなくて良いのか?」

「本当に嫌なら工具でアズキの頭カチ割ってるわ」

「バイオレンス過ぎる」

 

 アズキには致命傷にも何にもならないからね。

 

「意外と話してないこと、あるな。やっぱり」

「そりゃそうよ」

「だからもっと話そうじゃないか。出会う前のお前を、私は知らないんだから」

「えー、どうしよっかなー」

 

 言葉を濁しながら二杯目のエールを注ぐ。

 

「レイの話も同じくらい聞かせてもらうなら」

「望むところだ」

 

 ジョッキをぶつけるとカンッと軽い音がした。




おどりはでんせんする

かんそうひょうかおまちしております
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