女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可) 作:異種百合推進委員会
「で、しばらくおとなしくしててほしいって?」
レイとミランダが真剣そうな顔でお願いがあるから何かと聞いてみれば、なんてことはない外出禁止令だった。レイはともかくミランダまで顔を暗くしているから大惨事かと思ったらそうでもなかった。いや、面倒事であるのに変わりはないのだけど。
「本当はわたくしのところで情報を止められれば良かったのですけれど」
「まあ、ミランダが気にすることはないわよ。飛行できるモンスターなんて目立つし、大物が他所からこっちに来たんじゃバレるに決まってるわ。それよりも、あたしが手伝わなくて良いのかって方が気になるけど」
「助力願いたいのはその通りなんだがな。青獅子騎士団の部隊が討伐に派遣されたとなれば、魔族であるギルネ達を見られるわけにもいかないだろう」
無事に終われば良いが、とレイは唇に不安を滲ませる。事の発端はこうだ。
「村の人達に説明は?」
「既に説明して回っているよ。外の事情に詳しいサトや発言力のあるダレンにも手伝ってもらっている」
「クリムは」
「ギルネリア様が心配する程クリム様も子供ではありませんわ。むしろ、モンスター退治についていくつもりなのが心配な方で」
「まあ、騎士を目指していて、戦える以上出ない選択肢は無いわよねえ。レイも参加するんでしょ?」
「ああ。騎士の仕事の本分だ。おろそかにするわけにもいかないさ」
そこまで言われてはあたしの出る幕はない。人間達の営みに手を出すのも無粋だし、レイ達が心配するように、そのあおしそ騎士団に発見されたらあたしの平和なライフも終わりを。いや、それはどうでも良いんだけど。むしろ被害を受けるのはこの村の人達だ。魔族と通じていたなんて話になったら族滅だって有り得る。
全部を守ることは不可能じゃない。でも、全部を抱えていくことは不可能だ。あたしのせいで、みんなをそんな目に遭わせたくない。
「うん、他の子達にはあたしの方から伝えて回っておくわ」
「済まないな、頼んだ」
スムーズに話が進んでレイはほっとしたようだった。それなりの付き合いだから信用してほしいと言いたくもなるけれど、万一を考えるとやっぱり不安だったんだろう。
「ところで、ちょっと話が逸れるんだけど。あおしそ騎士団ってあたし初めて聞くわ」
「青獅子騎士団な」
そうそれ。あたしが人間の文化に詳しくないってのはあるんだけど。騎士ってのもレイの居る白狼騎士団と、えーと、あれ紺鷲騎士団だっけ。その二つくらいしか聞いたことがない。一つにまとめれば良いのに、なんて魔王軍のあたしは思うわけなんだけど。
「騎士団が複数ある理由については、その成り立ちから説明することになるが」
「あら、お望みでしたら一から説明して差し上げますわ」
話したがりのミランダがウォーミングアップを始めたので慌てて手で制す。
「今はそこまでは良いかな。今度また余裕があるときに、アズキ辺りも混ぜて話して頂戴。知りたいのは、なんか違いがあるの? ってとこかしらね」
「簡単に言えば、与えられた役割が違う」
レイがてのひらを見せる。パー、ってことじゃなくて五つって意味らしい。そんなにあったんだ騎士団。
「白狼騎士団は魔族との前線で戦う団だ。対魔族に特化していると言っても間違いではない」
「あー、だからよく名前を聞くのね」
「青獅子騎士団は反対に、領域内のモンスターや不穏分子の討伐、治安維持を主な役目としている。今回彼らに指令が降ったのはそういうわけだ」
「居残り組ってことね」
「少し違うな。居残り組は他に居る」
「そうなの?」
「金竜騎士団。王都近辺で王族や貴族の護衛に当たる、選りすぐりのエリート達だ。まあ、エリートと言っても貴族の次男や庶子が入っていることも多いんだがな」
「何処も血統主義は消えないわねえ」
青獅子は今北方で仕事している部隊、金竜はマコラみたいに魔王城の防衛をしている幹部が近いかしら。そう例えるだけで金竜騎士団とやらがいけすかないものに思えてくるわね。
「紺鷲騎士団ってのも聞いたことあるけど」
「紺鷲は各騎士団を繋ぐ伝令役を務めることが多いな。その他手が足りないところに駆り出される、いわば遊撃兵だ」
「雑用係ね。最後は?」
「紅花騎士団。騎士団というよりは衛生兵の集まりだ。紺鷲と同じように様々な場所へ派遣されるが、主な仕事は復興や医療作業だ。災害時なんかにも派遣されるな」
「なんていうか面白いわねー」
「まあ、魔族の指揮系統は大きく異なるんだろうな」
しかし、話を聞いていると一つ気になったことがある。
「それだとレイは白狼より青獅子とか紺鷲の方が性にあってる気がするんだけど」
「……ガスコーニュ伯と縁深いのが白狼騎士団なんだ」
目を泳がせながらレイが語る。なるほど、レイもコネ入団だったらしい。
おや ? さくひんの ようすが …… ?
かんそうひょうかおまちしております