女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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おつかれさまかい(※じじょうちょうしゅ)

「此の度の真竜(ドラゴン)討伐への協力、誠に感謝する。青獅子騎士団の代表としてスーザン・ガレスから礼を申し上げたい」

 

 恭しく、洗練された動作で頭を下げる。戦っている時は鎧で見えなかったけど、背の低さに似合わず凛々しいお顔だ。ジスタよりはどっちかと言うとレイタイプ。

 人間とはいえ、感謝されるのは悪くない。ただ、それだけじゃないことも分かっていた。凛々しいお顔が険しくなる。

 

「が、それはそれ。レイ・アルトリウス。外患を匿っていたことに関して、申し開きがあるなら聞かせてもらおうか」

 

 やっぱりこうなるよね、と。あたしは小さくため息を吐いた。

 

 真竜討伐後、村に戻った時にはもう全体に事の次第が知れ渡っていた。村人が受け入れている以上、あたし達を迂闊に排斥することもできず、こうして少人数の尋問を受けることになってしまっている。

 場所はレイの家。ただならぬ雰囲気にメアリもお口を固く結んでくれている。口の回るミランダはクリムと事後処理に追われていて、アズキ達は何か起こる前に帰した。だから、あたしの味方は今レイだけだ。それもあたしが勝手に味方認定しているだけなんだけど。

 

「彼女は、友人です」

 

 レイは臆すること無く言い放つ。そんなことを言えば良い印象を与えないって分かっているのに。でも、その言葉は凄く嬉しい。

 

「友人とするか。それがどんな意味を持つかは分かっているだろうな。魔族と戦い勝利を持ち帰る、白狼騎士団の名が泣くぞ」

「私は友を守る為に騎士になりました。魔族を殺す為ではありません」

「その魔族こそが友を殺める脅威だろう。君の同僚は何人魔族に殺された? 君はどれだけの魔族を殺めた?」

 

 スーザンも一歩も引かない。あたしは居心地が悪くて何度も座り直す。一番恐れていた、あたしのせいで皆が被害を受ける事態になってしまった。その引き金を引いたのはあたし自身だ。必要だった、と思うけれどだからって無条件で許されることではない。

 

「脅威だったらどうするのかし……」

「ギルネ」

 

 助け舟を出そうと発した言葉を止められる。レイは柔らかい笑みを浮かべていた。心配するな、とか安心しろ、みたいな。あたしを安堵させようとする笑み。

 

「お前が悪役を演じる必要は無い。私の選んだ道だ」

 

 あたしが言おうとしていた言葉も読まれていた。脅威だったらどうするのか。あたしを討伐しようとするならどれだけ被害を出すつもりなのか。そうやって脅すつもりだった。だって、それが一番効果があると思うから。魔族でもそうだけど、割に合わないことが一番の抑止力になる。誰だって、たいした成果を得られないのにリスクを背負おうとはしない。

 でも、レイは別のアプローチをするつもりらしい。彼女は、誰かを人質に取るような手段は選びたくないのだろう。

 

「私は、初めて出会った時も彼女に助けられました。そして、此度も、危険だから来るなと言っていたのに、彼女は私を助けにやってきました。私は彼女が友愛に足る存在だと認めています。何か間違いが起きたなら、その責は全て負うつもりです」

「君一人で背負いきれると?」

「命に代えても。道を違えたら正すは友の役目です」

 

 問答が止まり、間が生じる。次の瞬間には殺し合いが起きそうな、剣呑とした空気。あたしも思わず足に力を入れる。いざという時、レイを守れるように。

 スーザンはあたしとレイを何度も見比べて、大きな溜め息を吐いた。

 

「私の負けだ。君の言うことを信じようじゃないか」

 

 え、あれ? 通じたの? 一触即発って雰囲気だったのに何が起こったんだろうか。人間同士でないと伝わらないコミュニケーションが実は存在したりする? ともかく、意外な言葉に腰が抜けてお尻が痛かった。

 

「あたし許された感じ?」

「白狼の騎士がこれだけ言うのであれば。助けられた身ではこれ以上強く言えないさ。村の住民が君たちを受け入れていることからも、無為にかき回す必要は無いだろう」

「有り難いわね」

「団の人間からも不満は出るまい。天使と思ったなんて宣っていた奴も居たぞ」

「天使ねぇ?」

 

 確かにあたしのミドルネームは座天使だし、全く関係ないわけじゃないけど。この黒い翼を天使の翼と見間違えるのは結構お花畑だなあと思ったり。

 

「それじゃあ、私は君の扱いを伝えなければならない。どう報告書を提出するかも考えなければならないしな。しばらくはまだ滞在するつもりだから、私の判断が間違ってないことを願うよ」

 

 スーザンは立ち上がると、そのまま外へ出て行く。

 人間、意外と話通じる人多いなあと思っていると。レイが今までで一番深く息を吐いた。疲れた顔で眉間にしわを寄せて項垂れている。

 

「まったく、誰かさんのせいでドラゴンより酷い目にあった」

「あはは……」

 

 返す言葉もございません。いやでも、言いたい事はあったな。

 

「ありがとうね、レイ。あたしを助けてくれて」

「お前は……」

 

 レイは何か言いたそうにしたが、ただ、あたしの頭を撫でただけだ。

 

「ありがとうギルネ。私を助けに来てくれて」

 

 当然でしょ。だって、友達だもの。




しっこうゆうよ

かんそうひょうかおまちしております
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