女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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ゆき、しんしん(※やることはきまってる)

「雪、ですねぇ」

 

 ジスタがぶるりと肩を震わせた。いつもは持ってる筆とキャンバスも今日はお休みだ。こんな雪が降っている中で絵なんて描いたら凍死してしまう。お部屋にこもっちゃうかな? と思ったんだけどみんなが出かける準備をしていると1人は寂しいらしい。

 

「知識では知っていましたが、初めて実物を見ました」

「ニルは西方と中央しか行ったこと無いんだっけ?」

「はい。北方で降るという話はよく聞きますが、人間領でも降るんですね」

「あたしもここだと初めて見たけどね。あっちと比べて高い場所にあるからって話は聞いたことあるわ」

 

 手のひらをお椀にすると冷たい雪が落ちてきて、体温ですぐ水に変わる。この感じだと積もるかなあ、積もると良いなあ。雪遊びってなんとなく憧れだ。あたしも生まれは雪が降るような地域じゃなかったから、雪遊びした記憶はない。いやあの頃は遊んだ記憶も殆ど無いんだけど。初めて見た雪はフェルトノールに連れられて北方に行ったときか。あの時遊んでおけばなあ。流石にそんな余裕は無かった。

 

「あーずきー」

 

 一足先に村に行っていたアズキを見つけて声をかける。冬は農作業は一段落する季節だけど、アズキはしばしば様子を見ていた。冬野菜を植えたから、もうちょっとで収穫の時期らしい。雪が降っているのに薄着のアズキは、雪なのか汗なのか分からない額の汗を拭って手を振り替えしてくれる。

 

「調子はどう?」

「もう収穫して良さそうですね。なんなら今日でも良いですよ。せっかくの雪ですが、だめになっちまうかどうか考えていたところです」

「ほうほう、じゃあメアリにお鍋の用意頼まないと」

「良いですね。楽しくなりそうだ」

 

 

 そうと決まったらミランダとクリムにも声をかけなくちゃ。スーザンはどうしよう。途中で見かけたら声をかけるくらいにしておこうか。あの子、なんだかんだであたしのこと避けてるし。この間の一件でちょっとだけ信用してくれたっぽいけど。

 

「あ、ギルネさん」

「あら、メアリ。どうしたの?」

 

 噂をすれば影。アズキの収穫を眺めて待っていたら、向かいから合羽を着たメアリがやってきた。

 

「えへへ、雪が降るのが珍しいからお散歩してたんです」

「そうだったのね。ねえメアリ、このままミランダ達も呼んで一緒にご飯にしない?」

「良いですね! やりましょう!」

 

 ミランダのおうちに行く予定だったけどちょっと変更。メアリの散歩に付き合うことにする。四人も五人もぞろぞろ雪の中を歩いているから目立つけど。逆に外に出てる人はあんまり居ないから気にすることもない。

 それにしてもメアリの合羽、裾上げして袖もまくってるのにぶかぶかだ。ちんまりしててとってもかわいい。

 

「それ、もしかしてレイの?」

「そうなんです。濡れると風邪をひくから着ていけって貸してくれました」

 

 やっぱりそうだった。あたし達の中で一番背が高いレイの服を一番背の低いメアリが着ればそりゃ最強かわいい生物になる。サイズがあってないのにひきずったりしていないレイの調整術も褒めどころ。

 

「皆さんはやっぱり雪ってよく見ましたか? 私、実は初めてなんです」

「ニルは初めてって言ってたわよ」

「某は故郷を思い出して懐かしい気分になりますね。毎日とは言いませんが、雨の代わりに雪が降るような集落でしたから」

「ボクは出身北方なので……」

「え、そうだったの?」

 

 つい声が出る。てっきり魔王城近くの生まれだと思っていた。なんだろう、そんな雰囲気があったから。だってあたしの知ってる北方出身って脳みそまで筋肉かな? って思うようなのが多いんだもの。アジューダスとか。

 

「東方との境目ですから。それでも雪は珍しくなかったですけど」

「ほう、では某の故郷と案外近いんですなあ」

「アズキのとこは北寄りだもんね……あ、メアリは分からないわよね、ごめんごめん」

 

 魔族トークで盛り上がっていると、メアリがきょとんと話に混ざりにくそうな顔をしていたので謝る。

 

「大丈夫ですよ。でも、皆さんって別々のところから来てるんですね」

「あたし含めてはみ出しものだからねー」

「ギルネさんはどの辺りなんですか?」

「あたしも西だから、ニルと近いことになるかしらね」

 

 西って他の地方と比べてもめちゃくちゃ血の気が多くて安定しない場所だから。故郷って呼べるほど思い出は無い。だってあたし『奈落の英傑』になってから三回くらい制圧しに行ったし。二回目でニル、三回目でジスタと縁が結べたから嫌いよりは好きよりだけど。

 

「レイやクリムは首都だっけ?」

「そう言ってましたね。そういえば、ミランダさんはどうなんでしょう」

「あの子意外と自分のこと話さないもんねえ。でもシティガールって感じじゃない?」

 

 ああだこうだと歩いていたら、もうミランダのおうちも目の前に来ていた。居ないってことは無いと思うけど、急な話だし予定空いてるかなあ。

 

「へくちっ」

「大丈夫ですか?」

「うーん。お鍋で暖まれば大丈夫でしょ」

 

 むしろ寒さは最高のスパイスと思い込む。そしたらもっかい大きなくしゃみをしてしまった。




なつにふゆのはなしをするな

かんそうひょうかおまちしております
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