女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可) 作:異種百合推進委員会
「ちゅべたっ!」
外に飛び出すと、さくっと軽い音を立てた。雪はあたし達が踏み込んでも地面にたどり着かないくらいには積もっている。真っ白な雪をすくい上げるとしーんと冷たさが腕を伝わった。
「不肖ギルネリア、雪だるま作りまーす! ジスタ、どっちがより良いのを作れるか勝負よ」
「えっ、ええ!?」
「よーい、スタート!」
慌てふためくジスタを尻目にあたしはぎゅっと固めた雪玉を転がし始める。小さな塊はすぐに地面の同胞を巻き込んで大きくなっていく。おお、こんなすぐに大きくなるんだなぁ。
「レイとミランダも勝負するー?」
「いや、私達は別のものを作るからパスだ」
それなら仕方ない。いい感じの大きさまで転がした雪玉を放置して、頭の方の雪玉作成に取り掛かる。ごろごろ押し進めて、乗せるために持ち上げるとずしんと来た。雪ってこんな重いんだ。いや、普段持ってるものに比べれば大したことないんだけど。軽いと思ってたからびっくりした。そういえば北方では雪の重さで家が潰れることもあるなんて聞いたことがあったような気がする。なるほどこういうことか。
「ひゃう!?」
気付きは置いといて目になりそうなものを探そうとしたら、急に何かをぶつけられてびっくりする。ぺしゃって感じの音だったし危ないものじゃないと思うけど。
振り返ると、二投目を用意したメアリがちょうど投げてくるところだった。今度はお腹にヒット。お腹冷えちゃいそう。
「ふっふっふっ、メアリ、あたしに雪合戦で挑もうというのね」
「ほら、せっかく雪ですし」
「良いわ。受けて立ってあげる。その前に……」
あたしも握った雪玉を、メアリじゃなくてレイの後頭部目掛けて撃つ。予測されていたのか、首も動かさずに手で止められた。
「メアリにやらせて、レイは参加しないなんてことないわよね」
「なんだ聞こえてたのか」
聞こえてないけどあたしが悲鳴を上げたとき笑いを噛み殺してたから。絶対レイの入れ知恵だと思った。その予想は大当たりだったようで、レイも好戦的な笑みを浮かべて投げ返してくる。
「そりゃ!」
「このっ」
あたしとレイとメアリ三人の雪合戦は、メアリが息を切らして止まるまで続いた。当たった回数なんてちゃんと数えてないけど、たぶん一番当てられたのがあたしで、少ないのはレイだった。もちろんメアリに怪我なんかさせられないのでそこは手加減したけど。
「レイさん強いです」
「こういうのは強いんじゃなくて、大人げない、って言うのよ」
「お前たちのコントロールの問題じゃないか?」
「言ってくれるわね。次覚えてなさい。アズキが当てるから」
「お前がやれ」
だってあたし身体能力任せの動きしかできないし。
「あー、楽しかった。ってそうだ雪だるまは」
最初の目的をすっかり忘れていた。あたしの雪だるまを確認すると、日に当てられてちょっと溶けてるけどまだ普通に作りかけで残っている。ジスタの方を見れば、目はちょっと削ったところに入れられた小さな雪玉、手は真っ直ぐな木の枝、さらに雪の帽子まで被った完成体の雪だるまが出来ていた。ところがジスタ本人の姿が見えない。
「何やってるんだあれ」
レイがなんとも言えない顔をしていた先で、雪のドームの頂上にジスタがへばりついて、それをミランダが狙っていた。本当に何やってるんだろう。確かあのドームって最初にレイとミランダが作ってたやつだよね。相当の雪を使ったからか周りはちょっと地面が見えていたりする。
「あら、雪合戦はもうおしまいですか?」
「まあそうだけど、どういう状況?」
「いえ、わたくしはジスタ様をかまくらの中にご招待しようとしただけなのですが」
「さ、攫われる……!」
「ある意味いつも通りね」
まあそれはそれで良いんだけど。
「かまくらってなーにー?」
「このドームのことでございますわ。中は暖かいんですよ」
「え、雪でしょ?」
「入って確かめてみますか?」
ミランダに促されるままに入ってみる。意外と狭い。それと本当に暖かい。暖炉をつけた室内にも負けないくらいだ。
「本当だ。え、なんで?」
「さっきまでわたくしが入っていたからでございますね」
「ど、どういうこと?」
「雪は熱を逃さない効果があるので、わたくしの体温で暖まったままなのです」
「なるほど……じゃあこの中にみんなで入ればぽっかぽかってこと?」
「そうなりますね」
なるほど、そうと分かればやることは一つ。
「メアリ、おいで」
「はーい!」
「レイもー」
「無茶言うな」
バレたか。かまくらの中は狭いので、あたしとメアリが入っただけでもギチギチだ。そこに一番背の高いレイが入ったら、間違いなく首を痛める。
「中の雪もうちょい削る?」
「そしたら崩れるだろうな」
「く、崩れ!?」
「ああ、だからジスタもそこに居るのは危ないぞ。下の二人がな」
「いいい今すぐどきます!」
で、降りたら今度はミランダにつけ狙われる羽目になるわけで。
「いやぁ特等席」
メアリを膝に乗せてあたしは喜劇みたいな追いかけっこを見て楽しむのであった。
ぎゅうぎゅうおしくらまんじゅう
かんそうひょうかおまちしております