女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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しふくのひととき(※なんかいた)

「おろ?」

 

 楽しいご相伴が終わって戻ってみると、罠に掛かったままの侵入者が泣きべそをかいていた。まあ数時間くらい簀巻きで放置していたわけだ、かわいそうに。誰がこんな酷いことを。

 

「ギルネリア様……この縄をほどいてくださいぃ」

「……誰だっけ君」

 

 どこかで見たことある中性的な顔の女の子。魔族なのは分かる。でもこんな知り合い居たっけな。部下でもないし、幹部連中でも無いんだよね。

 

「いや待って、出てきそう」

 

 絶対会ったことある。えーっといつだ?

 魔王様が就任してすぐの頃、西方鎮圧行った時かな。手が足りないってんであの時も一人で行かされたっけ。今と違って数週間くらいの話だけど。その時、戦況報告に伝令が居て、よく追いかけ回されて涙目になってた、その子だ。

 

「ジスタちゃんだっけ」

「はい。以前一緒にお仕事させて頂いたジスタ・ジオです。あの、助けて。そろそろボク限界で……」

 

 言われてみればもじもじしている。仕方ない。助けてあげよう。

 

 縄をほどいてやってお花摘みを待ってあげて、お家につれてきてソファに座らせて。やっとちゃんとお話できる状況になる。ギリギリで間に合って良かった良かった。焦らして決壊していたら洗濯とか大変だもん。

 

「うう……魔族狩りにあってやっと撒いて辿り着いたと思ったらこんなとこで放置されて……」

「それは災難ね」

 

 魔族狩り、魔族狩りねえ。メアリも追い剥ぎに襲われたって言っていたなあ。は? メアリ襲撃した輩が居るの許せなくなってきた。今度レイに相談しよう。あの子も騎士だっていうし、村の近くでそんな危険なのが居るなら無視はしないでしょう。

 

「で、どしたの。魔王様からなんかあった」

「魔王様から、あなたを監視するよう命を預かってきました」

「監視? なんで? ワッツ?」

「なんでって、あなたが裏切るのではって今城は戦々恐々としてますよ」

「どうせそれって小うるさいジジイ共でしょ」

 

 魔王様の近くで甘い汁吸うことしか考えていない連中。ぶっちゃけ魔王様を例外として城に居る奴らは雑魚ばっかりだ。だって強いやつは前線行くし。

 

「だってギルネリアさんが人間と仲良くするなんて言うから」

「人間と仲良くするのと魔王様裏切るのは別の話でしょ」

「普通はそうじゃないですよぉ」

 

 ジスタはまた半べそかいてすがってくる。

 

「魔王様も『自由になった配下から派遣する』って仰ってたから、人間と仲良くするのやめましょうよ」

「ん? 頭数少ない方が良いって話じゃなかったの?」

「どうやら、魔王様の意図しない形で話が伝わっていたようで」

「ふむ?」

 

 つまり、誰かが魔王様を無視して勝手にそんな制約つけたと。あたしに直接命令出したのは、マコラのジジイだ。なんだっやっぱりジジイじゃない。頭に来るわ。まあ、たぶん魔王様はもっと怒り散らかしてるんだけど。

 そういう話なら魔王様も早く変えてくれれば良かったのに。いや、もしかしてあたしが愚痴ったりしなかったから知らなかったのか。まさか愚痴り得だったとはこのギルネリアの目を持ってしてもなんとやら。

 

「ね、もう人間と仲良くしなくていいでしょ?」

「いや仲良くするけど」

「なんでぇ!?」

「なんでと言われても、友達になったから」

 

 どうしてこんなに人間から離したがるのか。

 ああ、なるほど。この子は魔王様の城とかに攻めてくる人間しか見たことがないのね。きっとそうに違いない。城までやってくる人間は勇者だの将軍だの英雄だのと小うるさくて気が短い奴らばっかりだから。人間イコール話の通じない恐ろしいものって認識になってるんだ。

 

 そうと決まれば話は早い。ジスタを人間に会わせてみれば良い。そうしたら案外怖いものでも無いと分かるでしょ。まあでも今からとんぼ返りってのも迷惑だし明日にしよう。

 

「あなた、いつまで居るの?」

「はい?」

「明日、人間の集落に行くから、ついてきなさい。拒否権は無いわ」

「いつまでか聞いた意味ありますかそれ!?」

 

 良い質問ね。全く無いわ。よく考えたら今から帰りますって言っても引きずり込む予定だったし。だって変なこと伝えられて怒った魔王様が来たら、流石のあたしも分が悪い。

 

 手を叩いてトラップを全部解除。お家の扉も開けてあげる。

 

「まあ今日はもう日が暮れるし、うちで休みなさいな」

「分かりました……」

「あ、それとはい」

「これは?」

「メアリ、人間が焼いてくれたパンよ。今日の晩ごはんと明日の朝ごはんにって。あなたその様子じゃ自分でご飯も手に入れられないでしょ?」

「でも人間が作ったものなんて」

 

 ぐう、と答えるようにジスタのお腹が鳴った。顔を真赤にして言葉を紡げなくなっている。ふっ命拾いしたな。メアリの作った最上級パンに対して何か言おうものならスカート履かせて逆さ吊りの刑だった。

 

「あたしも既に食べたものよ。毒なんて入ってないわ」

「う、それじゃあ」

 

 恐る恐るって感じでパンに口をつける。食べた瞬間ぱっと顔が明るくなって、なんでもないですよと言うふうに唇を尖らせる。

 

「……美味しい」

「当然だわ」

 

 だってメアリが作ったものなんだもの。




かんそうひょうかおまちしてます
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