女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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しふくのひととき(※じごくらしい)

「死ぬ死ぬ死ぬ死んでしまう……」

「まだ村の入り口だけど」

 

 ジスタはヘビに睨まれたカエルみたいにぶるぶる震えてずっとあたしの服の裾を握りしめている。伸びるからやめてほしいんだけど。

 

「別に取って食われたりしないよ」

「でもでもだって人間ですよ!?」

「じゃああたしより強いのがここに居ると思うの?」

「それは……」

 

 実は勝つかもラインにレイが居るんだけど。あたしよりこの村の人の方を怖がられるとなんだかなあという気分になる。ほらあたし一応幹部だし。

 

「居ない、と思います」

「なら問題ないっしょ。じゃ、れつごー」

 

 ずるずる引きずって村に入る。レイの家に行こう。メアリを紹介すれば分かってもらえるはずだ。しばらく畑の横道を歩く。

 

「お、魔族の嬢ちゃんじゃねえか」

「はぎゃああああ!」

 

 あたしの返事はジスタの悲鳴にかき消された。声をかけてくれたおっちゃんも新生物の鳴き声に目を丸くしてる。

 

「なんだいそいつは」

「あーこれね。部下」

「部下ぁ? そういやお偉いさんっつってたな。じゃあほい。偉いのにプレゼントってな」

「何この袋?」

 

 中身を覗いてみるとお芋や葉物野菜がずっしり入ってる。道理で重たかったわけだ。形はちょっと悪かったり小さかったりだけど食べる分には美味しく頂けそう。

 

「余りだよ。村の分は足りてるし、街に売るにゃ見た目がブサイクでな。捨てちまうよりかは嬢ちゃんに食ってもらった方が良いだろ」

「えー、やったーありがとー!」

 

 まああたし料理とかできないんだけど。メアリに何か作ってもらおうかな。これを期に料理女子を目指しても良いかもしれない。そしてメアリとレイに手作りをご馳走してあげるのだ。お、これスーパープランじゃない?

 

「うちの野菜は旨いから、そっちの嬢ちゃんもぜひ食ってくれよな」

「は、はひ、はひぃ」

「あーごめんねおっちゃん。この子ビビリなの」

「はあ、そういうこともあるんだな」

 

 ちょっとガタイが良いだけのおっちゃんにここまで怯えるのはもはや才能な気がする。おっちゃんは陽気に手を振って仕事に戻っていった。さて、行進再開っと。

 

「ところでジスタ重いんだけど」

「こ、腰が抜けてしまって」

 

 裾を握りしめるどころかもう腰にひっつき虫してるような状態だ。かよわい乙女に一人分の重さは結構きつい。ジスタが軽いから動けはするんだけど。

 担ぐの面倒だなあ。このまま引っ張っていこうかな。もしくは魔法で浮かせて行くか。

 

「悲鳴が聞こえたと来てみれば……ギルネリア、その魔族は知り合いか?」

「あ、レイ」

 

 衣服は普段着だけどレイピアを腰にさしたレイが呆れ顔で寄ってくる。そりゃ確かにあの叫び声なら何か事件があったと思うよね。あたしもうるさいってなったもん。

 

「まーあたしの部下的な。ほら、挨拶してみ」

「……」

 

 促してあげたのになんと、シカトとは。お灸を据えてやろうか。なんて思っていたらレイが困り眉で髪をくしゃらせた。

 

「気絶しているぞそいつ」

「えっマジ?」

 

 マジだ。目を開けたまま魂がどっか行ってる。この肝っ玉の弱さでよく伝令の仕事をやれるな。

 

「えいえい、起きろジスター」

「ぴぎぃ」

 

 ぺちぺち頬を叩いてやると、死んだふりから復活する。

 

「あ、あれ? ボク何をして?」

「っていう風に無害な子です」

「無害なのは分かったが」

「あの、ギルネリア様お知り合いで……?」

「ん? ああこっちはレイ。白狼騎士団の騎士なんだって」

「はくろ──!?」

「……ギルネリア。その紹介だと余計に怯えさせてないか」

 

 事実を隠しても仕方ないし。騎士が居ても敵対してないって情報の方が大事かなって。とうのジスタはぶくぶく泡を吹き始めてるけど。

 

「はあ……」

 

 レイは腰をかがめてジスタと視線を合わせる。小柄なジスタと長身のレイではなんか親子くらいの差に見える。実際にはたぶんジスタの方が年上なんだけどなあ。これが若さってやつか。いやあたしもまだ若いが?

 

「レイ・アルトリウスだ。騎士ではあるが、別にお前達を害するつもりは無いよ」

「ひっ……じ、ジスタ・ジオです」

「ジスタか。そこのギルネリアにいびられているならいつでもこちらに言ってくれれば良い」

「あれ? あたしレイに説教されるの?」

「私の言葉じゃどうせ聞き流すだろう。メアリにやってもらうさ」

「うぐっ」

 

 メアリを使うとはなんと卑怯な。やはり人間は姑息かもしれない。なんて冗談は置いといて。

 

「それで、どうせうちに来るつもりだったんだろう?」

「いえーす。ちょびっとだけ真面目な話もしようかなって」

「真面目な話?」

「それは後のお楽しみってことで。ほら行くよジスタ」

「うわあ!? 歩きます、自分で歩きますから!」

 

 抱きあげようとしたら逃げられた。意外とすばしっこい。初歩的な罠に掛かってたのに。なんとなく悔しくなって捕まえようと手を伸ばすけど、魔法無しじゃひらりひらりと避けられる。

 

「遊んでいると置いていくぞ」

「はーい」

「ぎゅぴっ」

 

 レイに怒られたので、重力魔法で叩き落として引きずっていった。歩けるのに、とジスタは不満そうだった。




かんそうひょうかおまちしております
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