今回は、ロイドの決意とアナハイムとの決別の話です。
では、どうぞ!
ロイドside
あれから、どれだけ経ったのだろう。恐らく、三週間は経ったかな。
あの時のクソ親父………いや、アナハイムの話を聞いてから、俺はそのまま部屋に連れて行かれた。
今の俺は、何も考えたくない。やる気も出ない。
俺は昔、ペイルにこう言った。
ロイド「………ペイル、何かあったら、遠慮なく頼ってくれよ。俺も、何かあったら頼らせてもらうから。お前のことは、言ってもらわなくちゃ、分かんないからな」
でも、ペイルは。
………ノーラは、アナハイムが言ってたことを何一つ話してくれなかった。
気を使われてたのか。信用されてなかったのか。はたまた、言えないようにアナハイムにプログラムされていたのか。
………どれだけ考えても、ペイルが俺に話してくれなかった事実は変わらない。それが、とても悲しい。
それに、アナハイムの話が正しいなら、あいつは復讐のために娘の命を利用していることになる。
………俺も、あいつの命を利用して戦ってきたことになるな。
俺は、何もできない、ただの子供。ペイルを救うことなんかできないし、ましてやアナハイムを止めることもできないだろう。
俺は、無力だ。
何が死神だ。大切な妹一人救うこともできないじゃないか。
俺は今、ベッドの上でうずくまることしかできない。
………俺は、何も救うことができない。
マックス「………ロイド」
またマックスさんが来た。多分、毎日来てるのだろう。
ロイド「………」
マックス「………お前は、ずっとそのままでいいのか?」
マックスさんは、何を言ってるのだろう。俺はもう、変わりようがないのに。
マックス「………ペイルを、ノーラを助けなくて良いのか?お前は兄貴なんだろ?」
ロイド「………知ってたんですか」
マックス「いや、ただお前達の話を盗み聞きしてただけだ」
ロイド「………俺に、出来ることなんて無いですよ」
マックス「………」
マックスさんは、俺の話を静かに聞いている。
ロイド「俺は、ちょっとばかり機械いじりの得意なただの学生。そんな俺に出来ることがあるとでも?確かに助けたい気持ちはありますよ。………でも、こればっかりは、本当にどうしようもないですよ………」
俺は、口にして改めて自分の無力さを感じ、自身の足を前で抱え、縮こまる。
マックス「………やってもないのに、諦めるのか」
マックスさんは、俺の部屋に入り、俺の前に立つ。
そして、俺の胸ぐらを思いっきり掴む。
ロイド「ッ!何を………」
マックス「いつもは頼ってくれるのに、こんな時は頼ってくれないのか?俺たちにも解決できないだろうってか?ふざけんなよ!」
マックス「勝手に人を決めつけるな!!」
ロイド「ッ!」
マックス「出来ない事は無いなんて奴は基本いない!人間だれしも欠陥があるんだ。でも、だとしても!試したり、挑戦するのは誰だってできるはずだろ!?」
ロイド「………」
マックスさんの言葉を、俺は黙って聞く。
マックス「俺たちも手伝うさ。だからさ………やるだけ無駄とか考えずに………挑戦しようぜ。それで救えたら万々歳だ」
ロイド「………ッ!」
俺は、両手で自分の両頬をはたいた。
まったく、俺は駄目だな。思考がネガティブモードに入ってた。
ロイド「………心配掛けてすいませんでした。もう、ネガティブで考えるのはやめた」
マックス「ロイド………」
俺は立ち上がり、顔を上げ、今できる一番の不敵な笑みを浮かべる。
ロイド「ペイルを救う。んでもって、あのクソ野郎を一発ぶん殴ってやる!」
マックス「へっ、そうこなくちゃな」
マックスさんも、同じように不敵な笑みを浮かべる。すると、トランシーバーを取り出し、耳に当てた。
マックス「あー、こちらマックス。対象の元気づけに成功。これより合流地点に向かう。通信終わり」
ロイド「………誰に連絡を?」
マックス「俺の他の、お前が頼れるやつらだよ」
ロイド「………ワォ」
マックスさんの言っていた合流地点に向かうと、そこは戦艦の製造ドッグだった。
………そして、恐らくほぼ全ての社員さんら。多分、余裕で五千人はいってる。
ロイド「マックスさん、この人たちって………」
マックス「社長に不信感を抱いてる奴らと、ロイドの力になりたいって奴らだ」
こんなにいんの?逆に申し訳なくなるんだがそれは。
マックス「んじゃ、景気づけにスピーチしてこい!」
ロイド「無茶振りが過ぎますって!?」
マックスさんに背中を押され、俺は大勢の人たちの上に流される。
その瞬間、すぐに話し声は聞こえなくなり、静寂が辺りを包む。なんか怖い。
ロイド「あー、えっと………ふぅ」
俺は緊張して何を話せば良いか分からなくなるが、深呼吸をし、再び向き直る。
ロイド「………正直、自分でも驚いてます。こんなにもの人が集まってくれるとは、思ってもなかったので。そこは、まず感謝を。ありがとう」
ロイド「………余計なことは言わずにいこう。俺は、あの野郎………アナハイム・エレネットを止めて、ペイルを、俺の妹、ノーラ・エレネットを救いたい。でも、その過程で、戦闘になって、死人が出るかもしれない」
やばい、自分で言っててビビってきた………。ま、それでも進むけど。
ロイド「死にたくない人、大切な人がいるなら、帰ってもらっても良い。………いや、帰れ。俺は、自分の大切な人を救うために、他人の命を犠牲にはしたくない。でも、それでも一緒に戦ってくれるなら………全力を尽くして欲しい」
俺はそう言い切り、敬礼をする。社員さんらも、敬礼を返してくれた。
そのタイミングで、兄貴が俺の隣に来る。
サルネリア「………よし、総員、発進準備!」
ロイド「盗んだバイクで走り出す、とはよく言うらしいけど、戦艦盗むのは初めてだわ」
サルネリア「安心しろ、僕も聞いたこと無いしこれが最初で最後だ」
やや苦笑気味に、俺たちは新造している戦艦のブリッジに座りながら話している。
艦長席:兄貴
副館長席:俺
操舵:アルスさん
通信管制:イリスさん
火器管制:ライアさん
その他:集まってくれた社員さんら
と言った感じだ。マックスさんはモビルスーツ格納庫で、荷物をありったけ積んでいる。
イリス「ロイド君、社長に気づかれたみたいだよ!ドッグ入り口付近にモビルスーツの反応、数は八!」
ロイド「それ俺に言います!?兄貴、指揮は頼む!」
サルネリア「ロイド、何する気だ!?」
ロイド「モビルスーツで時間を稼ぐ」
サルネリア「………死んだら、あの世から引きずり降ろして僕がもう一回殺す」
ロイド「兄貴ってそんな野蛮な人だったっけ?ま、最善を尽くすわ」
無重力を利用し、俺は格納庫に向かった。
裏設定その九
ロイドの性格のモチーフは、作者ベースで陽キャ方向に強化した感じ。
次回予告
第二十四話 取り戻すために
お楽しみに!