試作型ガンダムに新たにシステムを搭載した。このシステムは、パーメットで生成された物体そのもののパーメットスコアを任意に変更し、自在に操ることができる画期的なシステムである。
このシステムを使いこなせば、物体を任意に生成、消滅させるだけでなく、別のガンダムのパーメットスコアを強制的に引き下げることができる。革新的な技術にも、ガンダムの新たなる機能にもなりうる。
ここ最近、モビルスーツ開発評議会の動きが活発化してきている。オックス・アースの制式採用コンペには間に合わないだろうが、未来へと繋がる技術として、どうか完成させたい。未来へと繋がる、希望となることを願って。
no side
ミオリネ「………何、あれ………!?」
中破したネェル・アーガマのブリッジにて、静寂があたりを包む中、それを目撃したミオリネはそう呟いた。
溶けるように消えた謎の球体からペイルライダー・デュラハンが突如現れたのだ。
スレッタ「あれ、ロイドさんが乗ってるんです、よね………?」
スレッタのふとした質問に答えるものはいない。いや、答えることができなかった。
そういった直後、艦全体が激しく揺れたからだ。
アルス「ひ、被害甚大!損傷の激しい各部が誘爆、空気漏れが起こっています!」
マックス「ダメージコントロール班、急げ!」
先程までの戦闘のダメージが積み重なり、ネェル・アーガマには限界が来ているのだ。あまりの損傷に、応急修理が追いついておらず、艦内の空気が抜けていく。
が、その時、ペイルライダー・デュラハンがこちらを向き、腕だけを動かしてネェル・アーガマに向けた。
すると、動かした右腕に緑色の光が集まり、モビルスーツの半分ほどの大きさの光球となって、ゆっくりとネェル・アーガマに向かっていく。
そして、互いが接触すると、光球は弾け、緑色の光となってネェル・アーガマを包み込む。
そして、オペレーターのアルスから、信じられない報告が出てきた。
アルス「………だ、ダメージコントロール班より通達。損傷した各部に謎の結晶体が生成、空気漏れを最小限まで抑え込んだ、との事です………」
マックス「はぁ!?一体全体、どういう事なんだ………?」
スレッタ「………きっと、ロイドさんが、助けてくれたんです」
周囲が混乱する中、スレッタとミオリネだけは、じっとペイルライダー・デュラハンを見据えていた。
そしてペイルライダー・デュラハンは、その場に少し留まった後、スラスターを吹かせて何処かへと飛び去っていった。
数時間後………
スレッタ達は、混乱に乗じて投降を呼びかけ、SDMもそれを許諾、一時的にアルカナにいた。
マックス「ネェル・アーガマの応急修復が先だ!残った奴らにはあの結晶体の解析をさせろ!」
イリス「お弁当持ってきたので、食べたい人は来てくださ〜い!」
それぞれがすべき事をする中、スレッタ達は、格納庫の隅に集まったSDMの面々と話していた。が………
レイラ「………何度も言っているでしょ?私達から、あなた達に話すことはありません」
グエル「そう言われても、こちらが困るんだ。話さないと、お前たちにとっても不利益になるぞ」
レイラ「だから何?散々あなた達が奪ってきたくせに、今更慈悲でも湧いたの?」
………と、まさに売り言葉に買い言葉。決着の付かない口論に、サルネリアが割り込んだ。
サルネリア「………一つだけ聞かせて。ロイドが使ったあの力、あれは何なんだい?」
レイラ「私達は知らない。ロイドが勝手にうちのモビルスーツをいじ………って………まさか!?」
ミオリネ「ちょっと、何処行くのよ!?」
サルネリアの質問に、始めは普通に話していたが、徐々に言葉が詰まっていき、何かに気づいたように、何処かに向かっていく。
スレッタ達は慌てて追いかけていく。
着いた先は、「情報保管室」というプレートの付いた部屋。
グエル「………ここに、何かあるのか?」
レイラ「さぁね、私の予想が間違ってることを祈るけど………!」
レイラは一台の端末を操作すしながらそう言う。
そして、数秒の沈黙の後、レイラは大きくため息をついた。
レイラ「やっぱりね………」
ミオリネ「どういう事?説明して」
レイラ「………良いよ。この際、説明しても構わないし」
スレッタ(何だろう………?雰囲気が、柔らかい感じになった気がする)
そして、レイラはロイドを囚えていた時のことをすべて話した。
ミオリネ「………つまり、ロイドはそのデュラハンシステムってやつを使ってあの結晶体を作り出した、って事?」
レイラ「多分、ね。ここにも、デュラハンシステムはそういう事ができるシステムって書いてあるし」
スレッタ「………じゃあ、ロイドさんは何処に向かってるんですかね………?」
レイラ「それは本当に知らない。大方、依頼してきたくせに私達もろともあなた達を消そうとした、議会連合に行ってるんじゃないかな?」
サルネリア「ッ!?どうにかして止めないと!」
スレッタ「でも、今の私達の状態じゃ………!」
グエル「………ダリルバルデⅡも万全じゃない。戦力もほぼほぼロイドに潰されてる」
絶望的な状況の中、それを打ち破ったのは、密かにスレッタが連れてきていたエリク卜だった。
エリクト『………まさに万事休す、ってところだね。でも、スレッタはこんなことぐらいじゃ止まらないでしょ?』
スレッタ「………うん、そうだね。こんなところじゃ、止まってられない!」
グエル「あぁ。親友が困っていて、助けないわけ無いだろ!」
サルネリア「そうだ、このまま指を咥えて見てるだけじゃ駄目なんだ!」
ミオリネ「………レイラ、あんたにもお願い。あの信念硬すぎクソ真面目を………ロイドを連れ戻して」
レイラ「………意味が分からない。何で私に頼むの?何で私を信じるの?」
サルネリア「………君も、うちの弟にいくらか助けてもらったんだろ?その恩は、返すべきじゃないのか?」
スレッタ「………私達のこと、信じれないのは分かってます。それでも、私達は進みます。SDMも、ロイドさんも、私達も全部救って、前に進みます!………まぁ、ロイドさんの受け売りですけど…………」
スレッタは苦笑すると、レイラに向けて手を伸ばす。
レイラ「………あなたの言う通り、私はあなた達を信じれない。でも………」
そう言いつつ、レイラはスレッタの手を取る。
スレッタ「!」
レイラ「気が変わって、ほんのちょっと、あなた達を信じてみたくなった。あなたの言う、全部救った未来を、私も見てみたいから」
レイラはそう言い、微笑んだ。
が、すぐ真面目な表情へと変わる。
レイラ「………でも、どうするの?私達が提供できるのはジーライン位。バルギルも頭を壊されて動かせないし………」
ミオリネ「私はそういうのに詳しくないんだけど、他のモビルスーツの頭をくっつけるだけじゃ駄目なの?」
スレッタ「駄目ではないんですけど、どうしても正規の頭部と比べると、反応速度だったりセンサーの有効範囲が変わってきちゃって………不可能に近い、が正しいですね」
レイラ「………待って、もしかしたら………ちょっと、着いてきてくれる?」
五人「「「「「?」」」」」
レイラに連れられて来たのは、モビルスーツが通れるほどの通路の先にある、壁のような扉。
レイラ「ここは、アルカナの中枢。私達がここに移り住んだ時からずっと開いてない。もしかしたら、この先に使えるものがあるかも」
グエル「………で、どうやって開けるんだ、これ?」
レイラ「さぁ」
サルネリア「詰みじゃないか!?」
再び絶望感に襲われている中、エリクトがなにかに気づく。
エリクト『………スレッタ、少し、そこの壁まで近づいてくれる?』
スレッタ「?分かった」
そう言って、指示されたとおり、一同は壁に近づく。すると凹みが見つかり、何かを読み取るようなパネルがあった。
エリクト『………スレッタ、試しに指を当ててみて』
スレッタ「え、うん………」
スレッタは右手の人差し指でパネルにタッチする。
すると、壁の模様だと思っていたものから微弱ながら赤い光が漏れ出し、扉が音を立ててゆっくり開いていく。
スレッタ「開いた!?どうして………?」
エリクト『多分、スレッタが僕のレプリチャイルドだからだよ。オックス・アースの人間は、皆生体認証を登録してたから。いわば、僕名義で開けた、って感じだね』
レイラ「………あなた達に聞きたいことが増えた」
レイラはジト目でスレッタと手に持つエリク卜を見る。スレッタは苦笑いだ。
レイラ「………でも、これで………!」
扉が完全に開ききり、一同は中に入る。
そこは小さめの格納庫のようになっており、いくつかの部品と一台のMSコンテナ、そして、モビルスーツが一機、佇んでいた。
グエル「これって………!」
純白をベースに、シェルユニットが模様のようになっているボディ。
サルネリア「この機体………!」
大型のスラスターとウイングが目立つ、特徴的なバックパック。
レイラ「まさか………!」
そして、特徴的なツインアイ。
スレッタ「………ガンダム………………!」
X-RX0 ガンダム・エルピス
希望の女神の名を持つ機体は、今再び、目覚めを迎える。
次回予告
スレッタ「もう一度、力を貸して。エリクト!」
ロイド「俺は、お前たちを許さない………ッ!」
第四十六話 Wings for the future
お楽しみに!