アスティカシアを第四の騎士で駆ける   作:毒撒

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新型システム実験記録②


 ヴァナティーズ襲撃から数日、金星のフロント「アルカナ」に身を潜めた私達は、遂に新型ガンダムをロールアウトした。

 新たなるガンダムの名は、「エルピス」。遠い未来、この技術が希望の光となることを願い、この名をつけた。

 オックス・アースの残党はあちこちに逃亡しているが、いずれも新たなガンダムを開発する余裕はないらしい。ルブリスシリーズは全機大破もしくは行方不明、キャリバーンは押収され、残るは保管しているムーンガンダムとエルピスのみだ。

 私達は何としても、この技術を未来へと紡がなければいけない。それが私達の、最後の仕事だ。


第四十六話  Wings for the future

ロイドside

 

 

 

 

ロイド「………人間って、苦しみが極限までいくと、何も感じなくなるんだな」

 

 

アルカナを発ってから数分、俺はデュラハンのコックピットの中でふとそう呟いた。

 

モニターに反射して映る自分の顔は、それはもう酷い有様だ。

 

ガンダム特有のパーメットの痣はキャバルリーに乗っていた時とは比べ物にならないほど広がり、瞳孔まで及んでいる。虹彩は赤い痣で埋め尽くされ、元の深い紅ではなく、鮮やかに光る赤となってしまっている。

 

何なら、さっき呟いたように、苦しさも殆ど感じない。体が慣れたのか麻痺してるのか、はたまた死にそうになってるは分からん。

 

 

………でも、ある意味好都合だ。

 

苦しみを感じないのなら、まだ戦える。

 

 

ペイル達には悪いが、やっぱり俺には自己犠牲が似合ってる。

 

 

ロイド「俺は、お前たちを許さない………ッ!」

 

 

 

 

首洗って待ってろ………議会連合ォ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

議会連合side

 

 

 

 

 

 

 

 

オペレーター①「………アルカナから、一機のモビルスーツが接近中。およそ6日後に接敵します」

 

議長「ふぅむ………あのモビルスーツ、先程の機体か」

 

 

表示されたデュラハンを見て、議長はそう呟く。いくら議会連合が強力とは言え、未知数の敵が相手では警戒せざるを得ないだろう。

 

 

議長「………奴が来るまでに、できるだけ多くのモビルスーツ隊をここに集結させろ。それと………」

 

 

議長は周りに指示を言い渡すが、最後に少し躊躇う。

 

 

議長「………いや、構わん。それまでにどうにかしてシドを起動させろ」

 

オペレーター①「ッ!?正気ですか!?あんな骨董品に頼るなんて!」

 

オペレーター②「そうですよ!我々議会連合が、あの呪物のようなものに劣るとでも!?」

 

 

議長は、「シド」とやらを起動させるよう指示を出すが、周りからは反対の声が上がる。

 

 

議長「あくまであれは保険だ。使わないに越したことはない」

 

 

しかし、議長は冷静に諭し、周囲を落ち着かせる。

 

 

議長(………私とて、あのような怪物に頼るのは気が引ける。だが、同じ毒なら、毒を制する事もできるだろう。全ては、議会連合の為なのだ)

 

 

議長は、そう考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

no side

 

 

 

 

アルカナにて、スレッタ達は着々と準備を済ませていた。

 

 

マックス「エルピスのOS設定は全てキャリバーンと同じにするんだぞ!」

 

アルス「見つけたコンテナの中にあった部品は、バルギルの修復に、ジーラインのパーツをダリルバルデの応急改修に当ててください!」

 

 

レイラ「………驚いた。まさか、バルギルが元々はガンダムだったなんて」

 

グエル「ムーンガンダム………月で開発された、サイコミュとGUND-フォーマットを同時搭載した世界最初のガンダム、か」

 

エリク卜『エルピスが隠されてたみたいに、悪用を防ぐため、あえてサイコミュ部分だけを使えるようにして残したんだろうね』

 

ミオリネ「………これで、出撃できるのは四機………」

 

サルネリア「それで十分。ロイドを殴って止めるなら、そのくらいの方がいい」

 

 

スレッタのガンダム・エルピス、グエルのダリルバルデ(修理中)、レイラのムーンガンダム(準備中)、サルネリアのリゼル。

 

この四機で、ロイドを止めて、連れ戻しに行くのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

………そして、ガンダム・エルピスの起動試験。

 

 

 

ミオリネ『………それじゃあ、始めましょう』

 

マックス『スレッタ、ペイル。ぶっつけ本番になるけど行けるか?』

 

ペイル《大丈夫です。スレッタさん、負荷は肩代わりするから、思いっきりやっちゃって!》

 

スレッタ「うん。………ガンダム・エルピス、起動!」

 

 

スレッタの操作によって、エルピスのアイカメラが緑に光り輝く。

 

 

アルス『………ガンダム・エルピス、起動を確認!』

 

スレッタ「よし、次は………デュラハンシステム、起動!」

 

 

スレッタは無事エルピスが起動したことを確認し、続けてデュラハンシステムを起動させる。

 

 

 

DULLAHAN SYSTM

Check ecological code

 

 

 

システムを立ち上げた、その時。

 

スレッタ「う、ぐ、ああああアアアァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!?!?」

 

ペイル《ッ!?肩代わりしてるはずなのに、どうして………!?》

 

 

データストームは全てペイルが肩代わりしているはずだが、何故かスレッタ側にもデータストームが流入してしまっている。

 

 

オペレーター『ぱ、パイロットのデータストーム流入値、許容値を大幅オーバー、このままではパイロットが持ちません!』

 

ミオリネ『スレッタ!?すぐにや……て!聞……る!?ス………!!』

 

 

そして、スレッタの意識は落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スレッタ「っは!?………ここは?」

 

エリクト「スレッタ、目が覚めた?」

 

ペイル「大丈夫………?」

 

スレッタ「エリクト?ペイルさん?なんで………?」

 

 

スレッタが目覚めると、そこはエルピスを見つけた格納庫だった。直ぐ側には人間の体となったエリクトとペイルがいた。

 

 

エリクト「………多分、デュラハンシステムを起動させて、スコアを急に変動させたから、データストーム空間に一時的にアクセスしたんだろうね」

 

ペイル「うん、さっきと比べても、明らかに周りがきれいだもん」

 

 

 

???「君たちか、こいつを起こしてくれたのは」

 

 

三人「「「ッ!?」」」

 

 

 

突然知らない声が聞こえ、三人は驚いて振り向く。

 

 

そこにはシェルユニットが赤く発光したエルピスがあり、その肩に一人の男性が立っていた。

 

 

スレッタ「あなたは………」

 

エリクト「………オルティナ博士」

 

ペイル「エリクトさんの、知り合い?」

 

オルティナ「覚えててくれたのか、エリィ」

 

 

オルティナ博士はそう言い、白衣をたなびかせながらスレッタ達の前に降りてきた。

 

 

エリクト「この人は、オルティナ・アーカックス博士。元々オックス・アースとヴァナティーズと協力して、ガンダムを作ってた人なんだ」

 

ペイル「………じゃあ、エルピスは博士が作ったって事ですか?」

 

オルティナ「あぁ。ヴァナティーズ襲撃の後、我々はこのフロントに隠れ、密かにエルピスを開発し続けていた。しかし物資も乏しく、エルピスが完成した後、我々はここを出ていくことにしたのだが、万一のため、私がエルピスの中に入り、この手でガンダムを守り続けていたんだ」

 

スレッタ「………じゃあ、もうすぐ………」

 

オルティナ「あぁ。もうすぐ私は消滅してしまう」

 

 

オルティナ「………君の名前は?」

 

スレッタ「スレッタ、スレッタ・マーキュリーです」

 

エリクト「スレッタは、お母さんが作った僕のレプリチャイルドなんだ」

 

オルティナ「そうなのか。エルノラさんは、元気か?」

 

エリクト「車椅子生活だけど、いつも幸せそうだよ。よろしく伝えておくね」

 

オルティナ「あぁ、頼む。………スレッタ。君は、エルピスをどのように使うんだ?」

 

 

オルティナは、スレッタにそんな疑問を抱く。

 

 

 

スレッタ「………友達が、私達のために、間違ってる道に進もうとしてるんです。デュラハンシステムを使って、つらい思いをしながらも。だから、私は彼を止めたい。もうこれ以上、ロイドに進みすぎてほしくないから」

 

オルティナ「………なるほど、ね。未来を照らす技術の結晶を、君は友達の為だけに使うのか、面白い!そういうの、嫌いじゃないよ」

 

 

スレッタから理由を聞いたオルティナは、納得したように、面白そうに笑う。

 

 

オルティナ「いいさ、好きにするといい。私はどのみちもうすぐ消えるしね」

 

スレッタ「あ、ありがとうございます!」

 

 

オルティナ「………今を生きる君たちに、託したよ。人々が、未来へと羽ばたくための翼を………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、スレッタは気がついたらコックピットに戻ってきていた。

 

 

オペレーター『パイロットの意識回復!同時に、データストーム流入値、高レベルながらも安定!』

 

ミオリネ『スレッタ!?大丈夫なの!?』

 

スレッタ「………大丈夫だよ、ミオリネさん。もう、大丈夫」

 

エリクト『………スレッタ、僕は、僕に出来ることをするよ』

 

スレッタ「うん。もう一度力を貸して、エリクト!」

 

ペイル《スレッタさん、行こう!ロイドをひっぱたいてでも連れて帰ろう!》

 

 

レイラ『私も、忘れないでよね。ムーンガンダムも、今整備が終わったから、いつでも出せる』

 

グエル『ダリルバルデも、もう少しで作業が終わる。なんとしても、あいつを連れ帰るぞ!』

 

スレッタ「皆………!うん、行こう!!」

 

 

 

スレッタに応えるように、エルピスのアイカメラが輝いた。




次回予告


ロイド「あいつらはただ、笑って暮らしていたかっただけなのにッ!!」


レイラ「自分達のことは、自分達でけりを付ける!」


グエル「お前は、間違ってる!」


第四十七話  これが最後の

お楽しみに!
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