アスティカシアを第四の騎士で駆ける   作:毒撒

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第四十九話  希望と絶望の狭間で

no side

 

 

 

 

 

 

議長「馬鹿な………あれだけの艦隊を、わずか十分で………!?」

 

 

椅子に座ったまま、議長は呆然としていた。

 

議会連合の総戦力。それをデュラハン単機にたった十分で葬られたのだ、無理はないだろう。

 

 

議長「………えぇい、シドはどうなっている!?」

 

オペレーター「議長!整備班より、シドの起動を確認したと!」

 

議長「よし、すぐに発進させろ!」

 

 

議長は少し安堵し、表情を和らげる。

 

 

が、突如施設全体が大きく揺れる。

 

 

議長「なんだ、何が起こった!?」

 

オペレーター「わ、分かりません!」

 

議長「一体、何が………!?」

 

 

 

その直後、司令室は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スレッタ「………ロイドはさん?」

 

ペイル《大丈夫、気を失っただけみたいだから、すぐ目を覚ますよ》

 

グエル「終わったん、だよな………?」

 

サルネリア「あぁ。全部が全部終わったわけじゃないけど、一先ず今やるべきだった事は成功だね」

 

レイラ「………で、これからどうするの?ロイドを匿って、議会連合をどうにかして………やることが山積みだけど」

 

スレッタ「………きっと、大丈夫だよ。だって………」

 

 

 

 

その時、四機のコックピットにに緊急警報が鳴り響いた。

 

 

レイラ「四時方向から熱源反応!?それって………」

 

ペイル《議会連合の………!?》

 

 

まさかと思い、その方向を向く。

 

しかし、レーザーがチャージされている様子は無い。

 

 

 

 

だが、突如、施設の中から無数のビームが突き破るように放たれ、施設は誘爆を起こしながら崩壊していく。

 

 

そして、その爆炎を突き破るように、漆黒の巨体が現れる。

 

 

鳥のような翼。

 

 

虫のような胴体。

 

 

怪しく光るモノアイ。

 

 

 

ペイル《ッ!?機体の照合結果は………》

 

 

 

 

モビルアーマー・シド

 

 

 

 

スレッタ「モビル、アーマー………ッ!」

 

レイラ「モビルアーマーって、ドローン戦争を引き起こした超弩級モビルスーツの総称………あれが、そうなの………!?」

 

ペイル《データも残ってるし、間違いないよ………!》

 

グエル「何で議会連合がそんな物を………!?」

 

エリクト『僕達を消す切り札として持ってたのかもね。………ま、結局自滅してるけど』

 

スレッタ「………サルネリアさん、ロイドさんを安全な所に」

 

サルネリア「分かった。奴の相手は任せたよ」

 

 

そう言ってサルネリアはペイルライダー・デュラハンを掴み、その場を離れていく。

 

 

グエル「………それで、あいつをどうやって倒す?」

 

スレッタ「私とペイルさん、エリクトの三人でデュラハンシステムを制御して、あれの気を引きます。その間に、二人で本体に攻撃を」

 

レイラ「………一人で、平気なの?」

 

スレッタ「大丈夫です。それに………」

 

 

スレッタはそう言いながら、デュラハンシステムの接続を準備する。

 

 

スレッタ「私は、一人じゃない!」

 

 

そして、三人の同時接続を開始する。

 

 

(BGM:Liberation from the Curse)

 

 

スレッタ「もう一度、力を貸して。エリクト!」

 

エリクト『君が望むなら、もう一度僕も戦うよ!』

 

 

そして、エルピスのシェルユニットが、先程までのデュラハンと同じ………いや、それ以上の輝きを放つ。

 

 

スレッタ「行こう!」

 

 

スレッタの一声で、三機が一斉に前進する。

 

 

シドはそれを感知し、多数のビーム・キャノンで迎撃する。

 

スレッタ達はそれを難なく避けようとするが、途中でビームが屈曲し、各機を正確に捉える。

 

エルピスはウイング・ガンビッドで、ムーンガンダムはサイコプレートで、ダリルバルデⅢはシールドとイーシュヴァラを重ねて防御する。

 

 

グエル「グッ………なんて火力だ!」

 

レイラ「これじゃあ、倒すどころか近づくことすらできない………!」

 

スレッタ「私達が突破口を開きます!」

 

 

弾幕が濃く近づけない中、エルピスが単機で接近していく。

 

シドは弾幕を集中させるだけでなく、ミサイルを多数発射する。

 

 

が、三人に完全制御されているエルピスにとって、それを避けるのは造作もない事だった。

 

弾幕の薄いところを瞬時に判断、そこをくぐり抜け、ミサイルをライフルで叩き落とす。

 

それを繰り返し、少しずつ接近する。

 

そして、懐に入り込み、ビーム・サーベルで斬りかかる。

 

しかし、シドは凄まじい速度でそれを避け、逆に体当たりでエルピスを吹き飛ばす。

 

 

スレッタ「今です!」

 

グエル「今のうちに!」

 

レイラ「無駄にはしない!」

 

 

その隙を逃さず、レイラはサイコプレートを飛ばし、シドを切りつけようとする。

 

しかし、シドはそれすらも避けながら、キャノンを連射する。

 

更に、内部から小型化したシドのようなロボット「シド・スレイヴ」を射出し、二機を追い詰める。

 

 

レイラ「くっ………!」

 

グエル「こいつら………!」

 

 

二機は連携して少しずつ捌いていく。

 

そこに、別方向からの射撃が加わる。

 

 

サルネリア「すまない、遅くなった!」

 

グエル「シドはスレッタ達が抑えてくれてる!今のうちにこいつらを倒す!」

 

 

 

少し離れた所で、エルピスとシドが激戦を繰り広げていた。

 

 

スレッタ(全然隙がない………まるで、こっちの動きを完全に予測して動いてるみたい………!)

 

 

???『………ナゼ、抵抗スル?』

 

三人「《『!?』》」

 

 

その時、通信で機械音のような声が聞こえ、三人は驚く。

 

 

スレッタ「あなたは………シド、なんですか?」

 

シド『私ハ、シド。地球ノ未来ノタメ、人間トイウ存在ヲ消去スル』

 

ペイル《どうして!?人に作られた貴方が、何故人を滅ぼすの!?》

 

シド『私ノ主ガ私二与エタ使命ハ、地球ノ環境ヲ守リ、未来へ繋グ事。ソノ未来ノ為二、人間ハ不要卜判断』

 

スレッタ「そんなのおかしいです!人がこれからも暮らしていくために地球を守ろうとしたはずなのに、人を不要だなんて!」

 

シド『ナラバ、何故戦イハナクナラナイ?守ロウトシテイルモノモ、戦イノ影響デ壊レテユク』

 

スレッタ「それでも!人には知恵があります!学んで、やり直して、そうして今まで進んできたんです!人は、変わることが出来るんです!!」

 

シド『………本当二、ソウカ?』

 

スレッタ「え?………ッ、あぁっ!?」

 

 

シドは隙を逃さず、体当たりでエルピスを漂う残骸に叩きつける。

 

 

スレッタ「う………ぐぅっ………!」

 

 

エリクト『スレッタ、大丈夫!?』

 

 

シド『本当二変ワルコトガ出来ルナラ、戦イハ無益ダト分カッテイナガラ平然卜戦ウ事ナド、シナイノデハナイカ?』

 

スレッタ「………ッ」

 

シド『先程マデオ前達卜戦ッテイタ少年モソウダ。聞イテイタガ、奴ハオ前達ノ幸セノ為二戦ッテイタ。自身ヲ犠牲二シテデモ成シ遂ゲヨウトシテイタ。ダガ、オ前達ハソレヲ否定シ、奴ノ願イヲ打チ砕イタ。私ノ予想二過ギナイガ、奴ハ今マデモ、同ジヨウナ考エヲシテキタノデハナイカ?』

 

ペイル《それは………》

 

シド『ヤハリカ。結局人ハ、変ワルコトナド出来ナイ。コノママデハ、ヨリ地球ガ壊サレテシマウ』

 

 

 

 

レイラ「それでも、私達はッ!」

 

 

横からサイコプレートが飛来し、シドはエルピスから離れる。

 

そして、エルピスの周りに、三機が着地する。

 

 

スレッタ「皆………!」

 

サルネリア「さっきから聞いてれば、よくもまぁ勝手なことを………!」

 

グエル「俺達は、昔の俺達から変わることがなければ、この場に立っていない!」

 

レイラ「自分だけで変わることは、たしかに難しい………。だけど、味方してくれる仲間と協力すれば、きっと変われる!………現に、私がそうだしね」

 

ペイル《………そうだ、私は一度、ロイドを変えた。そして私も、ロイドや皆が変えてくれた!》

 

エリクト『そうだね、僕も、スレッタに変えてもらった』

 

スレッタ「私も、ミオリネさんに、色んな人に変えてもらいました!」

 

サルネリア「誰にだって、変わる可能性はある!俺たちは未来を、可能性を信じる!」

 

 

ペイル《私達の、未来をッ!》

 

 

 

六人「「「「《『人の、可能性を!!!』》」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロイドside

 

 

 

 

 

 

ロイド「う………ここは………………?」

 

 

気がつくと俺は、青空の下、どこまでも広がる草原にいた。

 

この景色に見覚えのあった俺は、必死に記憶を探る。

 

 

ロイド「………思い出した。ここは、地球にいた時に兄貴とノーラと、三人で遊んでた草原………」

 

 

???「正解!さっすがロイ兄ぃ、相変わらず記憶力はピカイチだね♪」

 

ロイド「ッ!?………ノーラ?」

 

 

懐かしい声が聞こえ、振り返るとそこにはかつて消滅したはずの妹、ノーラが立っていた。パイロットスーツではなく、記憶にある私服で。

 

 

ノーラ「久しぶりだね、ロイ兄ぃ」

 

ロイド「あぁ、そうだな………。ノーラがいるって事は、俺は死んだのか」

 

ノーラ「あー、それは違うかな。今の私は、完全に消滅していわばデータストームそのもの。デュラハンシステムをロイ兄ぃが闇雲に使ってたおかげで、こっちからなんとか接続できてね。ロイ兄ぃが気絶したタイミングで、また一時的にデータストーム空間に連れてきてる、ってわけ」

 

ロイド「………つまり、俺はまだ死んでないし、帰る体もある?」

 

ノーラ「そういう事!………それより、今の今までロイ兄ぃ何してるの?ずっと見てたけど、ほんっとロイ兄ぃは変わらないねぇ………」

 

ロイド「うっせーやい。………冷静になった今なら分るけど、あの時は焦ってて、自分でも分からなくなるくらい混乱してた。それで………………沢山、人を殺した」

 

ノーラ「流石にその時は見てて引いたよ。ロイ兄ぃ明らかに普通じゃなかったもん」

 

ロイド「………何も言えねぇなぁ。駄目だと分かっててもあいつらの為だと言い張って人を沢山殺して………挙げ句、今更反省して………………最低どころじゃねぇな」

 

ノーラ「………でもさ、ロイ兄ぃのやってきたこと、本当に全部が全部悪いのかな?」

 

ロイド「………慰めなんていらねぇぞ」

 

ノーラ「まぁ、ちょっぴりそれもあるけどさ。人を殺すのは、どんな理由があっても良いとは言えない。でも、ロイ兄ぃはレイラさん達………父さん達の起こした事に巻き込まれた人達を救いたかったんでしょ?だったら、考えは間違ってない。むしろ、良いことだよ。ただやり方を、道を間違えちゃっただけ」

 

ロイド「………」

 

ノーラ「勿論、償いはしてほしいよ。?でも、無理に変わる必要はない。ロイ兄ぃなら、分かってるんじゃない?いますべき事を、さ」

 

 

 

ロイド「………俺は」

 

 

 




次回予告



ノーラ「それが、ロイ兄ぃの答え、なんだね」


シド『オワリダ』


ロイド「………ありがとう」





最終回  ロイド・エレネット
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