革命機ヴァルヴレイヴ 現代に欲望のまま生きる自分本位の鬼達 作:怪物怪人怪獣さん
オリジナル機体 高機動型バッフェ・カスタム。
バッフェの性能向上を目的に設計され開発された通常の有人タイプバッフェの背面に大型バック・パックに似たバーニア・ユニットを背負ったカスタムタイプのバッフェ。改修面は通常型のバッフェとは違う高機動型スラスターに、背面のバーニア・ユニットにエンジンの強化をすると共に通常バッフェのクローアームより繊細な事が出来る近接格闘用四本指のマシン・クローを装備されており、各近接武器を携帯している。試験機を実験させたのち、各方面に配備されるも、高機動型で操縦が通常の有人バッフェより難しい事と、積載量が少ないロケット燃料を使い果たしガス欠になる問題点がある。解決策に背中のバーニア・ユニットやスラスターの燃料槽をカートリッジ式に改良しドルシアの戦艦に専用の補給設備を用意するのと燃料補給用の無人タイプが同伴する事でこのガス欠問題は解決する。パイロットの方面も熟練のバッフェの操縦が上手いパイロットなら性能を引き出す事が立証された為にバッフェの操縦が得意なエースへ優先的に配備される。
ドルシアの各エースに愛された機体であり、様々なパーソナルカラーに派生カスタムバッフェが存在する。闘牙もドルシア軍に居た頃に、戦績が良かった為に配備予定だったらしいが、その前に軍を脱走した経験がある。
モチーフは機動戦士ガンダムの様々なジオン軍のエースが使った高機動型ザクⅡ。
※巫山戯たカオスの描写を減らしました。アレはモチーフ本家だからこそ許される描写と悟りパロっても面白く感じなかったのが理由です。
世界で一番治安が良い国……だったジオール本国にて
大きな光と衝撃音と共に高層ビルが激しい音を立てて倒壊する。割れたビルのガラスが雨の如く道路や歩道に降り注ぐも、喉が枯れる程の叫び声を上げる老若男女誰も彼も命欲しさに着の身着のまま安全な場所を我先に目指して逃げ惑う。最も……その安全な場所も何時まで安全か……
無人式バッフェを引き連れた白い有人式バッフェ達がジオールの領空を侵入し市街地に躊躇なく爆撃をする。爆弾が次々と落とされて紅蓮の炎が街を包み込む。ドルシアの戦車隊がジオールの港を走り砲を放つ。
平和な国ジオールはまるで……旧約聖書に書かれる悪徳にまみれたソドムとゴモラの町の如く天から硫黄の雨を降らされて炎に燃える。
白い有人式バッフェ部隊の横を紫色の通常の有人式バッフェと違いスラスターや兵装が違うカスタムタイプの三機の有人バッフェ
が通り過ぎて総理官邸を目指す。
「平和ボケした国の首相が乗せた車が首都を出ようとしている。間違っても殺すな。必ず捕虜にしろ!!」
所属する上司に釘を刺されながらバッフェ・カスタムに操縦する
ベテランの中年男性パイロットは豪快に答える。
「了解!!任せてくだせぇ!?」
操縦席に北欧の海賊バイキングを模したシールが貼られており、
上司に教えて貰った総理大臣が乗せた車種を画像情報データを見ながら言う。
「逃がしはしないぜ!!指南首相!!」
三機のバッフェ・カスタムは普通の有人バッフェが持たない高機動型スラスターの火を噴かせて一気に飛ぶ。
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ジオールの総理大臣を始め官僚達が首都脱出用に造られた大型地下トンネル内の道路に複数のパトカーに周囲を守られるように走る一台の防弾タイヤを持つ黒い自動車。
「もう少しです。首相。もう少しで……空港へ到着して総理専用機のを使い友好国のARUSへ逃げられます。」首相の隣に座る秘書官はそう答えて周囲のパトカーが自分達を守るように配置されているも、ドルシアの兵器の前では心許ない。国民を守る筈のジオール軍がドルシア軍に為す術もなく蹂躙されている。
「分かっている………ドルシアめ……予定した時よりもまだ……まだ早過ぎる…」
指南ショーコの父親……指南リュージは後ろを振り返り燃える首都を悔しいそうな顔で眺める……。
国の平和を……罪の無いジオールの人々……そして愛する娘とその大切な人達を守る為に……二つの大国の脅威をひしひしと感じながら中立故に大きな軍隊を持てない為に……人知れず大国の艦隊をすら相手に出来る兵器を開発する"VVV計画"を始めた……
……リュージが総理大臣になる前から中立平和を謳うには……既にこの国は……ジオールは限界だったのだ………ジオールの専守防衛は世論から見て此方の国がドルシアとは違う国と言う主権を認める為の物でその為に……娘と殆ど変わらない年齢の大量の子供達をVVV計画の兵器に乗せる為に遺伝子操作と言う人の道を外れた事に手を染めてしまった……
(……私は…きっとまともな死に方はしないな……)
大国に侵略されない為に……自分の大切な人を守る為に……同じような大切な人を持つ人達の人生を狂わせたリュージは悔しさの中で諦めを含めた目を燃える市街地に向けて思う。
(地獄に堕ちるなら……それも定め……時縞ソウイチ博士…外道に堕ちた私でも理解し難い思考を持つ彼の協力が無ければヴァルヴレイヴは開発出来なかった……)
大切な娘が幸せに安全に平和に暮らせる……そんな強い国を作りたかった……ふとリュージは娘の幼馴染の時縞ハルト君の事を思い出す。……プライベートで彼と始めて会った時、私が知る父親と違い心優しく穏やかな性格で娘と仲良くしてくれる良い子だと思った。心から認めるのはやや父親として複雑だが娘を任せられるのは及第点と言った所……父親として娘の将来が楽しみになった理由の一つだが……だからこそ大人としての申し訳なさも生まれてこの国を守らないと強く思った……
(ショーコとハルト君は果たして無事だろうか……)
総理大臣ではなく一人の娘の安否を心から心配するリュージはドルシアが本国に侵攻すると同時にモジュール77も被害に遭っている事を聞いている。
本来のVVV計画予定なら……後5年は本国もモジュールも侵攻されない予定だったのだがどうやらドルシア軍は予想よりも上手だったらしい……5年以内に本国の各地に配備される予定のヴァルヴレイヴに搭乗可能のジオール軍人が誕生するよりも早く本国が侵攻されてしまった。
車が大型地下トンネルを抜けるとドルシア軍が待ち伏せをしていた。
「見つけたぜ!!指南首相!?」
先頭を走る一台のパトカーが紫色の有人式バッフェ・カスタムのビーム・ガトリングが命中して大破し他のパトカーを巻き込んで
玉突き事故を起こす。幸い首相が乗せた車は事故に合わなかった物為に運転手は車を巧みに走らせて目の前に立つ三機紫色の有人式バッフェ・カスタムを一度は振り切る。
「あっ!」
ベテランパイロットは自分のバッフェを通り過ぎた車を追い掛ける。
「くっ!?普通のバッフェなら此処に来るまでまだ時間が掛かる筈なのに!!」
運転手はサイドミラーに確認する……知っているバッフェには無い背中のバーニア・ユニットと高機動型スラスターで一気に距離を縮めるバッフェ・カスタム。
「逃げ切れない!!」
焦る運転手と迫ってくる恐怖で悲鳴の声を上げる総理秘書官。
バッフェ・カスタムは走行する車の上を通り過ぎて車が通るであろう先に陣取り
「殺すなよ!?」
「分かっている!!さぁ首相!?堪忍してくれよ!?」
カスタムされた右腕の近接格闘用四本指のマシン・クローが実体戦斧を握り締め真下にある道路目掛けて一気に振り下ろし首相が乗る車が走るアスファルトの道路を粉々に破壊する。
「ぐっ!!」
運転手は走行に必要な目の前の道路を破壊されて急いで車のブレーキを踏む。車は何とか停止するも三機の紫色の有人式バッフェ・カスタムはそれぞれの武装を首相が乗る車に向けて通信を拡声モードにして言う。
「指南首相!?死にたくないなら今直ぐ車から出てこい!!」
「首相!?どうしましょう……」
「首相!?俺に関わらず秘書官を連れて空港へ走って向かって下さい。」
「いや、此処までか……」
堪忍した顔で後部座席の扉を自ら開けて紫の有人式バッフェ・カスタム達の前に姿を現す指南リュージ。
(ショーコ……出来る事なら……お前が大人になり幸せな結婚式でお前が選んだ素敵な人の隣にいる花嫁姿のお前が見たかった。いや……コレは流石に贅沢過ぎる未練か……最期に一目で良いからお前の笑顔が見たかった。)
中立国の総理大臣の自分が人知れずに他国を欺いて兵器を開発に協力した事をドルシアは許さないだろう。
「私がジオールの総理大臣……指南リュージだ。」
恐ろしい軍事兵器が人の命を紙くずの如く奪う武装を向けられてもリュージの中で浮かんだのは総理大臣となって忙しい中娘と過ごした幸せの思い出だった。
「俺様はドルシア軍フェンリル小隊のリーダー。ベルグ!?」
名前を名乗ったリュージに対して平和ボケのジオール人にしては度胸があると見たベテランパイロットは気分を良くし声高らかに己の名を名乗りリュージ達を秘密裏に捕虜にする。
【モジュール77がドルシアの月軌道軍に侵攻されていた同じタイミングで中立国であるジオール本国の首都もドルシアの陸海空の3つの軍に電撃的な侵攻をしていた……特にドルシア軍がジオール本国侵攻に関して実戦投入されたイデアール級[ブルーメ]機動殲滅機と実力のあるドルシア軍のパイロットが搭乗する紫のパーソナルカラーが特徴の高機動型有人式バッフェ・カスタム三機は専守防衛を基本とするジオール軍の兵器を尽く破壊しドルシア軍に多大な戦果をもたらした。尚このジオール侵攻にはイデアール・ブルーメや三機の紫のバッフェ・カスタムの他に様々な実力のあるエースパイロット達が専用機に搭乗しジオール本国の重要拠点であるライフラインの占拠または破壊活動をしてジオール本国はモジュール77より酷い戦火に晒されてしまう。ジオール本国には強力な防衛兵器は勿論、闘牙が乗ったこれまでのどの国の軍とも全く異なる革命的な機体……ヴァルヴレイヴは配備されておらず死と瓦礫と破壊の惨状だけを残した……】CV永井一郎
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闘牙達が無限城で過ごしてから数時間が経過した……全ての生き物に熱と光を与え鬼にとっての夜に当たる忌むべき太陽の光がモジュール77を照らす時刻は早朝 普段ならモジュール77に住む住民が起きて朝食を済ませて仕事の準備や学校に行く準備をして外出し職場や学校で自分のやるべき事をする当たり前の時間……だが現在は、その当たり前とは違う光景がモジュール内で起きていた。
モジュール77内部の市街地各地の上空にはドルシア軍のバッフェ達が有人、無人問わずに飛び回っており……市街地のあちこちには煙が上がる。モジュール77内にいる老若男女年齢問わずに住民達は次々と荷台のあるトラックに乗せられて逃げられないように白い軍服を着用したドルシア軍の歩兵達がサブマシンガンやアサルトライフルを住民に向ける。住民を荷台に乗せたトラックはドルシア軍用戦艦に入っていく光景が映る。そして……闘牙達がいない黒い煙を上げている咲森学園は…
「巫山戯んな!!」
体育館内で集められた生徒達の中で相手がドルシア軍人だろうと構わずに声を大きく上げて暴れるのは、咲森学園二年生、山田ライゾウ。
「…何で…てめぇらに……ケータイ…渡すんだよ!?」
必死に暴れるも大人二人に無理やり押さえつけられるライゾウ。
次々と学園生徒達は恐怖の気持ちを隠さずに自身が持つ携帯電話やスマートフォンを軍人が持つ箱の中に入れていた。
「離せよこの野郎!!……この学校は…俺が占めてんだよ!?このドルシア野郎!?てめぇらに勝手させ…がはっ!?」
後ろからドルシア軍用拳銃のマガジン部分で首元を殴打されて倒れるライゾウ。数名の生徒がその光景に悲鳴を上げて更に倒れているライゾウは数人の軍人に蹴りを入れられる。
「クソッ!」
「無駄な抵抗だ!?ジオール本国は既に無条件降伏した!?」
一人のドルシア軍人が声を大きくして生徒達に言い聞かせるように叫ぶ。
「えっ!降伏って……」
言われた単語の理解が追い付いていない生徒達の何人か戸惑いの表情を見せる。
「攻撃は此処だけじゃなかったのか…」
「平和ボケした君達にもう一度言おう。ジオールと言う国はもう無い!!」
「此処は我が大ドルシアの属領なのだ!!」
戦争の恐怖が少しずつ染み込む水のように生徒達に現実を教える。
「お前ら……その生徒から足をどけろ。」
その声はけして大きい訳ではなかったしかし恐怖で震えていた咲森学園生徒やドルシア軍人達の耳に自然と聞こえてきた。
「…誰だ!?」
生徒達に本国の事を言ったドルシア軍人も声のする方向に視線を向けて目を大きく見開かせる。
白い軍服が基本ドルシア軍では珍しい濃い赤と黒い生地を混ぜた軍服を着て黒いサングラスを掛けた金髪の若い男性が姿を現す。
「誰だか……スレイプニル隊の隊長フォルケン。階級は大尉……真紅のスレイプニルの通り名なら君達でも分かる筈だろ。」
ドルシア軍人にしてフレンドリーな対応をするもその名を聞いた途端、周囲の軍人達から息を呑む音が聞こえて動きを文字通り止まる。
「幾ら俺達と生まれた国の環境が違うからってさ……ジオールをドルシアの属領にしたからと言ってその住民を一方的に傷付けるのは、模範的なドルシア軍人としては良くない事だと私は軍人として思うんだ……末端がこんな事をしている上の人間の教育が悪いと評価を貰うからね……そこの倒れているオレンジ色の面白い髪型してる君。立てるかい?」
倒れているライゾウにフォルケンと名乗った男性が近付いて目線を合わせて手を差し伸べるも
「けっ!?誰がドルシア野郎の手なんか借りるか!?」
差し伸べられた男の手を払いのけて蹴られて痛む身体を我慢しながら根性で立ち上がるライゾウ。
「あっ、」
反骨精神で払いのけた相手の手の感触に違和感を覚えるライゾウ。
「うん。大変、元気があって宜しい……もし君が軍隊を目指すなら是非、ドルシアの士官学校に来たまえ…」
自分に対して怒りの感情はあるも相手の学生が元気である事を知り喜びの笑みを浮かべる軍人。
「誰がドルシア野郎の学校なんて!?…じゃねぇよ、おい、あんた!?」
「何かね?面白い髪型の学生君。」
「こりゃあリーゼントって言う髪型だ!で俺の名前はサンダーだ!?じゃねぇ!!あんた……右手が何か滅茶苦茶硬いな…」
「……あぁ、これはね…」
すると男はライデンや生徒達の目の前で右手の紺色の手袋を左手で取りライゾウや生徒達は目を見開かせる。
金属の義手が姿を露わになりライゾウも流石に驚きの余り息を呑むのだ。
「ある怪物を退治する際に、逃げる為に……色々と無茶をして義手を付けているのだよ……」
そう言うとライゾウの目の前で再び手袋を右手の義手に付けて、ドルシア軍人の代表の所へ行き
「此処は、手が足りないなら手伝うように言われたが見た所、任務に滞り事ないようだ。俺は、足りていた時は例のジオールの機体が搬入される戦艦の護衛任務をするように言われているから。此処を任せて宜しいか?」
「はい、分かりました!!任せて下さい!?フォルケン大尉!?」
「ではまた会える時を楽しみにしているよ。リーゼントサンダー君。」
「リーゼントは混ぜるな!?俺の名前はサンダーだ!?忘れるなドルシア野郎っ!?」
男はそうライゾウに陽気に言い終えると体育館を後にする。
ライゾウを始め体育館にいた生徒達の記憶にヤケに残るドルシア軍人だった。
(闘牙やショーコとハルトは大丈夫かな……)
生徒達に混じったマリエは此処に姿の見えない友達達の安否を心配していた。
ドルシア軍、ワインレッドの色をした巡洋艦……バァールキート級宇宙重巡洋艦『ランメルスベルグ』。
宇宙からジオールのスフィアをスクリーンに捉えているそのブリッジで、眼帯をつけた長身の金髪の男――ドルシア軍特務機関長カインが、占領されたモジュール77内にいるイクスアイン達と通信している。
「ジオール政府は無条件降伏を応じたよ」
ドルシア軍は闘牙達の想定した通りモジュール77だけではなく地球のジオール本国へも同時に侵攻していた。軍事盟約連邦であるドルシアに対抗出来るだけの軍事力はジオール本国にはなく、為す術もなく占拠され、そしてついさっき、降伏文書に調印が為されたとの報せが入ったのであった。
「ジオール併合、まずは成功というところだ。そうだな?」
「はい。モジュール77においても敵戦力の無力化を完了。現在、ジオール人達の搬送作業中。第一級戦略目標は、ほぼ無傷で確保出来ました。パイロットは未だ意識不明。ネットに出ていた、あの学生です。」
闘牙の癇癪のような奮戦も空しく、ヴァルヴレイヴが機能を停止した後もドルシアの侵攻は止まらず、他のモジュールと同じようにモジュール77も占拠されてしまっていた。当然ながらパイロットがいない機能停止したヴァルヴレイヴはアッサリと鹵獲され、意識のない操真闘牙丸の肉体もドルシアの手に落ちている。
特務機関長カイン自身も部下の任務結果の報告を聞き少ない犠牲と小さな反抗は遭った物の大局から見れば至って此方は作戦自体と物事の流れは問題無く上手くいっている事に小さな笑みを作るも、直ぐに元の表情に戻る……唯一つ、気がかりな事と言えば。
「エルエルフはどうした」
任務結果の報告は表情が硬いエルエルフの役割のはずだ。何故イクスアインがエルエルフの代わりに報告しているのか。尊敬する上司であるカインの問いかけに、イクスアインから返答が即座にないのも無理からぬ事だった。ドルシア最高の軍事機関、カルルスタイン機関。そこでカインが育て上げた生え抜きの特務部隊員の中でも、エルエルフは最も優秀で最も任務に忠実な男だった。それなのに、あまりにも理解不能なあの行動を一体どう報告すればよいのか。
『エルエルフは裏切りましたー』
そんなイクスアインの葛藤を鼻で笑うように、突然聞こえてきたクーフィアの緊張感のない一声に眉根を寄せるカイン。
吐いた言葉は戻せない為に現実を受け止めて仕方ない、とイクスアインの声が続く。
『エルエルフは……突然、私以外を負傷させ、ジオール人の学生達と現在逃走中。理由は不明です。』
頬に医療用のガーゼをくっつけていたクーフィアが嬉しそうな笑みを浮かべていた。そう、イクスアイン達から見れば、完全に理由は不明である。だが、それを聞いたカインは、何か心当たりでもあるかのように、ただ少し目を細めた。
戦艦内の医務室にて
「………。」
白いベッドに寝て手当てを終えて安静にしているアードライの隣にハーノインが椅子に座りながらアードライを見ていた。
「……大丈夫……じゃないよな。」
仲間が訳も分からずに銃を向けて発砲した此方は負傷したのだ。
しかもアードライにとってエルエルフは戦友だ。自分が想像するよりも色々とあるのだろう。
「まぁ、お互い災難に巻き込まれたな……」
気分転換にハーノインは今この艦内にいるある部隊の
「……ハーノイン?」
「何だ?」
「エルエルフが何故あんな行動を取ったのか本当に心当たりはないのか?」
「さぁな……俺達の部隊でエルエルフと一番会話していたのお前だろ?」仲間の突然の行動や言動に戸惑うハーノイン。彼が裏切る理由を一番が仲の良いアードライが分からないなら本当に訳が分からない。
「……。」
「モジュール77は軍が無事占拠した……逃亡しているエルエルフも直に見つかるだろ……アードライ。林檎剥いたんだ。食べるか?」ハーノインはウサギの形に切った林檎を載せた皿をアードライに見せる。
「くっ、いただこう!?」
仲間に心配された事に気付き悔しそうな表情でアードライは林檎を食べるのであった。
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無限城に朝日は昇らない為に予めセットした目覚まし時計が鳴り響き反射的に止める。
「……起きよ…」ナイトキャップを頭に被る凄くやる気のない顔をエルエルフ(闘牙)が欠伸をしながら布団から起床する。
「…朝、苦手だな……」
朝を起床して布団を畳み顔を洗う為に大部屋を出て鏡のある所へ行くと…鏡には自分じゃないエルエルフの顔が映っており
「わぁ〜お。……夢じゃなかったか。」
昨日モジュールが侵攻されたりガ◯ダムに搭乗したり、身体が入れ替わったりと普通じゃない出来事の連続を夢と片付けようとしたのに現実が目の前の鏡に映り静かに受け止める…
「働きたくない〜〜働きたくないで御座る〜〜」
「駄目な人間の台詞を吐くなよ。」
聞こえてきたキューマ達の声に振り返るエルエルフ(闘牙丸)
「皆、おはよう。……コレ俺がやんないといけないのか!?」
自分で考えた作戦を自分で実行する事に不満が露わに闘牙。
「なら何かマシな代案を出せ。それとも他の奴がやれば作戦成功の確率が上がるか?」
愈史郎が真面目な表情で姿を現して、そう闘牙に向かって言うと闘牙は死んだ魚の目をしながらこう返事を返す。
「……嫌な事を聞くんじゃないよ。」
「時間との勝負と言っていただろう。皆直ぐに動くぞ。先ずは朝飯だ。」
エルエルフ(闘牙)は鏡を見つめてやがて顔を洗い気を引き締めてタオルで濡れた顔を拭いて真剣な表情をして台所へ向かう。
やる気が無いオーラを出して口沢山言いつつも、その両の手は一切抜かずに闘牙はキューマ達におにぎりと卵焼きと味噌汁を振る舞う。
「壺の時もそうだけどさ……お前って……妙な所は律儀だよな…あっ、このおにぎりの中身おかかだ。」やや大きなおにぎりを食べながらキューマは闘牙に言う。
「拘ったって意味無い時は意味無いんですけどね。」
朝飯だから軽めって感じの食事を作り普通に味わうエルエルフ(闘牙)
(この味噌汁美味しい……)
コイツ本当に大丈夫かと心配していた流木野サキも闘牙が作った味噌汁を美味しそうに味わう。コレが噂のお袋さんの味……
「じゃあ俺はビバ、ジャンクフードを食べに街に出ても良いか?」
キューマ達にそう言うと皆に呆れた顔をされて
「闘牙は食べた事ないなら分からないと思うけど……揚げ物や油が多い物を沢山食べると人は胸焼けするんだぞ。」
「えっそうなの!?」
驚愕な表情をしてサキとアイナに確認すると何を言っているんだ?の表情をして
「当たり前でしょ」
「あははは…」
闘牙に向かって冷たい表情で淡々と答えるサキに苦笑いするアイナ。
「だが俺は諦めないぞ……必ずやジャンクフードを食べて見せる!?」
現実を受け止めて願望を叫び自分が握ったおにぎりを黙々と食べる闘牙。
食事を終えて歯磨きをした一同は、闘牙が持つ大量の武器がある武器庫に案内されて色々と立て掛けて整備された武器を見てキューマ達はその武器の数々に驚きの表情で眺めてエルエルフ(闘牙)は押し入れの襖を開き中にある物を物色していた。愈史郎の方は何やら使用するであろう突撃銃に弾を込めていた。
「何か色々物騒な物……良く置いてあるわね。」
「闘牙。この武器全部購入したのか?」
「俺は一応鍛冶屋の人間だからな。知識欲に惹かれてね。後此等の物は単純に一生借りただけだ。」
「返すつもりなんて無い辺り割り切っているわね。」
「受け取れ。櫻井とボッチ。」
「わぁ!?」
「おわっ。コレ何よ?」
渡された袖無し胴衣を両手で持ちそれなりの重さを感じながら渡した闘牙丸にサキとアイナは尋ねる。
「見て分からないか?防弾チョッキだよ。防弾チョッキ。」
「えっ?本物!?」渡された物に驚きの表情を見せるサキ達。
「学生服の中に着込んでおけ……それだけでも防御力ゼロから少しは生存力は上がる。」
「実際どのくらい安全なんだ?」
同じように愈史郎に渡されたキューマが尋ねると愈史郎は淡々と事実を述べる。
「貫通は防ぐのであって衝撃は防げないし、眉間を撃つヘッドショットや太腿や両腕は無防備だから……上半身の内臓と骨を気持ち守れるレベルかな?弾の種類によっては防弾チョッキが意味も無い場合もあるし。正直無いよりマシなレベルだな。」
「もっとマシなのないのか!?」
「一応盗んだ機動隊用の盾とかあるけど……バリスティック・シールドは嵩張るし重いし、タクティカル・シールドもバリスティック・シールドも持って動く逮捕術の訓練が出来る事前提の物だからな……用途も防犯や暴徒鎮圧用で素人に渡しても最大限の防御は期待するのは難しいぞ。」
ぞろぞろと押し入れの襖から現代の盾と呼ぶべきシールドをキューマ達に見せる闘牙丸。
「先輩…平然と盗んだとか言ってますよ。」
「しっ!」
「銃を使った事は……そりゃ皆無いよな……」
視線をコソコソと何か話しているサキ達に向けるも、分かりきった質問の答えは明白で
「あったら逆に怖くない?」
「俺は頼もしいと感じるんだが……まぁ、普通の人ならそう感じるんだな……よし。後輩の流木野と櫻井はこの城で留守番。朗報を待て…」
「ちょっと、勝手に決めないでよ。私達も奪取作戦に参加するわよ!」
「そうですね……危険なので……えっ!?」
闘牙の留守番の指示に真剣な表情で異を唱えるサキ。そのサキの一言にビックリする表情を見せるアイナ。
「アレ?俺、参加確定なのか?」
そして自分には留守番や待機を言わない闘牙に質問する戸惑うキューマ。
「はい。囮役お願いしますよ。犬塚先輩。」
昨日の夜手伝うと言ったキューマを参加させる闘牙その冷たさはまるでエルエルフ本人のよう。
「しかも囮役って普通にヤバい役割じゃないか!!」
何気に危険な役割を押し付けられそうになりツッコミをするキューマ。
「…じゃあ、もう輸送係で良いよ……先輩って確か大型二輪車の免許を持ってましたよね。」
コイツ凄く面倒くさいなの目をキューマに向けながら言う闘牙丸
「何で俺が駄々をこねてるみたいに言うなよ!!バイクのはあったけど」
「ならそれで良いです。ほらっ先輩って地味だから、こういう時に格好つけれるなら格好つけたいだろ?」
「人を目立ちたがり屋みたいに言うなよ!?至ってこちとら普通の学生だぁ!?絨毯爆撃の中走る歩兵部隊の訓練も受けてないんだから!?」
「俺の昔の知り合い人間達にお金持ちになる夢を持った人達は沢山居ましたよ。皆、夢半ばで死んだけど……」ハイライトオフの目で淡々と話す闘牙。
「おいっ!普通に怖い事を言うなよ!?俺は絶対に夢を叶えるまで死なないからな!?」
「………真面目な話、日の光が出てる時間、愈史郎の奴は外へ出られない。実質戦力は俺と愈史郎と分裂体の奴らだけだな。」鳥山明のキャラクターのシリアスの超サイヤ人の悟空の顔芸をする闘牙
「心配するな。こっちの方がドルシアの奴らよりもずっと五月蝿い。」
血鬼術の紙眼をスタイリッシュに増やしながらキツい事を言う愈史郎。
「むっ!」
愈史郎の何気ない一言にムカッとするサキとキューマだが闘牙が素早く手を叩いて空気を変える。
「愈史郎。無闇に歳下を煽るな。大人気ないぞ。皆も愈史郎のキツい一言に目くじらを立てるな。コイツは人間じゃないから一定の信頼感を得るには時間が掛かるんだ。」
「闘牙。さっさとドルシア共を叩き出すぞ。新しい珠世様の絵を思い付いた。急いで下書きしないと頭の中のインスピレーションが消えてしまう。」
本当にコイツは……何時まで経っても珠世教を崇拝するんだから
「俺だってG◯DEATERのアニメの続きまだ途中だから観たいよ……下書きしてきて良いから、ちゃんと役割を全うしてくれよ。」
「闘牙先輩って確か推し◯子のアニメ観ていたんじゃないんですか?」
「最終回を観たから違うアニメ観ているんでしょ。」
アイナとサキはコソコソと話しているも目くじらは立てない……何か言いたい顔をする闘牙だが状況が状況の為に敢えて黙っておく闘牙。
「ほらっ!皆コレ持っておけ!?」
「何だコレ?」
「ジオール軍が使う連絡用通信機だ……。周波数を合わせて連絡する。どうぞ?」通信機の状態を確認する為にキューマの通信機に連絡する闘牙。
「何か会ったとき用ですか?」
「…そうだ。俺が機体に乗って暴れていても他の分裂体がお前らを守るようにずっと前から言っておいた。」
「信じて良いの?」
サキは分裂体の事を警戒している。無論キューマ達もいきなり全てを受け入れられる訳ではない。半信半疑なのだ…
「心配しなくてもお前が信じなくても守ってやるよ。皆性格は癖が強い事は共通しているからな。」
「………。」
サキは疑う目を本体である闘牙に向けるも、以前程の露骨な闘牙に対する警戒心は薄れていた……しかしやる気が無く面倒くさがりなのはもう知っている為に釘は刺しておく。
「途中で裏切ったら化けて出て来ますからね。」
「ソイツは勘弁してくれ。」
裏切ったら本当に許さないオーラを見せるサキにビビりながら返事をする。
(ツン10割の人に怖い事を言われた……萎える。)
【べべん】
琵琶の音色と共に現れる朱天大将と別行動をする分裂体を覗いた4匹の分裂体が姿を現す。闘牙は気持ちを切り替えて各自に指示を出す。
「捨麿は九荷と共に白怒火達の合図を貰ったら行動。俺が機体を取り戻してドルシア軍と交戦する間の指揮権を与える。咲森学園の連中を保護しろ。」
【コーーーン!】
「分かったでおじゃる。」
闘牙は白怒火と愈史郎の方向に視線を向けて
「白怒火は愈史郎と共に行動。モジュールの環境設備システムの制御室がある場所に行きモジュールの時間帯の設定を昼間から夜間に切り替えろ。俺や白怒火で活動可能なら他の分裂体も問題なく日の光に耐性が有っても愈史郎と愈史郎の紙眼は、昼間には使えない……何より俺達にとって夜は全力を出せる時間だ。」
「分かった……夜はこの白怒火が最も得意とする時間帯。謹んでその任を果たしてやろう。」
「狼牙丸。貴様は半天狗楼地下深くいる朱天大将を解放しろ。解放したのなら……敵陣のど真ん中に奴を送れ。」
「また面倒くさい事頼みやがって……やってやりますよ。」悪態の言葉を吐くも行動出来るように動く狼牙丸。
「さて……」
指示を分裂体達に出し終えるとエルエルフ(闘牙)は必要な物を入れたリュックサックを背負い黒い目出し帽を頭から被り更にキテレツのバイザーキャップを重ね被りザ・ファブルの主人公の仕事する時の目付きになる。
「さぁ、お前達……楽しい戦いの時間だ。」渋い銀河万丈ボイスで言う闘牙
「わ~い。何処からどう見ても100点満点の不審者が目の前にいるわ。」
「大丈夫でしょうか……」
やや不安な顔をするアイナに愈史郎はジト目で答える。
「心配するな。慌てる時はコイツはドラ◯もんの如く慌てるから。」
「そして不安は増していく発言を簡単に言うよこの人。」
キューマは本当に大丈夫か?の不安の表情を闘牙と愈史郎に向ける。
「漫画のRAVEは持っていくか?」地球の本棚と書かれた書庫から単行本を持ってくる白怒火。
「勿論だ!精神が不安な時はカッコいい王道主人公に励まして貰う。」ザ・ファブルの顔と銀河万丈ボイスで答える闘牙。
「本当に先輩って面倒くさいわね!?」
「各自俺が合間に渡した連絡用通信機は持ったか?」
闘牙は聞くと各分裂体とキューマ達は慌てて闘牙に見せる。
「よし!」
それぞれの得物を持つ各分裂体達の姿を闘牙は見渡しながら号令の言葉を口にする。
「では各自、作戦開始!!」
【べべん!!】
琵琶の音色と共にこの場に居る狼牙丸を除く者達の姿が忽然と消える。
「さて……行くとするか!!」
自分と朱天大将以外誰も居なくなった場を軽く見回して両手から出した琵琶を手の中へしまい狼牙丸も人間を遥かに超えた瞬発力を稲光と共に踏み込みで無限城の窓から一気に飛び降りる。壁や柱を足場を次々と蹴り目的地を真っ直ぐと目指し……途中の階層の床に着地と同時に床の板を粉々に踏み砕いた際に飛び散る板の破片が狼の仮面に当たるも弾き、
「あらっよっと!?」
更に速度を増させて更に高く跳躍する………その姿はまさに意志を持つ雷……。雷は半天狗楼に厳重に封じられた最強の鬼を解放する為に跳ぶ。
「……。」
移動する途中……和が基本である無限城に似つかわしくない無機質な大型格納庫に出る……そこにはヴァルヴレイヴが装備可能な様々兵器が配備されており中でも目を惹くのは巨大な橙色の機械仕掛けの赤いバイザーが特徴的な金属西洋竜の姿があり……まるで今にも動き出すような雰囲気があった。その姿に視線と意識を向ける狼牙丸だが…直ぐに優先順位を思い出して我に帰る。
「……今は、朱天大将の元へ急ごう!!暴れられて作戦が台無しならない為にも…」
その橙色の金属西洋竜の横を狼牙丸は急ぎ速度を上げて一気に通り過ぎた。
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時刻は昼間。ドルシア占領下のモジュール77。
今は一時的に軍用ヘリの車庫になっている倉庫街に、二人のドルシア軍人がヘリの見張りをしていた。ジオールの人間達が逃げてきたら捕らえように言われて不可能なら射殺しても構わないと上司に言われている。
その頃、その軍人達が見張りをしている倉庫街近く路地裏では
「うぐあああああああああああああああああああ!!?」
断末魔の悲鳴が路地裏に木霊する。
「ぐふっ!?このプリーザがこんな猿公にやられるとは……まさか貴様、伝説のスーパージオール人か?」口から赤い色ではなく紫色の血を吐き出し身体中から紫色の血を流しボロボロになる宇宙人は目の前に立つ男に問う。
「いや、只のチーム・サティスファクションのスーパージオール人だ。」間髪入れずに答える闘牙。
「何だよスーパージオール人って……」
「てか勝手に変なチームに入れないでよ。あと路地裏エンカウントして急に超能力バトル辞めてよね。全くついてけないんだから。」怪訝な表情をしながら抗議の声を出すサキ。
ドルシアの軍人では無い妙な奴と見つかり何故か戦うハメになった闘牙はコレを打倒する。しかし展開が急過ぎてキューマ達はついていけてない。その戦いの余波でハルトの髪型がモヒカンヘアーにされてしまっている。こんな時でなかったら爆笑したいネタなのだがいきなり作戦の出鼻をくじかれたイライラしていた。
「うるせぇんだよ。良いからととっと有り金全部と妖怪メダルを落としやがれ。イライラしているんだよ。」
「……イライラによって目覚めたスーパージオール人……まさか貴様!?あの時、たった一人で私に挑んだジオール人の息子!?」宇宙人の脳裏に過るイメージは葬送◯フリーレン。回想だと宇宙人は思い出したチーム・サティスファクションのメンバーが着用する袖無しジャケットを着たフ〇ーレンが放つ一般攻撃魔法で下半身を失っていた。
「全然違う奴ら想像してんじゃねぇ!?エルフってとこしか合ってないぞ。ファンタジーとSFをごちゃ混ぜにするなよ。てか似合っているよエルフ・サティスファクション!!ヒンメル達と一緒に赤帽子のコナミ達いたよ!」
「ふっ!?貴様如きがこの「俺のこの手が光って唸る!お前を倒せと輝き叫ぶ!!」何か言おうしている相手に対し闘牙は右手を激しく光らせて宇宙人に向けてアイアンクローを決める。
「必殺!!ゾルトラーク!フィンガァァァァァ!!」
「ああああああ〜〜宇宙の帝王である私がこんな所で〜!!」
アイアンクローから放たれる眩い光と共に宇宙の帝王を偶然倒してエルエルフ(闘牙)はサキ達の方に視線を向けて言う。
「……思わぬ道草をしてしまったが…やるぞ。お前ら。」
フリー◯ンの杖の色違いの杖を手元へ原理不明の力で出現させ左肩に掛けて目出し帽を被ったザ・ファブルの顔芸で言う。
「角付き魔族達を蹴散らすぞ。」
相変わらずの説明無しの状況にキューマは遂に我慢出来ずに路地裏で叫ぶ。
「結局全部◯送のフリーレンじゃんか!!?」
場面は軍用ヘリの車庫に戻り見張りのドルシア軍人達は見張りを続けていた。そんな中…
「こんな所でヘリを警戒して見張ってもしょうがなくないか?ビックス。」
「仕方ないだろウェッジ。昨日は中立国の普通の学生が特一級戦略目標を搭乗してドルシアが誇る戦闘バッフェ隊を蹴散らしたんだ。警戒の一つくらいするさ。」脳裏に過るのはヴァルヴレイヴがバッフェ達を縦横無尽に一方的に蹂躙する姿。
「…運の無い奴らだよな。」そのヴァルヴレイヴが飛んでいた方向に視線を向けながら感慨深く言うビックスと呼ばれる軍人。
本来ならそれ程難しい過ぎる任務ではない。カルルスタイン機関の特務を実行する自分達よりずっと若い機関出身のエージェント達が特一級戦略目標を確保し、モジュールに侵攻したバッフェ隊がモジュール77に配備された敵戦力を速やかに無力化させてジオール人達をドルシア本国へ搬送させる。だが実際は特務エージェントが戦略目標の確保に一度失敗して、此方も軽くない被害を貰った。
まさか学生が操縦するデータがまるで無い人型兵器に正規の軍事訓練をした軍人が搭乗したバッフェ隊が一人残らず敗れるとは……機動性能と言い使う兵装と良い。中立国ジオールの兵器は本当に規格外過ぎる。バッフェだけでは相手にもならない。
そう真剣に鹵獲された戦略目標の兵器に視線を向けてジオールよ兵器について考えていると相方が話し掛けてくる。
「そういえば、確かモジュール77を侵攻したバッフェ隊の中にはお前の同期がいたんだよな?」何回か軍の訓練学校で気さくに会話している人を思い出す。
「まぁな……軍の訓練学校の同期だよ……配属先は別々だけど……仲間を大切にするし俺と違って親孝行を大事にする良い奴だったよ。」
「この任務を完了したら戦死の報告しに行くつもりか?」
「あぁ。上に許可を色々と貰ったら同期の家族に会いに行くつもりだ。例の情報どう思うよ。ウェッジ。」
「どうって……ビックス。」
男達は持っている軍の携帯デバイスに映るエルエルフの写真を見る。
「しかし、カルルスタイン機関出身の人間が裏切るなんて……」
自分達がやるなら先ず成功しない程の様々な危険な任務を成功させるエージェントが集まる機関の名前を言うビックス。
「パーフェクツォン・アミーの名に始めて傷がついたな。」
その時、近くで何かが動く音が聞こえてきて二人は慌てて銃口を向ける。
「誰だ!?」
〔推奨BGM NO MORE 映画泥棒〕
「この曲は!?」
古き良きビデオカメラの被り物をした咲森学園の男子学生服を着た存在がパントマイムの動きでクネクネしながらドルシア軍人の二人に近付いてくる。
「貴様は!?カメラ男!?」
「何でカメラ男がこんなモジュールにいるんだ!?」
「俺が知るかよ!?」
「……。」
無言でカメラ男と呼ばれた存在は録画機能を使いドルシア軍人な姿をクネクネとパントマイムしながらビデオカメラの部分をパカッと開き録画する。
「っ!?お前まさか、違法と知りながら映画の動画をダウンロードしたのか!?」何かに気付いた軍人は相方の方に詰め寄る。
「すまん!?つい気になる映画の動画があったんだ!?」
相方の方の軍人も心当たりがあるのか動揺する。
「この野郎!?」
カメラ男の前で口論を始めるドルシア軍人の二人。その様子を無駄にクネクネと動きながら録画するカメラ男。一人ノリノリでチューチュートレインするカメラ男。
〔ルパン三世・タイトルコール〕
先に軍用ヘリを確保に向かった闘牙に言われて路地裏に隠れていたサキ達からも軍人達の口論が聞こえてきて続いて銃声が連続で響く。だがその銃声と言うより何方かと言うとタイプライターを打つ音のように連続で聞こえて何処かのアニメのタイトルコールみたいな曲が路地裏に聞こえてくる。
「いや、これルパン◯世じゃん!!タイトルコールじゃん!」
再び聞こえたタイプライターの連続音とその後の知っている古いアニメのタイトルコール曲にキューマはツッコミをつい叫ぶ。
その後再び銃声とルパンのタイトルコール曲が交互に聞こえて銃撃しているのかしていないのか分からない状況になるキューマ達。続いて聞こえるのは、カメラのシャッターを連続で切る音。
「ねぇ。本当に軍人と戦っているの!?もしかしてドルシア軍人じゃなくて咲森学園の生徒と接触したんじゃない?」
「ちょっと流木野さん!!」
胆力があるのか路地裏に隠れていたサキはチラッと路地裏からエルエルフ(闘牙)がいる方向に視線を向けて
「っ!!」
目の前に映るその光景にサキの目は驚きの余り大きく見開く。
「ならこっちはMAKIDAIで行くぜぇ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
両端が尖った金属の重槍を雄叫びを叫びながら振り回すダンディな雰囲気の騎士っぽい格好をした男が暴れ回る。サキは3回以上自主的瞬きを現実と確認してエルエルフ(闘牙)に向かってツッコミを叫ぶ。
「いや、誰よ!?その場違いな西洋の鎧身に着けたダンディな人!?」
「コイツはジオール人のMAKIDAIだ!?」
「美しすぎるMAKIDAIです!?」
「オイどっから美しすぎるMAKIDAI出てきた!?気配や伏線の欠片すらなかったわよ!!」
「美しすぎるMAKIDAIは好きですか?」女性の耳元に甘く囁くように言う闘牙。
「募集に応じました。」槍を回転させながら陽気に答えるMAKIDAI。
【美しすぎる人 急募!!】
「何の求人募集よ!?美しすぎる人を急募しないでよ!?ととっと元の所に返しに行ってこい!?」最早…相手が歳上とか関係無くサキは怒涛のツッコミをする。
「分かった……MAKIDAIを返したらHIRO達を呼んでチューチュートレインしよう。」
【美しすぎる人を探してます。◯月△日咲森学園付近で行方が分からなくなりました。品種美しいすぎるMAKIDAI。どうか見かけたら下記の電話番号でご連絡して下さい。】美しすぎるMAKIDAIの顔写真が貼られたチラシを見たサキは叫ぶ。
「なんで美しすぎるMAKIDAIが迷子の美しすぎるMAKIDAIになっているのよ!!」
「間違えました。こっちのチラシだ。」
【頑固でしつこいヒゲヅラ共の中にパパッキュキュッと美しすぎるMAKIDAI。】
「MAKIDAIはもう良いつってんだろ!!しかも何か聞いた事のある食器用洗剤CMのキャッチコピーあるし!!滅茶苦茶よ!?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
槍をくるくると回転させながら動きまくるMAKIDAIの顔がドアップする。美しすぎる……
「てか美しすぎるMAKIDAIって結局何よ!!」
MAKIDAIが槍を薙ぎ払うように振り回すと殺陣をしているかのようにアクロバットに闘牙とドルシア軍人達が身体をアクションスタントのように息ピッタリに動かす。サキは一瞬、コイツら何時の間にアクションの打ち合わせしたんだ?と疑っていっそワイヤードの動画で録画した方が良いのかな?と考えるも直ぐに正気に帰る。
「忙しい時にMAKIDAIの美しすぎるアクションしないでよ!?ちょっとスタイリッシュで腹立つわ!!」
「美しすぎるゲーム。ケルベロス。」無駄なキメ顔とキメポーズで言う闘牙
「いや、知らないわよ!?」
「……じゃあ殺るか。」
そう淡々と言うと闘牙は、雰囲気を変えて素早くドルシア軍人に接近して袖口に仕込まれていたドルシア軍用ナイフを取り出してすれ違い様にドルシア軍人の一人の全身を切り刻む。
「がっ!!」
一瞬で相手のサブマシンガンを持った手首や腕が流れる真っ赤な血と共に宙に舞い失血死するより速くにナイフで心臓を刺し貫き、
「ビッグス!!己っ!?」
「っ。」
振り向く事なく懐に忍ばせた拳銃を引き抜き発砲。相手が引き金を引くより放たれたヘッドショットでウェッジを仕留める。
「………俺の身体に劣るとはいえ……素晴らしい射撃能力に身体能力だ。」
間近で生きた人間が死体に変わる瞬間を目撃したサキは顔を真っ青にして流れ落ちる血の臭いと死体から醸し出す死臭にやがて耐え切れず吐き気を我慢する表情となり闘牙の元から急いで離れる。
「ううぅ……おぇえええ……」
(やはり見た目に似合わず繊細な神経の持ち主のようだな。流木野サキは……)
そこまで離れていない距離から聞こえた嘔吐の音でサキがどういう状態か直ぐに理解するも闘牙は変態と言う名の紳士だから言う。
「大丈夫か?流木野さん。」
「……だ…大丈夫に見える?……おぇっ、」
苦しそうな声が聞こえてまだ顔を出すのは少し掛かると予想する闘牙。
「……いいや、まだ掛かるなら。其処で休んでいろ。俺が安全確保したら良いって言うから」
「分かったわよ……」
巡回中の別のドルシア軍人三人と接敵しながら言う闘牙。自分の外見がエルエルフの為に軍の何処かに連絡する前に相手の持つ通信機を正確無比な射撃で通信機を優先的に破壊しながら接近し思いの外重いドルシア軍の死体を片手で持ち上げながら肉盾に使い歩兵相手に接近する。
(アサルトライフル持ちが三人……増援なんてこさせてたまるかよ。)
紙一重に迫る銃弾を回避しつつ持った拳銃で心臓、二つの肺、脳天を撃ち抜いて一人仕留めてから、引き金を引くも拳銃が発砲しなくなり
「ちっ、弾が切れか!?」
(相手の通信機破壊に弾を無駄に撃ったのが問題になったか。)
急ぎ隠れて弾を装填をしないといけない為に迫るアサルトライフルの銃弾を軍人の死体を肉盾で防ぎつつ素早く死体を投げ捨て倉庫街のコンテナに駆け込み偶然、サキの横に転がり込む。
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『受け入れるしかないでしょ!?彼女は死んだの!』
昨日の夜、ハルトに言った自分のあの言葉が酷く自分の心の中で波紋する。
口では一つ歳上の人間に現実を見ろと言った物の……目の前で生きた人間が死体になる一部始終を目撃して身体が震えてどうしようもなく気持ち悪くなって必死に耐えようとしたけど結局耐えられずに吐いた……分かっていたつもりだった……現実を知っているつもりだった…でも実際にあの瞳孔が限界まで見開き虚空をみる軍人の姿を見てしまい。自分がいるモジュール77が戦場になっていると漸く実感してしまった。
次々と近くに聞こえる銃弾の音にサキの全身は震え上がる。
怖い……怖い……怖い……明確な死が形となって身近にある状況に私達はいる。
「あらっよっと!」
何とも気の抜けた声が間近に聞こえて顔を上げると直ぐ横に闘牙が姿を現した。
【べちゃ。】
「あっ、」
「っ!!」
隣に立つ憔悴しきった表情をしたサキと合流した闘牙。
「………せっかくの美人の顔が台無しだぞ。流木野…」
「闘牙先輩…」
足元に踏んだ物の感触と臭いを気にしない風にしながら弾を素早く拳銃に装填する闘牙。
「援軍は期待出来ない孤立無援……何時も何も変わらないな……違うのは俺の肉体じゃないだけ…」
「先輩…私の…踏んでますよ。」
ドルシア軍の拳銃の弾の装填を完了して牽制用に軍人達に向けて数発発砲。軍人達がコンテナに接近する足を止める。
「……なぁ、流木野。」撃ちながら闘牙はサキの名前を呼ぶ
「何ですか?先輩。」
振り返り、互いに顔を見合わせる……出来るだけ身体の震えを耐えて目の前のこの先輩には自分は平気なフリを見せたのだが彼は無言で手を伸ばして私の震えた手を握る。
「……震える事を耐える事が格好良いって誰に教えて貰った……」
「っ!?」
何時もなら下らなくデリカシーの無い言動や行動をするこの先輩の顔にビンタしたいのに握られた手の温かさに一瞬だけ安心感を感じてしまった自分がいるのが憎い……
「……怖いと思う事も震える事は悪い事じゃない。それだけ生きたいって事だし死にたくないって事だ……臆病者の方が危機感が高いからお前は、長生きするよ……」
「……先輩。」
もしかして、先輩なりに励ましてくれているの、
「……それに恐怖に怯えたお前の顔は中々唆る物があるな……あっ痛っ!すいません。ふざけました。勘弁して下さいメガトロン様!!」
「ちょっと見直したって感じた私の純真な気持ちを今直ぐに返せコラッ!!好感度の上げ下げの幅が株価みたいに山あり谷あり過ぎるわよ!?」
「シリアス過ぎる雰囲気に耐えられないんだ。悪かった!?お前や他のジオール人の奴らが長生きする為には此処で俺が面倒くさいが頑張るしかないよな!!」
「先輩!?」
「何だ?」
「死なないで!?」
流木野の言葉を敢えて無視して隠れていたコンテナから素早く姿を現して走る闘牙。
「見つけたぞ!」
「っ!!」
(外に報告させないようにまず足を狙う。)
「がっ!!」
一人のドルシア軍人の足首の腱を的確に狙い撃ち抜いて残った方にも拳銃を向けるも、向こうの方が二人いる為に互いをカバーする。
サキは己を鼓舞して立ち上がりキューマとアイナがハルトの三人と合流してドルシア軍人のアサルトライフルから隠れる。
「ヤバいぜ!闘牙の奴、どうする!?」
「大変だね〜〜。(棒)」
「蜂の巣にしてやる!!ジオール人!?」
「穴だらけにしてやるぞ………流木野サキ!?」
「っ!?」
ドルシア軍人達の名指しの言葉に目を限界まで見開かせて硬直しサンライズキャラの顔から劇画タッチの顔になるサキ。その表情はこの世の終わりの人がする顔のソレである。
「………………。」
緊迫した雰囲気の中で特に何も言わない闘牙とアイナとキューマ。
「何で!?何で私なの!?名前覚えられてるし!!」
ガチで涙を流しながら他の皆に訪ねるも…
「たっ多分、流木野さんはアイドルだからですよ」
「有名人の性って奴だ……受け入れろ。」
「知らん。」
二人は心当たりあるように答えるのに興味無さそうな表情をする闘牙は簡単にサキを切り捨てる。
「イヤあああああァァァァァァァァァ!!」
自分が狙われていると分かったサキは悲鳴を上げて逃げようと後ろを向くと何故かバーのカウンターがありバーテンダーをしている闘牙がワイングラスを静かに磨いていた。慌ててながらも落ち着いてサキは闘牙に言う。
「ま、マスター。彼処のあの銃を持ったドルシア軍人の人にカクテル一杯。私からの奢りで。」
「OK。」
バーテンダー闘牙はゆっくりとカクテルをドルシア軍人の元へ運び。
「待て、バーテンダーだ!?撃つのをやめろ!?」
バーテンダーの姿を見て銃撃をやめるドルシア軍人達。
「お客様…ブレンドカクテル。フリーレン&MAKIDAI&……天下無双のジオール人のアイドル流木野サキからの宣戦布告だぁっ!!?」
二人のドルシア軍人に向かってカクテルを思いっきりぶっかける闘牙。
「何やってんのさ!!」驚愕な表情と共にツッコミを叫ぶサキ。
更にドルシア軍人達の頭に酒をぶっかけるキューマとアイナ。
「「オラオラ…天下無双のアイドルのサキ様の酒が飲まれへんのか!?」」嫌な反社のチンピラみたいな言い方と共に酒をぶっかける様子にサキは力強く叫ぶ。
「ヤメてええええぇぇぇ!!」
どんどん自分にヘイトが集まる現状に悲鳴を上げるサキ。
「すいません。うちの馬鹿共が…こんなに濡らしてしまって……ごめんなさい。本当に……」
ハルトはサキと一緒に濡れたドルシア軍人達の顔をハンカチで拭く。そして無事拭き終えると……
「「もう一杯!?」」
サキとハルトもドルシア軍人達に向けてカクテルを躊躇なくぶっかける
「遊びは終わりだ!!ジオール人!?」
ドルシア軍人達はエルエルフ達に向け今度こそサブマシンガンを向ける。
闘牙は素早くスライディングして相手の股下を潜り抜けて背後に回り込み余りの速さに反応が遅れた軍人達に向けて背後から拳銃を向けて躊躇いも無く引き金を引く。
二つの銃声が倉庫街に響き渡る。
「さらばだ……MAKIDAI……」
殺したドルシア軍人達よりも何故か姿を消したMAKIDAIの方に想いを馳せるエルエルフだが……やがて想いを馳せるのを辞めて漸く片付けた血溜まりに倒れたドルシア軍人の死体をエルエルフ=闘牙は無表情で漁っていた。
「……殺したのか?」
「いけませんか?」
あまりにも冷たいその言葉に、駆け寄ってきたアイナとサキも息を呑む。
「これは一年戦争なんですよ。」ゴルゴ13のスナイパーの顔芸でシレッとガ〇ダムネタを口にする闘牙。
「だけど、お前……」
闘牙の豹変に戸惑うキューマ達を、当の闘牙自身は気にかける様子もない。
「俺達の大切な物を奪っておいて、自分は死にたくないなんて、あり得ないだろ」独り言のように、冷たい目で呟く。エルエルフの目そのものだ。
「鬼の大切な宝を破壊して只で済ませると思うなよ……奴らに地獄を見せてやる!」
闘牙は貸しビル内に助けられずに炎に消えるプラモデル達とアーケードゲーム機達の最期を思い出す。その最期を思い出すと歯を食い縛り沸々と静かに露わになる怒りの表情で拳を握り締めて震え上がらせる。
「ヒッ!」
優しかった闘牙の怒りに燃えるそんな姿が悲しくて、怖くて、アイナは瞳に滲ませる。
(へぇ……フザケた言動や行動が目立つけど……結構、強いところもあるんだ……でも…何だろう……会話自体は至って真剣な物なのに、何処か食い違いを感じる……でもさっきの人質の時の行動は許せない……)
一方、それはサキにとっては決してマイナスの印象にはならなかったようで、闘牙を見つめる視線にはまた違う感情が込めらていた。
「念の為に犬塚先輩以外は倉庫の路地裏で隠れておいてくれ。……ここから先は、人殺しを避けられそうにないな。ヘタレ先輩、行きましょう。」
「待ってくれ!?闘牙。僕も連れてってくれ!?ショーコの仇を討ちたいんだ!?」助けたハルトは腕の怪我の痛みを耐えながら闘牙に懇願する。
「……今の怪我人のお前に出来る事は無い!?」
大切な人を失った人間の気持ちが分かる闘牙は敢えてハルトの懇願を却下する。
「お願いだ!!」声を大きくして叫ぶモヒカンヘアーのハルト。
「ハルトさん。」
「ハルト……お前……」
ハルトの気持ちが分からない訳じゃないキューマとアイナにとってはハルトの気持ちを汲んでやりたい。だが片腕が折れた怪我人を戦場に連れていくのは本当に危険だ。ヘタするとハルトのせいで自分達が危険な目に遭うかも知れない。メリットよりもデメリットの方が高い……
ハルトを案じるキューマの言葉は、今のハルトには届かない。
死体から奪った武器を手にした闘牙は、今後の作戦状況を考えながらサキ達を見て……
(時間を此処でこれ以上浪費すると別働隊の分裂体達との機体奪取作戦と同時に展開された学園生徒達の救出奪還作戦に支障をきたす。やむを得ない……)
皆を見渡してため息を軽く吐いて
「全員ヘリに乗れ。」
「っ!?……ありがとう!!」
ハルトはお礼の言葉を言いいの一番にヘリに搭乗口に向かう。
「良いのかよ!櫻井さん達も乗せて!?」
「人質に取られて作戦が失敗するよりはマシだ。こんな時、勇者ヒンメルだったらきっと流木野達を連れっていって上げようって優しく言うだろう。」
「いや、ヒンメルは多分安全な所に居て貰う方なんじゃないか?ハイターが絶対に違う提案をするぞ。」
「良いからヘリに乗ってくれ。先輩がヘリ操縦しないと先輩を連れてきた意味ないだろ。皆乗るまで俺は殿しないといけないからさ」
「乗るぞ!?櫻井!?」
「はい!?」
フリーレンあるあるを話ながらアイナと一緒にキューマはヘリに搭乗する。
「………。」
サキは無言でエルエルフ(闘牙)に近付いて腹に狙いを定めて拳で一気に殴りつける。
「うっ!」
「………コレでさっきの人質の奴を含めた巫山戯た事は全部チャラにして上げる……ふん!?」鼻息を荒くしながらサキはドシドシと音を鳴らしてヘリに乗り込む。
「……すいません……」
乗り込む直前闘牙も悪い事をして反省の意味と気持ちを込めて謝り言葉をサキに言うも…
「………。」サキは一度足を止めて振り返るも不機嫌な顔で何も言わずヘリの中へ姿を消すのだった。
腹に余計な一撃を貰うも、巫山戯過ぎた自分が全部悪いと甘んじて受け止めて気持ちを切り替えて敵がこない事を周囲を確認して搭乗しようと急ぎ行動する。
軍用ヘリに闘牙)は搭乗する前に何気なく宇宙港に停船しているドルシアの軍艦に視線を映すと……ある兵器に気付く。
「うん?あの色は……クリムゾンレッドカラーのバッフェ……」
軍艦の横に配備されたクリムゾンレッドの有人タイプバッフェに視線を注目する闘牙
「どうしたんだよ?闘牙……」搭乗口から顔を見せるキューマ。
「……いえ。直ぐに乗り込みます。」
(これは……早いとこ機体奪取……急ぐ必要があるな……)危機感を覚えながらバッフェに視線を向けるの辞めてヘリに急ぎ搭乗する闘牙。
パーソナルカラーがある軍の兵器は軍がエースパイロットに与える専用機を表す目印だ。其れも各部ではなく外装に当たる装甲全てにパーソナルカラーを塗装を許されているエースパイロットは数が限られてある……ましてやクリムゾンレッド……濃い赤をパーソナルカラーに選ぶドルシアのバッフェ部隊は……闘牙の記憶で自ずと限られている。
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軍用ヘリ内部の操縦席にて
「操縦出来ますか?犬塚先輩……」
「心配するな、コレでも大型二輪車の免許は持っているんだ……やってやるよ!?」
「頑張って下さい!?犬塚先輩!?」
キューマは操縦席で悪戦苦闘しつつドルシアの軍用ヘリをややもたつきながらも離陸させる。
「流石に武装は使った事ないから期待するなよ。」
「なら出来る限りガ〇ダムの近くまで俺を運んで下さい。」
ヘリの窓からドルシアの軍艦とクリムゾンレッドの有人タイプバッフェを見ながら闘牙は言う。
「おう、乗り心地は約束出来ないけど必ず運んでやるよ。」
「お願いします。」
「闘牙先輩……何か焦ってない?」
隣に座るサキは闘牙が発する言葉の数々に焦りを感じている事に気付く。雰囲気もフザケていたのが鳴りを潜めたのも拍車をかけていたのもある。
「……。」
闘牙はサキに一度視線を向け再び窓を向けながら答える。
「あのドルシアの軍艦の横に配備されている濃い赤色のドルシア軍の兵器……名称は恐らく高機動型バッフェ・カスタムだろ…」
「あの……バッフェって?」
知らない単語をいきなり言われて疑問を浮かべるアイナ達。
「……昨日モジュール77の街と咲森学園を襲ったドルシア軍の白い兵器の名称だ。特徴は上半身は辛うじて人型だが下半身に足が無くスラスターで空や宇宙を飛行する……パイロットが操縦する有人タイプとプログラムで動く無人タイプの2種がある。」
「昨日の……」キューマやサキ達は昨日のモジュールの夜の空を我が物顔で飛んで破壊活動をしていて兵器の名を闘牙に教えて貰う。
「無人と有人の違いは頭部の形状で判断可能だ……だけどカスタムタイプのバッフェは恐らく指揮官タイプ又は手強いエースパイロットが今モジュール内の何処かにいるのだろう…」
「ソレって不味いの?」
「あの目立つクリムゾンレッドで高機動型のバッフェ……恐らくスレイプニル隊の連中が来ている……連中の部隊には確か一角獣みたいな角付きのイデアール級も配備された筈だ。」
「スレイプニル……」
「……北欧神話の戦神が乗る8本脚の軍馬の名前だ。過去の戦いでARUS軍の戦艦を単機の有人タイプバッフェ1機で10隻破壊した為に"真紅のスレイプニル"なんて呼ばれてARUSの連中に恐れられている……」
「勝てる?」
サキは闘牙にプレッシャーをかけるつもりは微塵も無く尋ねる。
頼りになるかは心配なのだが今の自分達の運命を握っているのは間違いなく隣に座る先輩なのだ。
「………勝たないと……おちおち、G〇DEATERのアニメも観られないから。勝つさ。」そうサキの質問を面倒くさいそうに答えて自信満々と言うよりも……これ本当に他の誰でもなく自分がやるしかないと自然と自分で自分を程よく追い込み緊張感を維持する闘牙。
本当に安全や安心を考えるのなら俺が持つ術である無限城に生き残りの生徒達や教師達を避難させて籠城したいが籠城しても助けが来ない……必然的に此方討って出るしか勝機は無い。
「ドルシアをモジュールから追い払う切り札が得体の知れないジオールの人型ロボットだけなのは正直不安しかないが……ソレでもやるしかない。」手持ちの銃の状態を素早くチェックしながら答える闘牙。
咲森学園の太陽の光が入り込まない地下通路内では……忍者の出で立ちをした愈史郎と本来の黒い軽装の忍び装束を纏った白怒火の二人が目的地の部屋に向かって突き進んでいた。
「止まれ!」
白怒火の小さな一言で急ぎ足を止める愈史郎。
「……敵か?」
「あぁ。歩兵二人。」視線の先にモジュールの人間達を捜索するドルシア軍の兵士達の姿を見つける。兵士が此方に視線を向けようとするより速く
「血鬼術…隠身 闇陽炎」
素早く白怒火の両手から大量の血が放出するとその血が壁状になり愈史郎を含めて己の姿を隠す。外から見たら血の色から周囲の風景と完全に同化して徘徊するドルシア兵士達は二人に気付く事なく歩き去りやがて通り過ぎる。
「どうする?無限城の血鬼術で最短距離で進むか?」
「いや、このまま進む。だが俺達が兵士達に見つかると制御室に到着しモジュールの時間を夜に変更するのが難しくなる。他の連中の為にも必要以外は戦わない事にするぞ。」
「あぁ。行くぞ!」
目的地を目指して足音を立てずに通路を進む二人。
今年最後の投稿が第2話の途中とは……幾つか加筆予定です。皆様よいお年を……