革命機ヴァルヴレイヴ 現代に欲望のまま生きる自分本位の鬼達 作:怪物怪人怪獣さん
闘牙達が各地で行動する一方引きこもりのアキラがいるダンボールハウスではアキラは闘牙からの連絡を待っていた。
「……返事が来ない…」
ムッとしたへの口で闘牙からの連絡を待つ間、機械仕掛けの使い魔である飛燕が用意した布団と枕で熟睡したり、夜のトイレに同行して貰ったり、何処からかおにぎりとお味噌汁の食事を配膳してきたり至って普通にアキラ達は過ごしていた。
だが突然、私が操作しているPC画面を見ていた飛燕は急に首の向きを180度変えてダンボールハウスの外の方にカメラを向ける。
「飛燕どうしたの?」
蝙蝠の使い魔の耳には闘牙の分裂体の一人捨麿からある指令が送られていた。
(飛燕……この男に力を貸すでおじゃる。)飛燕の身体に流れる闘牙の血鬼術の血がエルエルフの姿と顔の情報が飛燕に中に流れていく。
「……!」
捨麿から指令を貰った飛燕はアキラの目の前で金属の飛膜で羽ばたき始めてアキラのダンボールハウスから突然出て行く。
「飛燕!!待って!?」
余りに早い出来事で止める隙も力も無く気が付くと飛燕は居なくなっていた。
「急にどうして………っ!?」
ダンボールハウスの外へ出る勇気が無いアキラは、ハウスの外に意識を向けるも直ぐにパソコンの元に駆け込みパソコンのキーボードを凄い勢いで操作する。
モジュールの至る所にある防犯カメラのシステムを急ぎ動かして飛燕を探すアキラ。
「通常より高く飛んでいるの?どうして……」
既存の防犯カメラでは飛燕の姿は見つかなかったが、高い建物の防犯カメラで一瞬だけ映る飛燕の姿を見つけて飛燕の向かう先に何があるのかカメラを操作して……
「あのロボット……」
飛燕の持ち主が搭乗したロボットが積まれたトレーラーが街道を移動してその後を飛燕が追跡しているようだ。
「っ!?」
ロボットの荷台の方へ防犯カメラをズームして見ると……意識のないジョジョ顔をしてジョジョ立ちをした操真闘牙が担架の横になっていた。
「へ、返事が……こない訳だ……でも何あの変な顔……」
返事する相手が知らない内にドルシアの軍人達に捕まっている様子をカメラで見ているもトレーラーは防犯カメラの範囲外へ走ってしまいアキラの追跡は困難になる。
「どうしたら……っ!?」
此処までか……とアキラが諦めを感じた時昨日、飛燕が持ってきたダンボール箱をアキラは急いで調べるとある物を取り出す。
「あった……」
遠隔操作タイプ超小型空撮用無人飛行機とその取り扱い説明書。
アキラは急いで説明書を開き動かし方を覚える。その覚える様子は、かつて兄の中学受験を助けようとしたあの頃の必死さがあった。
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「……ヘリの操縦……赤点ですね。先輩。」
淡々とした声とジト目をするエルエルフ(闘牙)は操縦するキューマにそう言う。
最初はキューマが操縦していたが此処まで来る途中、揺れは我慢出来るも墜落しそうになり流石に不味いとみて士官学校で軍用ヘリの操縦訓練経験がある闘牙はキューマにヘリの操縦を最低限必要な事だけを教えて、再び操縦をキューマに任せたのだ。
「五月蝿いぞ闘牙、最初辺り一応ヘリ飛ばしただろ……あっ、見えてきたぞ!」
「文句は良いですから計器にも注意して見て下さい。燃料切れで墜落事故で死ぬなんて嫌ですからね。」
(この身体……軍用ヘリの操縦方法も知っているんだな。)
奪った軍用戦闘ヘリの操縦席から機体が運んでいるトレーラーの姿が見えて教えるキューマ。その一言でヘリ内部の座席に座っていた闘牙は立ち上がり、キューマ達に言う。
「そうか……全員は俺がこの戦闘ヘリコプターから降下の確認したら、俺が機体を奪取してドルシア軍の連中をモジュールから宇宙に追い出している間にヘリポートを探してヘリを途中で捨てて安全な所に避難しておけ、此処まで同行してくれて本当に助かった。特にハルト……お前は怪我人なんだ。治療に専念しろ。」
「分かっているよ。無茶はしない…」
そう答えつつハルトの視線の先には、トレーラーに運ばれたガ◯ダム…ヴァルヴレイヴがあり。
(……良くない兆候だな……大切な人が殺されて…復讐したい、仇を討ちたいと言う気持ちを現実で何とか無理やり押し殺している。恵まれ過ぎた幸せが崩壊した反動が大きいのも結構あるか……何処かで彼が明るくなる良い出来事が有れば良いんだが…今は時間が限られている。)
ハルトを心配する闘牙だがキューマの一言で状況が切迫している事を知る。
「気を付けろよ。もう、ロボットを搬入される戦艦の前だ……死ぬんじゃないぞ。闘牙。」
「犬塚先輩……俺にはまだまだやりたい事があるんだ……こんな戦場で死ぬつもりは無い…」
トレーラーを見つけるまでドルシア軍用拳銃と砥石で砥いだ軍用ナイフの切れ味を確認しながら言う闘牙。
(うん?……コイツの爪……ダイヤモンド並みに硬い炭素の付け爪だ……)
途中、何気なくエルエルフの指に視線を向けた闘牙は人間の生身の爪とは違う事に気付く。
(ロープやワイヤーを切断用か?にしても……この銀髪ウォーズマン…連れの連中もそうだが何処の部隊の人間だ?工作部隊?諜報部隊?暇潰しに士官学校で軍人の候補生になった時でさえ、年齢的にもう少し上の世代ばかりだった…)
エルエルフについて考えるもトレーラーに近付いてきた為にやる気モードになる闘牙。
(まっ、今はやる事をやりますとするか!!)
「気を付けて……」
ハルトの言葉に片手を上げて返事をする闘牙。
「お前達もな……。」
搭乗口から荷台の上にいる技術士官達に対して闘牙は言う。
「見ろよ。皆、せっかちな技術者達だ。もうゲームをクリアしたと」そう言いながら袖無しの何処かで見た事ある鎧を頭から上半身に着てエルエルフ(闘牙)は騎士の仮面を被り
「思っているようだな……残念だがゲームはコレからだ…」CV郷里大輔
視界に見える赤い角張った目が赤く光る。
「トゥッ!!」CV郷里大輔
「此処がエンジン……小さ過ぎる…アレだけのパワーだぞ」
「中立国のジオールが何でこんな技術を持っているんだ。」
「今までとは全く違う設計だな……」
「コレが放熱フィンだよ。昨日の戦闘でも煙が出てたな。」
「何故人型にしたのか……」
「機体の色が変わった事の方が謎だよ。」
ヴァルヴレイヴと闘牙の身体を積んだ軍用大型トレーラーが、市街地の街道を走っている。白衣を纏ったドルシアの技術士官達は、戦艦に機体が到着するまで我慢出来ずにわざわざ艦から出て機体が積んであるトレーラーへ向かい、揺れる荷台の上でヴァルヴレイヴの内部構造を見てああだこうだと話してをいる。
その彼らも乗るトレーラーの頭上に、軍用ヘリの騒々しいローター音が近付いてくる。すぐに通り過ぎるだろうと思われたその音が、ちょうど真上の辺りで減速して並走を始めたので、あまりのうるささに顔をしかめて見上げるドルシアの技術士官達。
「何だ?」
その軍用ヘリから、仮面の貴公子ロビンマスク※アニメ版が一直線に飛び降りてきた。
「超人ロケット!?」CV郷里大輔
近くにいたドルシアの技術士官が自らロケット弾頭と化した突進技の餌食となり青い硬い素材のロビンマスクの仮面の先端がツノ状突起の為に尚更痛そうである。
「ロビンマスク死のフルコース!?」
更に超人ロケットした相手の背中に執拗に何度もツノ状突起を突き刺して狂乱ファイトをしてから
「逆タワーブリッジ!!」
トドメは俯せに倒れている技術士官に向けて逆さまのタワーブリッジを決める。
「ヒッ!!何でロビンマスクがこんなモジュールにいるんだ!!」
「知るか!?逃げろ!?」
突然襲撃しに現れたロビンマスクに驚愕な表情を向ける技術士官達。
「逃がさん!?タワーブリッジ!!」CV郷里大輔
着地して数秒の内に更に別のドルシア技術士官はアルゼンチンバックブリーカーの餌食となる。バキッと背骨が気持ち良く折れる音が鳴り響き、背骨が折れた技術士官の投げ捨てるとロビンマスクの仮面を別の士官目掛けて投擲して心臓を刺し倒す。ロビンマスクの姿からエルエルフの姿を現す闘牙は躊躇いなく二人の技術士官をドルシア軍用拳銃で撃ち殺し、
「エル…エルフ!」
「……。」
機体上部に乗っかる残った4人の技術士官に向けながら
「飛燕!!」
左右非対称の機械仕掛けの蝙蝠がエルエルフの姿をした闘牙と合流して彼の周りに滞空する。
「遠距離銃モード!?」
エルエルフ(闘牙)の言葉に飛燕はドローン形態から音を立てて可変変形し今の闘牙の片手に収まるギリギリの大きさだ。
(ドラえもんの空気砲とショックガンを混ぜた外見にしたせいで銃口や銃身がやや大きい。)
「……他国の軍事兵器を調べるなら安全な自国の研究機関に兵器を運んでから調べる事をお勧めするぜ。属領内になったとはいえここは戦場……何処に残党やゲリラや危険人物が潜んでいるか分からないからな。」
「なっ!」
皮肉を口に出しながら手早く正確に三人の技術士官に向けて飛燕遠距離銃モードの引き金を引くと青い眩い光と共に荷電粒子砲が銃口から放たれて三人の技術士官達は逃げる暇も無く光に貫き撃ち殺して、その光景を見て恐怖の表情をする残った一人をドルシア軍用ナイフをダーツの要領で投擲する。血に白衣を赤く染める技術士官達の死体達の血溜まりの道を歩きながら吸い込まれるように眉間にナイフが突き刺さって動かなくなった白衣を着た技術士官の眉間からナイフを引き抜いて……
「あんた達、ジオールの兵器を調べるより前に好奇心は猫をも殺すと言うジオールの諺を覚えとくべきだったよ。」
(……人間の身体に憑依している間は、血の臭いに惑わされる事は無いな…)鬼として性質に引っ張られない身体……懐かしさを感じるも、余計な事を考えないように無言で背後に振り返り自身の身体がある簡易ベッドに向かう途中に独り言を言う。
「昨日沢山…ジオールもドルシアも貧富問わずに人が死んだんだ。今日自分が死なないと誰が決めた……」
冷たい死体に変わった技術士官達にそう愚痴るように零して自分の身体と再会する。
「……会いたかったぜ。この肉体、普通の人間よりは訓練されているけど作戦を確実に遂行するには、やっぱ自分の身体じゃないとな……」
(だがエルエルフ……コイツの体はすごい。身体能力も、射撃能力も、この体でこのロボットを使えば、血鬼術は出来ないがドルシア軍相手にも結構良い勝負が出来るかも……)
決意を新たにしながら、次々と技術士官の持ち物を漁り、
技術士官の死体から奪った自分の身体データや機体データに関する報告書や写真を撮ったカメラを奪って背負っているリュックサックに入ったライターを取り出して報告書に火を付けて燃やして
カメラのデータを消去してカメラのメモリーを抜き取り近くのPCを操作しながらバックアップデータも消去する。
「残念だったな……ドルシア軍。俺の身体の秘密や機体関連の情報は今は少ない方が良い……写真や書類系統は此れで大丈夫だが……さて次は…俺の身体を安全な場所に……操縦席が今の所安全か……」
面倒くさい表情でため息を吐いて…自分の身体を抱えて上げ、コクピット運ぶ……
「俺の身体って思ったより重いんだな……他人の身体にボディーチェンジして始めて分かった新事実。」
運びながら騒ぎに集まってきた、ドルシアの歩兵達を闘牙は片手が塞がる状態で次々と迎撃する為に飛燕遠距離銃モードで射殺する。レーザーの種類に分類する為に歩兵達は身体がバラバラに
なり一度、自身の膝を下げながら
「飛燕。使い魔モード。」
荷電粒子砲が放てる遠距離銃から元の使い魔形態に戻してドルシア軍用拳銃に武装を交換しながら歩兵達を片付ける。
(こっちが幾ら仕留めても相手の数はコレから沢山増える。飛燕に内蔵された自家発電で自己回復する時間も惜しいし今使っている拳銃の弾を装填する時間も無い……早めに……操縦席に向かおう。)
その上空に、キューマの操縦するヘリがふらふらと危なっかしく近付いてくる。
「……何だ?」
事前に自分を降下させた後は安全な場所に向かうように言ったヘリはトレーラーに離れるどころかあらぬ方向へ飛び回りながら此方へ接近してくる。
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「よし、このまま……避難するぞ!?」
最初のドルシアの襲撃ではサキは外からでしかヴァルヴレイヴが縦横無尽に暴れる姿を見ていなかった。だが既にサキの中にあるつまらない世界に変化を与えた機体に非常に興味を感じていた。来たくもないモジュール77……来たくもない学園……望まない学園生活……本当は、もっとアイドルを続けたいのに……それをさせてくれない現実……
「…犬塚先輩。ヘリ近付けて……」
「えっ?」
心の中にある真っ暗闇の中でポツンとスポットライトが幼少期時代の自分を照らす…普通とは違う家庭環境…当たり前の家庭を持ち幸せそうに歩く親子達を一人寂しい顔をして羨ましそうに観る弱い私……次にアイドルをしていた私の姿にスポットライトが照らす。周りの誰も私を助けてくれないなら自分自身で幸せになるしかない………慣れないダンスの振り付けレッスンや発声練習……曲の歌詞に気持ちを込めるとか体力が必要なら地味なジャージを着てジョギングだってした……全ては自分一人の力で生きる為に……自分が幸せになる為に……なのに!?
悪い事も問題も起こしていないのに突然、所属事務所から契約解除通告……最後に今の自分にスポットライトが当たる……努力した……必死に足掻いて、藻掻いて、こんな理不尽に自分を虐げ続ける世界に生まれて……生きて……(その頑張った結果が、知らないモジュール77への島流し……私、何か悪い事した?こんな目に会うような事をした?誰か教えてよ……誰でも良いから教えよ………私は何の為に生まれたの?私は何の為に存在するの?私はどうして何時も頑張っても失うの……私が欲しい物ってそんなに許されない物なの……皆、気付かないで当たり前に持っている物なのに……どうして、私はその当たり前の物を持っちゃいけないの……どうして世界は私から私の大切に持っている物を奪うの…)
「えっ!流木野さん何言って!?」
聞こえてきた戸惑いの表情をするアイナ達の声を無視し犬塚先輩がいる操縦席へ向かうサキ。
(巫山戯るな!!私から誰も何も与えてくれなかった癖に!?与えてくれなかったからこっちが周りに馬鹿にされながら陰口を叩かれながら必死に本心を隠して足掻いているんだ!?)
「ヘリをあのロボットに近付いてって言ったのよ!?」
キューマが操縦する席近くにサキは寄りトレーラーに積まれたヴァルヴレイヴに視線を向けながら声を出す。
「ちょっ、そんな無茶な…分かった!ロボットに近付くから操縦席に寄らないでくれ。」
「どうして……流木野さん…」
キューマはヘタする無理やりヘリの操縦桿を掴もうとするサキを何とか止めつつサキの言う通りにヘリを操縦してその間にサキはヘリの中で見つけたロープを自分の肩に掛けて搭乗口の方に向かう。その途中、普段のサキにしては行動的で感情的なのをアイナは疑問を覚えて訪ねる。
「……もし、何らかの方法で闘牙先輩とあのドルシア軍人の身体が戻ったら、軍人の方が自由になる。……ドルシア軍をモジュールから追い出す先輩がロボットに乗るのを邪魔されるかも知れないからこのロープであのドルシア軍人の自由を念の為に封じとくの。」
サキはアイナ達にロボットへ向かう理由らしい理由を言いつつ自分なりの普段の冷めた口調をしている物の今一つ確かな事は、自分は人生の中で重要な分岐点の前に立っていると感じる事だ……
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上空にキューマが操縦するヘリがふらふらと危なっかしく近付いてくる。サキがヴァルヴレイヴへ近づけろと無理を言い出したのだ。
「ちきしょう……!バイクみたいにはいかねぇな!」
途中、戦艦の兵士達が逃げ惑う甲板に一度掠るも、直ぐ持ち直してトレーラーの方へ飛び上がり
ローター音がやかましいヘリの搭乗口からヒョッコリと顔を出すサキ。
「先輩。私を受け止めて!!」
「えっやだよ!?此処にシータは居ないぞ。パズー。」
「誰がパズーよ。」
搭乗口からパズーの格好したサキは単刀直入に言うも闘牙はサキの安全を考えて間髪入れずに返事を返すもその返事にサキはムッとした不満そうな表情になるも、直ぐにサキは真面目な表情になり軍用ヘリは何とかヴァルヴレイヴに最接近したところで、サキはヴァルヴレイヴに向かって大胆に飛び降り、闘牙を追ってコクピットに入っていった。
「私も!」
「ちょっおまっ!!きゃあ~〜変態っ!?ここは男子更衣室よ!?女子は女子更衣室で着替えて来なさい!!?」
「あっ?本当だ……ごめんなさい……間違え……って普通逆じゃないっ!?」
闘牙の軽いボケを素早く後ろを急いで向くも直ぐに振り返り鋭く返すサキのツッコミはキレキレである。
「でっ、どうして今来たんだ?見て分かるかも知れないが、今は俺様お宝を奪う事に忙しいんだよ。不二子ちゃん。」
「誰が不二子よ。来た理由?そんなの決まっているでしょ!?」
ドルシアの技術士官達以上の研究者の物じゃないキラキラした純真な好奇心に満ちた目を向けながら彼女は嬉しそうに言う。
「面白そうだったから」
「何処のアニメの行動的なヒロインだ!?って今は駄目だ!諦めてくれ!?ここは……ここは危険な場所なんだぞ!」
「何が?」
好奇心旺盛なその気質は、元芸能人らしいと言えばそう言えるかも知れない。背後からドルシアの歩兵の銃弾が次々と飛んできて、リュックサックからタクティカル・シールドを取り出して咄嗟にサキを守りながら闘牙は言う。
「くっ、俺がお前を安全に守るから先に機体に乗れっ!?流木野サキ!」
「そうこなくちゃ!?」
ロボットを動かしていた操縦者の先輩からの搭乗OKを聞いたサキは嬉しそうな顔を隠せずにワクワクした表情で機体の搭乗口に止むを得ずに先にコクピットの中に入る。
「先輩も急いで!?」
後ろから聞こえてくるサキの言葉に反応する闘牙。
「分かっている……ドルシア軍の連中、粒子砲の多脚歩行戦車部隊を出動させたな……こっちは普通の学生なんだぞ!?手心を加えてくれても良いだろ!?」
騒ぎで歩兵部隊では事態の収拾がつかないと考えたのか通常のキャタピラでは無い機械の足を持つ戦車部隊が戦艦から出動してくる。尚、四足歩行の多脚歩行戦車の脚の先端は任意にキャタピラに変形可能。旧型で二足歩行タイプも存在する。
「人型兵器を作れる技術がある癖に変な非人型兵器ばっかり開発しやがる……」
「コレがロボットの運転席…」
「どちらかと言うならコクピットな。」
コクピット内側を始めて見る機械や操縦桿に興味津々に見渡すサキ。ゆっくりとサキは機体のコクピット内を深呼吸して……
「…新品の香り…」
感じた匂いの感想を口にする。一方、コクピットが閉じきったの確認し、闘牙はサキに非難の目を向ける。
「状況が落ち着いた時に、乗せるとかする予定だったのに……このせっかちなじゃじゃ馬娘め。」
「私は今乗り込みたかったの!?嫌なら別に良いですよ…搭乗口を開けて下さい。一人寂しく敵に囲まれて捕虜として捕まる事なく肉塊になるのを運転席から見ていて頑張って下さい。」
「トラウマになるような事を言うな……絶対に忘れられないトラウマで毎日悪夢見るわ!?口から嘔吐するぞ……こんな事してる場合じゃない……」
問い詰める暇もなく、サキは肩に背負っていたロープを闘牙に突きつけた。
「さっきの奪ったヘリの中で見つけたの。手を出して、縛るから。元の体に戻った時、こいつが自由に動けちゃ危ないでしょ」
「まっ、確かな……待てよ。どういう事?お前、ボディーチェンジの戻る方法が分かるのか?」
「先輩が言うボディーチェンジが何なの知らないけど……前にテレビの収録の仕事の際に、身体が入れ替わるのを題材にした日常ドラマの話を暇潰しで盗み聞きしてね。大体そういう題材の解決方法は最初のきっかけをもう一度やればいいのよ……きっかけは覚えている?」
会話するサキに手を縛られながら、闘牙は考える。体を移った最初のきっかけ。どう考えても、一つしかない。
「あぁ。この銀髪ウォーズマンの喉を噛み付いた。だが……本当にそれで、元に戻れるって?」
「少なくとも私が観た映画では大体そう」
「映画知識か……まぁ、やれる事から試すしかないか…」
「入れ替わりじゃなく憑依なら……差し詰め貴方はそのドルシア軍人の身体を"ジャック"したのよ。」
「何だ?ジャックって?特撮の帰ってきたウルトラ◯ンの名前か?」すっかりサキにぐるぐる巻きにされたエルエルフの顔でキョトンとした顔になる闘牙。
「違うわよ!?船の自由を奪うシージャックとか、飛行機の自由を奪うエアジャックとかバスを無理やり走らせるバスジャックとか外国のニュースで言うでしょう。そのジャックよ。えっ!?帰ってきたウルトラ◯ンの下の名前ジャックって言うの!?」
「新マンとか帰マンとかウルトラマン二世とか言われているけど最終的にポピュラーなジオールで言う太郎のようなありきたりの名前でジャックって下の名前があるんだ。」
「初耳よ。えっじゃあ…彼の名前はジオールだとウルトラ マン太郎。」
「何処で区切っているんだよ。タロウは別にいるからそんな驚愕な顔しなくても良いよ。」
芋虫の如く身体を動かしながらサキにツッコミを言い。闘牙は自分の身体に口を近付ける。そして、その首筋に噛みついた。
途端、意識が、視点が、シャットダウンされた感覚。自分から切り離された何かが、自分の元へと戻ってきたような。その様子を、近くにいたサキが固唾を呑んで見守っている。
「……どう?」
やがて口を開いたのは、闘牙の体だった……
「…お前の勘とノリで戻ったよ……」
スクリーンに映る自分の顔を見ながら、自分が間違いなく自分の体を動かしている事を確認し振り返り礼の言葉を口にする。
「ありがとう。流木野サキ。」
「どう致しまして…」
それとほぼ同時に、エルエルフも呻きながら目を開けた。
「……う……うっ……!?何だとっ……」
「やっぱり、元に戻るんだ……どういう仕組みなんだ?この身体……」
「っ!?」
自分が身を置く状況が全く理解出来ず、エルエルフは混乱する。彼の意識は、闘牙に噛みつかれたあの時点で止まっている。何故自分は拘束されているのか。一体何があったのか、彼には全く分からない。
そんなエルエルフ達を他所に闘牙は自分のスマートフォンに無限城から持ってきたモバイルバッテリーを装着して充電したスマートフォンを無言でコクピットの足元に置いてエルエルフの混乱の問い詰めに答えず、
「………。」
サキの目の前で一瞬で両手の爪を鋭く伸ばしてから自分の手の平を傷付けて大量の血をサキ達の前に流す。
「何やっているの!?」
「っ!?」
「黙っていろ。」
サキの目の前で瞳の色を血のような紅い色に変えて流れていく血は意志を持つように動き出しコクピットから何処かへ向かう。
「……。」
「ちっ、全身に纏わせる時間が足りないな……せめてガ◯ダムの右手だけでも纏わせておくか……」
外側では搭乗口から出て独りでに蠢く鬼の血がドルシア達に気付かれないように移動してヴァルヴレイヴの右手に纏わりつき赤い色にマニピュレータの指先が金色の鋭利な竜の鉤爪に変異する。
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トレーラーの騒ぎは戦艦の横にいるクリムゾンカラーのバッフェ隊の耳に聞こえていた。
「フォルケン隊長。エルエルフ・カルルスタインが学生達と共にジオールの特一級戦略目標を奪取した模様です。」
「ほう、どうやら護衛の任を頂いた俺達が動かないといけないようだな。」
クリムゾンカラーの頭有りのバッフェ・カスタムは遠隔操作して同じパーソナルカラーの頭無しの無人タイプバッフェを起動させる。白い通常の無人タイプのバッフェ達にはない武装がその無人タイプのバッフェ達にはあった。
「………」
ダンボールハウスに居るアキラは、闘牙が渡された超小型空撮用無人飛行機を自分のパソコンで操作しながら、トレーラーが消えた方向へ飛ばす。キューマが操縦したヘリに負けず劣らずふらふら危なく飛行する無人飛行機には空撮用カメラを起動させており、始めての代物を操作する為に悪戦苦闘していた。
「っ!?」
探していたトレーラーとその回りにある多脚戦車達の後ろ姿が見つけて拘束され寝転がるヴァルヴレイヴの機体のコクピットを必死にこじ開けようとしているドルシア兵士達の様子を画面越しから見ていた。
「うん?」
【悪い……連絡が数時間遅れた…スマートフォンの充電が切れたし…諸事情に連絡する暇がなかったんだ。】
「っ!?」
昨日の夜から連絡が無く5分おきにメールを送った相手から漸く返信が返ってきた。アキラはその連絡に驚きの表情を見せるも直ぐに驚いた自分を落ち着かせて普段通りに返信する。
【遅い……どれだけ待たせた……ヽ(`Д´)ノプンプン】
自分が滅茶苦茶怒っている意味の顔文字も乗せて闘牙に返す。
【10時間以上…凄い数のメールが送られてビックリしたよ。……本当にごめんなさい。】
反省の気持ちが籠もっている微妙な返信だが……カメラに映るヴァルヴレイヴの様子を見ながらアキラは本題に入る。
【……答えを聞こう。協力関係にする際の私の出す条件を守るか?炎竜鬼。】
自分で入力して送信した内容にアキラは心無しかドキドキして相手からの返信を待つ。
【勿論……その契約を結ぼう!!】
返ってきた返信にアキラは無意識に口元に笑みを浮かべてしまう。尚、このメーセージを送信する時の闘牙は自分の組織に追い出された某悪逆皇帝のイケメンの顔でノリノリで打ち込んでいた。互いの顔が分からないから出来る奴である。
そして返事をするようにヴァルヴレイヴの緑色のアイセンサーが眩い輝きと共にスイッチが入ったように点灯する。
「動いた……」
無人飛行機の空撮カメラからその様子を見るアキラ。
こじ開けようとするドルシア兵もゆっくりと動き出すヴァルヴレイヴに驚く。
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「すごい、本当に動いた!ねぇ、どうして動かせるの?教えて教えて!!」
高揚の気持ちを隠さず興味津々に操縦桿を握り機体を動かす闘牙を見て嬉しそうに質問するサキ。その様子は好きなアイドルに会ったファンと同じでワクワクキラキラしていて知りたい知識欲に突き動かされていたオタクに似ていた。
「ちょっ黙ってて!顔近い!鼻息荒い!興奮するな!?分かったから!まとまった時に色々と説明するから今は大人しくおすわりしてくれ!?」
暢気にサキやエルエルフの相手をしている暇がない。コクピットを無理やりこじ開けようとするドルシア兵達をガ◯ダムの右手の平から形成した熱刃の光輪が放たれる。
「流木野。目を閉じてろ。此処から先は大人のR−18シーンだ。子供のお前が見るのは…まだ数年早い。」
「えっ?」
真紅の瞳の鬼の顔をしながら闘牙は、血を黙々と流しながら言う。
【血鬼術 炎竜焔車輪】
中途半端体勢から放たれた熱刃の光輪は、機体の各部にある拘束具と一緒にこじ開けようとしたドルシア兵士達をバラバラに焼き斬り裂く。回避する暇も無く殆どがその熱刃の輪の餌食となる。
「っ!?」
人がバラバラに光景を見て真っ青な表情になるサキ。
「エチケット袋はリュックサックの中だ。コクピットの内部をお前の臭いまみれにするのは勘弁してくれ。」
拘束具を切断して自由になるヴァルヴレイヴはゆっくりと立ち上がる。真っ青になったサキはコクピット内でグッタリとしている。
「オラッ!ドルシア軍共、ジオール軍のモビルスーツの御通りだ!?死にたくないなら道を開けろ!?」
逃げ惑う歩兵達とは別に前に出る四足歩行の多脚戦車部隊が全高22.6㍍のヴァルヴレイヴに向かって砲撃を仕掛けてくる。
「歩兵が逃げる時間を稼ぐぞ!?良く狙って撃て!?」
「多少傷ついても構わない、撃てーー!?」
「ジオールの人型兵器風情が俺達の戦車には足が付いてあるんだ!!ただの戦車と思っていたら痛い目を見るぞ!?撃てーー!!」
各多脚戦車部隊隊長ジーン、デニム、スレンダーが声を上げて叫ぶ。
主砲の砲口部から放たれる粒子砲をヴァルヴレイヴに向けて一斉に放ち装甲の表面に当たる。爆炎に機体が包まれるも……
「ジオールの怪獣映画では戦車は怪獣の噛ませと知れっ!?」
砲撃を物ともせず戦車部隊に接近し左右のマニピュレータで怪獣の如く戦車をぎしぎしと掴み上げて叩きつけるように放り投げる。
「ぎゃあああ〜〜」
別と多脚戦車には拳をそのまま振り下ろして叩き潰してひしゃげると共に爆発する。
腕を振るい薙ぎ払い多脚戦車達を転倒させ自力復帰出来ず。更に右手の変異した際に生えたマニピュレータの指先の鋭い爪で戦車達は切り裂かれると共に次々と爆発する。
「その四足歩行タイプの多脚戦車って通常のドルシア陸軍の戦車には無い強力な粒子砲があるけど……横転したら自力復帰できない欠点があるんだよな。ましてや転倒とかして逆さまになった出られない棺桶だよ。」
ヴァルヴレイヴは多脚戦車の足を蹴り飛ばし、足を一本破壊された事により安定感を失った多脚戦車は横転しながらヴァルヴレイヴに対して狙いを定めて粒子砲を放つも、放つより速く右手の爪で戦車を切り裂き人が乗っている部分の装甲に対して貫出突きを突き刺すように放ち
「ぎゃあああああ!!」
断末魔の悲鳴と共に多脚歩行戦車が爆発する。
「っ!!」
鬼の血を纏わせた右手から金魚鉢の絵柄彫られた壺を出現させて
「壺?どうやって出したの!?」
サキはグッタリしながら突然ヴァルヴレイヴの右手から現れた壺を見て疑問を覚えるも壺の中から現れた存在に更に驚くエルエルフとサキ。
「金魚?っ!!」
サキも知っている金魚だ……しかし問題はその大きさだ。通常の金魚の大きさを優に超えて鮫や鯱と変わらない巨大な大きさで更に水の中を泳ぐ魚の癖に空気がある空中を泳ぐように動く様子は明らかに異常だ。
「っ!!」
サキとエルエルフは驚愕した瞳を闘牙に向ける。
「血鬼術 千本針 魚殺」
粒子砲を放つ無事の戦車達を左手で投げ飛ばしながら二匹の奇怪な金魚の口から放たれた大量の毒針が自力復帰出来ない多脚戦車部隊の装甲を安々と貫き多脚戦車の操縦する人間達は脱出する暇もなく次々と爆発する。金魚から針を絶え間なく放ちながら多脚歩行戦車部隊を蹴散らしながら、ヴァルヴレイヴは宙を飛んで直ぐ横の海上にいるドルシアの戦艦へ向かい。甲板に降り立ち、闘牙は激情のまま右手から熱刃を出現させて
「俺のプラモデル全部弁償しろ!?ドルシアアアアアアアアアアアアア!?」
「プラモデル!?」
本人は至って真剣に激情の気持ちと込めてサキは闘牙の発言に驚きの表情を現す。
「こっちはまだ組み立ては愚か箱から出していないプラモデルがまだまだあったんだぞ!?」
甲板を熱刃で叩き切るつもりで右腕を高く垂直に振り上げるヴァルヴレイヴ。だが次の瞬間、全方位スクリーンに敵影を報せるアラートが聞こえて
「右から?ぐっ!!」
ヴァルヴレイヴはクリムゾンカラーの無人バッフェのアイゼン・ガイスト越しの体当たりを貰いバランスを崩す。バランスを崩した隙を逃さないもう1機のクリムゾンカラーの頭無しの無人バッフェが高機動型スラスターを噴射させてヴァルヴレイヴを押し出して戦艦から倉庫街へ吹き飛ばす。
「のわっ!」
「ぐっ!!」
「きゃあっ!」
コクピットを揺らしながら大型倉庫の壁にぶつかりその衝撃で壁が耐えられずに砕けて倒れ込むヴァルヴレイヴに2機のクリムゾンカラーの無人タイプのバッフェ・カスタムが立ち塞がる。
「っ!」
直ぐ様、闘牙は倒れた機体を起き上がられて目の前に出現した相手に視線を向ける。
2機の無人バッフェ・カスタムは左右に間を開けるとその中心にスパイクを装備したアイゼン・ガイストを持つクリムゾンカラーの有人タイプのバッフェ・カスタムが姿を現し外部から音声が聞こえてくる。
「見せて貰おうか。ジオール軍の開発した特一級戦略目標の性能って奴を…」
「真紅の……スレイプニル。」
ゆっくりと両者は向かい合い両機は一触触発する……