革命機ヴァルヴレイヴ 現代に欲望のまま生きる自分本位の鬼達   作:怪物怪人怪獣さん

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明けましておめでとうございます。お待たせして申し訳ありません。アニメヴァルヴレイヴの第2話の続きです。各分身体の戦闘表現が想像したのと違い難しく⋯⋯その中で九荷の戦闘表現が特に酷いです。

闘牙 怪しい場所でオールマイトと名乗る変な人と共にNARUTOと出会った。
愈史郎 オール・フォー・ワンと言う恥ずかしい名前を名乗る存在に結婚相談所を紹介した。


第13話大看板参戦。

アードライを加勢する名目で仲間のクーフィアも赤いカラーリングが施されたイデアールに搭乗し戦場に向かう。

「クーフィア。ボックスアウト!」

だがその本心は裏切り者となった仲間である筈のエルエルフと戦いたいと言う子供のような理由であった。

 

 

上下左右の六方向に迫る板野サーカスの納豆ミサイル顔負けのマイクロミサイル群に対してヴァルヴレイヴはジー・エッジを構えて静かにコクピット内で呼吸して低い声で操縦幹を動かす。イデアールに向けて機体の速度を上げて避ける動作も防ぐ動作もせずにイデアールに向かって突撃しその途中迫るマイクロミサイルをジー・エッジで爆発が起こるより高速に振るい全て斬り裂き一気にイデアールに向けて迫る。

「何っ!?」

放ったミサイルが全て斬り裂かれた事にアードライは驚きの声を上げる。だが驚く暇もなくジー・エッジの横から迫る斬撃がコクピットに迫る直前、アードライは急ぎイデアールを後方に下げて頭部の表面を火花と共に薄く一文字に傷つく。接近されると不味いと考えたアードライは再びマイクロミサイルを発射して接近される前に半壊させようと考える。

 

「惜しい!」

一方で、思った以上に相手のパイロットの腕が良い為に仕留め損なった事を悔しがる闘牙。

再度放たれミサイルの大群に対してイデアールの接近を一旦辞めて迎撃するヴァルヴレイヴ。

(機体の正面以外の多方向から殴るみたいマイクロミサイルで放って来やがる。)

「ならっ!」

正面以外に迫るなら優先的に迫るミサイル群のジー・エッジの高速斬撃で次々と対処する。

「残念だな。イデアールのパイロット。近接戦闘じゃあ此方が有利なんだよ。」

闘牙は嬉しそうにそう答えながら操縦する。

「小癪な!?」

モニタに映る視界から逃れた機体を憎悪を込めた目で追うアードライ。自機が放つマイクロミサイルを爆発するより速く斬る技術は驚異に感じるも、アードライはコンソールを更に早く操作させてミサイル達の軌道を変えて誘導する。

 

高速でジー・エッジを振ってミサイルを対処しながら両手甲部分からハンド・レイや側頭部のバリアブル・バルカンをイデアールに向けて放つもイデアールは移動しながらミサイルを撃ち続けて此方を引き撃ちで追い詰めてヴァルヴレイヴもイデアールを追い掛ける。

「二人とも少し加速するから耐えろよ」

「えっ?」

踵から赤い光の帯を放出しながら機体の速度を上げてイデアールに並び近接接近してジー・エッジを振るうも、イデアールは速度を更に上げてジー・エッジの斬撃を回避してはヴァルヴレイヴも追撃するも回避され続ける。

「何で此方よりずっと大きい癖に此方より速いのよ!!」

サキは脅威のイデアールの速さに悲鳴の叫びをコクピット内で上げる。

「型式番号Er114 イデアール級機動殲滅機。コンセプトは搭乗人数が多いARUSの艦隊クラスを破壊出来る1人乗りの小型の戦艦な。汎用性の優れていて色々と状況に応じて追加装備もあるし、ドルシアの艦の種類の中では速いぞ。」

サキにイデアールの基本を教えながら手甲部分からハンド・レイで攻撃するも距離が離れ過ぎる為にイデアールに掠りもしない。

(とはいえこのタイプの相手を倒すには遠距離や中距離からのビーム兵器や火器で撃ち落とすのがセオリーだが、そんな追加武装は持っていない。)

一方もイデアールもヴァルヴレイヴを引き離し中距離からマイクロミサイルを放つ。引き離された間合いを必死に詰めては放たれたミサイルの対処に再び引き離されるの一進一退の戦闘を続ける両者。

「くっ!こっちがガ〇ダムを使いこなせないとはいえモビルアーマー風情に遅れをとってたまるか!!」

正確無比に追尾されてミサイル群をジー・エッジで斬り裂いたタイミングを狙って遅れてアッパーカットを打つように一つのミサイルが顎に直撃する。

「うわっ!」

(あのイデアールのパイロット。敢えて放つ幾つかのミサイルの直撃する速度を戦いながら調節して来やがる!!)

「何の!!バァルカン!?」

一発目のミサイルが直撃し機体の動きが止まったところから他のミサイルが次々と五月雨の如く迫るも首を動かし側頭部のバリアブル・バルカンを放ちミサイル群を次々と破壊して爆発で機体の姿を隠す。

「ヴァルヴレイヴは!!」

逃がしはしないの気持ちで相手の動きを注意するアードライ。そしてミサイルの爆煙が晴れるとアードライ驚きの表情を見せる。

「いない!馬鹿な!?一体何処っ!!?」

モニタで直ぐに周囲を見て相手を探していると背後から突然、衝撃が走りコクピットが揺れる。

「何だ!?なっ!」

背後のモニタに視線を向けるとアードライの右目が大きく見開く。

自分が操縦するイデアールの背中に探していた筈のヴァルヴレイヴの姿があった。

「馬鹿な!?一体どうやって!?」

 

原理は至ってシンプル。

「っ!?」

バリアブル・バルカンでミサイル群を破壊して煙幕代わりにした隙に右手から己の血肉で琵琶を順番に形成して両手に持ちヴァルヴレイヴサイズの障子を宇宙空間に出現させて無限城へ移動する。

「っ!!」

この時、エルエルフは当然だが目を見開き驚きの表情を見せる。

血肉から琵琶を形成した事と果ての見えない無限城の景色に⋯⋯

機体サイズの通路を作っておらず柱や壁を次々と破壊しながら移動してナイアガラの滝に似た巨大な大瀑布に機体を犬神家の一族のあのポーズ同様の逆さまの体勢で冷やしながら沈めて

「おい!?此処は一体何処だ!?」

スクリーン越しに映る大瀑布をキョロキョロと眺めるエルエルフ。さっきまで宇宙空間にいたのに、気が付いたら見知らぬ場所にいるから状況が混乱している様子だ。

「シャラップ!!⋯⋯次からはこのサイズに合った通路とか作っておこう。」

「いや、こんな瞬間移動方法あるなら、刀を持って相手の後ろから不意打ち攻撃出来るじゃないですか!?」

目の前で操縦する鬼が割とチートな能力や怪しい術を沢山持っているのを知ったサキは冷静にツッコミする。

「お前な⋯⋯っ!?」

サキに何か言うよりも素早く琵琶を鳴らし空に機体サイズの障子を出現させ障子に向けて機体を素早く飛行させる。

「ちょっと!?急にどうしたの!?」

次の瞬間、自分達がさっきまで沈んでいた大瀑布に黄色い巨大な雷撃が漏電する。

「なっ!?」

スクリーンから漏電する様子を眺めて絶句するサキ達に対して闘牙は冷静に言う。

「狼牙丸め!本気で朱天大将と戦っているようだな。」

障子が左右に開くと幾つも障子が姿を見せて一斉に開かずに機体が通ると順番に開いては閉まり無限城内の空気を抜けないようにして障子のその先は宇宙空間⋯⋯アードライが操縦するイデアールの背後に出る。

「ゲ〇ターキック!!」

イデアールの背後から急降下蹴りの体勢をして叩き込みイデアールの背後の装甲をめり込ませる共に足場を確保したヴァルヴレイヴは右手に握ったジー・エッジを振り上げる。

「貰った!!」

「くっ!」

ジー・エッジを振り下ろそうとするのに対してイデアールは後部の推進スラスターユニットの出力を最大にしてヴァルヴレイヴから離れようとする。

「のわっ!」

イデアールの速度を上げた事で足場が突然、無くなり振り落とされそうになるも左手でイデアールの左翼部分に無理矢理掴まりしがみつく。

「ちっ!?」

だが機体が片手でスピードを出すイデアールにしがみつく状態でジー・エッジを思う存分に振り回す事が出来ない状況に舌打ちをしながら側頭部のバリアブル・バルカンを放ち、イデアールに背後から幾つかダメージを与える。コクピットには狙いが定まらない物の左翼のマイクロミサイルポッドに数発直撃。アードライは背後から攻撃され続けるのは不味いと考えてイデアールを急停止させて右手のマニピュレーターの有線式クローアームを射出させて後方にいたヴァルヴレイヴの胴体を掴んで放り投げ飛ばす。

「どわぁあああああ!!」

投げ飛ばされる直前ヴァルヴレイヴは手甲部分のハンド・レイを連射して左翼のマイクロミサイルポッドを攻撃し

「おのれっ!」

イデアールの状態を確認して誘爆する直前、急ぎ左翼下部分をパージさせて左翼下のマイクロミサイルポッドはイデアールから離れた位置で爆発する。

そうしている間に体勢を整えたヴァルヴレイヴはジー・エッジを構えてイデアールに向かって横一直線に斬り掛かる。

「こんのぉビ〇ロ擬きがぁああああああああ!!?」

「エルエルフウウウゥゥゥゥ!!!?」

両者全力でコクピット内で言いたい事を叫びながらスピードを出してヴァルヴレイヴはジー・エッジをイデアールはマニピュレーターのクローアームによる攻撃を相手に向けて放つ。互いに直撃は不味いと判断され迫る攻撃を躱し紙一重に通り過ぎて交差した後旋回して再び接近する。

射出された左のマニピュレーターのクローアームをギリギリで躱し接近するヴァルヴレイヴ。

クローアームの右腕の薙ぎ払う一振りを上に飛んで躱し両手で握り締めたジー・エッジで大上段の構えをして振り下ろすも、イデアールの後部の推進スラスターユニットの放出し機体ごとヴァルヴレイヴに体当たりしてヴァルヴレイヴは火花を散らしながら吹き飛ばされる。

「ぐっ!体当たりなんてえげつない事しやがる!仁王掌!!」

此方より相手の方が大きいから激突したら必然的に小さい方が、多くダメージを貰う。咄嗟に右手に持ったジー・エッジを左手に持ち有効距離に敵の機体が接近したおかげでバリアブル・バルカンと闘気を込めた拳の技を右手から放ちイデアールの胴体の装甲に拳の跡をめり込み傷を作りながら後方へ吹き飛び両者ダメージを貰う。

機体の体勢を急いで闘牙は慌てて立て直すも先に体勢を立て直したのはアードライの方だった。

「なっ!!」

モニタには目前に迫るイデアールのクローアームはヴァルヴレイヴの片足を掴み締め上げて残ったクローアームでヴァルヴレイヴの胴体を殴る。その一撃でコクピットが激しく揺れて再びイデアールはクローアームでヴァルヴレイヴの腹部を殴りつける。打撃音と共にダメージを蓄積させるコクピット内では危険を知らせるアラートが鳴る。

「畜生!!組み技かよ!?まるでガ〇ダムと対峙したグ〇ブロ戦みたいだ!?」

「言っている場合ですか!?」

「分かっているよ!?」

イデアールに殴られながらジー・エッジを鞘に収めて片足を万力の如きイデアールのクローアームの拘束を両手で外して脱出しイデアールに接近し頭部を左右のマニピュレーターで怒りを込めて殴り飛ばして更に胴体を蹴り上げて一気に距離を取るヴァルヴレイヴ。

「ダメージを貰い続けた。一旦距離を取るぞ。」

イデアールから背を向けて離れて行く。

「エルエルフゥ⋯⋯逃がす物か!!」

ヴァルヴレイヴの拳によって揺れた頭部コクピットの揺れが収まり追撃を警戒していると突然、イデアールから距離を取り続けるヴァルヴレイヴに対してビーム砲と右翼下だけになったマイクロミサイルポッドから、上下右の三方から無数のミサイルが射出される

「くそっ!マイクロミサイル恐怖症になりそうだ!?」

慌てて逃げるように飛ぶヴァルヴレイヴをミサイルは正確に追尾する。

「しつこい奴は嫌われるぞ!!板野サーカスはフィクションなら良いけど実際にされるとメッチャやだ!?」

飛来するビーム攻撃を避けつつ両手を勢い良く振るい硬質残光の光の帯が光の爪となり追尾するミサイルを破壊して捌くも数の多さで捌き切れずに一発、ニ発、三発目と機体に次々と突き刺さる。

「ちっ!いやらしい攻撃をしやがる!?」

ミサイルを対処するも被弾するのは数の多さもあるが、腕を振るう動作に合わせてアードライがビーム砲を発射して振るう勢いを遅らせているのも大きい。頭部やコクピットがある胴体に迫るビーム砲は回避や硬質残光で防ぐもビーム砲攻撃とミサイル攻撃に意識を割らないといけない闘牙は着実に追い詰められていく。

何時ものアードライなら、疑問を感じたかもしれない。

アードライは、自分の優秀さを知っている。そして、その上でなお、仲間でありながら自分を撃ったエルエルフの優秀さを認めている。自分の知っているエルエルフが本気で裏切ったなら、こんな一方的な戦闘になるはずがない。情報の少ない機体の戦い方にも違和感を覚える筈だ⋯その事に気付いたかもしれない。

だが。今のアードライは、エルエルフに撃たれた左目のうずきに身を焦がし、良き好敵手であり信頼していた友に裏切られた怒りで冷静な判断力を失っていた。次々と直撃するミサイル。そしてやがて

「⋯⋯動きが止まった?」

まるで諦めたかのように、ヴァルヴレイヴが抵抗を止めた。

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黄色いカラーリングが施されたイデアールが仲間の機体と考えていたのだが、仲間らしくない泥臭い感情任せの戦いをする為に、別人じゃないかとエルエルフは一時は不審に思うも、

「このミサイル誘導技術⋯⋯アードライか!」

しかしヴァルヴレイヴのコクピット内の全周囲スクリーンモニタで見える縦横無尽のミサイル誘導の仕方で、不審と感じた相手が誰か漸く察するエルエルフ。イデアールの単艦戦力もアードライの戦闘技術も、エルエルフはよく知っている。未だ多数残存しているバッフェに加えこれでは、ますます闘牙達に勝ち目などない。更に窮境は重なる。モニタに表示された熱量が、すでに82%に達している。流石に張り詰めた表情で、それを指差してサキが聞く。

「この数字は?」

「機体の熱量を知らせる数字⋯⋯100%になったら、オーバーヒートして機体冷却の為に機体は活動停止するでゴワス。」

「そんな、どうすればいいの?」

「初戦闘の時は俺の血を機体の全身に纏わせたお陰で機体の熱量を攻撃用に転移放出できたが、今回は時間が無かったから右手しか使えない。しかも宇宙空間だと熱系統の血鬼術は放出出来ないドン。」

「何でよ!?モジュールで赤いドルシアのロボットの相手の時は思いっ切り右手から色々出していたじゃない!?」

「宇宙に空気が無いからでザマス!?」

熱系統の技以外の血鬼術は問題なく使えるも、機体の熱量は上がるのはこのままでは止められない。言い合っている内にも上がっていく数字に動揺するサキと闘牙。

「ねぇ、さっきの空間の滝は!?」

闘牙の言葉を聞いてさっきのナイアガラの滝に似た大瀑布を思い出すサキ。大瀑布の大きさから機体を冷やしても問題ない広さをしている。

「機体の冷却をしても宇宙戦闘なら必然的に熱量はまた上がるぞ。冷却する為にいちいち出たり入ったりするのか?」

「必要ならやるわよ!!」

「あれは、滝行用の滝だ。鬼闘術の奥義で放つ拳圧で逆流させるのを前提の!?」

「えっ!そうなの!?滝行するにはあの滝絶対に広過ぎよ!きゃあっ!?」

その時、コクピット内で浮かび上がるサキの足首を掴む手があった。

「降伏しろ。武装解除信号を出すんだ」

(あの野郎、いつの間に!?)

エルエルフ。どんな手段を用いたのか、いつの間にかサキが縛ったロープの拘束を抜け出している。

後ろから左腕でサキの首を締めつけ、右手のドルシア軍の銃を闘牙に向ける。

「貴様、今すぐその子を離さなければ肉片に変えるぞ!!」

犬歯を八重歯以上に尖らせエルエルフに向ける闘牙。

「ヘタな事をしようとするならこの女を殺す。」

「其れよりも先に貴様の頸を斬るぞ!!ウォーズマン!!」

銃口を向けられながら怯えた様子も無く闘牙は右手を手刀の構えをし何時でも仕留める動きに切り替える闘牙。

ヴァルヴレイヴは、特殊な適性のある者しか動かせない。それを事前に上司であるカインに教えられたエルエルフはここで自分におかしな動きや攻撃方法して追い詰めたパイロットを撃つ訳にはいかないのだが、闘牙達に其れが分かる筈もない。

拘束されたサキ。思考と分析するエルエルフ。其れを睨みつける闘牙。コクピット内は膠着状態に陥る。

しかし、それも数秒。

三人以外の存在がコクピット内で突然機械音と共に動き出しエルエルフとサキはそっちの音に一瞬、意識を割ってしまう。闘牙の使い魔 飛燕である。エルエルフの視界の前に突然遮る動きし

「っ!」

「ナイスだ。飛燕。」

一瞬でエルエルフの銃を手刀で斬り裂き相手が軍用ナイフを袖から出すより早く闘牙の両手から堕姫の帯を放ちエルエルフを一瞬でグルグルと拘束する。

「俺に礼の言葉は良い⋯⋯飛燕の奴に礼の言葉を言うんだな。流木野。」

「その私もコイツと一緒に拘束されているんですけど!!」

ジト目で闘牙にツッコミを叫ぶサキ。視界は塞がれてもサキの拘束は外さなかったエルエルフ。仕方なくサキも一緒にエルエルフは拘束されてしまう。

「拘束を解いたらウォーズマンも自由になるんだ。少し我慢しろ。」

「先輩の特殊能力で私だけ助けてコイツだけ拘束出来ないんですか!?」

「今は時間と状況が切迫しているんだ。頑張れ!フラウ・ボウ。君は強い子だろ。」CV古谷徹に似た声真似をする闘牙。

「誰がフラウ・ボウですか!?」

再びコクピットを揺らした衝撃に、闘牙達は慌ててスクリーンに眼を戻す。

ヴァルヴレイヴの眼前に、アードライのイデアールが接近、接触してきた。

『エルエルフ⋯⋯何故私を撃った!』

「なに⋯⋯!?」

聞いた接触通信の回線から聞こえてきたアードライの声に、身動きが全然取れないエルエルフが目を見開く。

「それは君が⋯⋯玉ねぎ坊やだからさ。」荷物から勇者ライデ◯ーンのプリンス・シャーキンの仮面を付けた闘牙がニヒルな笑みを浮かべながらエルエルフの声真似で返す。

『なっ!?⋯⋯裏切り者が⋯⋯お前だけは、この手で!!』

『何を⋯⋯言ってるんだ』

目を見開き戸惑う表情を見せたエルエルフは闘牙やサキに視線を向け⋯⋯二人は顔を見合わせて

「既に起きた事実の話かな⋯⋯」

「確かに⋯⋯」

阿吽の呼吸で何かの事実を知ってそうな返事をする。

『エルエルフゥッ!』

「鬼闘術 金剛炸裂掌!!」

怒りの雄叫びと共にイデアールの有線式マニピュレーターが、ヴァルヴレイヴを掴んだまま手首から射出される。だが射出されるより早くヴァルヴレイヴは両踵の光の帯を噴射し接近した相手に対して右拳を握り締め至近距離からイデアールの胴体に向けて右拳を抜き放ち胴体の硬い装甲に大きな円形の窪みを作り出しヒビが走る。

「のわあああああああ!!」

金剛炸裂掌でアードライのイデアールの装甲を軽くない損傷を与えて後方に吹き飛ばすもヴァルヴレイヴもマニピュレーターを避けられずにそのまま後方を浮遊していた隕石に叩きつけられる。

「くっ!?痛み分けか⋯だがチャンスは最大限に生かす。それが俺達の流儀だ!?」

隕石に叩きつけられ激しい衝撃に揺れるコクピットの中、エルエルフは愕然としている。

「裏切った⋯⋯?俺が!?」

「先輩⋯⋯戦犯ですね。」そうサキはジト目で闘牙を見て複雑な気持ちを込めて言う。

「仕方ないだろ⋯⋯あのままお前達を見捨て同級生達に恨みの篭った言葉の暴力を全方向から進んで貰いたくなかったんだよ。」

ヴァルヴレイヴの踵から光の帯を放出させながら、迫ってくるイデアールから必死に距離を取る闘牙に、エルエルフは帯に身動きが封じられながら無理矢理詰め寄る。

「おい!どういう事だ!」

「本当に⋯⋯申し訳ありません。⋯⋯君には普通に悪いとは思うよ。でも此方も知り合いが危険に晒されていたから。だが私は謝らない。」取引先の人に謝罪する中年男性の顔真似をしながらキリッと唯我独尊の表情に変わり謝罪しない事をアピールする闘牙。

「先輩。普通にドルシアの軍人に謝ってます!?」

「ふざけるな!?」

「言った通りよ。貴方は仲間達を撃った。だから」

「俺は撃ってない!」

「否、警備をしていた歩兵に技術士官達も遠慮なく撃ってたぞ。綺麗なタワーブリッジを決めていたし」

「涎を垂れ流して全力疾走していたし、MAKIDAIとノリノリに踊ってたし、バーテンダーになってカクテルをシェイクしていたわ。」闘牙がジャックしたエルエルフの奇行の数々の光景を思い出しながら言うサキ。

「嘘だ!?」

サキの首を締めつけるエルエルフ。明らかに動揺が増している。

「本当なんだけどな⋯」呆れながら返事を返すと共にイデアールからのミサイル攻撃が再び始まり、闘牙は操縦に意識を集中する。

ミサイル攻撃を躱しながら移動するヴァルヴレイヴは背後に振り返り左手を迫るミサイル群に向けて

「何とかビィーーーム!!」

左手の平から謎の極彩色の直線光線が放たれてミサイルの何割かを撃ち落とす。

「何か手から出たぁ!!」機体の左手を凝視して驚く闘牙とサキ

「否、先輩も驚くんですか!!何とかビームって一体何ですか!!」

「否、俺が一番聞きたいよ!!輻射波動とかハドロン砲を連想していたのに違ったよ!?」

「先輩ミサイル!?」

「あぁ!もうしつこい!?」

板野サーカス並みにしつこい縦横無尽な軌道を描く無数のミサイルを闘牙は曲芸のようにヴァルヴレイヴを操りながらなんとか回避する。回避出来ないミサイルは、手首から放出させた真紅のレイヴ・エネルギーを硬質化してぶつけ、爆発させる。

「この野郎!?」

ヴァルヴレイヴの右手の平から堕姫の帯をさながらグフのヒートロッドを出すように出現させて迫るミサイルの一つを絡ませて機体の右腕を大きく振り回してイデアールの方に向けて投擲する。

「なっ!」

真っ直ぐ迫るミサイルに一瞬驚くも着弾直前にイデアールのビーム砲で撃ち落とすも機体近くで爆発した少し機体に揺れて装甲が傷つく。

「ちっ!仕留め損ねた!?」

「エルエルフウウウゥゥゥゥ!!!!?」

瞳孔を限界まで見開き知り合いが見たら確実にビビるくらいの凄い形相で怒りの感情を込めて声の限りに叫ぶアードライ。

 

イデアールが並々ならぬ気迫と怒気を帯びるようになり、その気迫を受けてギャグ漫画みたいにビビるヴァルヴレイヴと闘牙達。

「不味いですよ先輩!?絶対に火に油を注いでますよ!?」

「分かってるよ!!アイツはまうい棒の納豆味が好きなユージ・アルカナか何かか?DEAD!!」

悪態の言葉を吐きながら攻撃が激しくなると予想して弾幕の途切れた間隙を狙って、急いでそこから更に飛んで逃げようとするヴァルヴレイヴ。しかし、今度は別方向からビームの一斉射が飛んできた。

いつの間にか現れたもう一機の赤いパーソナルカラーをしたイデアールが、こちらに砲門を向けている。

「新手か!?」

(まさか、真紅のスレイプニル?否、違う!!)

赤だがシャアとジョニー・ライデン並みに色の濃さ薄さで違いがある。

「だが敵なら容赦しないぜ!?受けよ!?炎のエースストライカーのファイアトルネード!!?」

機体の両足の踵から真紅のレイヴ・エネルギーを放出させながら機体を錐揉み回転しながら上昇し赤いイデアールに向けて回し蹴りを放つも右腕のマニピュレーターで防がれる。

『甘いぜ!エルエルフ!?』

赤いイデアールから一撃を当てるも防がれて直ぐにイデアールから離れるヴァルヴレイヴ。その際に赤いイデアールはマニピュレーターで薙ぎ払うも機体を後ろに下がらせて躱し追撃のビーム攻撃を放たれるもイデアールの真下に通り過ぎビームを躱してクーフィアが操縦するイデアールはヴァルヴレイヴを追う。

『裏切ってくれてありがとう⋯⋯エルエルフ。』

「どう致しまして!?」

クーフィアの通信に間髪入れずに力強い返事を返す闘牙。

「先輩!何で、敵にお礼の言葉を言っているんですか!?」

「良いだろ。にしてもお前の知り合い、躊躇も無く嬉しそうにお前と戦いたがっているじゃん。お前、実は仲間内に結構嫌われてたんじゃないか?」堕姫の帯に縛り上げられ拘束されたエルエルフに一度視線を向けて直ぐに視線を迫るイデアールに向けて呆れて言う闘牙。

「変な事を言うな!?アイツは只の頭のおかしい奴なだけだ!?」

「友達扱いですらなかったよ。」

「アイツらとは苦楽を共にし切磋琢磨した仲だ!?」

「嘘だぁ〜〜今の扱いから見てどう考えてもそういう奴じゃないよ。お前小粋なジョークとか絶対に言わない面しているじゃん。協調性とかコミュニケーション能力絶対俺らより低いぞ。」

「わぁ〜凄い〜〜オタクの先輩が此処ぞと言うタイミングで敵の兵士相手にマウントとってる〜。凄く大人気ない⋯⋯」

「っと会話している暇も無い!?アチョー!?」

攻撃してくるクーフィアのイデアールに対してヴァルヴレイヴはカンフーのSEとも右拳を一気に抜き放つ。その一点集中の強烈な破砕打撃の拳圧によってクーフィアの赤いイデアールは後方に一気に押し出されて近くに浮遊する隕石に叩き付けられる。

『うわああああああああっ!!』

悲鳴を上げるクーフィアを他所に闘牙は不満な表情を露わにしつつ相手との間合いを維持する。

(此方はまだ機体の慣熟訓練もまだなのに!?)

どうも、この機体武装が汎用型と言うよりも白兵戦に特化した傾向が強い⋯⋯専用の盾も銃火器も無いから戦争アニメのロボットみたいな普通の戦闘も出来ない始末。刀を使って破壊すれば良いんだけど、相手の攻撃がさっきの黄色いイデアールに比べて苛烈を極めているから其れも難しい。

『やるじゃん。エルエルフとは一度バトってみたかったんだよねぇ!』

イデアールを傷つけられ仲間に攻撃されて悲しみを感じるどころか嬉々として攻撃を仕掛けるクーフィアに闘牙は凄く嫌な表情で

「こう言うイカれた戦闘狂はもういらないんだよ!!アッシのお腹いっぱいなの!?」

戦闘狂が言いそうな台詞に身内同然の分身体の一匹の姿を思い出す闘牙。

『バッフェリーダーより各機へ。ワシに続けぇ!!』

イデアール達と激闘を繰り広げるヴァルヴレイヴに無数のバッフェ達が一列となってヴァルヴレイヴに迫ってくる。

「バッフェ師団、総員出撃せよっ!」

「邪魔だ!?」

クーフィアのイデアールのビーム砲撃を次々と躱しながら機体の右手から錫杖を生み出し左手に持ち直し更に右手から錫杖を出現させ両手に持った二本の錫杖の先端を迫るバッフェ達に向けて

「スペー〇サンダーっ!!」

意味の無い技名を叫んでバッフェ師団達に錫杖から放つ電撃全体攻撃を叩き込みバッフェ師団達を感電させる。人間の全身を痺れさせる程度で破壊は不可能だが一列に並んでくれたおかげで

「〇ッタービーム!!」

コクピット内で叫ぶと共に頭部と腹部からビーム発射口が無いにピンク色の直線型の破壊光線が動きが止まり散開出来ないバッフェ師団達に向かって躊躇なく放たれて全てピンク色の破壊の光の奔流に飲み込まれてバッフェ師団達は宇宙の塵となる。

『のわああああああああ!!ワシがまさかこんな所で〜〜!!』

いの一番に先陣をきった為にピンク色の破壊光線の最初の餌食になったバッフェ師団長の断末魔の叫びは闘牙達に聞こえる事なく宇宙に消える。

 

「いや、スペー〇サンダーって何!!?」

そしてコクピット内で煩いツッコミを叫ぶサキ。

「スペー〇サンダーはスペー〇サンダーだ。」

そんなサキのツッコミに対して淡々とした表情を答える闘牙。

「いや知らないですよ!?何さも皆知っているだろ?みたいな表情しているんですか?」

「この雷撃、機体を破壊する威力は足りないけど精密機器の基盤や回線をショートさせる程度の威力はあるだよ。」

「それ、ある意味破壊しているんですよ。」

「取り敢えず邪魔する連中はコレで片付けた。」

二本の錫杖を右手の中に素早く戻して

『良くも兄者の奴を!?高機動型バッフェ・カスタム師団!!俺に続け!!』

破壊したバッフェ師団とは反対の方向から無数の高機動型バッフェ・カスタムが一列でヴァルヴレイヴに迫る。

「しつこい!?NARUTO召喚!?」

闘牙は高らかに叫びヴァルヴレイヴは右手から極彩色の壺を出現させ壺の中からケミカルな光と共にNARUTOを召喚する⋯⋯ラーメンのなるとを。

「何コレ〜〜」

暗い宇宙空間に巨大なラーメンのなるとの出現にサキは純粋な疑問の気持ちを呆れた声に出す。

「NARUTOだ!?」

「NARUTOの事は分からないけど絶対にそのNARUTOじゃない方の"なると"ですよね。」

「なるとを甘く見るなよ。コイツには無限の可能性を秘めているんだからな。」

「宇宙空間に練り物を出現させて言う台詞ですか!?」

「いけっ!?なると!!ウズマキだ!?」

「何か扱いが食べ物の扱いの其れじゃない!?生き物の扱い!!⋯⋯完全に練り物を使役させてる。」

巨大な練り物のなるとはその場で1人でに渦巻き部分を高速回転する高機動型バッフェ師団はその真ん中の渦巻き部分を見てしまい個々の動きが乱れ始めて統率が無くなる。

「何が起きているの!?」

「NARUTOの渦巻きを見て混乱しているんだろ。」

【高機動型バッフェ師団はなるとの真ん中を見てしまった!】

「隙あり!?」

混乱する高機動型バッフェ師団達を無視して別移動するヴァルヴレイヴ。

「倒さなくて良いの?」

「倒さないといけないけど今はあんな奴らより警戒しないいけないのがいるだろ!?」

ピタッと後方から追跡してくるイデアール達のビーム砲を意識しながらサキの疑問を答える闘牙。

クルッと向きを反対に変えて迫るビームを次々と掻い潜りながらクーフィア機のイデアールに接近し加速させた勢いのまま反撃の左ニーブロウをイデアールの頭部近くに叩き込む。

『ぐっ!やるじゃん!!』

「この距離ならIフィールドのバリアは張れないな!?」

(Iフィールド?何だソレは⋯)

『なっ!?』

クーフィアは相手の意図に気付くもそのままヴァルヴレイヴはイデアールの頭部を両手でしがみつき頭部のバリアブル・バルカンのスイッチを押そうとする。

「とった!?」

その時、コクピットから危険を知らせるアラートが現れてアードライが搭乗するイデアールのビームが迫る。

「ヤバッ!」

バルカンのスイッチを押すのを辞めてクーフィアのイデアールから離れて迫るビームの回避する。

『お前の相手は私だ!?エルエルフッ!!』

アードライの叫び声を聞きながらヴァルヴレイヴはハンド・レイとバリアブル・バルカンを牽制用に放つ。

「お前の敵はエルエルフじゃない!?本当の敵を間違えるな!?」

(⋯⋯的を得た返答をしているのに放つ攻撃に遠慮の欠片も無いわよ。この先輩。)

「って先輩!?赤い奴の攻撃も来ます!?」

「分かっているぜぇ!!」

先程破壊したバッフェ師団の残骸はデブリと化した地帯に回り込むように移動し追跡する2機のイデアールの追撃を躱しながら残骸の破片を両手で掴み素早く黄色いイデアールに向けて投擲する。

『小癪な!?』

投擲されたバッフェのデブリをイデアールはマニピュレーターを振り払い破壊。破壊した直後の破片がイデアールに礫のように直撃するもイデアールはヴァルヴレイヴを執拗に追跡する。

「NARUTO!?黄色いイデアールに向かってギザギザだ!?」

続いて迫るなるとがアードライのイデアールの真横に激突しイデアールは軽く揺れる。

『ぐおおおおおおおおおお!?NARUTOだと!?』

接近したなると独りでに回転しイデアールの装甲にギザギザした部分が直撃し激しい火花を散らしながらイデアールを押さえつけようとする。

「練り物なるとが思いの外に接戦してますよ!?」

「負けるな!?NARUTO!?」

『練り物如きが私の邪魔をするな!?』

火花を散らしながらイデアールは両腕のマニピュレーターを振るい練り物なるとと殴り合う。

アードライのイデアールがなるとと激しい戦いをする横で赤いクーフィアのイデアールがヴァルヴレイヴに静かに向き合う。

『アードライなんかよりも僕と遊ぼうよ〜エルエルフ〜』子供っぽい言い方で言うクーフィア。

「⋯⋯⋯こんのバトルジャンキーが!?」

そう闘牙がキレ気味に叫ぶと血を纏わせた機体の右手から十文字槍を生やして両手に持ち機体を加速させてクーフィアのイデアールに一気に肉迫する。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

モジュール77全体が夜の時間帯に設定を変えられ暗闇に包まれた咲森学園の体育館に突然、校内放送特有のチャイムが流れる。

「?」

そのチャイムに咲森学園生徒もドルシア軍の歩兵達も意識を向ける。

『あー。あー。現在咲森学園を占領している間抜けで馬鹿なドルシア軍人共に告げる。大人しく捕虜を捨てて艦に戻れ。これは警告だ。』

「誰?」

「知ってる?」

「この声って⋯⋯もしかして山本君?」

七海リオンは酷い雨の日に闘牙と共に登校して来た少年の声を思い出す。記憶の奥から思い出す程、学園の中で余りに見掛けない為に同じクラスの同級生の一部からは『そんな奴いたか?』とドルシア兵士達に銃を向けられながら疑問を浮かべる者もいる。

『軍人としての務めを守るのは良いが、接点無し同然の同級生達の奴らが俺の知らない所で勝手に連れ拐われるのは無視出来ん。再警告だ。大人しく学園の捕虜を全員捨てて艦に戻れ。戻らずに抵抗する場合は此方も出す物出すからな。』

歩兵達は銃を生徒達に向けながら互いに顔を見合わせる。校内放送だから体育館にいる歩兵達の方から何か言っても一方通行の為に対話が成り立たない。

取り敢えずまだ捕虜にしてない生徒が放送室にいると考えて歩兵の二人が放送室に向かおうと考えていたら、

『尚この放送は録音だ。この放送の目的はこの放送を聞く咲森学園内にいるドルシア軍達のほんの数秒間、注意を逸らす事⋯⋯それじゃ、ドルシア軍の皆さん。御機嫌よう⋯⋯そしてさようなら。』

その不穏な内容の校内放送は終わると共に咲森学園体育館に奴らが到着する。

 

 

 

 

「あれ?」

ドルシア歩兵の1人の青年兵士が気付いた時には隣にいた仲間の姿が忽然と消えていた。

始めは暗闇の為に居場所が分からないとドルシアの兵士達は思っていた⋯⋯しかし、1人また1人と声を出す事なく消えていく。

「おい。お前ら?何処に⋯⋯」

返事が返ってこない事実に男は言い知れぬ不安が生まれ周りにはジオール人の捕虜の学生達がいるのに、暗黒に包まれた体育館は不気味な静寂と得体の知れない気配が漂い始める⋯⋯

 

(体育館に何かがいる⋯⋯)

ジオールの学生達もドルシアの軍人達も事態の把握もままならない中で気配に敏感な誰かが得体の知れない気配を感じ取り始める。

まるで暗闇の奥から猛獣がいるかのような圧迫感が体育館に拡がり始めてドルシア軍人達は周囲を震えながら確認しようとする。

「誰か体育館の灯りを点けろ!?」

震える恐怖を掻き消すように大声で叫ぶ1人の軍人。その軍人の声を聞いた何人かは電源をつけようと暗闇の中で無数の靴の足音を鳴らす。

【コーーォォォン。】

暗闇の体育館に予想外の出来事に対応を追われるドルシア兵士達の耳に場違いな機械の稼働音と狐の鳴き声が響き渡る。

「っ!?」

鳴き声が鳴った方向に振り向いた瞬間、無言で万力の如き握力を持つ手が1人のドルシア兵士の頭を掴み一気に兵士の首をあらぬ方向にへし折り仕留める。

「⋯⋯⋯」

「何だ貴様は!?」

兵士の1人が仲間を殺した狐の面を付けた奇怪な存在に声を荒げて突撃銃を一斉に向ける。

だが目の前の存在は何も語らずに静かに不気味に黙々と兵士達に迫る。

 

 

「⋯⋯血鬼術 隠身 血忍刀。」

暗闇の中でドルシア軍の兵士達に怯える学園生達に紛れて黒い忍び装束を纏った存在が音も無くドルシア軍の兵士達に気付かれずに忍び寄り⋯⋯⋯一気に通り過ぎる。

白怒火が通り過ぎたドルシア兵士達は何をされたのか理解出来ないまま次々と力なく倒れる。別のドルシア兵士が此方の異常を気付くより速くにその場から一度姿を闇の中に隠し相手が周囲を警戒する間、

(学園生徒達がいる中で⋯⋯無闇な流血を避けないといけないのが面倒臭いが⋯⋯)

体育館の天井に逆さまに立ち生徒達のいる位置に敵の人数と武器の種類を目で見ながら

(思った以上に敵の数は少ないけど人質の生徒の数が想像より多くて⋯⋯面倒くさいなぁ⋯⋯けどまぁ、一網打尽にする為の焙烙玉みたいな爆弾とか使う訳にもいかないし⋯⋯)

「光が極端に少ない暗闇なら其処は俺の領域⋯⋯俺の世界だ。」

自身の血で形成した日輪刀では無い黒い刀身の先端が打刀状に伸びた血忍刀を逆手に持ちながら音を鳴らさずに天井裏から狙う敵を決めて光る金属を狙う烏のように奇襲を仕掛ける。

「っ!?」

相手の視線が自分の姿⋯⋯最小限に聞こえる音⋯⋯声を喉から出すよりも⋯⋯両手に持つ突撃銃を動かすよりも⋯⋯全てに反応するより速く打撃と忍者刀を振るい皮膚を薄く切り鎌鼬のように出血を出来る限り少なくして忍者刀の毒で仕留めては生徒達や兵士達に気付かれる事なく闇の中に消えて現れるを繰り返す。

 

分裂体の中では新参者の鞍馬ノ白怒火飛勇鶴は忍者のような隠密行動に長けていただけでなく炎竜鬼自身が朱天大将の剣術に対抗する為に朱天大将同様刀を主体にした戦い方もする。

 

朱天大将相手では本気の殺し合いにしかならない為に徒手空拳の格闘鍛練は狼牙丸が⋯⋯遠中近の様々な武器を使った鍛練は白怒火が担当する。

大将同様鬼の呼吸も使える鬼なのに性格は本体の闘牙と同じくやる気の無い面倒臭がり屋の一面を一番受け継いでいる。

(凄く面倒臭くても俺が片付けない理由にはならないか⋯⋯とにかく敵をチマチマで良いから減らそ。)

難しい事は本体や真面目な分裂体が考えるだろうと他力本願にして黒装束を身に纏った烏の面を被った忍者は逆手持ちの血忍刀を動く敵に向けて影よりも速く振るう。

 

「血鬼術 蔓蓮華」

体育館内で暗闘する白怒火と九荷を他所に体育館の外側にいた捨麿は二つの黄金の扇子を舞うように振るうと共に周囲の空気が凍るように凍てつき複数の水生植物の蓮を模した氷の蔓を体育館内に送り込み十数人のドルシア兵士達を体育館内から外へ引き摺り込む。

「何だ!この蔓!?氷で出来ているぞ!?」

「貴様は誰だ!!」

氷の蓮の蔓に身体を絡めとられた兵士の一人が突撃銃を無理やり向けるも血色の髑髏の面を被った捨麿は仮面の奥で嗜虐的な笑みを浮かべながら彼らに近付き

「血鬼術 粉凍り」

敵の兵士達の目の前で自らの両手首を扇子で躊躇なく切り裂き出血させる。突然の自傷行為に驚くドルシア兵士達を無視して流れ落ちる血に人の温かさ等なく地面を赤く染める事もなく落下する途中で冷気を纏わせた霧のように飛散する。

そして⋯⋯直ぐに異常は起きる。

「っ!?」

凍てつく謎の霧を謀らずも吸った途端、人が意識せずにする呼吸が突如として出来なくなり突撃銃を持つ手の力は見る見ると弱まり全身から力が入らなくなる。目は危機的な異常を表す為に血走った眼孔を見開かせるも呼吸が出来ない為に声も出せずに口をパクパクと開くのみ。意識を保つ事も出来なくなりやがて糸が切れた人形のように事切れる。

 

者言わぬ骸と化した兵士達に興味を無くした捨麿は咲者学園の体育館内にいる敵を二人に任せてモジュール77内に残留しているドルシア軍がいる方向に視線を向ける。

 

「何だコイツらは!!」

突如何処からともなく巨大な氷の仏像の軍団が一斉に口を開き口から強力は冷気を放ってはモジュール内に残っているドルシア軍の戦車を中にいる人間ごと次々と凍らせる。またはその冷気攻撃を回避した戦車を質量を持つ氷の拳で粉砕する様子が其処にあった。

(戦車は仏像達に任せて麿はモジュール内の残存戦力を一掃するとするでおじゃるか⋯⋯)

氷を張った道を捨麿はフィギュアスケート選手の要領で滑り移動。

視界と血の臭いで先に見つけた捨麿は両手に持った黄金の扇子に己の血を流す。

「血鬼術 氷龍爪刃。」

扇子の先端に3本の龍の爪状の鋭利で硬質な氷の刃が展開されて舞うように黄金の扇子を振るい接敵した突撃銃を持ったドルシア兵士達を一瞬で通り過ぎると僅か数秒で兵士達の全身から赤い血が美しい華のように咲き乱れる。

爪状の刃で斬れ味とリーチの増した扇子で斬り裂かれた身体から血が一斉に飛び散ると同時に相手の血が極低温で瞬く間に氷漬けにしてしまう。

「⋯さ、寒い⋯⋯」

僅か数秒で真っ白い氷像と化したドルシア兵士達を見て捨麿は扇子で口元を隠すように展開させて

「世にも珍しき凍結氷龍の爪の味は如何かでおじゃるかな?⋯⋯⋯既に亡くなっておじゃるな⋯⋯つまらんでおじゃる。」

死んだ兵士達の氷像達に捨麿は自分勝手に興味を無くして次の獲物がいる場所へ移動する。

 

「何だ奴は!?」

「動くな!?」

「⋯⋯。」

移動する中で進行方向に兵士達に見つかり持って突撃銃を向けられ発砲されるも

「血鬼術 雪刃飛爪」

扇子で虚空へ向けてを一薙ぎに振るうと三日月状の氷で出来た薄い刃を粉凍りと共に放たれて距離を離れた兵士達を一瞬で上半身と下半身を切り裂くと共に氷漬けにする。例え物理的な氷の刃を躱せても刃と共に放たれた粉凍りで相手の肺胞を壊死させる反撃も許さない二段攻撃を放ち。呼吸をマスク等で防いでいない兵士達を簡単に仕留めては先に進む。

 

「血鬼術 冬ざれ氷柱」

高速移動ですれ違い様に相手を氷漬けにし続けながら見掛けたドルシア軍の残存バッフェ部隊の上空に向けて扇子を振るい無数の鋭く尖った巨大な氷の氷柱をバッフェの上空に出現させバッフェ目掛けて落下させる。

質量を持った氷のつららが機銃掃射のように降り注ぎ有人式バッフェのコクピットがある頭部をボコボコに凹ませる。

中にいたパイロットが氷柱に突き刺さったのかバッフェの数機が力無く墜落していくのを眺める捨麿。

「っ!?血鬼術 寒烈の白氷龍」

火薬の臭いと共に何かに気付いた捨麿は瞬時に二枚の黄金の扇子をくっけるように合わせてから自分の周囲に広げるように日本舞踏の動きで舞うと自身の守るように氷で作られた一匹の巨大な絶対零度の東洋龍を作成する。

「⋯⋯。」

捨麿の周りで渦巻きを巻く氷の東洋龍は口から白い冷気を漏らしながら天を泳ぐように舞い捨麿に迫った戦車の砲弾を全て防ぐ。

「⋯⋯殺れ」

姿を見えた相手の戦車隊に向けて捨麿の攻撃指示を聞いた瞬間、ドルシア軍の四足歩行多脚戦車に向けて巨大な氷の龍が突進する。

質量を持った巨大な龍の突進に対して四足歩行多脚戦車隊は砲弾を浴びせるもヒビの一つも作る事が出来ずに猛スピードで迫る白氷龍の突進に撥ね飛ばされる。分厚い氷山に激突したかのように戦車が次々と蹴散らされてはひしゃげた無残な姿に変わり果てた様子を他所に捨麿の周囲に舞い戻る白氷龍。

 

 

「こりゃあ⋯⋯一体⋯」

闘牙とサキをヴァルヴレイヴに置いてきたキューマは拙い操縦でヘリを動かし自分達を落とそうするドルシア軍の銃撃から命からがら離れるも拙い操縦の影響か移動途中でヘリをヘリポートもない運転手もいない車ばかり停車している道路の真ん中に無理やり着陸して三人はヘリを捨て咲森学園を目指して移動する。

 

途中、此方を哨戒するドルシア軍の歩兵や戦車に隠れながらやり過ごして少しずつ学園を目指していると突然、モジュール全体が夜に変わり事態の異変に戸惑う様子を見せるも理由を思い浮かぶ暇もなく砲撃音や銃撃音が市街地に聞こえてはあちこちで悲鳴や叫び声が聞こえる始める事態に恐怖を感じ始める。

 

「あれって仏像?でも⋯⋯動いてる⋯」

突然夜になると同時に季節外れの寒さを感じながら知り合い達がいる咲森学園に走りながら向かう犬塚キューマ達からも氷で出来た仏像の集団と巨大な氷の東洋龍の姿を目撃する。普通では先ず見れないその異様な光景に走る足を止めて危険な場所なのに思わず眺めてしまう三人。

「おや?誰かと思ったら本体の友人達ではないでおじゃるか?」

一瞬でキューマ達との距離を物理的に詰めて気さくな言葉をかける。

「ヒィッ!」

返り血が付着した黄金の扇子と真っ赤な血の色をした髑髏の面が至近距離に見てしまい小さく悲鳴の声を出すアイナ達。

「おやおやっ⋯⋯怖い物でも見たような叫び⋯実に良いでおじゃる。」

そう言いながら一瞬で消えてキューマ達の後方にいたドルシア歩兵達を黄金の扇子ですれ違い様に斬り裂くと共に捨麿は言う。

「此処は見ての通り⋯⋯危険な所でおじゃるからさっさと安全な所へ行くでおじゃる。」

「っ!?」

捨麿の言葉と容赦のない戦場の光景に恐怖を感じながらキューマはアイナと腕を怪我しているハルトを引き連れてこの場から離れていく。

 

「⋯⋯⋯。」

離れていく三人の怯えた表情は⋯⋯危険な戦場から安全の為に離れるのが主の理由だが⋯⋯古き時代の頃、ある理由で人を喰らうのではなく悪漢達を容赦なく殺めた光景を間近で見てしまい怯える人の知り合い達の表情に良く似ていた。

 

鬼には不必要な感受性が人並みにある本体や狼牙丸や白怒火の奴らなら仮面の奥で負い目を感じて苦悶の表情をするだろうが⋯⋯(やはり⋯⋯本体は鬼舞辻無惨の鬼達の中でも竈門禰豆子に似て変わった鬼でおじゃる。)

「生憎、そんな葛藤や動揺も我ら鬼には不要な物でおじゃる。血鬼術 雪崩白虎。吹雪白狼。」

片手に持った黄金の扇子を振るうと共にドルシア戦車よりも大きいマッシブな印象を持つ氷の虎と氷の狼の群れを形成し残敵を一掃する為に一際大きな個体の氷の虎の上に跳び乗り

「行け。」

氷で出来た虎は捨麿の言葉を聞くと猛獣達は高らかな咆哮を上げて敵を倒す為に地を駆ける。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(この猛獣達の咆哮⋯⋯捨麿め。好き放題に出しおって。)

生徒達に危害を与える危険を排除する為にドルシア歩兵達の銃身や銃口を優先的に切断し周りが捕捉出来ない速度で体育館内を縦横無尽に駆けては無力化した後に次々と仕留める。高速移動の際に知り合いの安否が次々と確認する中⋯⋯

(何人かの姿が見えない⋯⋯にしても七海リオン先生。1年生の補習授業の為とはいえ⋯⋯身体のラインが出ている競泳水着を着たせいで⋯⋯凄くヤバいですね☆って馬鹿な事言ってないでとっとと生徒達の安全を確保しないと。)

安否確認をしている中、思わず七海先生を四度見してしまった白怒火。もし感想を言うなら⋯⋯スゴいの一言である。

(櫻井とヘタレ先輩の姿は無い⋯⋯指南ショーコと貴生川先生の気配は外か⋯⋯急ごう。)

見知った面々の姿が無い事を心配し己の血で形成した血忍刀を使い相手の銃器を切り裂き毒で仕留める速度を上げる。

 

「⋯⋯⋯。」

歩兵達を生徒達から引き離した九荷は無言で持っていた音を鳴らしてながら錫杖を周囲に振るい自身を囲んだドルシア歩兵達を蹴散らし兵士達を攻撃を続けながら生徒達に流れ弾が飛ばない為に自身の周囲に円を描き不可視の結界を展開し生徒達の安全を確保すると錫杖の柄を使った殴打を連続放ち相手の手足の骨を一撃で折る。

「ぎゃあああああああ!!」

錫杖から放たれる血鬼術の雷撃を兵士達に向かって一斉に放ちその電撃によって相手の生死関係無く動きを止めさせて九荷はすかさず両の袖口から追撃の梵字が書かれたお札を取り出し歩兵達に向けて弾丸のように飛ばす。超常の力によって追尾飛来する札が手足が折られて身動きが悪くなった歩兵達に追い打ちする。

 

「⋯⋯。」

(後で闘牙を問い詰めよう。)

状況が暗闇で殆ど把握できない生徒達の中、野火マリエは理由は分からないが、後で必ず操真闘牙に問い詰める事を決める。闘牙と過ごした日々を知っているせいかこの騒ぎの裏に絶対に同級生の闘牙が関わっていると根拠無しで確信していた。

 

 

九荷は機関銃のように法力の札を放ちつつ兵士達に急接近し無駄な血を流す事なく身体の重要な骨や関節を身体能力で振るった錫杖を使い在らぬ方向にへし折り仕留めていた。クラッチである。暗闇の体育館から聞こえる無数の骨の鳴る音に生徒達は安堵の表情を浮かべる事なく暗闇の奥に危険な存在がいると察する。

 

九荷と白怒火の活躍によって体育館内にいるドルシア歩兵達は軒並み全滅する。白怒火が九荷の横に忍者のように着地し

「此処の敵は片付けた。ととっと外にいる奴らと合流するぞ。九荷。」

「⋯⋯。」

「血鬼術 鹵獲腔」

無詠唱魔法を使い周囲に倒れた歩兵の死体達を高速分解させながら九荷は首を縦に頷き両者は体育館の外へ急ぎ飛び出る⋯⋯事はせずに白怒火の影が暗闇の中で独りでに大きくなり影から三角形の意匠が浮かび九荷は白怒火の影の中に一足早く中に入り続いて白怒火も己の影の中に沈むように潜ろうとするも

「っ!?」

潜る直前に外から新たに感じた強力な鬼の二つの気配に白怒火は一瞬驚くも、直ぐに口元に笑みを浮かべた笑顔になり影の中に潜る。

(目立ちたがり屋達が漸く来たか⋯⋯⋯)

「え?」

「何だ?」

「雷?」

突然鳴り響く大きな雷鳴と稲光に体育館内や校舎にいた生徒達は窓がある方へ視線を向ける。

体育館の外では無数の黄金の雷と緑色の突風が突然モジュールの市街地の各地に吹き荒れていた。

愈史郎は制御室の外を出て地上に顔を出し電気も着かないゴーストタウン同然の夜の市街地から太鼓を叩くリズムに合わせて次々と落ちる黄金の雷を見てこう呟く。

「役者が揃った⋯」

 

 

 

 

 

 

武闘派の大看板の二人の影は好きな姿勢で高いビルの屋上から激しい雷光をバックに移動しているドルシア戦車隊を静かに見下ろす。

「⋯⋯行くぞ。大将。」

「ふん!?遅れるなよ!狼牙。」

二つの影が眩い雷光に照らされてその姿と仮面が露わになる。

金剛阿修羅仁王風雷天狼牙丸⋯⋯朱天ノ炎魔紅蓮丸⋯⋯⋯

モジュール77防衛戦に参戦。

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