ギャル&パンツァー/ガールズ&パンツァー:サイドストーリー「青師団高校編」 作:ミハイル・シュパーギン
「い、いえ…そんな事は…」
と言いかけてエルは、やはり正直に話す事にした。「ううん。実はそうなんです」
ダージリンはティーカップを手に取りながら興味ありげにエルを見る。
「あら、何か心変わりされて?」
「はい…隠しても苦しいだけですから…」
「私で良ければ、お話を聞きますわよ?」
尚も一瞬躊躇ったが、エルは決意して顔を上げた。
「有難うございますダージリンさん。実は…」
エルは予選リーグ出場が決まってからの経緯を話し、その間ダージリンは何度か小さく頷きながら耳を傾けていた。
「…というわけでして…」
「なるほど。そう言う事があったのですね」
ダージリンは瞑想しながら最後の一口を流し込む。
それから目を開いてカップを置くと、
「エルさん。仲間をもっと大切にすべきですわ」
「え?」
「責任感の強さはよく分かりましたし、その責任感から後輩達に来年を繋ごうと頑張っていらっしゃる事も理解出来る。でもその前に、大切にすべきは仲間ではなくて?」
「仲間…ですか?」
ダージリンはゆっくりと頷いた。
「ええ。戦車道は1人ではなく、仲間と共にやるもの。これは物の喩えですけど、仲間は一つ一つの歯車となりチームを動かす。1つでも狂えばうまくいかなくなる。今調子のおかしい歯車は1つで、他の歯車に悪影響を与えている。それを修理すれば、状況は改善されると思いますわ。当たり前の考え方かもしれないけど、当たり前だからこそ重要」
エルは相手の言わんとしている事が分かった。
「そのおかしな歯車とは…私ですね?」
「隊長たるもの、自分を見失ってはいけませんわ。そして仲間を大切にする。仲間同士の信頼関係が、そのチームの個性となり、実力となる。ここには青師団高校としての歴史、個性、経験値、そしてそれに伴う実力がある。それを存分に発揮出来れば、予選リーグでも後悔なく戦えると思いますわ。たとえどんな結果になろうとも」
エルは我に返る気持ちだった。
自分は予選リーグ突破ばかりに気を取られて、肝心の仲間に目を向けていなかった。
今それに気付かされたが、思えばバスクや他の友人達にも同じ事を言われていたような気がする。
なぜもっと早く耳を貸さなかったのだ?
いや、後悔より今が大事だ。
「確かに…有難うございます、ダージリンさん!おかげで自分を取り戻せた気がします!」
「それなら良かったですわ。ああ、ところで…」
ダージリンは話題を変えた。「ここでは今も、名物の戦車競走をやっていらして?」
続く