ギャル&パンツァー/ガールズ&パンツァー:サイドストーリー「青師団高校編」 作:ミハイル・シュパーギン
戦車競走は、青師団チームが気晴らしや隊員同士の交流行事として行っている競技で、起伏や障害物のあるコースを戦車で3周して勝敗を競う。
使う戦車は快速のBT-5が人気だ。
「は、はい。今でもやっていますが…ひょっとして…ダージリンさん以外の方が後から来られる理由ってまさか…」
勘付いたエルに、ダージリンは微笑した。
「お察しの通り。実は青師団の戦車競走を是非1度体験してみたいと思いまして、目下我がクルセイダーを運搬中ですわ」
「クルセイダーと我がBT-5の競争…新鮮ですね」
「ええ。そろそろ到着するかと思いますわ」
ダージリンが壁の時計を見上げた。
「では、行きましょう」
2人は立ち上がると控室を出て、戦車道チーム用敷地まで歩いて行った。
その途中、エルはちょっと俯き加減に、右の拳を自分の胸に当てた。
「何かご心配でいらして?」
「はい。こんな私を、みんなどう思っているのか…急に不安になって…」
「その心配は無用だと思いますわ」
「え?」
「ほら。あれをご覧なさい」
ダージリンに促されて顔を上げると、青師団のメンバー達がエルを待っていた。
ダージリンは遠慮して距離を取って目立たない陰に立ち、エルが彼女達の前に立つと、アルタが意を決したように一歩踏み出したので心臓が高鳴るが、
「エル隊長!私は、私達は、もう1度あなたの下で戦いたいです!私達、エル隊長の気持ちを分かっていませんでした…もっと早く気付いて、寄り添うべきだったと反省しています。私達はいつでもエル隊長の指示に従う準備が出来ています。ですからお願いです!私達を来年の全国大会に送り出して下さい!私達も戦います!」
「アルタ…」
エルは茫然としていた。「私…あなたの事、怒鳴りつけたのに…」
「いいえ。それでへこたれた私が悪いんです!なんでエル隊長の気持ちが分からなかったのかと思うと…私…」
アルタの両目からみるみる涙が溢れ出す。「次期隊長として恥ずかしいです!」
肩を震わせて泣くアルタを、エルは優しく抱き寄せた。
「いいえ、違うわアルタ。私が悪い。自分で勝手に不安を抱え込んで、怒鳴りつけた私が悪かったのよ。もっとみんなを引っ張って行くよう心掛けるべきだったし、今からそうするつもりよ。私こそあなたに、みんなに赦してほしいの。だから、もう泣かないで」
「エル隊長…」
他の隊員達の中にも、涙を悟られまいと目を逸らしている者がいる。
その時、巡航戦車クルセイダーが敷地内に勢いよく滑り込んできた。
続く