ギャル&パンツァー/ガールズ&パンツァー:サイドストーリー「青師団高校編」 作:ミハイル・シュパーギン
エルはBT-5を2輌とⅡ号戦車を2輌とで編成し、最初と最後をBT-5、二走目と三走目をⅡ号戦車に割り振った。
「また世話になるよ。宜しく頼むな」
バスクが三走目のⅡ号戦車の車体を撫でる。
どうやら下級生時代に乗っていたらしい。
戦車競走における乗員は操縦手と車長の2名で、戦車は1gでも軽くする為に弾薬は勿論の事、工具や機銃、その弾丸、その他物資が下ろされ、それらはスタート地点の脇に山積みされていた。
「ピリ、頼んだわ」
「合点!」
一年生のエレナとピリは一走目で、前者が車長、後者が操縦手だ。
「準備はいいですか?」
四走目のBT-5に乗るエルが通信で両チームに声を掛けると、各車から準備完了の応答があった。
ダージリンは最終のクルセイダーに乗り、ローズヒップが操縦していた。
「まずは下見に一周します!ついてきて下さい!」
8輌の出場戦車が整然と前進し、コースの確認周回を始めた。
コースはでこぼこ道、勢いをつけると跳躍する起伏、コースを横切る川、U字やS字カーブ、坂道等、操縦技術が試されるポイントが幾つもあった。
「エル隊長」
「はいダージリン隊長」
「ここは普段から走り込んでいるコースでして?」
ダージリンがそう質問するのは、地面に刻まれた無数の履帯跡が、まるで獣道ならぬ戦車道(せんしゃみち)の様相を呈していたからだった。
「はい。使う燃料の制限はありますが、ここで操縦技術を鍛えています」
「なるほど。青師団にとっては正にホーム、逆に私達にとっては完全アウェイ…という事になりますわね」
一瞬、エルの胃がプレッシャーで縮み上がりそうになるが深く息を吸い、
「はい!負けませんよ!」
「我が巡航戦車隊の技量がどこまで通じるか、これは見ものですわね」
それからダージリンは、「ローズヒップ。今日は思う存分飛ばしていいわよ」
「了解ですわダージリン様!」
いつも手綱を握られているのか、ローズヒップは心底嬉しそうだった。
「いいこと?青師団の子達を打ち負かしてやるのよ。遠慮はいらないわ」
「勿論でございますわ!」
通信を切ると、ダージリンは先導するエルのBT-5に顔を向けた。
「エル隊長。あなたが仲間を勝利に導いていくという信念を見せて貰いますわ」
やがて周回が終わると、一走目のクルセイダーとBT-5が横並びで配置についた。
合図の火蓋を切るⅣ号戦車H型の主砲が仰角を取る。
「よーい…」
ヴィリディアナが腕を振り下ろす。「Vamos!」
75mm砲が空砲を放ち、レースが開幕した。
続く