ギャル&パンツァー/ガールズ&パンツァー:サイドストーリー「青師団高校編」   作:ミハイル・シュパーギン

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第13話:火蓋

エルはBT-5を2輌とⅡ号戦車を2輌とで編成し、最初と最後をBT-5、二走目と三走目をⅡ号戦車に割り振った。

 

「また世話になるよ。宜しく頼むな」

 

バスクが三走目のⅡ号戦車の車体を撫でる。

どうやら下級生時代に乗っていたらしい。

 

戦車競走における乗員は操縦手と車長の2名で、戦車は1gでも軽くする為に弾薬は勿論の事、工具や機銃、その弾丸、その他物資が下ろされ、それらはスタート地点の脇に山積みされていた。

 

「ピリ、頼んだわ」

「合点!」

 

一年生のエレナとピリは一走目で、前者が車長、後者が操縦手だ。

 

「準備はいいですか?」

 

四走目のBT-5に乗るエルが通信で両チームに声を掛けると、各車から準備完了の応答があった。

ダージリンは最終のクルセイダーに乗り、ローズヒップが操縦していた。

 

「まずは下見に一周します!ついてきて下さい!」

 

8輌の出場戦車が整然と前進し、コースの確認周回を始めた。

コースはでこぼこ道、勢いをつけると跳躍する起伏、コースを横切る川、U字やS字カーブ、坂道等、操縦技術が試されるポイントが幾つもあった。

 

「エル隊長」

「はいダージリン隊長」

「ここは普段から走り込んでいるコースでして?」

 

ダージリンがそう質問するのは、地面に刻まれた無数の履帯跡が、まるで獣道ならぬ戦車道(せんしゃみち)の様相を呈していたからだった。

 

「はい。使う燃料の制限はありますが、ここで操縦技術を鍛えています」

「なるほど。青師団にとっては正にホーム、逆に私達にとっては完全アウェイ…という事になりますわね」

 

一瞬、エルの胃がプレッシャーで縮み上がりそうになるが深く息を吸い、

 

「はい!負けませんよ!」

「我が巡航戦車隊の技量がどこまで通じるか、これは見ものですわね」

 

それからダージリンは、「ローズヒップ。今日は思う存分飛ばしていいわよ」

 

「了解ですわダージリン様!」

 

いつも手綱を握られているのか、ローズヒップは心底嬉しそうだった。

 

「いいこと?青師団の子達を打ち負かしてやるのよ。遠慮はいらないわ」

「勿論でございますわ!」

 

通信を切ると、ダージリンは先導するエルのBT-5に顔を向けた。

 

「エル隊長。あなたが仲間を勝利に導いていくという信念を見せて貰いますわ」

 

やがて周回が終わると、一走目のクルセイダーとBT-5が横並びで配置についた。

合図の火蓋を切るⅣ号戦車H型の主砲が仰角を取る。

 

「よーい…」

 

ヴィリディアナが腕を振り下ろす。「Vamos!」

 

75mm砲が空砲を放ち、レースが開幕した。

 

 

続く

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