ギャル&パンツァー/ガールズ&パンツァー:サイドストーリー「青師団高校編」 作:ミハイル・シュパーギン
一走目は互角だった。
バトンタッチの合図は二走目の車輛に横付けする事で、急停止すると二走目がほぼ同時に走り出した。
「行け行けー!」
「聖グロに負けるなー!」
Ⅱ号戦車の後ろから拳を突き出したりしながら声援を送る青師団チーム。
片やセントグロリアーナのチームも紅茶を嗜みながら声援を送っている。
レースは白熱していた。
「さて、三走目か」
次の配置につくⅡ号戦車によじ登るバスク。
車長ハッチに両足を突っ込んだところで振り返り、隊長と目が合う。
「エル。大トリは任せたよ」
「全力を尽くすわ」
エルは頷き返したが不安そうだったので、バスクは一瞬空を仰ぐと、Ⅱ号戦車を飛び降りてエルに歩み寄って来ると目と鼻の先で相対する。
「違うんだエル。全力を尽くすんじゃない。任されるか、任されないか。やるか、やらないかだよ。あんたがあたし達を引っ張って行くのさ。あんたがだ。分かるかい?」
エルはハッとしてバスクの視線を真っ向から受け止めた。
「…ええ、分かっているわ」
「なら、もう一度言うよ。大トリは任せた。どうだい?」
「任されたわ」
「それで良いんだ。腹が決まったろ?」
バスクの言う通り、エルはさっき曖昧に返答した時と比べて一気に肝が据わった感覚がした。
その感覚は表情にも出たようで、
「じゃ、行って来るぜ」
バスクは満足げに頷くと、Ⅱ号戦車に駆け戻って行った。
それから暫くして、クルセイダーが最初に戻って来た。
2走目のⅡ号戦車はどうやら遅れているらしい。
聖グロチームの方はまもなく三走目のクルセイダーにバトンタッチし、バスクのⅡ号戦車を尻目にスタートを切った。
バスクは苛立たし気に通信を開いた。
「ソフィア、何やってんだい?」
『すみません副隊長!ちょっとコースアウトしてしまって!』
「そうかい。でも早くしな。三走目のクルセイダーがあんたを追い抜く前にね!」
『は、はい!』
その横では、ダージリンのクルセイダーが悠々と配置についていた。
「バスクさん。来ましたわよ」
顔を上げると、二走目のⅡ号戦車が最後の直進コースに入ったところだった。
バトンタッチが終わると、バスクのⅡ号戦車は少しでも遅れを取り戻そうと急発進し、最終走のBT-5がダージリンのクルセイダーの横に並ぶ。
操縦手はアルタだ。
「エルさん」
「なんでしょう、ダージリンさん」
「All fair in love and war...しっかり胸に刻みましてよ?」
「は…はい」
やがて三走目のクルセイダーがダージリンのクルセイダーの隣に急停止する。
「では、ごきげんよう」
そう言い残すと、ダージリンのクルセイダーは発進した。
続く