ギャル&パンツァー/ガールズ&パンツァー:サイドストーリー「青師団高校編」 作:ミハイル・シュパーギン
この戦車競走で青師団高校戦車道チームの結束は再び強められた。
特に最終走における一連のアクションは熱狂に沸き、エル隊長の執念が最後の逆転劇を呼び寄せた。
しかし大事なのは勝利ではなく、チームの絆が深まり、エル隊長への信頼がより強固なものとなった事である。
一つの目的に向かって協力し合うチームが、理由が何であれ結束を乱すと、その実力を1%も発揮出来ない。
予選リーグの前日を迎え、エルは練習を早めに切り上げて隊員達に戦車の整備と早めの休息を命じてから、自身は控室に戻ってホットチョコレートを嗜みながら、グループ内のチームの最終吟味を始めた。
「第一試合…フロンティア学園。ご新規さんね」
手元にはグループ表と第一試合の地図、そして独自調査したフロンティア学園の資料用紙がある。
同校の公式サイトで戦車道の活動の様子が定期的に更新されているので、かなり情報が集まっていた。
「よし…よし…これで良さそうね」
改めて作戦内容を再確認していると、バスク、ヴィリディアナ、トリスターナ、そして次期隊長のアルタと次期副隊長のソフィアが入ってきたので、エルは顔を上げた。
「あら、どうしたの?」
「いやさあエル。みんな緊張でコチコチに固まっちゃっててさ。なんとかしてくれないかなあと思ってさ」
バスクがアルタとソフィアをわざとらしい身振りで示す。
二人とも平静を装ってはいるが、エルには一目でそれが分かった。
試合を前に緊張で固まっているのではない。
いよいよ青師団高校として是が非でも負けられない予選リーグに突入するからだ。
そう言えば本気で負けられない試合を経験するのは、後にも先にも無い貴重な事ではないだろうか?と、エルの脳裏にふとそんな考えがよぎった。
「他の後輩達も緊張しちゃってて…」
と、ヴィリディアナが苦笑交じりに言い、トリスターナも
「ホットチョコレートじゃ効き目無いわ」
「聖グロのティーセットでも不足?」
あのレースの後、ダージリンから好敵手と認めた相手に送られるティーセットが青師団高校に届けられていた。
即ち青師団高校戦車道チームは、その実力を認められた事を意味する。
そして聖グロは、戦車道高校チームでは四強に数えられる強豪なのだが…
「そこは隊長にほぐして貰わないとさ」
エルはバスクをしげしげと眺めた。
「…副隊長の方が適任のような気がするけど…」
「なあエル。頼むよ」
「はあ…」
バスクのごり押しに、エルは溜息を吐いて立ち上がる。「みんなはまだ車庫?」
「ああ」
エルは腰に両手を当てて背中を反らして伸びをすると、
「じゃあ、行こっか」
「そう来なくっちゃな」
エル達は車庫に向かった。
<完>