ギャル&パンツァー/ガールズ&パンツァー:サイドストーリー「青師団高校編」 作:ミハイル・シュパーギン
会議の第一回目はこれで終わりだ。
後は新情報や状況変化があれば、都度話し合いを重ねて行けばいいだろう。
バスクが一同を見回しながら、
「よっし。明日から元気に張り切ってみっちり練習だよみんな!」
「いえ、今日からよ」
バスクは驚いてエルを振り返った。
隊員達も戸惑った様子で隊長を見る。
「何言ってんだいエル。時間も遅いし、一晩クールダウンが必要だ」
だがエルは切羽詰まったように、
「分かってる。けどもう1か月無いのよ。時間が惜しいわ」
「いいかい、あたしらは予選リーグ出場を今日知ったんだ。みんな浮足立ってるよ。今から練習してもなんにもならないし、さっき言ったけど時間も遅い」
バスクの言う通り、窓からは夕陽が差し込んでいる。
日課の練習メニューをこなすだけで暗くなる。
「予選リーグに夜の試合は無いよ」
「そんな悠長に…!」
途中で強く遮ったエルは、すぐ我に返る。「…ごめんなさい。あなたの言う通りね」
「なに、分かりゃいいのさ」
バスクは隊員達に向き直った。
隊員達は今しがたの出来事にまだ困惑していたが、姉御肌の現副隊長はずっと呆けたままでいる事を許さない。
「何してんだお前ら!とっとと解散だ!今夜はきっちり休むんだよ!」
おっとりがたなで退室する隊員達とは別にヴィリディアナとトリスターナがやって来た。
「あれ、エルは?」
エルが室内に見当たらないので、ヴィリディアナがきょろきょろしたが、バスクが親指でお手洗いの入り口を指した。
それから1、2分程でエルが出て来たが、顔は青ざめており、肩で息をしている…何があったかはご想像にお任せしよう。
エルは椅子に沈み込むように座り、机の上に両肘を乗せ、重ね合わせた両手の上に顎を乗せた。
「大丈夫かい?」
エルはバスクを見上げて微笑んだ。
青ざめたその顔には焦燥らしきものが浮かんでいる。
会議が終わり、今まで抑えていたものが徐々に表に出てきたようだ。
「ええ…平気よ」
「何か飲む?」
トリスターナの申し出を、エルはやんわり断る。
「ありがとう。でもまた今度ね」
エルは両腕に力を込めてテーブルから離れ、腰に両手を当てて背中を反らす。「一晩、頭を冷やさなきゃ」
「そうしな。エルが一番参ってるよ」
「相談はいつでも乗るからね」
「有難うヴィリディアナ」
エルが退室すると、トリスターナが心配そうに
「エル、本当に大丈夫かしら?」
「一番重圧抱え込んでるのはあの子だよ」
「隊長だもんね。何とか出来ないかな?」
ヴィリディアナが言うと、バスクは
「何かにつけ声掛けだね。エルに気軽に話しかけられるのは、あたしらだからさ」
と言った。
続く