ギャル&パンツァー/ガールズ&パンツァー:サイドストーリー「青師団高校編」 作:ミハイル・シュパーギン
エルの自宅。
時刻は午前3時32分。
何をどうしても寝付けなかったエルは、ベッドに腰掛けてHDDレコーダーに録画した今大会の試合ライブ放送をぼんやり眺めていた。
それは第一試合の相手となった継続高校との試合内容だった。
地の利を生かした継続高校の作戦に絡めとられた青師団高校は奮戦空しく敗北したのである。
エルはこの負け戦から教訓を読み取ろうと映像を何度も見返していたが、今回はそうでなく、ある意味で自傷行為と言えた。
試合が終わると、エルは映像を止めて溜息を静かに吐いた。
「…私のせいで…」
そう、エルは自責の念に苛まれていた。
予選リーグの対象校に選ばれた事が自分の責任だと感じていて、この夜中の視聴は自分で自分の傷口を抉るように自責の念を余計深めるだけだった。
不自然な成り行きだとは思う…が、文句や不平を言っている暇は無い。
試合後、戦車道関係者から来年の大会に出場意思の有無をアンケートで聞かれた。
勿論『有』と答えたが、今思うとこの時点で予選リーグ計画が始動していたのではなかったのだろうか。
エルも政府が戦車道に注力しようとしている事は知っていた。
2年後のプロリーグに向けて人材育成を強化する計画で、それに呼応して新たな戦車道設置校が現れた話も聞いた。
その数の多さから、長年無かった予選リーグ開催が決まったと考えるのが自然だ。
グループ表では他にも幾つか既存校の名があったが、今大会やこれまでの実績を踏まえての選出だろう。
でなければ同じく第一試合で去った、あのサンダース大学附属高校が選ばれていない理由の説明がつかない。
青師団高校はここ数年の実績が芳しくない。
だから予選リーグに選ばれたのだろうが、エントリーすらしていないのに通知が来た事が驚きだった。
それでアンケートの件を思い出したのだが、あれが予選リーグへの『エントリー』扱いだったのか…確かめないと分からないが、一定の説明は可能だ。
そこまで考えると、エルの心の中は絶え間ない焦燥感と罪悪感の千本ナイフに掻き抉られ、自分の身を守るように折り曲げた両膝の間に顔を埋めるようにした。
両腕は寒さに耐えるかのように自分をギュッと強く抱き締める。
数分経ってから、エルは無理やり顔を上げた。
「…ダメ。そんな事しても、何も変わらないわ」
しかし、その目は決意と言うより強迫観念に満ちたものだった。
それから後も寝付けずうつらうつらしている内に、アラームが持ち主から与えられた仕事を忠実に実行したのであった。
続く