ギャル&パンツァー/ガールズ&パンツァー:サイドストーリー「青師団高校編」 作:ミハイル・シュパーギン
電撃的に青師団高校を訪問したのはセントグロリアーナ女学院の戦車道チーム隊長のダージリンだった。
知らせを受けたエルはひとまずダージリンを控室に通す。
「お忙しいところを申し訳ございませんわ」
「ああいえ。お気になさらず」
バスクから受け取った紅茶をダージリンの前に置く。「それにしても、お一人で?」
「いえ。他の者は後から来る事になっていますわ」
そう答えながらダージリンは紅茶の香りを胸一杯に吸い込む。「これはアールグレイかしら?」
「はい」
「もし宇宙に行く事があったら、持ち込みたい紅茶の第一位ですわ」
「え?」
「ただの独り言ですわ。お気になさらず」
エルが向かい側の席につき、自分も紅茶入りのティーカップを取る。
「熱いうちにどうぞ」
「有難うございます。では」
ダージリンは静かに紅茶を含むと、ホッとしたように一息つく。
「先日の練習試合は有難うございました」
「いえいえ。なかなか緊張感がある戦いで、私も心躍りましたわ。まさかまんまと陽動にハマってしまうとは…我ながら不覚でしたわ」
だが失敗してしまった事を思い出し、エルの心の奥が疼いた。
そこで話題を変える。
「そう言えば、どうしてまた今日、急に?」
「ええ、そうですわね」
ダージリンはティーカップをソーサーに置いた。「予選リーグ…大変ですわね。戦車道の設置校が増えたおかげで…私達も気が抜けなくなりましたわ」
「聖グロは四強の一つじゃないですか。大丈夫ですよ」
「それは結果論ですわ。今年の大会でサンダースが第一回戦で敗退した事、覚えていらして?」
「はい。あれは驚きました」
「戦車道を復活させたとは言え、大洗は実質的にゼロからスタート…幾ら西住流の家元が隊長だとしても、ですわ。でも、大方の予想を覆した。決勝戦までコマを進め、尚且つ優勝まで果たしたとなると…正直、ここまでやるとは私も意外でしたし、明日は我が身だと痛感もしましたわ」
「でも予選の対象にはならなかったじゃないですか」
「今回はね。それで、私が今日訪問した理由ですけど…」
ダージリンはエルを正面から見据えた。「先日の練習試合の時も思いましたが…エルさん、顔色が良くないですわ」
エルはハッとした。
隠していたつもりだが、顔に出ていたようだ。
「練習試合の後も、その事が気になって頭から離れませんでしたから…それでとうとう今日訪問する事にしたのですわ。もしかして予選リーグと何か関係がおありでして?」
エルはごくりと唾を飲み込んだ。
続く