一等星より輝く光たれ   作:区星

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ちょっと長めです


8話 理想のアイドルと告知配信

 彼女、神木ヒカリをスカウトしてから数週間、無茶苦茶忙しくて死にかけた。劇団ララライ代表には嫌味と苦言を(彼の事情を鑑みると仕方ないことではあるが)浴びるし、Live2Dの依頼先も見つけないといけないし、契約書は弁護士に確認してもらわないといけないし、ヒカリの立ち絵も作るし、ヒカリにダンスレッスンやボイトレを付けるコーチを探さないといけないし。親御さんとも話をしなきゃいけないし

 

 

 マジでこの世の終わりぐらい忙しかった、ここ5年で一番忙しかったんじゃないかな、これが人を預かるということか…………。特に親御さんとの打ち合わせが死ぬほど神経削られた、それはそう。

 

 とはいえ大体終わったのでこっから契約とかもろもろしないとね、というわけで事務所に来てもらった。

 

「これが契約書、後これがヒカリちゃんがつかう立ち絵の著作権譲渡の契約書」

 

「契約書は分かりますけど、著作権譲渡っていうのは………?普通こういうのって事務所が握るものなんじゃ」

 

「俺なりの誠意というか、Vtuberをさせるのは俺がお前に稼いでもらいたいからだしな、これがお前への貸しになるようならまずいだろ」

 

「そ、そうですか。そういうことにしときましょう」

 

 もしかして:やらかした

 

 なんか引かれてる気がする、まあ問題あるがそのうち解決しよう。

 

「それで社長、前々から聞きたいことがあったんですけど」

 

「社長ってかしこまって呼ばれるのもアレだな、なれてないから結構複雑」

 

 一般オタクだった前世も含めてそう呼ばれたことはないのでこう。アレよ、あれ。

 

「そんなことは置いといて、社長の理想のアイドルってどんなアイドルですか?」

 

 ここで星野アイの名前は出したくない、今はまだそこまで有名じゃないだろうし過去の自分が未来のアイドルを参考にしていたという矛盾が発生する。なのでー

 

「アイドルに正解はない、正解はないが一つの理想を上げるなら…………嘘吐きだな、究極で完璧なアイドルを演じられる大嘘吐き」

 

「嘘吐き……」

 

「だがこんなのにお前はさせない、というかなれない。お前の場合はむしろ…………嘘のつき方には注意した方がいい」

 

 俺が思うに彼女は嘘に慣れていない、というか嘘をつかれても見抜けない人間だ。だから嘘がかなり下手である。この辺嘘が全く必要じゃないわけでもないのでなんとかしたほうが良い。

 

「まあヒカリの場合別解を出してくれそうだからな、そりゃあ期待するよ。

 それで、立ち絵のデザインなんだがこんな感じで〜」

 

 その他諸々の打ち合わせが終わったがしばらく忙しい日々が続きそうです、企業勢のマネさんってこんなに大変なんだなと。

 

〜〜〜〜〜

 

 それからしばらくヒカリちゃんに事務所に来てもらってOBSの扱いや練習を重ねてもらった

 

【重大発表あり】参加型マリ◯カート3位以上取るまで重大発表出来ません【いちごみるく】

 

・重大発表ってなんぞ

・また自分の実力を客観視した低いハードルを立ててる………

・楽しみ

 

 うるさいですね……今回は私の後輩に当たる子の発表だからハードル下げるに決まってるじゃないですか、これで発表出来なかったら目も当てられませんよ。

 

・きちゃ

・きちゃ

・喜捨

 

「バーチャル美少女アイドルおじさん、いちごみるくだよ〜。今日は重大発表をするために久々にマ◯オカートを起動します、アクセルって何ボタンだっけ」

 

・そこから?

・これはダメそう

・Aだよ

 

「ごめんね〜久しくやってないもんで」

 

………………

 

…………

 

……

 

・やってるうちにそこそこ上手くなってて草

・アクセルってどこだっけとはなんだったのか

・本当にろくにゲーム触ってないってマジ?にしてはゲームセンスありすぎだろ

 

 前世では滅茶苦茶やったんだよな、なお今生。

 

「努力の人の面目躍如ですね、次こそ勝ちますよ!」

 

 2周目でも集団中位ぐらいに付けれてる、3周目ラストボックス、ここでいい引きすれば………

 

・3連きのこじゃん

・勝ったな

・やったぜ

 

「やったあああああああああ」

 

 ショトカと最後のゴール前できのこを切ってギリギリ3位、よかった。これで発表できる。時計を見ると配信開始から1時間とちょっと、潮時でもあるだろう。

 

「3位も取れたしマリカは終わりにして重大発表の方に移りたいと思います」

 

 

・新衣装?

 

「忙しすぎて依頼も書くのも出来そうにないよ、しばらくは無理かな〜」

 

・まさかのドームツアー

 

「まさかすぎるしやっても絶対赤字だよ、リアイベでもっと動員できたらね」

 

・2ndアルバム?

 

「そのうちね、そのうち。やるかもしれないけど今じゃない」

 

・リアイベ?

 

「おっ現実的なところじゃん、今回はそんなに現実的じゃないよー」

 

・もしかして、後輩とか?

 

「おー正解!」

 

「というわけでバーチャリアルアイドル、ヒカリちゃんです」

 

 配信画面にキービジュアルが表示される、艶やかな金髪ショートヘア、吸い込まれるような赤褐色の瞳。アイドル衣装に身を包んだ10代半ばの女の子。我ながら渾身の一枚が描けた気がする。

 

「リアルの姿の方、実はちょっとお時間頂きたいなと。アイドルとしてある程度推せるなというクオリティになるまではバーチャルのアイドルとして活動してもらうことになります」

 

・リアルもかわいいの!?

 

「それはもうガチのガチですよ、Vtuberとしてじゃなくてバーチャリアルアイドルとしてスカウトするぐらいにはリアルの素質がぶち抜けてて、こういう子なら世界一のアイドルになれるかもって思っちゃった」

 

・あ……

・すまん……

・なんか聞いちゃわるいこと聞いてしまったかもしれん。

 

「昔も言ったけど、才能がない、難しい。そんなので諦められるほど小さな夢じゃないし、まだ諦めてないからそういうことじゃないんだよね。焼かれたというかその……」

 

「自分の夢より優先したくなったほど魅力的だった」

 

「初配信は〇月〇〇日、一週間なのでみるくふれんずのみんなは是非来てください」

 

「今日の配信はここまで、皆さん見に来てくれてありがとうございました。明日は月曜日だけどお仕事の人は無理しすぎないでねおやすみの人はゆっくり休んでね」

 

「お疲れ様でした〜」

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