一等星より輝く光たれ   作:区星

12 / 26
10話 プラネタリウムデート?

 最近、ヒカリの様子がおかしい。いや、避けられてるとかそういう話でも変な目で見られてるとかそういうことでもない、ちょっと疲れてそうなのだ。学校や配信に加えてコンプラ指導やダンスやボイトレとで疲弊してるだろうし仕方ない。

 

 そろそろ初配信から一か月半ぐらいだし休みを入れてもいいかもしれない。というかこういうときに休みを入れないと自分でブレーキ掛けれないやつはそのままぶっ壊れる、かつての俺がそうだった。

 

 次の配信のサムネイルを作っているヒカリに声をかける。

 

「ヒカリ、今週日曜のレッスンは無しだ、お出かけするぞ」

 

「………ん…………空けとく……」

 

 死にかけの蚊のような返事が返ってきた。

 

 結構こうしてみると疲弊してるのが伝わってくる。こういう疲弊している人間への息抜きとしては連れ回すのは避けて映画やプラネタリウムなどのリラックス出来るところとかで休ませた方が良さそうだ。

 

 映画は…………ちょっとわかんないしプラネタリウムにしておこう、都内の科学館にするか。

 

「予約しとくか……」

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

「今日もレッスンです?ちょっとこの子疲れてるみたいで……」

 

「いや、今日はリフレッシュの為のお出かけです。ちょっと目に見えて疲れが溜まってそうだったので…………」

 

「あっデートですか、これは失礼を……」

 

「そんな関係じゃないってお母様もわかっていらっしゃるはずですが」

 

 デートじゃない、じゃないよね?うん、健全なリフレッシュの為のお出かけだ。

 

「おほほ、そうでしたねでは行ってらっしゃい」

 

 駅へ向かいながらヒカリと話す。目的地の説明もしなければならない。

 

「ヒカリ、今日はプラネタリウム行くからな、結構時間かかるから座れそうなら座れよ」

 

「社長がプラネタリウム……?あんまり天体とかに興味とかないと思ってた」

 

「昔は星座の本とかも買って深夜に読んで寝不足で登校したぐらいには興味ある」

 

 前世の話ではあるが、なんやかんや星座とギリシャ神話は切っても切れないものではあるし、オタク心をくすぐられる。

 

 近くの駅まで歩いて移動してそこから電車で1時間、科学館へ到着である。休日昼間なので意外と混雑してない、電車が苦手なので助かるところだ。

 

「うお、思ってたよりもデカいな」

 

「そうだね」

 

「時間あるし特別展でも見ていくか、と言ってもヒカリが楽しめるかはわからないけど」

 

「社長、そんなに心配しなくても私はこういうの好きだから大丈夫だよ」

 

 そうか、意外な趣味だな、てっきりヒカリは文系かと思っていたが…………

 

「「ほへ〜」」

 

 二人して展示ガラスに釘付けである、どうしてこうなった。

 

 今回の特別展は近年爆発的な発展を遂げる半導体、スマホだとかPCだとかに使われるシリコンの特集である。グラフィックボードの仕組みとか、液晶モニターの構造展示とかもあって非常にタメになる

 

「社長、次アレ見に行こう!」

 

「待って待って、もうちょっとこれ見せて……」

 

 こういうのが好きとの言葉は嘘ではなかったようで、思いっきり振り回されっぱなしである。嬉しい悩みだ。

 

「遅いよー、年下の女の子に待ってっていう社長、ダサいよ」

 

「ごもっともでございます」

 

 実のところここまで楽しんで貰えるとは思ってなかったせいでぐだぐだである。こんなことなら事前にちゃんと聞いておけばもうちょっと時間取れたのでは………?後の祭りだ。

 

 とはいえそろそろプラネタリウムの時間なので、受付に行かなくてはならない。

 

「さて、そろそろプラネタリウムの時間なので、ヒカリ行くぞ」

 

「はーい」

 

 受付を済ませて席に行く、カップルシートを予約しておいたのだ。

 

「これ、まさかとは思うけど」

 

「カップルシートです」

 

「しゃ、社長と私がカップル……」

 

 おいおいどうしたどうした、なんで照れてるんだヒカリ、そんなに照れられるとこっちも恥ずかしくなるぞ。切り替えて星座の話をしようか。

 

「全天で一番明るい一等星のシリウスがあるおおいぬ座は絶対獲物を捕まえる神犬ライラプスだったりオリオンの猟犬だったりして諸説って感じでよく分からないんだよね、個人的にはオリオンの猟犬の方がイメージに合うけど」

 

「オリオン座というとベテルギウスとリゲルですよね、昔はベテルギウスを平家、リゲルを源氏に例えて源平星と呼んだそうですよ」

 

「オリオン座はさそり座との因縁も欠かせないよな、一等星のアンタレス、最近大きさの計算方法が変わったせいで更に大きかったのが判明したらしいぞ」

 

………………

 

…………

 

……

 

「………………」

 

 寝てるな、上着を着せて置いておくか。

 

 個人的には夜空に輝く一等星たちより更に輝く太陽のようなアイドルになってほしい、一等星より輝くヒカリであれ。

 

 …………なんだか俺も眠くなってきたぞ、最近立て込んでたしちょっとだけ……

 

…………

 

……

 

「……ちょー、社長ー。起きて、時間だよ」

 

「げ、寝てたか。すまんな起こしてもらって」

 

 時計をみると終了時間を5分ほどすぎている。これはやらかした。

 

「あと上着ありがと」

 

「気にするな、休ませるために連れてきたのに風邪引いたら意味ないだろ?」

 

「そ、そっか……」

 

「帰るか、時間も時間だし連れ回してたら親御さんに怒られる」

 

「その…………今日はありがとう」

 

「こちらこそ、意外な一面見れて楽しかったよ」

 

〜〜〜〜〜

 

 プラネタリウムにヒカリをお誘いしてからしばらく経った、ヒカリはすっかり元気を取り戻した…………のは良かったんだがこっちのことを若干意識してるように感じる、後から声をかけると飛び上がってびっくりしたり、手が触れると真っ赤になったり。

 

 あれ?これもしかしてやらかしましたか?




時間はかかったけどいいものは出来た、はず。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。