一等星より輝く光たれ   作:区星

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メタ考察多めなので注意


12話 転生者の述懐

 ライブ会場から事務所に大急ぎで帰ると、案の定ヒカリは頬を膨らませていた。隠し事を意図してたわけじゃないので許してほしい。

 

「多分信じてもらえないけど1から10まで全部話すぞ、嘘は言わないから聞いてくれ」

 

「まず俺は転生者で、この世界は漫画の世界だ」

 

「」

 

 想像もしてない回答が返って来たのか絶句するヒカリ。誰だって尊敬してる人物が転生者なんて信じたくないだろう、俺だってわっつらいぶの社長、たくみんが転生者って言われたらショックで2日寝込む。

 

「それでこの作品は『推しの子』と呼ばれてて、その主要人物の一人がB小町のアイだ」

 

 主要人物、あくまでも主人公では無い。現状黒幕、アクアやルビーの父もわかってない以上こちらとしてはどうすることもできないとも言える。

 

「…………なるほど、だからあの子のライブを私に見せようとしてたのに落胆してた」

 

 何かピース、大事な大事なピースが一枚抜け落ちているようなアイのパフォーマンス、この時点で足りないことはそこまで問題では無いかもしれないが、これから先も改善されない場合は何かしら原作との齟齬が生じていると判断できるだろう。

 

「それでここからが重要な話だ、原作、つまり推しの子では人気絶頂期にアイはストーカーに刺されて死ぬ。がその後アイの人間関係から何者かがストーカーに情報を流したと推測される」

 

「つまり黒幕が居る、ということなの?」

 

 そう、アクアとルビーの父と推定される、なんだが…………

 

「こっからが終わりって感じの話なんだが、俺は黒幕が誰かを知らない、というよりは俺が読んでいた時点では判明していないんだ」

 

「…………社長、役立たず」

 

 しゃーないだろ、俺1巻しか読んでないんだぞ。

 

「そしてもう一つ、神木ヒカリに関する重要な話をすると、俺は推しの子という作品に登場する人物として神木ヒカリを知らない」

 

 そう、ここまでの輝きを持ち得る人物なら有馬かなと同様に、何かしらの共演などで描写があってもおかしくない、なのに………… 俺は神木ヒカリを知らない

 

 そんなはずはないのだ

 

〜〜〜〜〜

 

「そしてもう一つ、神木ヒカリに関する重要な話をすると、俺は推しの子という作品に登場する人物として神木ヒカリを知らない。個人的にお前の才能を高く買っているが故にあまりに不自然、不可思議としか言いようが無い。たとえアイドルの道に進まなくとも、役者として大成しててもおかしく無い、なのに俺はお前のことをアイの共演者としては知らない」

 

 社長の口から思わぬ評価が出て来て硬直してしまう。

 

「どうしてだろうな?」

 

 ………社長の口から語られる衝撃の事実の数々に、私は口を挟めずにいた。社長が私のことを知らなかったのは残念だがフラットな目線から見て引き込まれた、ということにしておこう。

 

 社長は更にこう告げる

 

「考えられる可能性は二つ。一つ目が神木ヒカリ、若しくはそれに類する立ち位置のキャラクターは作劇上極めて重要な立ち位置である。二つ目はあまり考えたくは無いが、神木ヒカリ、もしくはそれに類する立ち位置のキャラクターはなんらかの事情で役者として活躍することが難しく、原作の序盤で登場することが難しかった」

 

 それは、私にとって死刑宣告のように感じられた。社長から、『あなたは黒幕、もしくは活躍できない事情ができます』と言われた気がしたから。それでも、重い口を無理矢理こじ開けて聞く。

 

「…………社長、もし私が黒幕だったとしたら。やっぱり私を…………」

 

「んなわけあるかい、お前を黒幕だと証明する手段なんてないし、たとえお前がこの世界で黒幕の役割を預かっていたとしても、お前がその役割を実行するまでは突っ込んだコストもあるし味方だぞ。こういうの、どういうんだっけな、そうだ、コンコルド効果ってやつだ。だからまあ、いつだって安心して頼ってくれ」

 

 …………そうなんですか?

 

「呑まれそうになったときはいつでも相談しろ、お前は俺にとって夢そのものに近いから」

 

 本当にこの社長は…………いつでも頼り甲斐のある人だ。だからこそいつかきっと全部奪って私のものにしてしまいたい。私は欲張りだから

 

「あと体調不良とかあったら絶対無理するなよ、ただでさえ無理させてる自覚あるし」

 

 こういうところがダメなのだ、ズルすぎる。

 

〜〜〜〜〜

 

 こうしてまあつつがなく、パーフェクトコミュニケーションを取れたと思う。

 

 ん?最後の方、ヒカリの目が変だった?ははは、まっさかー…………。

 

 とはいえ神木ヒカリがシンプルに黒幕である可能性は0だ、そうだとすると推しの子における黒幕はアクアとルビーの父親である。という大前提が破綻する。

 

 ただしそれは神木ヒカリがシンプルに黒幕に該当し得ないだけで状況証拠はあまりにも怪しい。彼女が男性として計算をすれば、父親が明かされない原因も(未成年同士による性交渉)、作劇上の都合も、なぜこれほどの才能を持ちながら共演等が一切無かったのかも全てが一本の糸で繋がってしまう。

 

 だとしても神木ヒカリを切り捨てるなどあり得ない、(いちごみるく)ではみれない景色を見せてくれる彼女を手放すのは俺自身に余程のことがないとあり得ない。そう考えるに至る時点でどうも俺は神木ヒカリの才能に焼かれてしまっているらしい。

 

 




なんとなく納得はいってないが全力は尽くしたので投稿しました
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