一等星より輝く光たれ   作:区星

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日刊総合23位ありがとうございま……………23位!?


14話 初ライブ

 俺の転生者バレから9ヶ月、ヒカリは有名対談系Vtuberとの親子企画が当たったことや、歌動画がバカ伸びしたこともあり、なんと1年で40万人の登録者を稼ぎ出してしまった。特に親子企画のいちご家は大体2ヶ月に一回は企画を入れられるぐらいにファン受けしたらしく、シュガーちゃんにもヒカリにも+の影響があって親としてはちょっと嬉しい、特にシュガーちゃんにはろくに何も出来てないので本当に…………。

 

 というわけで1年間毎週末ボイトレとダンスに掛けて集大成のライブ、キャパを1000人に設定したら前売りが30分で完売した。初手から失敗して俺は泣いた。いや全国ツアーの時は30万人で700埋めるので精一杯だったんだが…………。

 

 

………………

 

…………

 

……

 

 衣装チェックの時間だドンドコドン、ヒカリの衣装は白ベースに黒の差し色が入ったモノクロベース。顔がいいのでそっちに目を引っ張られて欲しいのであえて華美さを落としている。

 

「ネクタイ緩んでるぞ、…………これでよし」

 

「なんか聞いときたいことあるか?」

 

「…………」

 

 ヒカリは少し俯いた後、こちらを向いてこう問いかけて来た

 

「社長はどんなパフォーマンスをして欲しいですか?」

 

「…………ありのままでいいんじゃないかな、正直ここまでずっと努力して来たのは知ってるし」

 

「たとえそれで上手くいかなかったとしても、ここに居る人間はそうなっても受け入れてくれるようなファンしかいない」

 

「+50が+200になるかどうかの違いでしかない、ここまで人を集めた時点でもう勝ってる」

 

 正直なところ、ここまで来た以上彼女にどうこうしろああしろこうしろは野暮だ、腰を据えて見守るしかない

 

 ちなみに前売りが売れすぎたので急遽ドットTV!で放送してもらうことになった、つまりはネットで全国に生配信ってこと。

 

………………

 

…………

 

……

 

 とうとうライブの時間だ、俺にできることはもうない。あとはヒカリがその実力を発揮するのを期待するだけだ。

 

「行ってこい!」

 

「はいっ!」

 

〜〜〜〜〜

 

 息を吸って吐く、それだけで自分が緊張していることを感じる。

 

 でも大丈夫。

 

 愛を含めた人の気持ちがわからなかった私だけど、いちごみるくに愛情の受け取り方を教わり、社長に恋を教わった。あの人のおかげで愛を知った、家族からの愛も、恋愛という意味での愛も。

 

 その全てをここでファンにぶつける、ありのままの愛を溢れるほどに……!

 

〜〜〜〜〜

 

 圧巻だった。歌も踊りもパフォーマンスも一挙手一投足に目線を吸い寄せ、ファンのペンライトの光を、熱量を吸い上げて。彼女は歌い、踊り、輝く。それはさながら銀河の中核に存在するクエーサーの如く。

 

 目には白い星の中に黒い星が灯っていた。自らを騙す人がそれによって周りを騙し、熱狂させ、狂わせるような輝きを放つ。見る人全てを焼き尽くすような。

 

 関係者席で見守りながら独り言を呟く

 

「これを1時間弱目の前で浴びるファン、どれだけ脳焼かれるんだろうな」

 

「こんな輝き見せられて、燃えないファンは居ないだろ、ここに居るファンは必ず来たかった人だろうし。その熱量さえ糧にしてパフォーマンスが上がっていく」

 

…………

 

……

 

「熱気、すごいな」

 

 こう語りかけて来たのは隣の席の鏑木ディレクター、今回のインターネット放送を担当してくれている。この話を持ちかけて来たのも彼である。

 

「いいでしょう?彼女を世界一のアイドルにするのか今の俺の夢の一つなんです」

 

「その時はウチの番組もよろしく頼むよ」

 

「もちろんですよ」

 

 目の前で輝く白いサイリウムをみながら、心の中でこのパフォーマンスを毎回のライブで浴びせられるファンに合掌する。そして次はもっとちゃんとしたキャパを確保してもっとたくさんの人を焼いてやろうとも思う。

 

………………

 

…………

 

……

 

 

 1stライブは大盛り上がりで幕を閉じた、SNSではトレンドにも入っていたとか。

 

 それはそれとして一番に労わないといけない人が目の前にいる

 

「社長!!!その………」

 

「よくやったぞ!!!!最高のパフォーマンスだった………!」

 

 ヒカリはこちらに腕を広げて近づいてくる、まるでハグを求めるかのように……これハグしちゃっていいよね

 

「頑張りました、ありのままの私の愛、どうでした?」

 

「ん〜100点!」

 

 抱きしめたヒカリの頭を撫でながら褒める。まじで100点だったから。

 

………………

 

…………

 

……

 

 必要な処理をすませると時間もやっぱり遅いのでヒカリを家まで送る。疲れているだろうしタクシーに乗せて帰る。

 

 運転手と世間話をしながら横で眠るヒカリの幼く整った横顔を眺めると、やっぱり13歳の女の子なんだなと思う。

 

 世間にとっては小さなライブだったのだろうが、ヒカリにとっては大きな大きな初ライブがこうして終わった。

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