一等星より輝く光たれ   作:区星

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本編完結です、次回からは番外編になります


18話 ハッピーエンド

 西武ドーム公演が終わって、更に3年後には5大ドーム公演を達成、さらに2年が経って。

 

 ヒカリの香港台湾、シンガポール、ニューヨーク、ロサンゼルスを巡る世界ツアーが終わった、帰りの飛行機の中。

 

 俺は、5年前の告白紛いの押し倒しを思い出していた。その時の約束は世界一のアイドルになるまで待ってくれ。つまりはもう達成しているも同然。ということは俺は今ヒカリに何をされても止められない、まな板の上の鯉である。

 

「帰ったらどうする?ヒカリ」

 

「んーちょっと休みたいかも。日本食も食べたいし」

 

 CMや番組の出演も、前々から世界ツアーの前には切れるように調整してある。何をやらかしても……例えば帰国直後に逆プロポーズをされたとしても違約金で彼女に迷惑がかからないようにはしてる。やりたいようにやって欲しいからだ。

 

 などと考えていると耳元で

 

(社長とデートしたいです。ほら、2人とも忙しすぎてろくにお出かけ出来てないじゃないですし)

 

 と囁かれて心臓がドキンと跳ね上がる。振り向くと黄金色の髪、ガーネットのような鮮やかな赤い瞳が俺を捉える。

 

 見た目に惚れ込んでスカウトしたわけじゃない、むしろ引きずり込むような目力とそこに居るだけで吸い込まれるような存在感に引き込まれた。見た目は確かに素晴らしかったがそこじゃない。

 

 なんと言えばいいのだろう、あの頃より遥かに大人になって、随分と美人になった。今ならモデルですと紹介しても普通に通りそうだ。

 

 そんな美女が俺に明らかに好意を抱いてる、それも襲ってしまうほどに。

 

 なんでなんだろうね。いや嫌われる理由はないのはわかるんだけど。

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 帰国したヒカリは記者会見を開いた。

 

「半年間は1人の女の子として過ごさせてください」

 

 それでいい。

 

「ここまで12歳からずっと夢のために走り続けてきたんです、ちょっとの間だけ自由にさせてくれませんか?」

 

 やりたいようにやればいい

 

『アイドル活動に戻ってくるつもりはありますか?』

 

「まあ戻ってきた時次第です、でもあんまり期待しないでください」

 

 俺と一緒に夢を目指してきたんだ、夢の先まで拘束したくは無い。バーチャリアルアイドルヒカリじゃなくて、1人の神木ヒカリとして過ごして欲しい。そこでの結論がどうであれ俺は受け入れる。

 

〜〜〜〜〜

 

 夢ってこんなにあっけなく届いてしまうのか、と帰りの飛行機の中で思った。

 

 けれど私にとってあっけないだけで支えてくれた社長は相当大変だったのだろう。夢を追うことも中断して、私のために全てを投げうって世界一のアイドルにしてくれた。

 

「帰ったらどうする?ヒカリ」

 

 そんなことを考えながら飛行機で音楽を聞いていると、社長から声が飛んできた。

 

「んーちょっと休みたいかも。日本食も食べたいし」

 

 しばらく現地では日本食を食べてない、というか外食する余裕がなくって弁当ばっかりだった。それとちょっと休みたいのはお休みというかその、全部の仕事を休んで社長とゆっくり過ごしたい。というのもある。

 

(社長とデートしたいです。ほら、2人とも忙しすぎてろくにお出かけ出来てないじゃないですし)

 

 そう思いながらアピールのために社長の耳元で囁く、あっ、顔赤くなってる。

 

 …………

 

 ……

 

 記者会見を終えた後、私は社長と連れ添ってカラオケにこっそりきていた。

 

 2人とも実は歌うこと自体は根っから好きというわけでは無いのでお互いの歌を聴くことに専念してるような感じ。

 

 そろそろ時間だ、帰ろっか。

 

「みーくん、帰ろっか」

 

 ここで社長って呼ぶのもアレだしね

 

「………おう」

 

 手を繋いで駅の近くのタクシー乗り場に向かう、タクシーを捕まえたら、

 

「〇〇マンションへお願いします」

 

「待てや」

 

 私の自宅へ連れて行く、問答無用だ。

 

〜〜〜〜〜

 

 カラオケの帰りにタクシーに乗ったらヒカリが18になって引っ越ししたマンションへ連れ込まれてしまった。もう逃げられないぞ。まあここは何度か来たことがあるが……。

 

「社長、シャンパン開ける?」

 

「泊まらせるつもりか?良いけどさぁ」

 

「着替えとかは気にしなくて良いよ、適当にこの間来た時にサイズ調べて買ってあるし」

 

 あーあ、内堀が埋まってるよ。まあ服用意してあると雑に泊まれるから助かると言えば助かるが……

 

「「かんぱ〜い」」

 

 酒を飲みながら、スモークサーモンやカマンベールチーズ、冷凍ピザを2人でつまむ。あ、このサーモンうまい。黒胡椒とか合いそうな味。

 

「社長、女の子が自分の家に男を入れるってどういうことかわかってるんですか?そういうことなんですから遠慮しなくて良いんですよ?」

 

「お前のことは好きだけど、そういう付き合いになるつもりでスカウトしたわけでも無いし。第一どこを好きになられたのかもいまいちわかんないんだよな、教えてくれよ」

 

「ん〜まあそれは社長がまだいちごみるくだった頃、1ヶ月記念の雑談配信あったじゃ無いですか?その時に私メッセージ送ってるのは覚えてます?」

 

「ああ、言ってたな。どのメッセージかは覚えてないけど」

 

「じゃあアーカイブ引っ張って今から見ましょうか」

 

 唐突にタブレットを開いていちごみるくのYouTubeチャンネルを表示させるヒカリ、おいバカやめろ。たのむ、

 

「これこれ、人の心わからないけどどうしたらいいですかってメッセージ」

 

「あ、ガチじゃん。はっきりヒカリって書いてるわ」

 

 そっか、あの子は今こうして元気にアイドルやって俺のことを好きになって……そっかぁ。

 

「社長、どうしたんですか急に肩掴んでなにをす」

 

 止められずにヒカリにキスをしていた、彼女が黒幕だとかそういうのも関係ない、推しの子なんて必要ない。今はただ、

 

ヒカリ、お前のことを愛したい。

 




いかがでしたでしょうか、書きたいものを詰め込んで必要ないものは抜いていった結果4万字弱といった微妙な分量になりました。
個人的には思ったより評価してもらえて嬉しいというのが本当のところです、ここまで見てくださった皆様、評価、お気に入り登録、しおりを挟んで下さった皆様、ありがとうございました。
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