一等星より輝く光たれ 作:区星
これは、一等星のいない世界の物語。
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どうして彼女だけアイドルとして輝けて、私はここで眺めるしか無いのだろう。
私が何をしたと言うのだろう、彼女を友達だと思っていたのは私だけなのだろうか。
そんな、ギブス塗れの足を見ながら唯一と言ってもいい同世代の友人のことを思う。
怪我したと連絡しても見舞いにも来てくれない、いつも名前を間違える友人のことを。
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「左足のアキレス腱が完全に切れてますね、あと左の前十字靭帯も完全に切れるまではいかないですけど損傷してます」
舞台から落ちて立ち上がれずに緊急搬送された病院の医師の宣告を受けて、ショックで動けなくなる
「舞台に戻れる可能性ってどれぐらいありますかね?
「演劇の専門家では無いので難しいですが、少なくとも従来のパフォーマンスを万全の状態で発揮するのは難しいでしょうし、アキレス腱の方は手術が確実に必要なのでリハビリのための時間も必要です、前十字靭帯も手術しておいた方がいいのですが……」
「膝の方はどうするにしろ演劇復帰するのに相当時間が必要ってわけか……」
金田一さんの言葉がズーンとのしかかる。
「まあ、膝はまたあるリハビリで程度動けるようになってから手術するとしてアキレス腱の方はちょっとね、保存療法はまあ膝回りの動きにも影響出るし……」
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アキレス腱の手術が終わってから4日ほどで装具を付けてあるけるようになったので一旦は退院、またちゃんと動けるようになってから膝の方は改めて、ということになるらしい。
膝のほうが結構再建だと靭帯を引っ張ってきて大きめの手術になるらしいのでまたこの病院で入院することになるのだとか。
主治医によるとどっちか片方はまあスポーツやってるひとだとたまに見るらしいけど両方同時にやった人は初めて見たとか…………
「両方とも結構と言うか相当な大怪我だからね、余程着地を失敗したんだろう」
まあそう言うわけで結構な期間プロリハビラーと化すらしい。つらい。
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リハビリに通いつつ高校に行きつつ今後の進路、特に劇団ララライに復帰するか、それとも普通に大学に進学するかも悩みどころである。
普通に膝のパフォーマンスは良くは無く手術の方は結構規定路線なのでブランクは相当空いてしまう。
ただでさえ高校2年だしそろそろ周りの人も進路を決め始める。私は頑張ればそこそこいい大学もいける、とのお墨付きは担任からもらっているのもあり大学進学も考えにはいる。
近い年の友人、もといアイの方は普通にアイドルやるから進学しないとのこと、あの頭の出来でははなっから進学するつもりもなかっただろうし参考にならない。
まあ、ララライ復帰が無理でも芸能の世界に携わるために学歴はあったほうがいいかもしれないので、大学は行っておこう。
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結局アイは忙しいから、との理由で見舞いには来なかった。
『ヒカルちゃんへ、お大事にしてください』
と書かれたメッセージカード付きのメロンを斎藤社長が届けにきたぐらいである、何させてるんですかアイさん。
私には愛はわからないし、彼女もきっとそうだろうと思うのだが、少なくともこの苛立ちは愛では無いのだろう、多分。
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久しぶりに遊びに来ない?と誘われたのは大学1年の秋だった。
アイと昔の思い出話、主にララライのワークショップのこと──に花を咲かせたり、最近の近況について話したり。
その中でふと、彼氏の話題になった
「ねー、ヒカル。彼氏とか作らないの?」
「私は……あんまり人付き合いが得意じゃないからさ………」
本当である、アイのように何も信じなくてもいい人間と違って、世間の人間は適度に嘘をつく他人の気持ちがよくわからない私にとって見分けがつかないのにわからなきゃいけない人付き合いほど疲れるものは無い。
「そっか。あーあ、ヒカルが男の子だったらなぁ、そしたら襲っちゃうのに」
うわ出た、アイの破滅願望。こんなの外で聞かれたら大変なことになる。
「そしたらワークショップの頃に食べられちゃってますよ」
「うそうそ、そんなことしないよ?」
どうだろう、彼女ならやりかねない、そんな気はした。