一等星より輝く光たれ   作:区星

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7話 演じること、とアイドル

 金田一敏朗とサシ飲みに使ったのは個室居酒屋、一応こんなのでも芸能人同士なので気を使う

 

「いやーいい舞台でしたよ、神木ヒカリちゃんも無茶苦茶良かったです」

 

「そうか、お前もミルクチェイスのMV良かったぞ。大層金の掛かってそうなMVで」

 

 つまみを頼み酒を注ぎつつお互いの近況について語り合う、ある程度金田一さんにも酔いが回ってきたところで。

 

「神木ヒカリ、俺が育ててみたいんですよ。彼女はすごいアイドルになりますよ」

 

「ダメに決まってるだろ、ウチの次期看板役者候補だぞ」

 

「敏郎さん、あの子にまだ演じさせてないんじゃないですか?」

 

 その答えが返ってくることはわかっていたのであらかじめ考えてきた言葉を紡ぐ、

 

「自分以上の才能の輝きを下手に演技を覚えさせて壊してしまうのが怖い、だから合う役しか渡してない。いくつかYouTubeに上がってるのアーカイブス見させてもらいましたが、どの敵役も合いすぎてる。それもこのぐらいの年齢の役者としては不自然なほどに」

 

 あれからしばらく余暇の時間を神木ヒカリ、彼女の演技について調べることに使った。驚いたことに彼女の演技、というよりは素に近い部分での入り込みは上手い。だがそうでないところ、敵役でない彼女は見つからなかったのだ、不自然なほどに。

 

「それで彼女は本当に看板女優になれるんですかね?」

 

「わかったわかった、ヒカリとのアポも取ってやる、これ以上は勘弁してくれ」

 

「助かります、お礼としてここは奢りますよ」

 

 どうやら図星だったっぽい。アポも取れたし万々歳である。

 

〜〜〜〜〜

 

 それから2、3日してから。俺と神木ヒカリは某有名コーヒーショップで話をしていた

 

「はじめまして、ですよね?お名前を伺ってもよろしいでしょうか、金田一代表から話したい人がいると」

 

「苺崎三久、あーあとこれは名刺だ」

 

「個人事務所、ミルクシェイク代表苺崎三久……!?!?ってことはあの貴方がいち、いちごみるくさんですか?!」

 

「声が大きい、まあそういうことだ。こっちの名刺も渡しておくぞ」

 

そう言って俺は名刺、いちごみるくとしての名刺を取り出した

 

「ありがとうございます、あの、昔から応援してました。1ヶ月記念の雑談配信では相談にも乗ってもらいましたし、東京公演も見に行きました!すごかったです!ミルクチェイスのMVも丁寧に作られてるのがすごい伝わって来て…………」

 

「もちろん覚えてるよ」

 

 だってあの日から私は(いちごみるく)になれたから、俺じゃない私に。

 

「そろそろ本題に移ろうかな、君をアイドルとしてスカウトしたい。バーチャルとしての姿とリアルでの活動、両方挑戦してみないか?」

 

「バーチャルとリアル………つまりはVtuberとしての活動とアイドルとしての活動両方ともってことですか?」

 

「そういうことだ、今やインターネットはリアルと等価、もしくはそれ以上の価値すら生み出せる環境になった。世界一のアイドルになるならYouTubeを使わない手はない。あと………俺が立ち絵を描けるから」

 

 彼女ならシュガーちゃん以来描いてない立ち絵を描くのも全くやぶさかではない、どころか普通に描きたいレベルである。

 

「アイドルはいいぞ、金にはならんが。ある意味ではやりがい搾取の典型みたいな職種だし、歌とかよりメンシやボイスの方がよっぽど稼ぎになるし、公演だって実質トントンかちょい黒字ぐらいだったし。それでも夢見る価値はあった、だから続けて来れた」

 

 実際のところ、マジで金にはならない。アイドルとしての活動での利益はVtuberとして普段活動する分の2割が良いところである。

 

「俺という個人に賭けさせて夢を追わせるなら現実を踏み外すような夢の追い方はさせたくない、今のVtuberはレッドオーシャンだが少なくともお前を箱の効果で一定程度引き上げることは出来る。つまるところある程度売れないアイドルを続けさせる程度には稼がせることが出来る、と俺は予想してる」

 

 深呼吸しヒカリを見つめ直す。

 

「俺と世界一のアイドルを目指してくれないか」

 

「なれますか、貴方のようなアイドルに」

 

()のようなアイドルというより、いちごみるくを超えるアイドルになってほしい」

 

「……わかりました、貴方の夢も背負わせてもらいます」

 




金田一さん視点は後々語られる、かも
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