ダンガンロンパ十周年記念小説【ifストーリー】第二章 乙女心☆ポリシーとプリテンダー★ボーイ   作:千葉 仁史

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捜査パート①

23、

「……る、石丸! しっかりせぬか!」

 大神くんの声がする。悪夢のような惨状に僕は一瞬気を失っていたらしい。だが、目の前に広がる光景は絶望で塗りたくったかのような地獄だ。大神くんの腕には気絶した朝比奈くんが抱き抱えられている。死に際の苗木くんと交わした【男の約束】が守られなかった事実に打ちのめされる僕の鼓膜に「死体発見アナウンスが聞こえましたが……」と何も知らずに近付くセレスくんの声が届いてきた。

(そうだ。僕は、舞園くんと霧切くんだけでなく、クラスメイトの女子全員を、朝比奈くんもセレスくんも不二咲くんも腐川くんも大神くんだって、守ってみせようと決めたではないか!)

 がくがくする足に気合を入れて立ち上がった僕は学生服を脱ぎ、霧切くんの遺体に被せた。純白の上着が人の形に赤く染まっていく。それが無性に悲しくて肩を震わせていると、此処に辿り着いたセレスくんが「あら」と微かな悲鳴をあげた。上着だけでは隠せなかった遺体の足元を見て、セレスくんは被害者が誰なのか理解したのだろう。朝比奈くんは無理だったが、損傷の激しい遺体を僕は彼女に見せずに済んだようだった。

 モノクマの校内放送により、電子手帳に記載された情報を元に【凄惨な殺人現場】へ次々と人が集まっていく。

 五人目の来訪者は山田くんで、彼は見た瞬間に「ヒィッ!」と悲鳴を上げて腰を抜かしてしまった。次に訪れた桑田くんも同様で「マジかよ……っ!? あのモノクマの【脅し】は本当だったのかよ!」とその場に崩れ落ちながら呟いている。そして、姿は見えないが、腐川くんの独り言――「次は私よ。次は私が殺されるんだわ!」が聞こえる。彼女は近くまで来たようだが、恐怖で地獄の一丁目の角を曲がることができず、廊下で震えているようだった。

「また殺人か。このゲームも漸(ようや)く面白くなってきたようだな」

 皆が青白い顔をするなか、尊大不遜な【笑顔】で現れたのが十神くんだった。その態度に僕は憤怒を覚えたが、どうしてだろう、僕の身体は震えるだけで何も言うことを聞かない。僕の精神は【彼女の遺体】を上着で隠すので精一杯だったようだ。そんな僕の代わりとでもいう様に、大神くんが反応した。

「十神、うぬは自分が何を言っているのか、理解しているのか」

「勿論、理解している。犯罪を起こせるものなら起こしてみろ、と豪語した【探偵】自身が殺されたのだ。まさか探偵殿も自分が標的ターゲットになるとは思いも寄らなかったらしい。自分だけは殺さない・殺されないとは、とんだ思い上がりだ。そんな【想像力の欠如】という油断があったから、【コイツ】は殺されたのだ。言うなれば、自業自得だ。だからこそ、今回の【殺人】は愉快極まりない」

 十神くんは鼻で笑いながら、怒気を纏った大神くんの横を悠々と通り過ぎた。大神くんが気を失った朝比奈くんを抱えていて動けないのを分かっているからこそ、彼の歩みは安全という余裕に満ちている。そうして、十神くんは何事もなく遺体に近付くと、【彼女】に被せていた赤黒く染まった白い学生服に手を掛けた。その瞬間、それまで茫然自失となっていた僕は必死になって叫んだ。

「そんなことにも思い至らない癖して、超高校級の【探偵】とは聞いて呆れる。そうだろう、霧切」

「駄目だ、十神くん!!」

 僕の制止は間に合わなかった。窓の外の景色が気になってカーテンを少し捲るように、十神くんはほんの少しだけ上着を掴み上げたが、隠していた【モノ】と対面を果たすと、一気にその美貌からは笑みが消え失せ、この場にいる誰よりも真っ白い顔色となった。

「う、嘘だ! 何故だ、霧切……っ! どうして【お前】がこんなことに――!?」

 それから狂ったように叫ぶと――叫ぶというより、あれは泣き喚くの方が近いだろう――十神くんは口元を抑えて走り去ってしまった。腐川くんは慌てて彼を追っ掛けて行ったようだが、彼の急な態度の変更に僕らはついていけず、唖然とするしかない。

「煙を吹く機関銃と被せられた学生服を見れば、安易に思い付くことだと思うのですが……、想像力が欠如していたのはどうやら彼自身だったようですわね」

 そんななか、セレスくんだけはしっかりとしており、遠ざかっていく超高校級の御曹司の背中に冷ややかな声を浴びせたのだった。

24、

 その後、僕たちはセレスくんからの発案により、アナウンスが流れたのにも関わらず、集まらなかったクラスメイトたち――不二咲くんと舞園くんと兄弟を呼びに寄宿舎へ戻ることにした。

 大神くんが気絶した朝比奈くんを部屋に連れて行ってる間に、セレスくんと山田くんが不二咲くんの、桑田くんが舞園くんの、そして僕が兄弟の、それぞれの扉をノックして呼び掛けることになったが、如何せん、僕は何の気概も出せないでいた。落ち着こう、精神統一しようと瞼を落とした瞬間、その瞼の裏に苗木くんに守ってほしいとお願いされた【彼女】の悲惨な末路が蘇りそうで――守れなかった事実が怖くて、彼女の遺体の凄惨さが恐ろしくて、僕はそれすらも出来ないでいる。少し離れたところから、ドアをゆっくり開ける音と、死体発見アナウンスにより怯え切った不二咲くんが「また、誰か殺されたの?」とセレスくんたちに尋ねる声が聞こえてきた。とりあえず今は課せられた使命をするのが先決だ。兄弟の個室の扉をノックする。その拳は不二咲くんの声のように震え切っていた。

 個室の扉が開いた際、僕のせいで夜更かしをする羽目になってしまった兄弟は寝ていて放送が聞こえていなかったらしく、目に涙を浮かべて大欠伸をしながらの応対であった。普段の僕ならば、その態度をあるまじき行為だと叱ったことだろう。だが、今は何のやる気も起きない。そんな僕の態度とカッターシャツ姿で悟ったのか、兄弟が「誰が殺されたんだ?」と尋ねてくる。僕が口を開くよりも先に、山田くんたちに慰められながら廊下に出てきた不二咲くんが「あの霧切さんが亡くなっちゃったなんて」と涙を零して嗚咽を漏らしたことによって、兄弟に事実を告げなくてはならないはずだった僕の存在は途端に用無しになってしまった。

「舞園さやか殿はまだ出て来ないようですが、捜査開始と言われましても、いやはや、いったい何から調べたら良いものか見当が付きませんな」

「つぅーかよ、学園のマシンガンによって殺されたのなら、これ、学園長が【クロ】じゃねぇの?」

「主催者側のモノクマが【切り株】になってしまうなんて、とんだ皮肉ですわね」

『オマエラ、勝手なことを言うんじゃないよ』

 皆がわいわいと話し出す。山田くんの疑問を受けた兄弟の鋭い切り口に、セレスくんが婉曲な言い方(切り株は処刑の『斬首』を意味する)で悪辣に非難していると、校内の至る所に設置されたディスプレイの一つが急に起動し始めた。其処には白黒の顔を器用に真っ赤にしたモノクマが映っていた。

『これは【クロ】が仕組んだ【罠(トラップ)】殺人。【発動した本人】が【クロ】じゃなくて、【仕掛けた人】が【クロ】ってのは第一の事件で決めたでしょ。もう、全く今時の若い奴らは殺人も碌に自分の手で出来ないんだから』

「しかし、モノクマがやっていないという証拠はないですぞ?」

『あのねぇ、僕だって四六時中監視カメラを覗いている訳じゃないんだよ。僕にもお風呂に入ったり、ゴロゴロしたり、○○○(ピー)したり、動画を編集したりのプライベートタイムがあるの。それこそ、【想像力の欠如】だよ。……仕方ないねぇ、一個だけヒントをあげるよ。じゃんじゃじゃ~ん、【ヒントカード】!』

 山田くんからの指摘に更にプンスカ怒りつつも、軽妙なBGMを流しながらモノクマが何処からともなくカンペを取り出して広げた。そのカンペには明朝体でこう大きく印字されていた。

 

《【クロ】は【異性が更衣室に入ろうとした場合、マシンガンで撃ち抜くプログラム】を【利用】した【罠】を張った》

 

 つまり、【異性が更衣室に入る】ための【何かしらの行為】が【禁止プログラム】に引っ掛かり、【マシンガン】を発動させたということになる。だが、こんな【ヒント】を与えられたところで、娯楽小説の一種であるミステリーものすら一切読んだことのない僕は、困ったことに【正解】という名の【真相】への道筋がとんと思い付かない。とても【彼女】のようには推測推理ができない。

「そんなくだらない【ヒント】を出したところで、貴様は貴様自身が仕組んだ今回の事件を耶無耶にしようとしているのではないか!?」

 そう言いながら、超高校級の御曹司らしさを捨てて、足音も怒りも隠すことなく現れたのは十神くんだった。彼は霧切くんの遺体を真面(まとも)に見てしまったため、酷く狼狽して犯行現場から立ち去っていたが――変な言い方だが――元気そうで安心した。

「霧切を邪魔になったから、貴様がその【プログラム】を手動で発動させて、始末した。【真相】はそうなのだろう?」

『十神クン、捜査をするのが面倒臭いからって言い掛かりにも程があるよ。別に【ヒント】を無視して、僕を【クロ】にしてもいいよ。そうしたところで喜ぶのは【卒業】できる【クロ】だけで、残りの彼・彼女はオシオキされちゃうんだけどね。それとも十神クンが【クロ】で、卒業したいから僕を【クロ】というミスリードへ皆を導こうとしているの? なかなかやるねぇ、はなまるぴっぴあげちゃおうか?』

「ふざけるな! 第一、【卒業】したところで何の意味も――」

『ではでは、オマエラ、限られた時間を有効活用して、頑張って【クロ】を当ててね』

「貴様、俺の話を――」

『学生らしく弁論できる準備を忘れちゃ駄目だよ。最終的に【クロ】が思い付かないから【嫌いな奴に投票しましょう】なんていう、まるでクラスの美化委員を決めるような真似だけはやめてよね。そうしたら、今の時間が【捜査】じゃなくて【おべっか】を売る時間になっちゃうじゃないか。それじゃあ、バイビー!』

 モノクマが十神くんとの会話を強制的に終えたことにより、ディスプレイは暗黒の沈黙に戻った。十神くんが苛立たしそうに大きな舌打ちをする。そして、彼はこれからどのような捜査をしたらいいのか途方に暮れる僕らを見渡すと、突然なにかが閃いたのか、不二咲くんの方へずかずかと近付いていった。

「おい、不二咲。霧切を殺したのは貴様だろう?」

「ええっ!?」

 あまりにも突飛な言い掛かりにクラスメイトの何人かは「はぁ!?」と素っ頓狂な声を上げてしまった。僕はと言うと、あまりの十神くんらしくない言動を理解できないでいた。いや、普段からこの男の言動は甚(はなは)だ理解したくない、と思っていたが、彼は確かに高飛車であっても、もう少し理知的な男ではなかっただろうか? 僕が苗木くんの死を見届けたように、十神くんは霧切くんの遺体を見たことで【何か】が変わったとでもいうのだろうか。

「ど、どうして僕が霧切さんを!?」

「おい、十神! なんでもかんでも、いちゃもんを付けるのもいい加減にしろや」

 威圧されたことで涙目になる不二咲くんを守るように、兄弟が十神くんの前に立ちはだかる。まずい、このままでは兄弟が暴力を奮ってしまう。しかし、僕が行動(アクション)を起こすよりも早く十神くんは「いちゃもんではない」と兄弟の言を切り落とすと、不二咲くんへ威圧感を与えたまま、激情的に発言を続けた。

「貴様には【アルターエゴ】がある。それを使ってモノクマの【プログラム】を書き換えて、霧切を殺した。違うか!?」

「【アルターエゴ】? なんの話か、僕には――」

「誤魔化すな! ネットにも繋がる、あの【AI】さえあれば、【以前】のように【プログラム】を書き換えることなど動作も無いことだろうが! 【以前】は人を助けるために使ったが【今度】は人を殺すために使うとは、貴様は最低最悪の野郎のようだな!」

「最低最悪の野郎はテメェだろうが!!」

「よせ、大和田」

 とうとう殴る構えを取った兄弟を止めたのは、超高校級の風紀委員たる僕ではなく、朝比奈くんを部屋に寝かしてきた大神くんだった。嗚呼、超高校生級の風紀委員でありながら、なんて僕は不甲斐ない。

「大神! 俺を止めるんじゃねぇ!!」

「大和田よ、今は諍(いさか)いを起こしている場合ではない」

「フン、想像力が欠如した貴様らの様なプランクトンでは思い浮かびもしないだろうが、今回の殺人、不二咲が作ったAI【アルターエゴ】さえあれば、余裕で――」

「僕が作ったAI……? あ! もしかして【頑張れ! 不二咲くん二号(仮)】のこと?」

 僕と大神くんが兄弟を止めようとしているのを目の前で見ていながら、十神くんは相変わらずの態度を貫いている――しかも、意味不明な独り言付きだ。だが、不二咲くんは思い至ったようで、自室から――何処で見付けてきたのだろう――【ノートパソコン】を持ってきた。そのパソコンの画面には謎の記号【(・ω・)】が大きく浮かんでいて(どんな数式なのだろう、僕は見たことない。勉強不足を実感する)、その頭上の吹き出しには『命令をしてください』と浮かんでいた。

「ふ、不二咲、これは?」

「えへへ、これはね、僕が作ったAIの【頑張れ! 不二咲くん二号(仮)】といってね、AI(Artificial Intelligence)、要は人工知能なんだ。ノートパソコンを図書室で見付けたから僕の話し相手にしようと思って作っていたんだけど、大和田くんと石丸くんの勝負を見ていたり、舞園さんのライブに参加したり、昨夜は【女子会】をしていたから時間が足りなくて、まだ【未完成】なんだ」

「つまり、試行錯誤の真っ最中ってこと?」

「うん。それでね、今は文字をキーボードで打たなくちゃ会話できないけど、最終的には声で反応する予定なんだ。この顔文字は仮で、後でちゃんとアバターを用意するつもりなんだけど、どんなアバターにしようか悩んでて――それにしても、十神くんの言っていた【アルターエゴ】って良い響きでカッコいいね。【頑張れ! 不二咲くん二号(仮)】はやめて、それにしようかな。そうだ、名前に合わせてアバターも僕に似せて――」

 いつの間にいたのだろう、腐川くんからの短い質問に、超高校級のプログラマーの血が騒ぐのか、いつもは小動物を思わせる彼女が生き生きとした表情で答えている。それにしても、この画面の数式【(・ω・)】はどういう意味なのだろうか。上手いこと思考がまとまらない僕の側では十神くんが腐川くんのように指の爪を噛みながら、ぶつぶつと呟いていた。

「ええい、俺は【頑張れ! 不二咲くん二号(仮)】なんて知らないぞ。【未完成】? 【試作品】? まさか【プロトタイプ】? まるで【前回】とは違い過ぎる。【今回】はどうなっているのだ?」

 爪を噛むという御曹司らしくない態度をしていた十神くんだったが、自棄っぱちに「くそったれ!」と叫ぶ。全く言葉遣いもなっていない。昨日までの彼とはまるで別人だ。いったいぜんたい、彼はどうしてしまったのだろうか?

「十神白夜殿が何を言っているのか、我々にはさっぱり分かりませぬが、今はそんなことよりも【クロ】を見付け出すことの方が先決ではありませぬか?」

「【クロ】を見付け出すだって!? 現実を見ろ、無理に決まっているだろ!?」

 山田くんの発言に十神くんは八つ当たり気味に食って掛かった。

「モノクマの言う通りなら、これは【トラップ殺人】! トラップが起きるように場面を用意しただけで、犯行時に【クロ】がいた訳でもない! 超高校級の【探偵】も【希望】もいない此の状態で【クロ】を見付け出せるはずがないだろうが!」

「だが、だからといって、諦めてもいい理由にはならないぞ」

 僕の口からその言葉が転がり落ちたのは、平生を失った十神くんが皆を【絶望】に追いやるような台詞を吐き終わった後だった。不思議なことに自分で言った言葉なのに、それは自らを励ますような言葉に聞こえた。一瞬にして皆の視線が僕に集中するが、僕は決して視線を下げまいとする。

(確かに僕は霧切くんを守れなかった。だがしかし、苗木くんとの約束は終わっていない。クラスメイトの女子を、そして舞園くんだけはなんとしても守り抜くのだ!)

 覚悟も感情さえも握り締めるようにして、手の平に力を込める。ほんの一瞬だけ瞼を落とし、霧切くんの【最期】の――否、遺体ではなく、【最後】の会話で見せた【生きていた】ときの彼女の笑顔を思い返した。

(石丸清多夏! いつまでも腑抜けていては、それこそまさしく超高校級の風紀委員の名折れではないか!)

 僕は視線を落とすことなく、続けて言った。

「十神くんの言う通り、【超高校級の探偵】たる彼女はもういない。だが、このまま【クロ】を見付けなければ、今度は僕ら全員が【オシオキ】されてしまう。一回目の裁判で【彼女】は僕らを守るために【クロ】を見付け出してくれた。そんな【彼女】の為にも、僕らは死ぬわけにはいかない。生きなければならない。【彼女】がいないからといって、十神くん、僕たちが諦める理由には決してならないぞ」

 じっと十神くんを見詰めて言い切る。レンズ越しに放たれる彼のアイスブルーの視線から逸らす訳にはいかない。いや、逸らしてはならないのだ。

「この分からず屋の、プランクトン風情が」

 無言で睨み合っていた僕らだったが、先に視線を逸らしたのは十神くんだった。彼は盛大に舌打ちをすると、乱暴な足音を立てて去っていく。そんな彼の背を腐川くんが「白夜様!」と慌てて追いかけていく様子を目で追っていた僕だったが、各個人に割り振られた部屋の扉が一つだけ開き、其処から誰かが覗き込んでいることに気が付いた。それは兄弟・不二咲くんと部屋から出てくるなか、今現在も出て来ていないクラスメイトこと、舞園さやかくんだった。

「舞園くん!?」

 思わず大声が出てしまった。その声に驚いた舞園くんが扉を閉めようとするが、舞園くんを外に出そうと呼び掛けていて、先程まで僕と十神くんのやり取りに気を取られていた桑田くんが咄嗟に足を挟む。しかし、彼女は混乱と怯えの余り、無理矢理にでも扉を閉めようとし続けたものだから、桑田くんが悲鳴を上げた。

「あいてててっ!! 舞園ちゃん、落ち着いて! いや、マジで落ち着いて! 俺の足が折れちまうって!!」

「私は殺人鬼と一緒になんていられません! 推理できない私が部屋の外に出たところで、どうしようもないんですから!」

 彼女の恐怖は極限に達しているようだった。いつもはアイドル然として溌剌とした彼女がヒステリーを起こしたかのような行動にしていることに、僕らは茫然としてしまう。

「困りましたわね。学級裁判までに【犯人(クロ)】を見付けなくては、【犯人(クロ)】以外の私たちは皆、縄屋の娘と結婚させられてしまうというのに」

 不意に放たれたセレスくんの婉曲的な表現に僕はぞわりとした。そうだ、このままで【クロ】を追及できなければ、僕らは揃って縄屋の娘と結婚――つまり縛り首(処刑)となってしまう。それだけは絶対に避けなければならない。恐ろしい妄想を振り払うように激しく頭を振ると、僕はいつも通りに背筋を伸ばして、堂々たる姿勢で舞園くんの部屋へ足を向けた。そして、今尚閉めようとする扉の淵を開けるためではなく、桑田くんの挟まれた足を引き抜かせるために掴んだ。

「私は、私はまだ死にたくないんです! だから、放っておいてください!!」

「舞園くん、落ち着いて僕の話を聞いてくれ」

 すかさず挟まれた足を引き抜いて、その痛みに悶え苦しむ桑田くんに代わり、僕は舞園くんの扉の前に立った。

「これから一定時間の後に【学級裁判】が行われる。其処で【クロ】を追求しなければ、僕らは揃って【オシオキ】されてしまう。捜査をするには一人でも多くの協力者が必要だ。君の力が必要なんだ。だから、【勇気】を持って扉を開けてくれ。大丈夫、君だけは僕が何としてでも守り抜く!」

 隣に立つ桑田くんから息を飲む音がした。後方ではセレスくんの「予想外の騎士(ナイト)の登場ですわ」という呟きが聞こえたが、今、そんな理解不能な言葉に拘(かかずら)っている場合ではない。祈るような気分で扉を見詰めていると、扉に掛かる斥力が消え、恐る恐る扉が開いていった。

「石丸くん、本当に私を守ってくれますか?」

「勿論だとも! この超高校級の風紀委員の名にかけて君を守り抜こう」

 平生通りの態度で強く言い切ると、彼女の顔に差していた暗い影が僅かだけ引いたような気がした。それに小さな安堵の息を吐いていると、それぞれ両脇から小突かれる。左側にいた桑田くんは僕を睨み、右側にいた兄弟は僕を見てニヤリと笑っている。二人のよく分からない対照的な態度に僕は瞬きを繰り返してしまった。

「皆さん、ごめんなさい。あのアナウンスが聞こえて、また誰かが殺されてしまったかと思うと、私、怖くて――」

「僕も怖くなって部屋から出れなくなってしまっていたから一緒だよ。だから、舞園さん、謝らないで」

「ありがとう、不二咲さん」

 まだ青い顔色をした舞園くんを不二咲くんが健気にも慰めている。そんな彼女たちを見て、僕は尚更【彼女らを守り抜く】という【決意】を強めた。

「ちょ、ちょっと! 舞園ちゃん、俺だって君を守――」

「さてはて、このままではラブロマンスが始まってしまうので、この山田一二三、無理矢理にでも流れを変えますぞ。時間は有限でありますからな! ではでは、皆の衆、推理するためのヒントを集めにいこうではありませんか!」

 

 桑田くんの台詞に覆い被さるようにして山田くんが発言する(人の言葉は最後まで聞くべきだと僕は思う)。

 こうして、あの恐ろしい学級裁判に向けて開始されたのだった――霧切響子殺人事件の捜査が。

 

 

 

25、

 

 捜査タイムが始まった。

 なのだが、僕らはまごまごしていた。答えは簡単だ。何をしたらいいのか分からないからだ。

 

「捜査って言われても、何をしたらいいのか、さっぱり分かんねぇよ。前回は殆ど霧切が一人でやっちまっていたからよぉ」

「そうですわね、此処にいるのは私含めて全員がド素人。プロはもうおりません」

「はてさて、いったい何から始めたら宜しいのでしょうか」

「とりあえず、【犯人(クロ)】を確定するための【ヒント】を集めねばならぬ」

「やっぱり、現場検証じゃないかな」

 

 桑田くんの言葉にセレスくんが頷き、山田くんも同意を表す。続けて大神くんが【ヒント】集めを提案するなか、不二咲くんがポツリと呟いた台詞に、犯行現場を直(じか)に見てしまった組である僕らは身を固くしてしまった。惨状を知らない不二咲くんと大和田くんと舞園くんは不思議そうな顔で僕らを見ている。セレスくんも山田くんも大神くんも黙り込み、桑田くんは「俺は絶対に行かねぇぞ!」と叫んでいる。あの血溜まりの地獄が脳裏を一瞬で支配したのだろう。その地獄に行け、というのか。しかし、僕は汗に濡れる拳を握り締めると、覚悟を決めて、こう言った。

 

「僕は行くぞ」

 

 ぐっと背伸びするようにして姿勢を正し、更衣室へ向かって歩き出す。怖くないと言えば嘘になる。だが、ここでじっとしてても何も始まらないし、何かが変わる訳がない。僕はなんとしてでも霧切くんの仇を取り、女子生徒を――ひいては舞園くんを守らなくてはならないのだ。

 そう決意を更に固めて、目の前を睨むようにして歩いていると、足音が一人増えたのが分かった。大きな影が僕を覆う。隣を見上げる。僕の隣を歩いていたのは、やっぱり彼だった。

 

「俺も協力するぜ」

「兄弟!」

 

 ニィと笑う彼を見ていたら、勇気が湧いてきた。二人して歩いていると、あの舞園くんが「私もいきます! 怯えてばかりは嫌なんです!」とついてきた。女の子にあの現場は、と懸念していたら「石丸くんが私を守ってくれるのでしょう?」と駄目押しされた。石丸清多夏、一度口にした約束を反故にする訳にはいかない。勿論だ! とはっきりくっきり返していると「俺だって!」と桑田くんも走ってついてきた。明確に行かない発言をしていた彼が何故、と首を傾げていると「お前ばかりにカッコいいところ、させる訳にいかねぇからな」と桑田くんから小突かれた。はて、何の話だろうか? だが、それよりも先に気になることを訂正させなければ。

 

「桑田くん、廊下を走ってはならないぞ」

「今、それを言うのかよ!」

 

 そして僕は桑田くんから再度の小突きを貰ったのだったが、全く以て解せない限りである。

 

 

 

26、犯行現場

 

 こうして僕らは犯行現場である更衣室前を捜査することになった。大神くんと不二咲くんは気絶した朝日奈くんを看るとのことだが、十神くんと腐川くんペアは何をしているのかは不明だ。彼らは彼らなりに捜査をしているのならば、嬉しい限りなのだが――。

 

「おい、兄弟。そろそろ更衣室前だぞ」

 

 兄弟の言葉に思考を目の前に戻す。この角を曲がれば、地獄の一丁目だ。血の匂いも強くなってきている。今、此処に霧切くんがいないのは、本当は一足先に現場検証をしているからではないだろうか、という馬鹿な妄想が浮かんだ。この角を曲がると「遅かったわね」と冷静な口調で佇む彼女がいるような気さえした。だが、そんなもの総ては幻想だ。夢だ。だって、彼女は――。

 

「舞園くん、君は僕の後ろにいた方がいい」

 

 角を曲がった瞬間、誰か声を上げただろうか。それとも、それは声ではなくて息を飲む音だったか。もしかすると、それは僕の背に隠れている舞園くんのものだったかもしれない。やはり何度見ても、其処は地獄の一丁目であった。ただ、ほんの少し時間が経ったからであろう、壁や床を流れる赤や白の塊は色を変え、それ以上広がる様子は無く、凝固しかかっていた。彼女こと、霧切響子の遺体の上に被せた僕の真っ白な学生服の上着はドス黒く変色し、その変色した箇所は既に人の形をしていなかった。正面を向く僕からは見えないはずの舞園くんの顔が真っ青になったのが安易に想像でき、無理にでも彼女を置いてくれば良かった、と心から後悔した。

 捜査をしようではないか。そう言いたかったのに、声が出なかった。瞼と喉が熱い。もう一度、声を出そうとした瞬間、兄弟が僕の前を横切って、ひょいっとしゃがみ込むと、被害者を隠す僕の学生服の上へ、彼の黒い学ラン(特攻服と言うらしい)を更に重ねた。あの特攻服は超高校生級の暴走族である彼の誇りそのものであるはずだ。それを彼が脱いで、被害者に掛けた――血塗れになるのが分かっているのに。それを見て、ブレていた覚悟が止まり、そして決意が固まった。

 

「よし、捜査をしよう」

 

 今度こそ声が出た。守ると決めた舞園くんを僕の後ろに隠すようにして、犯行現場を見渡す。まずは電子生徒手帳のモノクマファイルに目を通した。

 

《被害者は霧切響子。殺害時刻は午前七時十七分、場所は女子更衣室前、凶器はマシンガン》

 

 マシンガン。電子生徒手帳から顔を上げ、視線を更に上げると、彼女の命を奪った物体が視界に映った。

 

「確か、【マシンガンは異性の更衣室に入ろうとしたときに発動する】はず。しかし、霧切響子殿は【女子更衣室前で倒れている】。これは不思議ですな」

「ええ、奇妙ですわ。【女性である霧切さんは女性の更衣室に入ろうとして、発動するはずのないマシンガンを受けている】。あの十神くんのようにモノクマのプログラムミス、或いは悪意ある手動を疑うのもむべからぬものですわね」

「でも、それはモノクマが否定していたじゃねぇか」

「あのクマを疑いたくなる気も分からなくもねぇが、これでは堂々巡りになっちまうな」

 

 山田くんの疑問に、セレスくんが頷く。その会話に桑田くんや兄弟も入るが、そう簡単に疑問は払拭されない(ちなみに桑田くんは直視したくないからか壁に隠れたままだ)。

他に見るものはないか、と視線を巡らすと、それぞれの扉の上にある【男子更衣室・女子更衣室のプレート】が目に入った。何から調べたらいいか分からない僕は、何気なしにジャンプして【男子更衣室のプレート】に手を伸ばし触れてみるが、【プレートは壁にしっかり固定されていて、とてもじゃないが外せそうにない】ことが分かった。

 

「あれ、霧切さんの【スポーツバック】ではありませんか?」

 

 そのまま視線を落として、扉横の【タッチパネル】を見ていたが、不意に僕の背に隠れていた舞園くんがと小さく声を掛けてきた。撃たれた瞬間、落としてしまったらしく、その血が付着した【スポーツバック】は遺体から少し離れたところから落ちていた。そろりと近付いて、バックを開けてみる。中には【ジャージ】【タオル】【スポーツ用のシューズ】【ペットボトルのスポーツドリンク】【ルームキー】が入っていた。

 

「霧切くんは僕と別れる前、【トレーニングをする】と言っていたから、そのための鞄だと思う」

 

 舞園くんにそんな説明をしながら、内容物におかしな点がないか確認する。【運動する】と言っていたから、内容物に不思議はないはずだ。だが、そこまで見て僕は何故か【何かが足りない】と感じた。しかし、それが何なのか思い出せない。【校則違反になるもの】や風紀に反するものも入っていないので、はて? と思っていたら、舞園くんに袖を引っ張られた。どうやら、僕がそうやって考え込んでいる間にセレスくんたちの注目する事項は変わっていて、いつのまにやら「とりあえず、いろんな部屋を捜査してみよう」という流れになり、損傷のない男子更衣室から入っていってしまっていたのだ。

 

「君たち、待ちたまえ!」

 

 舞園くんが先に男子更衣室へ入り、僕も慌てて室内へ入った。

 

 

 

27、男子更衣室・女子更衣室・プール

 

 だが、僕はなかなか室内へ入れなかった。答えは簡単だ。此処は土足厳禁だからだ。編み込みブーツを履いていた僕は紐を解(ほど)くのにかなり時間を有してしまい、解き終わった頃には、皆――兄弟も舞園くんも含めて――男子更衣室からプールへ移動し切っていたため、仕方ないので、僕は一人で【男子更衣室】内を見回ることにした。

 男子更衣室はトレーニングルームも兼ねているので、【ダンベル】等も置いてあり、酷く気に食わないが、壁には【グラビアアイドルのポスター】が飾ってある。【備品破壊するとモノクマからオシオキされる】ので、このポスターを剥がすことができないのが【超高校生級の風紀委員】として心から忌々しく思う。ロッカーは片っ端から誰かが開けていったようで――恐らく兄弟だと思う、二階にはじめて来た時も空き教室で同じことをしていたから――中途半端に開いた扉が幾つもあったので、僕はそれらを閉めていった。それから辺りを見渡し、何も異変がないことを確認する。昨日はどうやら誰も利用していないようだし、そもそも、【霧切響子は此処こと男子更衣室には入っていない】のだから、おかしな点なんて、ある訳が無い。

 

 僕が男子更衣室から【プール】へ移動すると、今度は皆が【女子更衣室】からプールへ出てきた。男子更衣室→女子更衣室→プールの順で確認しているらしい。思わず「男子たるもの、女子更衣室に入って良いのか!」と叱責したが、桑田くんに「捜査だから仕方ないだろ? 【クロ】を見付けるために必要なことだし」と言い返されてしまったので、ぐうの音も出ない。そんなことを桑田くんと問答しているうちに皆はプールサイドの対角線上まで足を運んでいた。桑田くんが皆のところへ向かうなか、僕は抵抗心があったが、捜査の為、霧切くんの仇を討つ為、と念じながらと同時に謝罪しながら【一人】で【女子更衣室】へ入った。

 

 女子更衣室内も男子更衣室内と変わりがないようであった。トレーニング用の【ダンベル】も置いてあるし、捜査の為かロッカーの扉は中途半端に開いていて、此方の壁にもとても気に食わないが【男性アイドルのポスター】が飾ってある。それを忌々しく思いつつ、見上げながら歩いていた僕は【体重計】に右足の小指をぶつけてしまい、悶絶しそうになった。男子更衣室と構造も内容も同じだから、此の場所に体重計があるのも当然なのだが、それをすっかり忘れていた自分自身が恨めしい。ついでに、何気なしに体重計に乗ってみると、今現在の僕の体重は【68㎏】だった。三日前に兄弟と対決ときに男子更衣室内の体重計にも乗ったが、それよりかは明らかに増えている。規則正しい生活を送っていたつもりが、学校監禁の状況下ではやはり限界があるらしい。

 

(ならば、皆も同じ状態ではないだろうか? 風紀委員として皆の生活リズムの改変を考えなくては)

 

 体重計を降りた僕はつぶつぶとそんなことを考えながら、女子更衣室内を徘徊していると、敷かれたカーペットの上に【なにか液体をこぼした跡のシミ】を見付けた。それによくよく見てみると、男子更衣室と違って【女子更衣室のカーペットが濡れている】ことに気が付いた。男子更衣室と違って、足裏が冷たく感じたのはこれのせいだったのか。モノクマも毎日は清掃しないようだ。僕らに【過ごしやすい環境】を提供すると言っていた割には随分と適当だ。いや、それ以前に【ヒトゴロシ学園生活】を強要する時点で過ごしやすいも何も無いのだが。

 

(だが、それにしてもこれはいったい……?)

「石丸くん、どうされましたか?」

 

 不意に耳元で囁かれ、僕は飛び上がりそうになった。

 

「うっひゃあ! ……って、ま、舞園くんか!? 驚かさないでくれたまえ!」

「うふふ、ごめんなさい。でも、いい驚きっぷりでしたよ」

 

 にこにこと笑う舞園くんの謝罪の言葉と共に告げられた指摘に、僕は恥ずかしさの余り顔が熱くなるのを感じた。

 

「皆さん、もう出て行ってしまいましたけど、石丸くん、なにか気になることがありましたか?」

「あ、ああ。カーペットに【なにか液体をこぼした跡のシミ】があって、それに【カーペットが濡れている】から何故だろうと考えていたのだ」

「それなら、【昨日、女子の皆さんで泳いだ】からですよ」

「泳いだ?」

「ええ。昨日の動機発表の後、石丸くんは憔悴する大和田くんを気遣って連れ出したでしょう? 私たちも落ち込んでしまっていたのですが、【朝日奈さんが気を使ってプールへ誘ってくれた】んですよ。残念ながら、【不二咲さんが不参加】で【参加したのは私と朝日奈さんと大神さんとセレスさんと腐川さんと霧切さん】でしたけど」

「つまり、【昨日プールを使用したからカーペットは濡れていた】のか。では、この【なにか液体をこぼした跡らしき、カーペットのシミ】は?」

「それは大神さんです。【プールの後、大神さんだけ残ってトレーニングをした】そうで、その時に【プロテインをこぼしてしまった】らしいです」

「そうだったのか。ありがとう、舞園くん」

「いえいえ」

 

 そんな会話をした後、僕は女子更衣室からプールへ出た。舞園くんの言う通り、僕ら以外の皆はもう出て行ってしまったらしく誰もおらず、かつ【プールサイドも濡れていた】ので、彼女の言う通り【昨日、不二咲くん以外の女子で泳いだ】のだろう。遅れて女子更衣室から出てきた舞園くんに、僕は聞きたかったことを尋ねてみた。

 

「ところで、舞園くんはどうして皆と一緒に行かなかったのだ?」

「それは……」

 

 僕からの質問に彼女は顔を伏せた。整えられた長い睫毛が彼女の涙袋に影を落とすのを見た僕は、見てはいけないものを見てしまったような気がして、見詰めるとくらくらするぐらい光を放つ明かりを受けて乱反射するプールの水に視線を逸らしてしまう。

 

「怖かったんです、その……霧切さんの遺体の横を通るのが」

 

 それに、と彼女は僅かに顔を上げて僕に言った。

 

「でも、石丸くんは私を守ってくれるのでしょう? だから、石丸くんを待っていたんです」

 

 彼女の瞳はプールの水の乱反射を受けて同じように――いや、それ以上に星屑のように輝いていた。我ながら、僕はいつの間に視線を水から彼女へ戻していたのか分からない。その星屑のような瞳の輝きを見て、もう二日前になる彼女の小さなコンサートを思い出した。あの時の感動が火花のように胸内で弾けていく。もしかすると、あの時の感想を口にするのは今なのかもしれない。たった一言の、あの言葉を――。

 

『捜査時間、半分を切ったよ』

 

 モノクマの声が放送され、僕は一瞬にして正気に戻った。今は優先すべきは霧切くんを殺害した【クロ】を特定するためのヒント探しだ。こういうことは今回の学級裁判が終わった後に告げればいい。僕は舞園くんを連れ、急いでプールサイドを離れ、男子更衣室から抜け出したのだった。

 

 

 

28、朝日奈葵の部屋

 

 男子更衣室を後にしたが、やはり舞園くんには精神的にキツイものがあったようだ。顔色の悪い舞園くんを一階の彼女の部屋に送り届け、後は僕に任すように告げた。舞園くんに「力になれなくて、ごめんなさい。石丸くん、必ず【クロ】を見付け出して、私を守ってくださいね」と言われ、「勿論だ」と大きく頷いたが、如何せん、これからどうしようか。皆は他の教室や部屋を捜査しているようだから、其処へ混ざった方がいいのだろうか。

 

「石丸くん! 其処にいるのは石丸くんだよね! 朝日奈さんの目が覚めたよ!」

 

 寄宿舎の廊下で悩んでいると、唐突に名前を呼ばれた。僕の名前を呼んだのは不二咲くんだった。

 

 朝日奈くんの部屋に入ると、彼女はベッドから上半身を起こしていたが、顔色はまだ青いままだった。直接、霧切くんの遺体を見ていない舞園くんですら、あんなに顔色が悪くなったのだ。直接見てしまった朝日奈くんは如何程の精神ダメージを受けただろうか。僕とて霧切くんのあの凄惨な遺体を直接見てしまった身だ。安易に「大丈夫か」と切り出すことは出来なかった。

 

「あ、石丸。心配して見に来てくれたんだ。ありがとう、もう大丈夫だよ。私も捜査に協力しなくちゃね」

「朝日奈くん、あまり無理をしない方がいい」

「でも、【クロ】の特定に失敗して、私たちみんな【オシオキ】されちゃったら、無理をすることすらもう出来なくなっちゃうよ。なんかそう考えると一瞬で身も心も凄く痩せたような気さえしてきちゃうなぁ、もしかしたら本当に痩せたかも……って、あはは、何を言っているんだろう、私」

 

 そう言って、朝日奈くんは笑おうとした。しかし、それは彼女の唇の端が少し震えただけに終わった。

 

「あの霧切ちゃんが殺されちゃったなんて、私、まだ信じられない。昨日はさ、【私が提案してプールで泳いだ後、夜遅くまで女子会をした】んだ。楽しかったなぁ。霧切ちゃんもようやく私たちに心を開いて友達になれたと思ったのに、ホント、こんなのってないよ」

 

 朝日奈くんが瞼を落とすと、涙が一粒だけ落ちていった。その涙を大神くんの大きな手が拭う。居た堪れなさを覚えた僕は服の上から自らの臍(ほぞ)辺りに掌(てのひら)を当て、視線を落としていた。

 

「最後に霧切くんと会話したのは僕だ。あの時、僕が霧切くんをもう少し呼び止められていたら、僕は彼女を守れたかもしれない。そうすれば、彼女は今頃、死なずに……」

「石丸くん、自分を責めちゃ駄目だよ」

 

 不二咲くんからの慰めに、僕は顔を上げることなんて出来なかった。正直、ずっと後悔していた。あの時、もう少しだけでも彼女を引き留められていたなら、また違う未来があったのではないか、と。そう考えると、今、どんな表情を浮かべていいのか、どんな表情を今の自分が浮かべているのかすら、分からなくなっていった。

 

「そうだ、石丸。今は『もしも』なんていう『IF』なんて考えてはならぬ。それに、皮肉めいた話になるが、【霧切が犠牲にならねば、別の誰かが犠牲になっていた】可能性もある」

「別の誰か?」

「そうだ」

 

 思わず、顔を上げる。見上げた先にあった大神くんの顔はいつも以上に厳めしい面構えをしていた。

 

「モノクマは【トラップ殺人】と言っていた。つまり、仕掛け云々は分からないが、そのトラップというのは【女子更衣室を訪れた者を無作為にマシンガンで撃ち抜く】ものであったのだろうと推測される。今朝は【我々もプールへ向かっていた】から、よもすると、本当は今頃、我は此処にいなかったかもしれぬな」

「大神くん、そんな恐ろしい『もしも』なんて口にしないでくれたまえ!」

「だから言ったろう、石丸。今は『もしも』なんていう『IF』なんて考えてはならぬ、と」

 

 大神くんの言葉に僕は二の句を告げなくなってしまう。嗚呼、駄目だ。最近の僕は全く以て【超高校生級の風紀委員】らしく振舞えていない。本当に【超高校生級の風紀委員として失格】だ。そもそも、僕には【希望ヶ峰学園にいる資格なんて無い】のかもしれない。そう考えると、体の芯から底冷えするような冷たさが這いよってきて、僕は咄嗟に臍の上に置いていた掌を拳(こぶし)に変えてしまっていた。だが、その拳に【何か】を押し付けられた。押し付けたのは大神くんで、その【何か】は【さくら色の小さなノート】だった。

 

「大神くん、これは?」

「捜査用のノートに使え、石丸。此処に【気になる点】を書いていけば良い。我は朝日奈に付き添うが故、捜査に参加できぬ」

「さくらちゃん、私、もういけるよ。だから――」

「朝日奈よ、学級裁判では常に立ちっぱなしとなる。今は養生せよ。他の者がきっと【真相に至るヒント】を集めてきてくれるはず、それを信じるのだ」

 

 大神くんが朝日奈くんを説得している間に、僕はポケットから万年筆を取り出すと、彼女がくれた【さくら色の小さなノート】に【今回の事件の捜査に置いて気になる点】を書き込んでいった。そして、ちょっとだけ考えて、一番後ろのページに【超高校生級の風紀委員としてしなければならないこと】として【今回の捜査に関係ないこと】も記述しておいた。この【学級裁判】が終わったら、必ずや僕は【超高校生級の風紀委員として振舞い、そのポリシーを取り戻す】のだ。

 

「朝日奈くん、今は無理をしないでおいてくれ。君の分まで、僕が頑張ろう! そして、ありがとう、大神くん。必ずや【クロ】を見付けて、君たちを守ってみせようではないか!」

 

 万年筆とノートをポケットにしまい込み、僕は宣言する。何度でもブレそうになる決意と覚悟だが、なら何度だって決意と覚悟を決め直せばいい。ぽかんとした彼女らに背を向け、臍に力を入れた僕は次の捜査現場へ向かうため、その場を後にしたのだった。

 

 

 

29、

 

「待ってよ、石丸くん」

 

 朝日奈くんの部屋を出た僕に続けて出てきたのは不二咲くんだった。

 

「僕だって、怖がってばかりじゃ嫌だ。だから、協力させて」

「勿論だ、不二咲くん! 君の勇気と協力に深く感謝する!」

 

 僕の言葉に「そんな勇気だなんて大袈裟だよ」と彼女ははにかんでみせた。だが、何処へ向かおうか考えていなかったため、足を進めることが出来ない。もう一度、【犯行現場】へ行く? いや、きっと繊細な不二咲くんは耐えられないだろうし、そもそも僕ももう行く気概がない。きっと【誰もが何度も犯行現場に足を運びたくない】はずだろう。捜査時間がそんなに残されていない今、何処を捜査すべきだろうか。そう悩んでいると、有難いことに不二咲くんから提案してきてくれた。

 

「行くところが無いなら、霧切さんの部屋に行かない? 彼女は【超高校生級の探偵】だから、もしかすると、捜査の仕方とか方法とかのメモが残っているかもしれないよ」

 

 

 

30、霧切響子の部屋

 

 捜査時間中は解放されているフロアの全ての部屋の扉が開く、と言っていたが、寄宿舎の部屋も例外ではないらしい。異性の部屋に入るなんて女子更衣室に入る以上の気まずさを覚えたが、これも捜査の為、霧切くんの仇を討つ為、それに女性の不二咲くんも一緒に入ることだし、と色々な良い訳をしながら、僕は恐る恐る彼女の部屋に入った。

 部屋の構造は僕のものと寸分違わず、家具やその配置もほぼほぼ変わらない。心の内で一言謝ってから机の引き出しを開けるが、筆記具や真っ新なノートがあるだけで目ぼしいものはありそうになかった。推理の仕方なんて、本当は彼女の灰色の脳内にしか存在しないではないのだろうか。だとしたら、いったい僕らはどうやって【クロ】を特定すればいいのだろうか。

 

(いやいや、何を嘆いているのだ、石丸清多夏! 十神くんに言ったではないか、『だからと言って、諦める理由にはならないぞ』と! 苗木くんとの約束を守るためにも、僕は女子生徒を――ひいては舞園くんを必ず守ってみせる!)

 

 何度だって自らを奮い起こしながら部屋全体を見渡していると、【やけにきれいなベッド】が目に入った。まるで、【昨夜は使っていない】ようなきれいさだ。朝一でベッドメイキングしたのだろうか? なら、シーツはいつ変えたんだろうか? 霧切くんは随分と朝早くに僕と出会ったのにも関わらずに。

 

「石丸くん、何を見ているの?」

「いや、随分とベッドがきれいだな、と思ったのだ」

 

 不二咲くんからの問い掛けに思わず簡潔に感じた通りのことを答えると、彼女は「ああ、それはね」と教えてくれた。

 

「昨日、霧切さんは此処で寝てないからだよ」

「寝てない?」

「うん。【昨夜は朝日奈さんの提案で女子会をした】んだ。石丸くんたちだって【男子会】をしていたでしょ。だから、それに倣(なら)ったんだ」

「つまり、君たちも女子だけで勉強したのか! しかも、自主的に勉強とは学生として誠にあるべき姿だな!」

「……」

 

 うむ! と僕は関心の余り、力強く頷いてしまった。それに対し、不二咲くんは一呼吸置くと、また語り出してくれた。

 

「それで夜遅くまで【女子会】をしていたんだけど、【モノクマからの動機提供】があって怖かったから、そのまま【皆で朝日奈さんの部屋に泊った】んだ。【僕は昼間のプールに参加できなかったけど、女子会には参加した】けど、楽しかったなぁ。【腐川さんは朝日奈さんが誘ってプールには参加したけど、女子会には参加しなかった】よ。……あ、でも、石丸くん、これは【校則違反】じゃないよ! 【電子生徒手帳】に載ってる【校則】にも【就寝は寄宿舎エリアに設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します】とあるけど、【個室】であって【自分の部屋】とは明記していないからね! ほら、【大和田くんだって、石丸くんの部屋で一晩過ごした】から同じだよ!」

 

 後半は大慌てで早口で捲し立てる不二咲くんに気圧されて、かつ珍しさもあって、僕は口を挟むことが出来ずに「う、うむ。そうか」と頷くことしか出来なかった。その勢いのまま、彼女が「だからね、だからね! 夜更かししたなんて怒らないんで欲しいんだ」と迫るものだから、僕はじりじりと後退するあまり、後方のベッドに気付けなかった。結果、ベッドに膝の後ろを打った僕は声を上げることなく仰向けで霧切くんのベッドの上に転んでしまう羽目になった。

 

「あ! ごめんねぇ、石丸くん。大丈夫?」

 

 ベッドのスプリングが軋む音が耳元で鳴り、小さな影が落ちる。瞼を開けると、急に倒れ込んでしまった僕が心配だったのだろう、不二咲くんがベッドの上に自らを乗り上げて僕の顔を覗き込んでいた。子リスを思わせるような頬と瞳、唇が僕の視界いっぱいに広がる。よくよく考えると、ここは異性のベッドの上、そして、この部屋には僕と彼女の二人きり。これは余りにも距離が近い。未成年の男女が持って良い距離感ではない。顔が熱くなる。まずい。このままだと、また【昨夜みたいにぶっ倒れる】かもしれない。ぶっ倒れてしまったら、捜査どころではなくなってしまう。まだ【クロ】の目星すら付けていないというのに。

 

「だだだ大丈夫だ、問題ない!」

「ほんとうに?」

 

 不二咲くんを安心させようと声を掛けたが、その声は情けないことに裏返っていた。急に上半身を持ち上げてしまったら、不二咲くんにぶつかってしまうかもしれないので、這いずるように体を動かしていると、僕の体の下に【違和感】を覚えた。シーツの上を泳ぐように手の平を動かし、その【違和感を覚えた箇所】のシーツの下に手を差し込む。僕の挙動に「石丸くん、どうしたの?」と不二咲くんが不思議そうに呟いた後、僕の手の内にあるものを見て「あ」と微かな悲鳴を上げた。僕が霧切くんのベッドのシーツの下から探し当てたもの――それは【黒い手帳】であった。

 

「どうして、こんなものがここに?」

「恐らく、モノクマが終始あの【監視カメラ】で見張っているから、ベッドの掛布団の中で見られないように書いて、隠していたのだと思う」

 

 ちらりと【監視カメラ】を見上げながら、僕は不二咲くんからの問いに細々と答える。本当に捜査ノートが出てきた事実に「不二咲くん、君の言った通りだったな!」と褒めると、彼女は「えへへ」と小さく照れて笑った。

 

 だが、端的に言うならば、それは捜査ノートではなかった。

 二人してベッドから降り、監視カメラから背を向けて覗き込んだ手帳は、最初の一・二ページは閉鎖学園生活に対しての日記と考察について書かれていたが、その後は彼女の痛切な想いが述懐されていた。どのページにも『苗木くん』という【言霊(ワード)】が出て来て、彼が亡くなってしまったことへの彼女の悲しみがひしひしと伝わってくる。途中で「石丸くん、これって……」と不二咲くんが口を挟んできたが、僕は何も言えずにいた。

 一度、僕は彼女の悲しみの片鱗に触れたことがあった――彼女がマシンガンでハチの巣にされる、僅か数分前の会話で。その時、もしも兄弟を失ってしまったら僕は正気でいられないだろうと思う一方、男女を超えた深い友情の繋がりのある苗木くんを失ったというのに彼女は正気でいることができて、なんて精神的に強いのだろうと感じていた。だが、そうではなかった。霧切くんは、本当は辛くて悲しくて仕方なかったのだ。それなのに、彼女は自分の足で立ち、一人でこの【ヒトゴロシ学園生活】に立ち向かおうとしていた。

 

『苗木くん。貴方が私にとって大事な人だと、今更思い出したわ。どうして、貴方が亡くなった後に思い出すのでしょうね。こんなことなら、もっと早く伝えればよかった。あんな簡単な短い言葉なのに、ずっと心の奥底で感じていたのに。もっと早く素直に口にしていれば。苗木くん、私は貴方のことが心から――』

 

 最後の言葉は滲んで読めなかった。そのページの日付は苗木くんが殺された翌日のものになっており、その最後の文字だけでなく、幾つもの文字が濡れて滲んで乾いていた。そのシミ跡を指でなぞりながら、彼女がどんな気持ちでこれを綴ったのか考えると、想像力がないとよく言われる僕であっても胸が締め付けられる思いであった。そして、霧切くんが僕に助言してくれた『簡単な言葉でいいのよ、思い付いたことを心からストレートに言えば』に込められた彼女の後悔と、彼女が伝えたかった相手である彼がいなくなってしまった事実への悲哀を、本当に今更ながら僕は思い知らされたのだった。

 

 これ以上読むと余りの辛さに僕の方まで叫び出しそうだったので、震える手で一気にページを流した。どうして、彼女は死ななくてはならなかったのだろうか。何故、犯人は彼女を殺害したのだろう、とページを捲る音を聴きながら、僕は胸内で嘆いた。捲り終わる前の最後のページには、こんな文章(センテンス)が書いてあった。

 

『貴方を思い返したい余りに【こんなもの】ですら縋る私を許して』

 

「こんなもの?」

「もしかして【これ】じゃないかな?」

 

 気になった【言霊(コトバ)】を口にする僕に不二咲くんがディスクを見せてきた。この【黒い手帳】と同じように、シーツの下に隠されていたというディスクには『苗木 誠』と書かれてある。僕はそれに見覚えがあった。不二咲くんも勿論見覚えがあり、顔を青くしている。そのディスクは第一の動機として提供された代物だったからだ。

 

 

 

31、視聴覚室

 

 不二咲くんと二人で、ひっそりと向かった視聴覚室に誰も人はいなかった。あまりの人の生気が感じられなさに、静寂のなか、列をなして並ぶデスクトップ型のパソコンが無機質な墓標にすら見えてくる。不二咲くんは扉に一番近いパソコンの前に座るや否や、普段の姿とは予想もできないきびきびとした動作でパソコンを立ち上げていく。此処まで僕と彼女は何の会話もしていなかった。ディスクを読み込み終わり、デスクトップ画面に映像が流れだした。

 

 一般家庭の応接間のソファに座っているのは、四十か五十歳の男女二人と十幾つの年齢であろう少女だった。男女二人は苗木くんの希望ヶ峰学園の入学を心から祝福しており、ショートカットの黒に近い茶色の髪の少女は「お兄ちゃん、頑張って」と嬉しそうにエールを送っている。だが、それも一瞬のノイズの後に消え、次に映った映像は誰もいない、ズタズタに引き裂かれたソファと闇に染まった応接間があるだけになっていた。まるで映画のラストに流れるクレジットのように、モノクマの不安を掻き立てるような声が響いてくる。三人の行方は分からない。知らない。想像したくも、深くも考えたくもなかった。

 

 大方の予想通り、酷い結末のショートフィルムだった。本当にこれがショートフィルムで、捏造だったらどんなに良かったか。だがしかし、僕を含めて誰もが真実(ノンフィクション)か嘘(フィクション)か分からずにいる。数日前の、似たような映像を見せられた時のことを思い出したのか、僕も不二咲くんもしばらくは互いに黙ったままだった。

 

「これは【苗木誠くんの動機ディスク】で、映っていたのは苗木くんのご両親と妹さんだよね。どうして、霧切さんはこれを持っていたのかな」

「少しでもいいから、なんだって構わないから、苗木くんを思い出させるものを霧切くんは持ちたかったのだと思う。あの【黒い手帳】にも『こんなものですら縋る私を許して』と書いてあったから」

 

 おずおずと言わんばかりに口を開いた不二咲くんに、僕も同じように言葉を吐き出す。

 視聴覚室での、僕らの会話はたったその一回だけに終わった。

 

 

 

…to be continued

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