天之河勇者伝   作:スカイハーツ・D・キングダム

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第二話 天職

 

翌日から早速訓練と座学が始まった

 

まず、集まった生徒達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。 騎士団長が訓練に付きっきりでいいのかとも思ったが、対外的にも対内的にも勇者様一行を半端な者に預けるわけにはいかないということらしい。 メルド団長本人も、「むしろ面倒な雑事を副長(副団長のこと)に押し付ける理由ができて助かった!」と豪快に笑っていたくらいだから大丈夫なのだろう

 

そのプレート……ステータスプレートは神代のアーティファクトであり、今現在存在する唯一の代物であり、アーティファクトとは現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具でまだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている物を指す

 

このステータスプレートは身分証明になり、更にはその人物の潜在的な能力値や技能を表すもの

 

技能=才能である以上、先天的なものなので増えたりはせず

唯一の例外が〝派生技能〟

これは一つの技能を長年磨き続けた末に、いわゆる〝壁を越える〟に至った者が取得する後天的技能である。簡単に言えば今まで出来なかったことが、ある日突然、コツを掴んで猛烈な勢いで熟練度を増すということだ

 

クラスメイト達はそれぞれステータスプレートを受け取ると自らの実力と天職を確認した

 

例を上げると龍太郎は拳士、雫は剣士、香織は治療師といった具合に各々の才能を表した天職が表示されていた

 

ハジメ「メルドさん…この錬成師っていうのは?」

 

メルド「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」

 

メルドは言いづらそうにしながら答えた

曰く非戦闘職でありこの世界ではありふれた職業であるらしい

しかもステータスもこの世界の平均とさして変わらず、言い方が悪いが平凡だという

 

普通なら落ち込んだりする場面ではあるが

この男

南雲ハジメは違っていた

 

ハジメ「……つまり…制作系統の職業というわけなんですよね!?」

 

落ち込むどころか喜んでいた

それもそのはず、彼は地球にいた頃から好奇心と手先の器用さで様々な物の制作に携わっていた

一番の例が本物の拳銃そっくりに作ったモデルガン、これをクラスの4馬鹿であるミリオタに制作費と報酬込みで放課後に売り捌いていた(後に作っていくうちに気分が乗って本物の銃と同じ威力になるほどにまで改造した事実を知り光輝から説教された)←唯の武器の密売

そんな彼にとってものづくりができる天職の才能があるということは、どんなレア天職になれるよりも嬉しいことだった

 

そして光輝はというと

 

光輝「……嘘……だろ…?」

 

すごい落ち込みを見せていた

 

周りは自分の天職と才能に驚きの声や喜びの声を上げる中彼だけはステータスプレートを両手に地面に膝をつけていた

 

雫「ど、どうしたの光輝…」

 

龍太郎「お、おい…大丈夫かよ」

 

そんな光輝に近づく雫達

 

光輝「……これ…」

 

光輝は持っていたステータスプレートを雫に渡してみせた

そこには以下の物が表示されていた

 

天之河光輝 17歳 男 レベル:1 天職:勇者

 

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

 

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

 

レベル1でステータスが3桁だけでなく技能も普通2、3つであるはずなのだが光輝は才能の塊だった

 

ちなみにメルドのレベルは62。ステータス平均は300前後、この世界でもトップレベルの強さだ。それをレベル1の時点で3分の1相当の実力を持っていた

 

龍太郎「す、すげえじゃねえかよ!!しかも勇者ってお前!こんなすげえ天職にステータスでなんで落ち込んでんだよ!!」

 

光輝「……雫……君が王族や教会の立場なら俺みたいに高いステータスとこの勇者っていうまさに人類の救世主みたいな天職を持った奴をどうするかい?」

 

雫「え、ええっと……目をつけて持ち上げるわね…それと下手なことされないために見られるわね」

 

光輝「そう…つまり俺はこれから教会共から目をつけられて俺自身の行動の制限やら期待の意識を向けられる!つまりこの先些細なミスやらこっちの成果が芳しくなかったらそのしわ寄せや苦言言われたり人類の希望っていう重圧が押し寄せられるのは俺!!最悪だ!一応このクラスのまとめ役の俺としてはリーダーだがあまり目立たない職業で有りたかったっていうのにこれで余計俺に目が行く!!」

 

雫/龍太郎「「ああ……」」

 

ただでさえクラスメイト達の問題行動に頭を悩ませストレスで胃痛を起こすこともある光輝だが、この勇者という職業とステータスで余計な注目を浴び、重圧や期待で更にストレスを感じざるを得なくなると予想し落ちこんだ

 

光輝「……まあでも考えようによっては…これは使えるかも知れないな…」

 

龍太郎「?」

 

光輝「俺にそれだけの注目と期待を向けられればその分他の面々……言い方が悪いがありふれた職業を持ったクラスメイト達は目が向けられなくなって行動しやすくなるな……俺はクラスメイト達が動きやすくするための囮か……もうなんでもやってやるよ畜生が…」

 

そうヤケクソ気味に嘆く光輝だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光輝「それで…ここで何やっている南雲……」

 

ハジメ「い、いや〜、図書館で清水君と調べ物してたから武器制作しようって思って銃を作ろうとしたらよくよく考えたら本物を作ったことないし自分の技能の使い勝手とか試す意味で銃作る前の肩慣らしでこれ作ってから使い勝手試していたんだよ……使い勝手を確かめるのとついでに材料集めの一石二鳥になるかなあって思って」

 

光輝「そうか……だが聞いていいか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拳銃作る肩慣らしがチェンソーってなんだ!?なんで拳銃と全く関連性のないチェンソーで肩慣らししてるんだ!?それと檜山、中野に斎藤と近藤!!お前達もお前達でなに南雲と一緒にチェンソーで森林伐採している!!

 

訓練が開始された3日後

王宮の中庭では、ハジメ達により森林伐採がされており、それに怒る光輝と光輝にひざまずきをされているハジメとクラスで四馬鹿と呼ばれている檜山大介、中野信治、斎藤良樹、近藤礼一の5名がチェンソー片手に中庭の木々を伐採しており、たまたま城内を見て回っていた光輝に見つかり説教を受けていた

 

この四馬鹿と呼ばれている面々達はクラス内に存在するグループの一つであり、一応リーダー格である檜山を中心としているが、4人ともミリオタであり釣り好きという共通点でつるむ面々である

 

同じくミリオタであるハジメとも仲がよく、ハジメに制作費を出してでも本物そっくりのモデルガン制作を頼み込むほどだ

また度々ハジメの実験や制作に手を貸すが、ハジメのやらかす問題に関与することも度々あり、その度に光輝から怒られるがハジメ共々懲りないでいる

曰く楽しいらしい

 

檜山「いやな?南雲がよ、自作のチェンソーの出来を確かめたいからって俺たちにも使わせてよ」

 

斎藤「最初はさ、ちょっとやったら終わろうとしたんだがよ」

 

中野「チェンソーで切っていくうちにだんだん楽しくなっていってさ」

 

近藤「気付いたらかなり切ってた」

 

光輝「そうか……つまり何が言いたい?」

 

五馬鹿共「「「「「環境破壊は気持イイZOY☆」」」」」

 

光輝「……ちなみに、ここの森林伐採について王宮から許可は貰ったか?」

 

五馬鹿共「「「「「………」」」」」

 

光輝「よしお前ら全員そこ並べ。一人残らず始末してやる」

 

そう光輝が殺気だてながら言うと

 

檜山「やばい勇者がお怒りだ!逃げろ!!」

 

四馬鹿共「「「「散!!」」」」

 

五馬鹿共は全員四方八方に別れ逃げ出し、それを怒りの形相で追いかける勇者という謎の構図が出来上がった

 

余談だがそれからしばらくして夜の城内でアイスホッケーマスクを被りチェンソーを持った5人組の姿が目撃されるようになり、それを光輝は目撃者たちに『もし見かけても近付かず離れててください』と言い、クラスメイト達には『見かけたら俺に伝えてほしい。後片付けしておくから』と言うのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハジメ「以上が、僕と清水君が調べたこの世界の宗教についての報告書だよ」

 

光輝「ん、ご苦労さん…」

 

その日の夜

光輝の部屋に訪れたハジメは光輝から言い渡された『この世界のしくみや宗教、更には神について地球での知識やオタク知識を交えた考察とまとめ』を記述した報告書を渡してきた

 

天職が判明したあと、光輝はクラスメイト達に役割を言い渡した

 

この先なにかあったときのための資金集めをする面々や前線に出て戦う面々、この世界の事を調べる面々といった具合に分け、ハジメや清水といったオタク達には地球に居たときに見ていた異世界転生や異世界転移などのラノベ知識を元にこの世界の知識とともに調べるよう言い渡した

 

光輝はハジメから渡された報告書を読んでいくうちに表情が険しくなっていった

 

光輝「……読めば読むほど余計きな臭くなってくるなこの世界や神に対して…」

 

ハジメ「うん。それに信仰する神がエヒトだけって言うのもね」

 

光輝「絶対的一神教って奴だな。俺達のいた地球でもそういう宗教的な理由で争いがあったな……」

 

ハジメ「でも地球じゃ色んな神の存在や考えの違いがたくさんあったしこの世界と違って人間すべてが神に対して強い信仰心持ってるわけじゃないこともあって世界規模の争いになってなかった……でもこの世界じゃ」

 

光輝「信仰する神が一人…それゆえ他の神の存在を認めないことによる争い……信仰する神が一つしかないってことはそれを信仰する人間たちの意識の統一もとい考え方も皆同じようになる……この世界の人達が信仰する神はエヒトのみ……余計な思考を放棄させエヒト神を信仰する教会とエヒトに従う存在になる……」

 

ハジメ「しかもそれ以外の考えは認められず異端者扱いされるし、エヒトを崇める人達が多すぎて中にはエヒトや教会が正しいと思う人達も多くいるだろうね」

 

光輝「……改めて…俺達はとんでもないところに呼ばれたな……」

 

ハジメ「……全くだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《キャラクターズファイル》

 

檜山大介

中野信治

斎藤良樹

近藤礼一

 

クラスで四馬鹿と呼ばれる面々であり、皆釣り好きでありミリオタの集まり出できたグループ

 

原作と違い小悪党では無くなり、ハジメとも仲がよく、ハジメの実験に付き合ったり悪ふざけに乗ったりしており、その度に光輝から叱られるがハジメ共々全く懲りないでいる。

ちなみに檜山は香織のことをちょっといいなと思っていたが香織のハジメが好きなあまり見せた犯罪ギリギリの行為にドン引きし冷めた

 

 





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