天之河勇者伝   作:スカイハーツ・D・キングダム

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詠唱はめんどくさいので本作では詠唱部分はカットします。


第三話 実戦演習

 

光輝「なあ?今何時だかわかってるか南雲?俺もう眠りかけてたんだが?明日から『オルクス大迷宮』に演習しに行くってわかってるはずだよな?それでも俺を起こしに来るってことはそれ相応の理由なんだよな?」

 

真夜中に起こされ不機嫌な様子の光輝

 

ハジメ「あ、あはは…その…なんていうか……」

 

ハジメはチラッと部屋の外の方へ顔を向け、思わず光輝もそちらへ顔を向けると

 

香織「こ、こんばんわ光輝君ー…」

 

純白のネグリジェにカーディガンを羽織っただけの格好をした香織がなぜか両手に縄をくくりつけられ、まるでなにか犯罪を犯した罪人みたいになっていた

 

光輝は香織の手を握りハジメから少し距離を取って香織と話をした

 

光輝「……香織……いくら関係が進展しないからって寄りによって実戦演習の前日に夜這いって」

 

香織「ち!違うの光輝君!!こ、これにはわけがあって…」

 

曰く、さっきまで眠っていたらしいがそこでハジメが出てくる夢を見て、声を掛けても全然気がついてくれず……走っても追いつけず、最後には消滅する

 

そんな不吉な夢を見て、思わず起きてハジメの部屋まで行き大迷宮には行かないように言ったが、ハジメはそれに意に返さなかった

それどころか大迷宮に行き貴重な鉱物を見つけ採取しさらなる物を制作したいと考えていたようで、余計参加するつもりでいた

 

光輝としては非戦闘職である彼には参加しないでほしかったのだが彼も彼で作った武器や錬成師の技能を戦闘に応用できないか試したがっていた

 

光輝「……そうか…そしてあわよくば南雲と一線超えたいと…?」

 

香織「そ、それはその………」

 

光輝「…(思ってたんかい…)……はぁ…とにかく。俺としてもあいつには参加して欲しくないが言って聞くやつじゃないのはこれまでの付き合いでわかってる……最悪ここに留まらせても後で一人で大迷宮潜りそうな勢いだからな……それなら大勢と一緒に行ったほうがまだマシだ。まあ安心しろ…非戦闘職である南雲はよほどのことがない限り前線にはまわさないから心配するな」

 

香織「う、うん…」

 

光輝「それはそうと南雲…お前明日早いからさっさと寝て来い。俺は俺でこれから雫と一緒に香織とオハナシがあるから」

 

ハジメ「あはい…」

 

そう言うとハジメはその場を去り、香織は怯えた様子で光輝を見る

 

香織「こ、光輝君?な、何をするつもりなのかな?」

 

光輝「なに、こんな夜更けにそんな露出の激しい格好で思春期の男の部屋に行ったハレンチな幼馴染とちょっとオハナシをするだけさ…あ、もちろん俺だけじゃなく雫も交えてな」

 

香織「ヒィッ!!ご、ごめんなさい光輝君!!それだけは!それだけはやめて!!ふたり共怒ったらすごく怖いからやめて!!反省したから!!もうあんな格好で南雲君には近づかないから!!今度からは露出の少ない格好で夜這いするから!!」

 

光輝「いや君全然反省してないだろ。やっぱり雫と交えて2対1で話し合おうか」

 

香織「いやーー!!」

 

その後、香織と同室の雫の部屋まで香織を連行し、雫と共に香織にお説教をしたのだった

 

余談だが、地球にいた頃から好きな人が絡むと暴走する香織の悪癖に光輝と雫は何度も叱って止め、その姿を見たクラスメイト達は口を揃えて『まるで悪いことをした娘を叱る父と母みたい』と言うのだった

 

またこれ以外にもふたりはクラスメイト達が問題を起こしたときに止めたり叱ったりするので裏でクラスメイト達から『─組のお父さんとお母さん』と呼ばれるふたりであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日

メルドを含めた騎士団とクラスメイト達とともにこの世界で『七大大迷宮』と呼ばれるダンジョンの一つであるオルクス大迷宮に実戦演習に訪れた

 

クラスメイト達は皆順調に迫りくる魔物を倒し、マッピングも進めている

 

意外だったのはこの中で唯一の非戦闘職であるハジメが思いもよらない活躍と戦闘職にも負けず劣らずの戦いぶりを見せたのだった

 

錬成師の技能で迫りくる魔物の足元の地面を錬成し落とし穴を作り落としたり魔物と自身の間に土の壁を作りぶつけさせたりなどメルドが感心するほどの技能の応用力を見せた

 

更には自前の拳銃や手榴弾モドキや閃光手榴弾モドキと言った物まで作り、そのうち手榴弾類をクラスメイト達に配った

 

それだけでなく、もう一つあるものを完成させた

 

光輝を含めたクラスメイト達全員の右手には腕時計のようなものを身に着けているが、これはハジメが制作したとある代物

 

曰くステータスプレートの血を垂らすことで能力や名前に種族年齢などといった個人情報を示す様に、この腕時計(名はクロノス)にはダイヤルを回すことでクラスメイト全員の出席番号が表示され、クロノスを付けるメンバー全てと連動しており、数字の色と点滅などでそのクラスメイトの状態を表す(特に何事もないなら数字は青く表示され、点滅なら命の危機に瀕しており、死ねば数字から色がなくなる)

ハジメはなんとなくで作ったようだが、これはこの世界には存在していない物であり、アーティファクトにも匹敵する代物だ

なんせ付けてるだけで離れてる仲間の状態や生死の判別ができるなんてものは、戦場において重宝される

 

光輝「(やっぱりこいつは凄いな…あの好奇心とやりたいことに実直なその姿勢……もし何事もなく地球にいたら将来的に何かを成すだろうなああいう男は)」

 

そして道中何事もなく進んでいき、何時間か経った時だった

 

メルド「まさか……ベヒモス……なのか!?」

 

65階層を降りたその時

 

大きな橋の上に巨大な魔物と魔法陣から骸骨兵士が現れ、一同を襲いかかった

 

メルド「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」

 

光輝 「待って下さい、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も……」

 

メルド「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」

 

そう言われた光輝だったがその内心ではこう考えていた

 

光輝「(あのベヒモス…たしかにこれまで見た魔物の中でも強力だ……だが……今の俺達でも勝てないこともない……そんなふうに思える……今の俺一人で真っ向からは勝てない……だが……なにも真っ向から戦って勝つ必要はない……逃げようにもまわりの敵が多すぎて逃げられない……なら)」

 

光輝「怯むな皆!!落ち着いて円陣を組め!!数は多いが所詮はザコだ!消耗を抑えて粘ればいずれはこっちが勝てる!!隣同士でカバーしあえ!!」

 

光輝はすぐにクラスメイト達に指示を出した

 

すると狼狽えていたクラスメイト達は落ち着きを取り戻し円陣を組み魔物たちと戦う

 

光輝「龍太郎はクラスメイト達のカバーを!!そして南雲!!」

 

光輝はハジメの方へ向くと

 

光輝「アイツに錬成で地面にめり込ませることはできるか?」

 

ハジメ「え?で、できると思うけど……まさか!?アイツを倒すつもり!?」

 

光輝「まあな…正直今すぐにでも撤退したい所だがそれをあのベヒモスが逃してくれるとは思えない……それに魔物の数も多い……なによりこの先生き抜いていくならあの程度の魔物くらいには勝てなきゃ話にならないからな……なに、別に馬鹿正直に戦って勝たなきゃ行けないわけじゃない……どんな形であれ…勝ちは勝ちなんだからな………いいか?俺の作戦をよく聞いてくれ」

 

光輝はハジメに指示を出した

 

ハジメ「え?そんなやり方でいいんだ…」

 

光輝「やれるか?」

 

ハジメ「正直危険だと思うけど……ま、僕そう言う危険事は慣れてるから問題ないよ♪」

 

光輝「(……あの危険な実験でこういう恐怖に対して耐性が出来てるな……)頼むぞ!!」

 

そう言うと光輝はベヒモスを抑えている騎士団のそばまで近寄ると技能を発動させる

 

光輝「(俺は全属性魔法に適性がある…更にそこに王宮から与えられた聖剣を合わせることでとてつもない力で戦うことができるが……その力に過信して挑むのは賢くないな……このベヒモス…騎士団達の攻撃に対してダメージを受けてない…恐らく彼らに匹敵するステータスの俺が攻撃してもあまり効果ない……なら攻撃を与えて絶命させて倒す方法は通じない……よって俺の考えた攻略法は!)」

 

光輝「『雷轟』!!」

 

光輝は聖剣から雷の斬撃をベヒモスの足元に命中させ、更にそこへ

 

雫「『刃風・千刃』!!」

 

雫が剣を何度も降ることで風の刃の雨を降らせた

 

光輝「!雫!!」

 

雫「光輝!貴方の考えが読めたわ!!」

 

雫は光輝の意図を察し、光輝とともに斬撃を飛ばす

 

光輝「ついでにこれも食らっておけ!!」

 

そこへ光輝は持っていた手榴弾モドキを全てベヒモスの足元に投げそのまま爆発した

 

するとベヒモスが足の痛みによりうずくまり動かなくなった

 

メルド「!ま、まさか、光輝」

 

ここでメルドはなぜ光輝が足元を狙った攻撃をしたのかわかった

 

光輝「いくら硬い身体でも、一箇所を重点的に狙えば流石にダメージになる……加えて!」

 

光輝はそこまで言うとその横をハジメが走り抜きベヒもすの眼の前まで来ると

 

ハジメ「『錬成』!」

 

ベヒモスの立っていた地面がハジメの錬成により1メートル程沈む

 

ハジメ「『錬成』『錬成』『錬成』『錬成』『錬成』!!」

 

連続の錬成により徐々に沈むベヒモス

 

やがて身体の半分近くが落とし穴に固定され動けなくなった

 

光輝「これで完全に動き回れなくなったな。ナイスだ南雲!!そしてこれで!」

 

ハジメが錬成で沈めている間に光輝は長い詠唱を終え、その聖剣には強い光が収束しており、光輝はベヒモスの眼の前まで来て大きく飛び上がり

 

光輝「ジ・エンドだ!『神威』!!」

 

今の光輝が放てる最強の技をベヒモスに振り下ろした

 

放たれた光属性の砲撃は、轟音と共にベヒモスに直撃した。光が辺りを満たし白く塗りつぶす

 

メルド「や、やったか?」

 

雫「あ、それフラグ」

 

先ほどの攻撃は文字通り、光輝の切り札だ。残存魔力のほとんどが持っていかれた

 

そんな中、徐々に光が収まり、舞う埃が吹き払われる。 その先には……

 

無傷のベヒモスがいた。 低い唸り声を上げ、光輝を射殺さんばかりに睨んでいる

 

メルド「ま、まずい!!逃げろお前達!!」

 

メルドは慌てた様子で光輝達にそう言うがそれに反して光輝達の表情は特に慌てた様子を見せなかった

 

光輝「逃げろだってメルドさん?いいえ…問題ないですよ。だってこいつは今の攻撃で負けが確定したのですから」

 

メルド「は?」

 

その瞬間それまでベヒモスが沈んでいた地面にヒビが入り出したかと思うとやがて亀裂は全体に広がりついには

 

ベヒモス「GAOOOOO!!!」

 

橋が崩壊しそのまま奈落の底へ落ちて行った

 

メルド「!ま、まさか光輝……お前が今放った攻撃……アレはベヒモスを狙ったのではなく!!」

 

光輝「ええ…橋を狙ったんですよ……今の俺達ではヤツにまともなダメージを与えられず絶命させることができない……ならどうすればいいか?……答えは単純。それ以外のやり方で倒せばいい」

 

メルド「!(こいつ…本当につい先日まで戦いを知らない学生なのか!?あの土壇場で冷静に物事を見定め、自身と相手との力の差を理解した上で、勝つ方法を見出した…)」

 

龍太郎「おーい光輝!!こっちは終わったぞ!!」

 

光輝「こっちも今終わったところだよ……それでメルドさん…これからどうしますか?」

 

メルド「あ、ああ…今回予期せぬ事態に見舞われたが…どうにか切り抜けた……とはいえこれ以上の演習は危険だな……今日のところはここらで終いにしよう」

 

光輝「そうですか…わかりました……おーい皆!帰還するぞ!!」

 

ハジメ「えー!!せっかくこれからもっと鉱物掘り当てられそうだったっていうのに!!」

 

光輝「我慢してくれ。流石にこれ以上先へ進むのは危険すぎる。それに、橋は壊れている…他の道を探さざるを得ない……俺が壊しておいてなんだけどな」

 

そう言い光輝が皆のところに行こうとした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハジメ「じゃあ先へ進む手段があったら進んでいいんだよね?」

 

光輝「あったらな。まあ、橋が壊れた以上他の道を進むか奈落へ飛び降りて先へ進むかしか手段がないが流石に飛び降りたりなんかしないよな南雲!?」

 

そこで光輝がハジメの方を向くとハジメが何かを背負って奈落へ飛び込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光輝を含めたクラスメイト達/騎士団「「「「えええええええええ!!??」」」」

 

まさかの出来事に驚く一同

そして更に

 

香織「待って南雲くーん!!」

 

ハジメに続いて香織も飛び降り、下でハジメの身体に抱き着きながら落ちて行く

 

光輝「ちょ!?ま!!」

 

雫「か、香織!?南雲君!?」

 

龍太郎「嘘だろおい!!??」

 

まさか目の前でクラスメイト2名が奈落へ飛び降り驚く一同

 

光輝「ん?」

 

ふと足元を見ると紙切れが落ちておりそれを拾う光輝

 

そこには日本語で以下の内容が綴られていた

 

 

 

『天之河君へ

この手紙を読んでいるということはきっと僕は抑えきれない好奇心のまま先へ進んでいる頃だろう。心配しないで、食料や道具に自作のパラシュートなど便利グッズはあらかた持っているから安心してよ。なあに、必ず成果上げてそのうち戻ってくるからさ

それまでクラスメイトの皆をよろしくね

 

by南雲ハジメ

 

ps:風呂上がりに耳掃除すると湿っている』

 

光輝「……」

 

雫「こ、光輝…これ…」

 

手紙の内容に絶句していた光輝だったがそこへ雫も日本語で書かれた紙切れを持ってきた

 

どうやら香織が通り過ぎざまに置いていったものらしい

 

『雫ちゃんへ

この手紙を読んでいるということは私は南雲君と一緒に先へ進んでるってことでしょう。昨日南雲君がこっそり先へ進む為の道具整理をするのをチラッと見てたからこれは彼と一緒になるチャンスだと思ったの!!

私のことは大丈夫だから雫ちゃん達も頑張ってね

 

by白崎香織

 

ps:あわよくば彼と一線超えればいいなと思っています』

 

ふたりの手紙の内容に…一同は絶句した

 

片や抑えきれない好奇心から先走った問題児、片や想い人についていきたい一心で飛び込んだ問題児

 

光輝「……フッ…フフフ」

 

雫「こ、光輝?」

 

突然笑い出した光輝に雫達は少し恐怖を感じつつ冷静を保った

 

光輝「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ………………よし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あいつら戻ってきたらただじゃおかない。ふたりまとめて折檻してやる

 

その光輝の表情は笑顔だったが身体からは魔力と怒りと殺意が流れ一同は恐怖に怯えるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハジメ/香織「「!?」」

 

一方、下の階層まで来ていたハジメと香織はどこからか向けられた殺気に悪寒を感じるのだった

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