天之河勇者伝   作:スカイハーツ・D・キングダム

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第五話 問題児筆頭達が居ない日々②

 

帝国からの使者が来るのを待つこと数日

 

帝国から来た5名の使者と対面することとなった光輝達

そこで使者の一人が光輝の力を確かめたいと模擬戦を開催することになる

 

光輝と対戦する使者は、なんとも平凡そうな男だった。高すぎず低すぎない身長、特徴という特徴がなく、人ごみに紛れたらすぐ見失ってしまいそうな平凡な顔。一見すると全く強そうに見えない。 刃引きした大型の剣をだらんと無造作にぶら下げており。構えらしい構えもとっていなかった

 

一見ナメているようにしか見えないそれに光輝達の戦いを見ようと集まってきた王国の貴族や使用人達は不快感を感じざるを得なかった

 

「はじめ!!」

 

模擬戦開始の合図が下され、両者ともに動き出すが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光輝「遅い!」

 

相手が一歩踏み出す直前に一瞬で背後にまわった光輝が持っている聖剣を首に当たる直前で寸止した

 

光輝「貴方は最初手を抜いて隙だらけを装って俺が馬鹿正直に真っ直ぐ来るよう誘導させつつそこで本気を出してカウンターを狙ってたんでしょうが……生憎貴方に本気を出させるつもりなんかありませんよ?……ヘルシャーの皇帝陛下様?」

 

使者「!?」

 

一瞬で勝負をつけた光輝に驚く一同だったが続けて光輝が言った言葉に更に驚くのだった

 

使者「……へっ!」

 

使者は右の耳にしていたイヤリングを取った

すると、まるで霧がかかったように護衛の周囲の空気が白くボヤけ始め、それが晴れる頃には、全くの別人が現れた。 四十代位の野性味溢れる男だ。短く切り上げた銀髪に狼を連想させる鋭い碧眼、スマートでありながらその体は極限まで引き絞られたかのように筋肉がミッシリと詰まっているのが服越しでもわかる。 その姿を見た瞬間、周囲が一斉に喧騒に包まれた

 

「ガ、ガハルド殿!?」

 

「皇帝陛下!?」

 

そう、この男、何を隠そうヘルシャー帝国現皇帝ガハルド・D・ヘルシャーその人である。まさかの事態に国王エリヒドが眉間を揉みほぐしながら尋ねた

 

エリヒド「どういうおつもりですかな、ガハルド殿」

 

ガハルド「これは、これはエリヒド殿。ろくな挨拶もせず済まなかった。ただな、どうせなら自分で確認した方が早いだろうと一芝居打たせてもらったのよ。今後の戦争に関わる重要なことだ。無礼は許して頂きたい」

 

謝罪すると言いながら、全く反省の色がないガハルド皇帝。それに溜息を吐きながら「もう良い」とかぶりを振るエリヒド陛下

 

ガハルド「いや!まさか勇者の実力がこれほどとは思っても見なかったぞ!!それにしても、なぜ俺の正体がわかった?これでも変装の魔導具を使っていたというのに」

 

光輝「そんなに難しい理由じゃないですよ?強いて言えば、貴方…ただの使者の割に強すぎなんですよ」

 

ガハルド「なに?」

 

光輝「これでもこの国で指折りの騎士団長に鍛えてもらいましたし対戦することも何度もありましたので、ある程度見ただけで相手の強さがわかるんですよ。他4名の使者と比べても貴方は数段ほど強かった……それとヘルシャー帝国は力がモノを言う国と聞いてます…なら当然そこを治める皇帝陛下も強いのは当然だと思ったまでです。ついでに言うとうちの仲間には情報通(ハジメ/清水)がいますので貴方がフットワークが物凄く軽い方と聞いてましたので実は紛れてるのではと想像しました」

 

ガハルド「……くっくくく…お前、中々面白い男だな…どうだ?お前さえ良ければ我がヘルシャー帝国に来ないか?」

 

光輝「こんな公の場で引き抜きとは、フットワークが軽いの次元が超えてますね……謹んでお断りします」

 

ガハルド「フッ、まあ焦らんさ。来る気になればいつでも待っているぞ勇者」

 

なし崩しで模擬戦も終わってしまい、その後に予定されていた晩餐で帝国からも勇者を認めるとの言質をとることができ、一応、今回の訪問の目的は達成された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光輝「はあ〜…」

 

その夜、王宮の中にベンチに腰掛けため息を吐く光輝…

というのもあのあとも皇帝からしつこく勧誘され続けたり、王国の上層部から成果の聞き出しや今なお見つかってない香織のことなどを言われた

香織の治療師としての才覚はこの世界でもトップクラスであるため最優先で見つけるよう言われている

が、ここでもハジメの事を蔑む発言を言われ、思わず上層部全体を包み込むほどの殺気を浴びせたりなどがあり疲れていた

 

光輝「こんなことに時間を裂きたくないっていうのに……さっさとオルクスに戻って力つけながら南雲達を見つけたいところだっていうのに…」

 

そう呟きながら目を瞑る光輝

 

それから少しの間静寂があたりを包んでいた

 

光輝「………足音立てない程度で君の存在がわからない俺じゃないよ雫」

 

雫「あら、バレちゃった」

 

そこへ足音を消して近づいてきた雫に声を掛けた

そして雫は当たり前のように光輝の隣に座り、そこからは光輝とふたりで話し合った

 

ふたりだけで話す

これは地球に居たときからやってきたことであり、一日の終りに携帯電話のチャット通話で香織や龍太郎、そしてクラスメイト達と雑談(課題やゲーム、食事中に垂れ流して)をして過ごすのは日課だったが、いつも皆がチャットから抜けたあとにふたりっきりでほんの数分話していた

ふたりだけで過ごすその数分間をふたりは大切にしており、また香織や龍太郎と言った幼馴染達やクラスメイト達は空気を読んでわざわざふたりだけにするよう働きかけていた(なお後日それぞれ(光輝は男子生徒、雫は女子生徒達)に何を話していたのか聞かれる)

 

それはトータスに来たあとも変わりなく、寝る前の十数分はこうしてふたりだけになり今日あった事を振り返ったりそれぞれ(光輝は男子組を、雫は女子組)何があったのかを話していた

 

雫「ねえ光輝…」

 

光輝「ん?」

 

雫「…さっきはありがとうね……」

 

雫が光輝にお礼を言ったのには理由があった

 

何回目かの勧誘の時にたまたま目に写った雫を気に入ったガハルドが妾にならないかと言って来たが光輝が笑顔で優しい口調で『生憎ですが、彼女は既に意中の相手が居ますので、ほかを当たってくれませんか?』と嘘を言った

しかしガハルドにはその時の光輝の口調が別のものに聞こえた(さっさと消え失せろこのピー野郎)上、冷たい殺気を当てられ、ガハルドは逃げるようにその場を去った

 

ガハルドから自身を守ってくれた光輝にお礼を言った

 

光輝「いや…それよりごめんね。あんなこと言って…ああいう輩には既に先約がいますからみたいに言わなきゃしつこく絡んでくるだろうなって思ったからつい…」

 

雫「それは大丈夫……嘘ってわけじゃないし…」

 

光輝「ん?」

 

雫「あ!な、何でもないわ!!」

 

光輝「そ、そうか………(居るんだ……好きな人…誰だろ……俺の知ってるやつか?)」

 

雫「そ、それより…光輝って…好きな人いるの…?」

 

光輝「!?」

 

雫「い、言いたくなかったら言わなくてもいいから!!(もし居るなら怖いけど聞きたいわ……)」

 

光輝「(言うべきか?……いや…この逃げ場もない異世界で告白するのは違う気がする……告白するとしたら地球に帰ってからだ……決して臆したわけじゃないぞ龍太郎←言い訳)……いる…けど……今は言えないな」

 

雫「!!そ、そう…」

 

光輝「でも!必ず言うよ!地球に帰ったら必ず雫にいの一番に言うよ!!」

 

雫「///!?」

 

光輝はベンチから勢いよく立ち上がり雫の両手を掴みながら言うと雫が頬を赤くしながらうろたえた

 

その姿はまるで意中の相手にプロポーズでもするかの如く押していた

 

雫「う///うん///」

 

光輝「あ、ご、ごめん………」

 

直後に光輝は自分のした行動に驚き思わず謝る

 

光輝「……それはそうと…雫」

 

雫「……ええ…わかっているわ…」

 

そう言いふたりは立ち上がると大声を上げた

 

光輝「お前ら!俺達の事を見ているのは気付いているぞ!!俺達は見世物じゃない!さっさと散れ!特に檜山!!お前の気配あまり隠れきれてない!!」

 

檜山「やばいバレた逃げろ!!」

 

近藤「大介!お前隠れるの下手!」

 

恵里「こんなんじゃまだまだ遠藤レベルは程遠いよ」

 

鈴「あれは異次元の影の薄さだから比べられないよエリリン!!」

 

清水「やっぱ遠藤師匠の気配隠しは桁違いだ。またレクチャー受けてこよ」

 

玉井「あいつもう自分の影の薄さに関して開き直ってたな」

 

光輝がそう言うとまわりで気配を隠して光輝達の会話を盗み聞きしていた面々が一斉に逃げ出した

 

光輝「はあ…またか……暇なのかあいつら」

 

雫「本当ね…私達の会話の何が面白いのかしら……」

 

こんなことが毎晩毎晩続いていくと徐々に生徒たちの気配遮断能力が向上し、逆に光輝と雫の気配感知能力が上がっていったのだった





お互い他人からの好意や悪意には敏感のくせにそれぞれ意中の相手からの好意には鈍感
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