奈落の国のグエル   作:PureFighter00

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さて、陸地に上がったはいいがフォルドの夜明け基地に戻る手段が無い。(密入国だからネ)
どうする気だったんだ筆者! 俺にも判らん!(自問自答)


街にサーカスが来る前に

【道教の廟に皆で来ました】

「ほわぁぁぁあ……」

ソフィが声を上げる。そこは街中に出来た新しい宗教建築物で、鮮やかな朱色と金色の差し色、白い壁が美しい豪華な建物だった。

「……なんでこんなとこに……ナジ、お前宗教ハマってたっけ?」

「孫悟空って、知らんか?」

「サイヤ人の?」

「いや違う、インドまで仏教求めて旅した三蔵法師玄奘に従った猿の魔物の方だ」

「──魔物?」

「ああ、石から生まれた石猿さ。こいつが凄い奴でな、仏さんや神様がいる天界で大暴れするんだよ、俺たちみたいにな」

「で、勝ったのか?」

「いや、負けた。割といいとこまで行ったんだがな……」

「──そこまで同じ……」

「んでまぁ、その魔物がインド行きは成功させたんで神になってな……」

「意味分かんない……」

「似た事したお仲間って事で、なんか助けて貰えんかな、と。まぁ神頼みだ。困ってどうしようもない時には神様に縋るもんだよ、俺がアフガンで荒稼ぎしてた頃も……」

「さっ……本当に猿だと!」グエルはちょっぴりびっくりした。彼の知る神様というのは、大体人間に似た姿だったからである。

 

【斉天大聖】

実際道教の神様になった「小説の中の人」てか、お猿さん。実は最遊記の旅に参加する前の話が凄く破天荒で愉快である。(Wikipediaで調べてみよう!) 不老不死で妖術や仙術を使い、竜を脅して神と互角に戦い、仏様の力で漸く封印出来たという「なろうでもこんなチートキャラいねぇよ!」クラスの大妖怪。

 

「人間、どーしょーもない時はどーしょーもない。神頼みでもするしかねーな」

「可愛いなぁ、これ! ちょっと欲しい!」

「先行き分からないから、無駄遣いはダメだよソフィ」

「お猿さんに助けを求める羽目になるたー、ヤキが回ったなぁ……」

「お助け下さいお猿様。いやほんとどーにもならんのですわ……」

尚、斉天大聖孫行者は天界で大暴れした事からも分かる通り「武神」である。窮地を助けてくれと頼まれてもかなり困惑しそうである。

 

猿を拝む一行と離れて、グエルは廟の片隅に座る老人を不思議な目で見ていた。シワクチャの怪しげな髭を生やした占い師である。何やら棒の様なものをジャラジャラと鳴らして何事かを見ている──所謂筮竹、当たるも八卦、当たらぬも八卦の易者だ。

最初は太極魚のデザインに惹かれ、次に八卦のデザインに惹かれた。

「デジタル……8bitで1byteになるのか……」

「……最近の子はよく分からんね、これはもっと昔からある占いヨ」

「占い……?」

「ふむ」易者はジャラジャラと筮竹を操り、取り分け、2本づつ筮竹を取り、難しい顔をする。

易有太極(易に太極有り)是生兩儀(これ両儀を生じ)兩儀生四象(両儀は四象を生じ)四象生八卦(四象は八卦を生ず)

2回同じ操作を繰り返してポツリと易者は呟く「雷沢帰妹(らいたくきまい)じゃの」

「なんです? それは」

「若い娘がお前の所に強引にやってきた。無作法で身勝手な振る舞い……感情的な振る舞いだな。故に周りが見えず失敗してしまう。その様な時はしっかり周囲を見て慎重に動かねばならぬ」

「え?」

「なんじゃ、当たっとるのか?」易者は自分で占っておきながらビックリしている。「当たる八卦の方が出たか」

「……爺さん、俺らは壺買う金なんか持ち合わせとらんぞ」ナジが呆れ顔で近付いてきた。

「暇潰しだよ、ナジ大人。久しぶりだネ。この子は?」

「厄介者さ、成り行きでな……俺は占って貰えんのか?」

「車站(中国語で電車の駅のこと)、13:35」

「悪いね、誰が来る?」

「サーカスの男──貴方逃げ回る時だけウチ使う。互恵主義が基本よコチラ」

「こうも金回りが悪いとなぁ……まぁ、戻れたら代金は払うよ」

「なんだナジ、知り合いか?」

「まさかこんな所に居るとはな。斉天大聖様のご縁があったぜ」

 

 

【壺買う金】

某宗教のアレ。そしてアレは国際勝共連合(しょうきょうれんごう)と連携する反共組織でもあり、実はヒューミントなんかもしている。で、その資金源として手相見とか易を通じて壺や印鑑売ってアレ。駅前で「手相の勉強してる」とかいう人が近付いてきたら気を付けよう!

 

 

【茶芸館にて】

「あのさぁ、風俗から離れてよ! ウチらなんだと……」

「ストリップの次はヤリ部屋かぁ……」ソフィも別に悪所が苦手な訳ではない。商売柄そういう場所に潜むのは慣れている……注目されるのが嫌なのだ。

「ここは場所貸してるだけネ、勝手に番ってるだけヨ」

日本の茶道に触発されてか、中華圏には茶藝という文化がある。ちょっとしたセレモニー的に楽しむお茶で、主人が小さな椀に香り高いお茶を振る舞ってくれる……のだが、真面目な茶藝とは別に裏通り地方ではある種風俗的な茶藝館もある。まぁナジ達は人目を避け密会する為に裏通りの方の茶藝館を選んだのだが、少女と言っても良いソフィやノレアはこの場所では目立った。この場に来る女性はおばちゃんに近い年齢の方が多いのだ。

 

「……けど、お茶は美味しいわね」

「あっついけどね!」ソフィは茶碗を置いたまま、フーフーと息で冷やしている。

「ゆっくり香りを楽しんでネ」

「きったねえポットだが、美味いもんだな」

「紅茶と同じ発酵茶だからな」

「観光客相手じゃなく、地元のおじちゃん相手だから安くて美味いネ!」

 

「所で脱出方法だが……」

「ライオンの檻に入って移動ネ。上手くしたらノーチェックヨ!」

「……いや待て、ライオン……」

「失敗しても大丈夫。骨まで食われるからバレないネ!」




天国に脱出かな?

筆者は台湾の東方美人(英語名 オリエンタル ビューティー)というお茶が割と好き。観光客向けのはやたら高額だが、市場で買うとアホかと言うぐらいしこたま買える。
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