読まなくても全く問題無い話なので、気が向いた方だけどうぞ。
※この話を読む前に「サザエさん」「全自動卵割り機」で動画検索して視聴する事をお勧めします。
もしも、何かの間違いで主が健在であったなら。
もしも、更にとんでもねぇ間違いが重なってカルデアに召喚されていたらどんなトンチキが起きていたのか?
今日は、そんなシリアスのカケラもねぇカオスな世界線を覗いてみよう。
◆◆◆
それは、黎明の腕やら扉を
「おーい、帰ったぞー」
我が子らが待つカルデアの一区画を(勝手に)改造して作ったマイホームの戸を叩く聖四文字。
ガラガラと玄関を開け足を踏み入れ、最初に出迎えたのは人類の始祖の片割れにして第二の女性であった。
「おかえりなさい、今日は早かったわね」
「良いものを買ってきた」
ほぉれい、と大きめの紙袋を前に突き出す父。
「お土産!?」
父の帰還を知り、どたどたと大袈裟に床を鳴らしながらイヴの後に続くように駆けつけたルシファーが目を輝かせる。
「あっと驚く
紙袋の中身を取り出す聖四文字。
その箱に記された名は………
Fate/Grand Order
〜
「─────全自動卵割り機ぃ?」
畳が敷かれた団欒の場、その中心の古びたちゃぶ台にドンと置かれたその珍品の名をリリスが訝しむような顔で復唱する。
「どうだ、驚いたろう!」
胸を張って得意げにドヤる唯一神。
「どうやるの?」
「見せてほしいのです!」
「まぁまぁ、待ちなさい」
どれどれ、と説明書を覗き込む。
「ふーん、なるほど…」
「手で割った方が早いんじゃないかな…」
「シーッ!」
ルシファーのご尤もな正論を咄嗟に止めるアスモデウス。
そうこうしている間に機械の準備が完了した。
「まず卵を入れる」
なんか歯茎丸出しの笑顔が張り付いた気持ち悪ぃ卵をセットする。
「そしてレバーを引く」
すると、卵を置いた場所の上から棒がせり出し、絶妙な力加減で押す事でキモい顔ごと卵の殻をぱっかり半分に割ってしまい、綺麗に中身だけを下の皿に落とす。
割れる瞬間だけ卵が泣いているように見えたのはきっと気のせいだ。
「凄いのですー!」
「ねぇお父さん、ボクにもやらせてよ!」
「壊さんようにな」
魔王とは思えない無邪気さで機械を動かすルシファーが卵が割れる様子を眺めて兄弟達と一緒にキャッキャとはしゃぎ回る。
「よく出来てるね!」
「アタシにもやらせて!」
「ワシが一番じゃ!」
「ゔー!」
「とんだ
やいのやいのと順番を争う天使悪魔達をリリスだけは冷めた目で傍観していた。
「どうだイヴ、これがあれば楽になるだろう!」
「え、えぇ…」
得意げに笑いかける父だが、当の本人は苦笑いしか出来ず、それを見かねたもう一人の娘は呆れたように問いかける。
「それよりパパ、こんなに卵割っちゃってどうするのよ」
「夕飯のおかずにでもしたらどうだ?」
「だし巻き卵でも作ろうかしらね?」
こうなったらしょうがないと、半ば諦めた顔でイヴは提案するのであった。
その晩…
「いやぁうまい〜!」
「やはり、父上が選ばれた機械で割った卵は一味違います」
これまた
「流石アダムとミカエルだ! レヴィアタンはどうだ?」
「ひと味なのです!」
「そうかそうか〜! 我ながらいい買い物をしたもんだ」
ガッハッハ!
調子に乗った父の高笑いをBGMに、アザゼルとマモンが聞こえないよう愚痴り合う。
ヒソヒソ…
「(また親父の悪い癖が始まった…)」
「(いつも隣に
「どこで売ってたのよあのゴm…機械」
「通りでコロンブスが実演販売してたんだよ」
「(また
なお、お客様は神様とか喧伝してたらマジでモノホンが来た時は流石の歯茎もパニクっていた。お客様が
ついでに言うと、かつてないほどに緊張して音速で胡麻を擦る姿は中々に見ものだったと現場を目撃したAUOが語っていたとかなんとか。
追い討ちで代金を貰った時の顔など傑作もので、手渡しされたそれを神棚にでも置いて祀りそうな勢いで崇めていたという。
「その内、一家に一台の時代が来るかもしれんな」
「い、一家に一台?」
「いや、それは絶対になモガモガ」
「シーッ!」
失言しかけたリリスの口をマッハで塞ぐアダムを他所にルシファーがそうだ、と提案する。
「折角だから、明日も卵割り機に活躍してもらおうよ!」
「はぁ?また卵焼き?」
「バカ、すき焼きだよ」
「うむ、それがいい」
翌日…
「───では、失礼しますー!」
Dr.ロマン改め人間に転生したソロモン王が、日頃の激務から逃れる為に
「おっ、この匂いは!」
食い意地張った彼の嗅覚が捉えた香りは…
───ぐつぐつ…
「いやぁ美味そうだなぁ〜!」
「呆れた、もう嗅ぎつけたの?」
鍋を前にテンションもひとしおな元魔術王の姿に呆れるリリス。
「あ、あの…本当に我々も同席してよろしいのでしょうか…」
「し、主と同じ食卓など我らにはあまりにも畏れ多く…」
「いいのよ、お父さんがそう言ってるんだから遠慮しないで」
「は、はぁ…」
借りてきた猫状態の
ちなみにジャンヌ・オルタは誘われたが断固拒否して来なかった。リリィの方は来たがっていたがオルタに引っ張られていったという。
「はっはっは、その通りだよ皆。むしろ主の御慈悲を無碍にする事こそ神への冒涜に他ならないからね。 それはそうと
「いいわよ、はいあーん」
「はっはっは、うっかりさんだねアビシャグは。そこは口じゃなくて目───」
───ジュッ
平和(?)な団欒が続く中、そうだったと主は思い出したように提案する。
「リリス、ソロモン達にも卵と“アレ”を」
「えぇ、アタシが?」
「あ、私が持ってくるわ」
露骨に顔を顰める姉を見かねて、妹がドタドタと慌ててキッチンに向かう。
そして、このサボり場まで避難する道中での出来事を思い出したロマンが話題を切り出す。
「卵と言えば、さっきコロンブスが妙な物を売ってましてね。 その名も全自動卵割り機!」
「それで?買ったのソロモン」
「買うわけないじゃないか
────ピキッ
空気が凍った。
「あっ」
やっべ。
ロマンと聖四文字以外全ての脳内はその一言でシンクロした。
「手で割れば済む物を、わざわざ機械を使うなんてね。ああいうものを買う人の気持ちが分かりませんよ」
「どうせ、買うのは卵なんか割った事がない関白亭主ですよ!」
どんどん冷えていく空気にも気づかずに
「ちょっと!ソ、ソロモンくん…っ!」
「えっ───あっ」
ゴゴゴゴゴゴゴ…
───ピキピキ…!
そこには、噴火寸前の火山があった。
ちゃぶ台の上でぐつぐつと煮えたぎるすき焼きが冷や水に思えるほどの熱気を放ち、爆発まで秒読みの段階に踏み切っていた。
この後の展開を悟り、他の子供達と聖人組は全員避難を完了していた。ちゃっかり自分の取り分も回収した上でだ。中でもダビデは最速で息子を見捨てていた。
なお、ラファエルだけはもう少し取れないか物陰からチャンスを狙っている。
───わーきゃー
───ガッシャーン!
「食堂にイナゴの大群が出てきたぞー!」「ブーディカ!キャット!なんとしても食料を守り抜けー!」
「こっちはトイレが溢れて大洪水に!?」「黒髭が逆流したウ◯コに流されたぞ!」「せ、先輩!早く私の後ろに…
「クー・フーリンがベヒモスとヘラクレスに追われている!」「ブー!」「⬛︎⬛︎⬛︎ー!!」「なんでいつも俺ばっか狙うんだよお前らはぁぁぁ!?」
───ドォーン
───ぎぃああああ!?
まるで交通事故でも起こったかのような轟音と青タイツの悲鳴をBGMにしながら、漸くやらかしたと気づいてしどろもどろになりながら弁明するロマニ。
「い、いやぁ関白と言っても、し、主の事では、ごご、ございませんよ?」
話題を逸らそうと背後に声をかける。
「い、イヴさーん? 卵まだですかって──うえぇ!?」
それが墓穴を掘ることになるとも知らずに…。
困ったような笑顔で居間に戻ったイヴが、両手で大事そうに抱えていた機械。
それは、まさにロマン本人が話題に出したあの…
「その機械…か、買ったんですか…」
バンッ!
脇から父の取り皿に箸を伸ばしていたラファエルの顔面がテーブルに叩きつけられるのと、怒号が鳴り響くのは同時だった。
「ソロモン!!」
「お前は当分出入り禁止だ!!」
後日…
「本っっっっっ当に申し訳ありませんでした!!ウチの
「な、なんとお詫びすればよいのか…!」
ちゃぶ台を挟んでイヴとリリスに見事な五体投地からの謝罪をかました立香とマシュ。
「とんでもない、ソロモンくんは私達が言いたい事を代わりに言ってくれたようなものよ〜。でしょ?
「パパはあーなると本当に面倒よねぇ」
「だと良いんですけど…」
そんなカルデア存亡をかけた決死の謝罪を軽く笑って流すイヴとリリス。
対応するのが四大天使やら
アザゼル?グリゴリ?あいつらは馬鹿馬鹿しいってルルハワに
「あら…? ねぇ、ジャック達バカに静かじゃない?」
「───もしや!」
イヴの予感は最悪な形で的中していた。
「あはは、すごいわ!面白いわ!」
「どんどん割っちゃえー♪」
「あー♪うーぁあー♪」
そこには、機械でパカパカと卵を割って遊ぶ
「やっぱり! ベルちゃん、それはおもちゃじゃないのよ!」
「ゔゔゔーっ!」
「やめなさいっての馬鹿!」
「あっ、お料理まだ途中だったのに!」
「酷いわ!マスターにおいしいご飯を作ってあげようとしてたところだったのに!」
慌てて駆けつけたイヴとリリスが機械を取り上げて子供達から引き剥がす。
「だ、大丈夫ですか?」
「なんか大きな物音がしたけ、ど…」
後に続いて駆けつけた立香とマシュ。
その時、立香が見たのは…
散らばった真理の卵の殻。
砕かれたレンズにスカラベ、宝玉に世界樹の種…
夜なべして集めた強化素材(だった物)の山だった。
「うーん…」
───バタン
「せ、せんぱーーーい!?」
・・・・・・
その後、エデン家…
「ど、どうもー…ご無沙汰を…」
(勝手に)エデンからカルデアに持ち込んだミニチュア生命の木と善悪の知恵の木の盆栽を手入れしている主の後ろから、そろりと顔だけ出したロマニが話しかける。
「今、取り込み中だ」
「じ、実はこれをお返しに来ました…使ってみたら意外と調子がいいですね…」
「今頃褒めても手遅れだ!」
大人気なく拗ねた神様に、それでもロマニは話しかけ続ける。
「いや、実は主に見ていただきたいものがあるんですよ…」
「ん?」
差し出された紙の端には、
「───鉛筆削りか?」
アダムも交えて再び食卓に集い、テーブルに広げられたその設計図を目にした主が最初に思い至ったのがそれだった。
「と、思うでしょう? 実はこれ、レオナルドが考えた鰹節削りなんですよ」
「これで削るのかい?」
「えぇ、鉛筆の削りカスを見てたら思いついたんでレオナルドに設計図を描いてもらったんですよ」
アダムの問いに答えるロマニ。
ダ・ヴィンチはどんな気持ちでこんなゴミの設計図を引いたのだろうかと疑問が浮かぶが、そこに主が待ったをかける。
「だが、鉛筆のように細い鰹節がないとダメじゃないのか?」
「そこなんですよ! まず、鰹節を
「うーん、こりゃナイスアイディアかもしれんな…」
「主ならきっと分かってくれると思ってました!」
こんなゴミに賞賛を送る馬鹿ども。
これが知恵の実を食った
「これは商品化したら売れるんじゃないかな!」
「アダムさんもそう思いますか! グルグル回して削って行くから…『
「中々いいネーミングだな!」
お前らまとめてジュナオに
「どうだいリリス、『
「ダシを取る前にその脳みそ削ってきたらいいんじゃない?」
「あ、あはは…」
「はっはっは!女性は機械ものに弱いからな!」
皮肉が全く効いていない
・・・・・
「馬鹿馬鹿しくて聞いてらんないわよ」
「モリアーティくん主催の賭博で遊んだりガチャで石を溶かすより健康的じゃない」
「そりゃそうだけど…」
遊びから帰ってきたルシファーがイヴ達の所にやって来た。
「ねぇねぇ、お父さん達コソコソとなにしてんの?」
「本人達に聞いてみればいいじゃない」
「『情報が漏れる』って入れてくんないんだよ…」
・・・・・
「ここはこうしてみましょう!」
「そりゃあいい!」
・・・・・
「…
「同意すんの、めんどくさ」
「ゔー…」
庭先で、
「い、石が…素材が…呼符が〜…」
「せ、先輩!しっかりしてくださーい!」
そして、立香はまだ寝込んでいた。
Q.リリス、なんかやたら親父に冷たくない?
A.この世界線だとリリスはパパの駄目なところを何度も目撃して冷め切っているのであんな態度になってます。