内容はこれからじっくり確認していきたい所存
………満を持して登場のリリスさん(推定)のせいで致命的な矛盾が生まれたらどないしよう
ヨーロッパのどこか。
誰の記憶にも留まらないような、辺鄙な場所にある片田舎のどこか。
良くも悪くも中世の頃の雰囲気を色濃く残したそんな村の、今は潰れた古物商。
そこに、その「絵」は置かれていた。
今は亡き店主が所有していたそれは、これまた変梃な一品であった。
制作年も不明、作者も不明、出所も不明。
唯一分かっているのは、額縁の裏にラテン語で記された『
これまでに多くの人々の手を渡り歩き、数世紀に渡ってその絵は世界各地を巡り、その絵は最後にこの地に落ち着いた。
その所有者の中には、かの万能の天才も含まれていたと言われているが、真実は遥か彼方だ。
古ぼけた額縁の内側には、ある家族の食事風景が収められている。
青空の下に置かれた食卓と椅子。
中心に座す何者かを中心に、その子供達と思しき存在が並んで食卓についていた。
左には、頭に色とりどりの光の輪と、背にこれまた色とりどりの羽を持った子供達。
右には、頭に各々異なる形の角や尻尾、羽を生やし、体に蠅や魚、山羊や蛇などの様々な動物の特徴を持った子供達。
背後には、絵の中の誰よりも大きな豚が食卓の上に置かれたパンをしげしげと物欲しそうに見つめる姿。
そして、中心にいる唯一の大人らしき者の側には、異形達の中で数少ない人間らしき三人の子供。
中心の人物の左側でパンを与え合う栗色の髪の気弱そうな目つきの少年と同じ髪色の明るい顔の少女、そして右側で中心の人物に媚びるように縋り付く白髪の少女。
彼らの姿には何一つとして統一性は無かったが、唯一共通点があった。
笑っていた。
みな無邪気に、この世のあらゆる苦しみや罪悪から解き放たれたような、太陽のような笑顔で食卓を囲んでいた。
だが、しかし唯一中心の人物だけは…彼の顔だけは描かれていなかった。
顔の部分だけが、ぽっかりと。
未完成で終わったのか、はたまたそういう作品として描きあげたのか…
一つ確かなのは、この絵は「願い」の結晶であるということ。
1人の父が、最期に願った景色。
丘の上で、刹那に夢見た…
永遠に叶わぬ、未練そのものだった。
◆◆◆
歩く。
文字通り
「いやだぁ!ずっとお父さんと一緒にいるんだぁ!」
「置いてかないでパパ!」
全てを置き去りにして。
「
愛する者達を置き去りにして。
「師よ、どこに行くのだ! 待ってくれ…余もシータも…まだ、あなたに何も返せては───」
「せめて祈らせてください。 障害を取り除く者として、あなたの旅路に僅かでも安息があらんことを」
代わりに罪を背負って。
「スルトはいいました。わたしはほろびのさきのみらいへむかうのだと」
「ですがとうさまは、どこにむかわれるのですか?」
ただ、歩き続ける。
「戦いの末に死に、敗者となった者にもまた祝福と安息が齎されるべきであると、俺は語ったな」
「だがなヤハウェ。 お前の道の果てには
「勝利も敗北もない」
「あるのはただ───終わりなき絶望だけだ」
故郷へと、やり残した使命の為に。
我が子らに、再びまみえる為に。
そして─────全ての罰を受けるために。
───紀元前、神代の中東。
アザゼルら堕天使とベヒモスら神の獣達の終末戦争。
それを終わらせたノアの大洪水。
ノア率いる人類の生き残りは再び聖書の大地で文明をやり直し始めた。
皮肉な事だが、バアルが遺したバベルの残骸から得た物資もまた彼らの生活の助けとなり、どうにかノアの子孫達は生きていくことができた。
そうして、世はひとまずの安寧を取り戻した…
───かに思われた。
始まりは、小さな村であった。
「ふぁ〜」
その日、退屈な畑仕事をサボって抜け出した子供達が居た。
「毎日畑仕事ばっかでつまんねーの」
「爺ちゃんの話も巨人やへんてこ動物の話ばっかりで聞き飽きちゃったよな〜」
堕天使も巨人も神獣達も居なくなり、争いも無くなり平和そのものな毎日。
しかし、平和に慣れれば飽きが来て刺激を求めるのが人間というもの。
「爺ちゃん達の時代に生まれてたら堕天使や巨人っていうのも見れたのかな」
「ベヒモスの子供のライオンとかゾウってのも見たいな〜」
「羽が生えてたり鼻から火を吹くんだってさ。すげぇよなー」
「バッカだなぁ。そんなの嘘に決まってるじゃんか」
「あーあ、なんかおもしれーこと起きねえかな…」
この少年少女もまた、そのクチであった。
そも、かの大戦が起きたのは祖父母の代の話。
老人達に聞かされた現実味のない物語に最初は興味津々であったが、流石に毎日のように聞かされ続けてうんざりしていたのだ。
そして、だからこそ冒険心を抱き、ほんのいっときでも親元を抜け出そうとするのも人間というものだ。
「今日はどこ行こうか?」
「なぁ、昨日見張り台から見た森まで行ってみようぜ」
「やばくない?また父ちゃんに殴られちゃうって」
「バレる前に戻れば大丈夫だよ」
この中で一番勝気な、リーダー格の少年が駆け出す。
「競争しようぜ! 一番乗りはビリの奴になんでも命令できるってルールな!」
「あっ、ずるーい!」
「待てよイサク!」
どれだけ走ったろうか。
村の入り口を抜け出し、蒼天の下に広がる草原を抜け、息を切らしながら彼らは目的の場所までやってきた。
振り返ることなく、ただ一直線に。
村がどうなっているのか、知りもせずに。
「やった、一番乗り!」
リーダー格の少年が森の木にタッチして勝利宣言する。
だが、喜びも束の間。
少年は振り返ってすぐに違和感に気づく。
「ハダッサ? ハーム?どうしたんだよ皆…」
こちらに必死に追い縋る仲間達を笑ってやろうと来た道を振り返れば、そこには途中で立ち止まって村の方を見ている子供達。
そして、少年もすぐに理解した。
「村が…」
「燃えてる…」
立ち昇る煙。
続けて響き渡る、地獄の底から聞こえてくるような怒号。人々の悲鳴。
轟轟と燃え盛る村を蹂躙する存在達。
天高く上る煙に隠れて姿こそ朧げであったが、それでも少年たちには十分正体を理解できた。
「ねぇ、アレって…」
あの大戦を、洪水を生き延びた祖父母達に嫌というほどその存在について聞かされてきたのだ。
天の落とし子。
罪と不義の象徴。
全てに呪われ、故にこそ全てを呪う者達。
アザゼルらの過ち。
しかして既にこの地上から、人の世界から去った筈の者達。
名を────
「───ネフィリムだ」
最近、「エクソシストを堕とせない」とかいうクッソおもろい漫画を読みながら使徒達のイラスト化を試みている最中
完成するかどうかは…期待するな!