本編が難航してるので許してチョンマゲ(永久凍土帝国並感)
ちょい修正入りました
昔々、あるところに一頭の子豚が居ました。
とってもとっても大きな、神様が作った世界で最初の豚です。
子豚は神様が作ったお花畑で、兄弟と平和に暮らしていました。
でも、子豚は他の仲間よりも大きくなるのが早かったので、すぐに兄弟とは離れた場所で暮らすようになりました。
でも子豚は寂しくありませんでした。
子豚はとっても大きかったので、どんなに離れていても兄弟達を見つけることができたのです。
足元を気にせず広い場所を走り回れるのが好きなので気にもしていませんでした。
それに、離れた場所に居ても子豚の所には毎日神様が、子豚のお父さんが来てくれました。
子豚はお父さんが大好きでした。
お父さんは子豚よりずっと小さいけれど、小さい手で子豚の大きなお鼻を撫でてくれるから嬉しくて、小さな尻尾を振り回してブゥブゥと鳴いていました。
子豚はお父さんと散歩するのも大好きでした。
お父さんが歩いている後ろをどすどすと音を立てながらついて行き、甘い匂いの花をモグモグ食べながら花畑を歩いて回って、
水辺で
子豚は、お父さんが身体を洗ってくれるこの時間も大好きで目を細めてされるがままになります。
思いっきり遊んでお腹が空いたらごはんの時間です。
ごはんの時間になると、お父さんが沢山の果物を持ってきてくれます。
子豚は果物が大好きで、いくら食べても飽きることがありません。
でも、その時は文字通り
「この食いしん坊の大バカタレ!」
「今日は晩ごはん抜きだ!」
お父さんに叱られた子豚は哀しそうにブゥブゥと泣きながら落ち込みました。
すると、黒い猫が子豚の前に現れてこう言いました。
「原初の獣よ。哀れな貴様に真の神の恵みを味わわせてやろう」
猫は自分の皮を剥がして、それを地面に埋めました。
すると、そこから大きな大きなトウモロコシが生えてきたではありませんか。
子豚は大喜びでトウモロコシを食べました。
「どうだ、神の肉は?素晴らしいだろう」
「お前の父の安っぽい果実とはワケが違う」
猫は自慢げに子豚に話しかけましたが、次の瞬間お父さんに横からぶん殴られてグルグルとブーメランみたいに愉快に吹き飛びました。
「子供に変なものを食わせるな」
遠くまで飛んで岩に頭から突き刺さった猫は、怒ってお父さんと喧嘩を始めました。
空に黒い太陽が上って骸骨のお化けが赤い霧をばら撒いたり、イナゴの群れが出てきたり火の雨が降りましたが、子豚はトウモロコシが美味しいので気にしませんでした。毛先が少し焦げたくらいです。
その後、猫とお父さんをまとめて吹き飛ばした白い蛇が、甘いマンゴーやバナナをくれました。
お腹いっぱいになったらお昼寝の時間です。
ごろんと丸い体を転がして横になり、すぴすぴと穏やかに鼻を鳴らしながら目を瞑って眠ります。
子豚が横になると、お父さんが羽の生えた小さな兄弟達にやっている様にお腹を優しく撫でてくれます。
子豚はこれも大好きで、お腹をスリスリされるとすぐにぐーすかと眠りこけてしまいます。
白い蛇も猫とお父さんと思いっきり遊んで、ご飯を食べて眠くなったので一緒にぐーすか眠りました。
ちなみに、黒い猫は地面に頭から垂直に突き刺さったまま
子豚は明日はどこを散歩しようかな、何を食べようかなと考えながら夢の世界でも同じように遊んで食べて過ごします。
子豚は毎日が満ち足りていて、幸せでした。
ある日、大きな嵐がやってきました。
子豚は怖くて散歩には行きませんでした。
お父さんも遠くに行ってしまって戻ってきません。
ブゥブゥと、いつもは呼んだら来てくれるのに来てくれません。
ブゥブゥ、ブゥブゥ。
子豚は嵐の中必死に鳴いてお父さんを呼び続けました。
すると、嵐が止んでお父さんが戻ってきました。
子豚は喜んでお父さんに甘えました。
でも、お父さんは次第に元気がなくなって、段々遊んでくれなくなっていきました。
ある日、お父さんはひどく疲れた顔で子豚の鼻を撫でました。
お父さんは子豚に言いました。
「お父さんはもう、お前と遊んでやれない」
「お父さんは、もうじきここから出ていかないといけない」
子豚は最初は不思議そうにしていました。
ですが、しばらくして泣き始めました。
ぶぅー、ぶぅー
ぶぎぃぶぎぃ
「ごめんな、ごめんな」
お父さんも泣きました。
皺くちゃの手で豚の鼻を撫でて必死に泣き喚く子豚を宥めました。
お父さんは蛇の兄弟と、羽の生えた兄弟達、そして新しく生まれた二人の羽のない兄弟にも同じようにお別れを告げました。
みんな泣きました。
お父さんも同じくらい泣きました。
子供達に背を向けたお父さんは、血が出るくらい歯を食いしばってました。
お父さんは、もう戻ってきませんでした。
兄弟達も、バラバラになりました。
子豚は、たった一匹で生きていかなくてはなりませんでした。
ごはんも自分で見つけて食べなくてはいけません。
寝るときもお腹を撫でてくれる人が居ません。
子豚は悲しくて泣いてばかりでしたが、その度にお父さんの言葉を思い出しました。
「ベヒモス、獣の王よ。お前は
「尾はどんな大樹よりも太くしなやかで、骨はどんな鉄よりも硬く決して折れない」
「嵐も洪水もへっちゃらだ」
「
「お前に食べられないものはなく、全ての獣がお前の仲間であり友達だ」
「お前の毛を優しく撫でる風は
「
「だが、
「
子豚は、だんだんと泣かなくなりました。
子豚は、もう子豚ではありませんでした。
ある所に、一頭の立派な猪がいました。
猪は、この世の動物達の王様でした。
歩けば地面が揺れ木々がざわめいて、吠えれば海が波打ち荒れました。
その立派な牙は山も森もバリバリと食べてしまい、
猪は、ある時一頭の白く美しい馬に出逢います。
立派なたてがみを持った美しく壮健な牝馬です。
猪と白馬はつがいとなり、沢山の子供を作りました。
牛、ライオン、馬、カバ、ゾウ、キリンと、いろんな動物が生まれました。
皆、立派に成長して世界に広がっていきました。
猪は誇らしい気持ちでした。
ですが、同じように沢山の子供を作る者が居ました。
それは、堕天使という猪の兄弟である羽の生えた者達です。
彼らは空に住んでいましたが、地上を気に入って人間という動物とつがいになり、大きな大きな子供達を沢山生み出しました。
堕天使の子供達は大喰らいで、猪の子供達をどんどん狩って食べてしまいました。
猪は怒りました。
そして堕天使達に文句を言いました。
「いくらなんでも食べ過ぎだ。このままでは父さんが作った世界がまるはげになってしまうぞ」
堕天使が言い返しました。
「だけど俺達の子供も腹を空かせているんだ。仕方ないだろう」
猪と堕天使のリーダーの口喧嘩は、やがて口喧嘩では済まなくなりました。
互いにぶつかりあっての大喧嘩。
もうてんやわんやの大騒ぎで人間も猪の子供達も、堕天使の子供達も大慌てで逃げ出します。
大きくなった蛇の兄弟も騒ぎを聞きつけて海から這い出て来ると、喧嘩する兄弟達に驚きました。
「わぁ、やめろベヒモス。アザゼルもやめてくれ」
蛇はお父さんの子供同士が争うのを見たくなくて割って入ろうとしましたが、周りが見えなくなっていた猪と堕天使に殺されてしまいます。
打ち捨てられた蛇の死体を見て、他の堕天使が叫び縋りつきました。
それでも猪と堕天使のリーダーは喧嘩をやめません。
世界はどんどん荒れ果てていきます。
そんな彼らを見ていた『神様の代わり』が決めました。
《このままでは世界が滅んでしまう》
《生き残るべき命を選んでから、地上を洗い流してしまおう》
『神様の代わり』はノアという人間に洪水から助かるための船を作らせました。
そして、天使達に命じて洪水を起こしました。
喧嘩に夢中になっていた猪と堕天使は洪水に驚き、流されてしまう子供達を見つけると悲鳴をあげました。
猪は大きな体で洪水を止めて、子供達が少しでも助かるよう必死に守ります。
堕天使も同じように子供達を守りました。
逃げ遅れた者達は、死んだ蛇の大きな体に守られて生き延びました。
やがて洪水が収まると、世界は水浸しになってしまいました。
猪と堕天使は力を合わせて、子供達を守り抜きました。
生き残ったのはほんの少しだけど、それでも助けることができました。
しかし、堕天使のリーダーは力尽きて死んでしまいました。
力を使い果たした猪は、自分の体に乗せた子供達に告げました。
「これからは、お父さんに頼らず生きていくんだ」
「辛いことが沢山あるけれど、それでも力強く生きて自分の子供達に命を繋いでいくんだ」
「大丈夫だ。この世界はお父さんのお父さんの愛で満ちているのだから」
そう言って、猪は力尽きました。
穏やかに、眠るようにブゥと小さく鳴いて。
子供達はお父さん、お父さんと泣いていました。
朝日が上って海に浮かぶ猪を照らし、やがてしとしとと雨が降りました。
まるで遠くで誰かが泣いているかのように。
天使達は猪の死体を島にして、そこを生き延びた動物達と堕天使の子供達が仲良く暮らせる楽園にしました。
その島は、今も世界のどこかに存在しているのだと言われています。
神様が居なくなって、人間が支配する世界になった今でも。
◆◆◆
B.C.2665
第七特異点バビロニア
魔術王が呼び寄せた三女神同盟の脅威に晒される人類最古の都市国家ウルク。
そこを防衛するは黄金の英雄王改め、全盛期を超えて成熟し、賢王となったギルガメッシュ。
いつものように執務に追われ、部下に怒鳴り散らす毎日を送っていた彼は、その時送られた伝令に耳を疑い、自らの目で確認しに走った。
そして、その光景を実際に目の当たりにした彼は隣のシドゥリ共々愉快な顔をメソポタミアに晒した。
が、それを笑う者は居ない。
何故なら敵対する三女神…因縁深きかのイシュタルでさえ全く同じ顔をしていたのだから。
そこには―――
ズンッ
ズンッ
「―――ブゥ?」
ウルク防衛の為に築き上げた
「ブー」
ズンッ
ギャアアアアア!
グェェエエエ!?
ズンッ
ママーーーー!
タスケテェェェエエ!!
呑気に魔獣の群れを蟻のように踏み潰しながら。
「………………………ふむ」
それを暫し泰然とした様子で眺める、一周回って冷静になったギルガメッシュ。
彼の下した決断は―――
「よし、幻覚だな。そろそろ
「王よ、逃げてはなりません」
カルデアのマスターとそのサーヴァントである原初の人間が来るまでの間。
ウルク王と三女神は、この子豚の形をしたグガランナも裸足で逃げ出す大厄災の対処に追われ、日夜悲鳴をあげることになったという。
次回!賢王(の胃袋)死す!
デュエルスタンバイ!