B級正隊員、後藤ひとり   作:加藤=アールパード・清正12世

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ランク戦とかトリガーの説明は全部飛ばしてます。だいたい原作通りです。


Episode1-B級ランク戦編①-
三話 B級ランク戦第一試合①


 

『バムスター5体出現! 散らばってるみたい。レーダーに出すからヴィグナちゃんと響香さんは西、ひとりさんは東から当たって!』

 ヴィグナをリーダーとした紅豆隊が正式に編成されて二週間ほど。これで3度目になる防衛任務である。

(あれぇ。せっかくチーム組んだのにまた一人でトリオン兵と当たってる……)

 敵が分散していて急いで倒す必要があること、メンバー間での機動力の差を鑑みるならば、二手に分かれる指示をした穂波のオペレートは間違っていない。

 バムスターの相手は慣れたものだ。ひとりのトリオン量ならば考えなしにアステロイドを当てるだけで装甲ごと削り倒せる。まずは一体。そのまま西へ移動しつつ、レーダーを見ながらハウンドをフルアタックで盲撃ち。これで二体、三体。

 四体目にもハウンドを撃とうとした直前、ヴィグナと耳郎が到着する。

「後藤さん、耳郎さん、やっちゃって!」

 シュータートリガーの合わせ撃ちでバムスターが機能停止する。敵の増援反応がないことを確認して、そのまま哨戒に移行した。

 

「やっぱり後藤さんのトリオン能力ってかなり高いみたいですね。ハウンドでここまで削るなんて」

「ウチのアステロイドより威力あるんじゃないかな、これ。同じシューターとして正直かたなしだわ」

「と、トリオン兵相手なので弾速遅めで威力高めてるのもありますが……えへへ」

 褒めに褒められてでろんでろんに溶けているひとりをよそ眼に、ヴィグナはトリオン兵の残骸の回収班を呼び出す。

「それでうちのチームのコンセプトなんですが。やっぱり後藤さんをエースに据えるのがいいと思うんです。このトリオン量なら真正面の削り合いでまず負けない。あたしが前衛、耳郎さんが後衛でそれぞれ後藤さんをサポートする形になりますね」

「異議はないかな。シューターって攻撃合わせやすいらしいし。後藤が動きやすいように相手の気を引く攻撃をすればいい……のかな?」

『それでいいと思うよ。過去のランク戦記録を見てたとき、花田さんっていう参考になりそうなシューターの人のログがあったからあとでデータ送るね』

 チームの作戦会議中、ひとりは発言する機会を完全に失っていた。もはやひとりのコミュ力不足はチーム内で周知のものである。

「そろそろシフト交代の時間ですね。みなさんお疲れさまでした! 紅豆隊初のチームランク戦はいよいよ明日です。気張って行きましょう!」

 

 ◆

 

 翌日。六月二日、土曜日。

 観戦室はランクの高低を問わず隊員たちで埋まっていた。

「――と、以上がランク戦のルールの大まかな概要となります。遅ればせながらの自己紹介させていただきます。B級下位初日昼の部の実況を務めますのは、結月隊オペレーター、かわいいかわいい結月ゆかりさんでーす! そして解説にお呼びしたのは『ふっ、おもしれー女』でおなじみ! A級4位の跡部景吾隊長です!」

「おい結月、俺様はそんな少女漫画みたいなセリフ言ったことねぇぞ」

 C級女子隊員から人気の高い跡部の登場に黄色い声があがる。跡部のトスを無視してゆかりは紹介を続けた。

「そしてもう一人、A級5位から衛宮士郎隊長です!」

「おう! いい試合が見られることを期待してるぞ」

 好青年らしい元気のいい挨拶をしたのは衛宮士郎。彼の率いる衛宮隊は単なるA級部隊としてだけではなく、ボーダーの顔役も果たす広報部隊としての側面も持っている。こうして実況解説の場に呼ばれる回数も数多い。

「隊長3人の実況解説とは、新シーズンにしても大盤振る舞いじゃねーの。俺たちの解説をしっかり聞いて自分たちのチームに活かすんだな」

「解説始める前からこの自信、跡部さんは相変わらずですねー」

 実況席に座るゆかりはデバイスを操作して、大画面に各部隊の情報を映した対戦表を表示する。

「まずは対戦表から見ていきましょう。本日の戦いは13位『蒼森隊』vs16位『紅豆隊』vs17位『ニアール隊』の対決。注目するべき点として、今期はB級下位のメンツがガラっと入れ替わりました。なんと12位から18位までの部隊全部が新規編成された部隊となっています! 衛宮さん、理由などはご存じですか?」

「あぁ、確か前回のシーズン後、非公式に上層部から指導が入ったらしいぞ。B級下位はマンネリ化してなかなか上に上がれないチームばっかりだったからな。一回思い切って部隊を解散させて新しい環境にしたほうがいいんじゃないか……ってことで」

「実力はあるのに燻ってる隊員も多かったよな。ニアールのやつなんか実力で言やぁ、B級中位の上ぐらいはあったろ」

 たしか新規編成された部隊は編成申請が提出された順で順位決まるんですよね、とここでゆかりから説明が入る。つまり現状でのB級下位のランキングはチームの実力を示しているわけではないということだった。

「ではこの試合の見どころや注目している点などはありますか? 跡部さん、どうです?」

「新しくB級に上がってきたルーキーの隊員が多いことだろうな。ざっと見た感じ半数以上の隊員の名前に見覚えがねぇ。チーム戦も初体験、トリガー構成がどこも明らかになってない環境でどこまでやれるか。見届けさせてもらうとするぜ」

「なるほどなるほど……おっと、いよいよ隊員の転送がスタートします! 蒼森隊、紅豆隊、ニアール隊――転送完了! マップは市街地A! 試合開始だーッ!」

 うぎゃーっとゆかりが声を張り上げると会場のテンションも盛り上がっていく。

 ランク戦新シーズン、試合開始。

 

 ◆

 

 転送が終わり、試合開始。同時にヴィグナと響香はバックワームを展開。レーダーが起動する。

 ひとりはミーティングの内容を思い出す。蒼森隊は4人チーム、ニアール隊は3人チームだったか。

 レーダーに映るトリオン反応は紅豆隊を除いて四つのみ。となるとニアール隊全員がバックワームを用いて合流しようとしているのだろうか?

『まずは作戦通りわたしたちも合流優先だね。ひとりさんはひらけたところに向かいつつ近場の敵をレーダー撃ちしていいよ』 

「了解です」

 片手はシールド用に空けつつ、ハウンドで空中に弧を描いて飛ばす。B級に上がってくるだけの実力があればこの程度で落ちる隊員はいないはずだ。あくまで牽制と移動の妨害と割り切って弾速は遅め、射程は届くギリギリ、残ったパラメーターを威力につぎ込んで連続で撃ち込む。

 数十秒ほど移動しながら立て続けにハウンドを撃っていると、突然光の線が空に引かれた。ベイルアウト反応だ。

「……えっ?」

『ひとりさんナイス! 一点入ったよ!』

(……!? ハウンド撃ってただけなんだけど!?)

 

 ◆

 

 実況席。

「前原隊員はやくもベイルアウトー! 強力なハウンド爆撃に防戦一方でした! 落したのは紅豆隊の……って、え? 後藤ひとり隊員?」

「お、ぼっちちゃんじゃねーの。あの一匹狼、やっとチームに入ったのか」

 ひとりのことを知っているようなゆかりと跡部の反応に、彼女を知らない衛宮と観客席は疑問を浮かべた。

「有名な隊員なのか? 寡聞にして俺は聞いたことない名前なんだが」

「あー……シューターか古参隊員じゃないと知らないかもな。っと、ぼっちのことより戦術の解説を先に済ませるぜ。今のは単純に前原のやつの判断ミスだな。トリオン量が多いシューター相手に馬鹿正直に防戦一方になんて、削り負けるに決まってるじゃねぇか。爆撃がいずれ止むと勝手に思い込んで、足を止めて防御に回った。射程持ちとの戦闘経験が足りてねぇ証拠だ」

「40秒くらい爆撃続いてましたからねー。前原隊員は焦ったでしょう。しかしこれで蒼森隊は四人部隊というアドバンテージを失いました。またニアール隊と紅豆隊がそれぞれ合流を果たしたのに対して蒼森隊はいまだバラバラ! これは厳しい戦いになるか!」

「蒼森隊は足並みが揃ってない印象があるな。けどまだ巻き返しが利かない段階でもないから頑張ってほしいぞ……っと、この感じだとニアール隊と紅豆隊がぶつかりそうだ」

 

 ◆

 

 合流が完了した紅豆隊はそのままレーダー上で孤立している反応がある西へ向かう。

 四つ辻、およそ30メートルほどの距離をとって紅豆隊とニアール隊が接敵した。

 ニアール隊は三人構成の部隊である。隊長のマリア・ニアールはレイガスト使いのアタッカー。マシュ・キリエライトも同様にレイガストを用いるようだ。最後の一人であるゾルタン・アッカネンは新しくB級に上がってきた隊員でありトリガー構成は不明、しかし銃器を持っていることからガンナーであるとひとりは推察した。

「ここで接敵するか~。マシュ、防御連携行くよ。ゾルタンは前に出すぎないでね」

「了解です、先輩」

「了解したァ!」

 戦いはゾルタンの射撃とひとりのメテオラで火ぶたを切る。弾丸が交差する。

 瞬間、響香は二重にシールドを展開していたにも関わらずゾルタンの射撃でシールドごと左腕を吹き飛ばされた。一方のひとりの攻撃はすべてレイガストのシールドモードで丁寧に受け流される。

「うっそぉ!?」

 耳郎は動揺しながらも牽制でアステロイドを飛ばす。欠損されても火力が落ちないのはシューターの強みだ。

『あいつの銃、なんかヤバい! シールドかなり薄く広げてたとはいえ二枚抜きされた! 種はわかんないけど気を付けて!』

『あたしが前に出てレイガスト二人に張り付きます! 後藤さんは相手の防御を抜いて銃手を狙ってください!』

 ヴィグナは槍型の弧月を構えて突撃する。両手で槍を握り、低く構えて突くのがヴィグナの戦闘スタイルだ。試合前に軽く聞いただけだが、師匠としているA級アタッカーから槍型弧月を勧められたらしい。

 レイガストと弧月がぶつかり合い、火花を散らす。試合は中盤戦へと転がり込んだ。

 




【元ネタ雑記】
・マリア・ニアール→アークナイツより。レイガスト使い。実力はB級中位以上。
・マシュ・キリエライト→FGOより。同じくレイガスト使い。
・ゾルタン・アッカネン→ガンダムNTより。撃っちゃうんだなぁこれが!
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