実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と嫌われていた悪役令嬢、実は重度のあがり症だった〜【改訂版】   作:花河相

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 グラディオン王国のお披露目会は交流を図り、親交を深めることを目的とされている。

 僕自身も将来は伯爵家を継ぐことになる。

 貴族間で付き合いができるような人脈作りをするのが第一条件。

 後は気が合う婚約者を見つけること。

 僕は絶対に乙女ゲームに関わることはしたくない。

 ま、どうせ僕がアレンに成り変わった時点でシナリオ通りに進むことはないんだけどね。

 

「楽しみだなぁ……」

 

 それでも楽しみだ。お披露目会は出会いの場だ。とりあえず話して気が合いそうならお茶会の約束をする。

 友達作ってかわいい婚約者を作りたいものだ。

 

 

 僕は期待を胸に馬車に乗り込み移動した後。

 

 空は快晴、たまに吹く風が心地よい天気のまさにお出かけにはピッタリだというこの日に、街道を走る馬車から外を眺めている。

 

 僕は今、はじめての貴族の義務を果たすべくユベール伯爵領からグラディオン王国へ移動してした。

 

 

 

 

 

 

 王都にはお披露目会の一週間ほど前に着いた。

 これでも遅いくらいで早い人で一ヶ月前に来ている人もいるらしい。

 

 父上も当初はそのくらいに向かおうとしていたらしいのだが、仕事が忙しくなり変更したそうだ。

 グラディオン王国貴族は王都には男爵位の貴族も屋敷を所有している。

 

 

 貴族の仕事は多岐にわたるが、大きく分けるとしたら自分の領統治と国の統治に関わること。

 仕事をするため、貴族にとって自分の屋敷は必須だ。

 父上は定期的に屋敷と王都を行き来していた。

 人付き合いや人脈の関係らしい。

 

 いつか僕も引き継いだ時、大変そうだ。

 

 そんなことを思いつつ、無事ユベール伯爵邸に到着したので、ウェルと王都散策で時間を潰すことになった。

 

 なったのだが……。

 

「だめだ…………頭が痛い」

「大丈夫ですか?……これ飲み物です」

「ありがとう」

 

 王都に着いてからすぐにウェルを連れて散策していたのだが、想定外のことが起こってしまった。

 人の会話量が多く処理できなかったのか、頭が痛い。

 市街地に出て一時間で限界が来てしまった。

 

「人混みに酔ったんですね。アレン様は今まで街に出たことありませんでしたし、人が多いのははじめてだったんですね。……このままではお披露目会に影響が出る恐れがありますし、帰りますか?」

「……そうしようかな」

 

 不覚だった。

 まさか、こんなことになるなんて思わなかったな。

 ……でも、今後のことを考えると経験できてよかった。

 街を歩けないなんて、今後支障になりうるかもしれない。

 それにお披露目会も結構な人数いる、また頭痛くなるかもしれない。

 これは……早く慣れなくては。

 この日戦略的撤退ということで僕は屋敷へ帰宅した。

 

 

 その後はお披露目会前日までウェルと共に街に通い続け、限界が来たら帰宅するというウェルにとっては迷惑極まりない行動を続けた。

 だが、王都散策には満足できた。

 ウェルがおすすめのお店をピックアップしてくれた店で串焼き食べたり、フルーツジュース飲んだり。

 

 本当にウェルには感謝しかない。

 その甲斐あって王都の散策には支障が出ない程度に耳慣れすることができた。

 

 そして時は流れお披露目会当日となった。

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