実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と嫌われていた悪役令嬢、実は重度のあがり症だった〜【改訂版】   作:花河相

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 僕はアレイシアのギャップに戸惑っていた。

 先ほどの扉の前では年相応の話し方をしていた。

 それがどうだろう?

 

 可愛らしい会話をしていた彼女の表情は真顔で僕を睨んでいる。

 

 もともとつり目が特徴なのだが、さらに目つきが鋭くなる。

 

『ドクドクドクドク』

 

 応接室に入ったアレイシアの鼓動はより早くなる。

 ……落ち着こう。とりあえず、アレイシアが緊張していることはわかる。

 そうでなければこんなに鼓動が早くなるわけがない。

 

 アレイシアは僕から視線を外してラクシル様に話しかける。

 

「お父様、キアン様とアレン様がいらっしゃってからお時間が経っておりますが、何故わたくしに誤りの情報を知らせたのですか?」

 

 ラクシル様はアレイシアの言葉を聞き、答える。

 

「すまないな。どうしても必要なことであったんだ。お前のためにな」

「必要なこと……ですか。答えになっておりません。わたくしは何故誤った事を伝えたのかを聞いたのですが?」

 

 ラクシル様のあやふやの返答にアレイシアの表情が険しくなる。

 

 そんな光景に僕も父上もどう反応すれば良いかわからず、黙って見守る。

 

「アレイシア、人間誰しも間違えることくらいある。そう怒らなくても良いのではないか?」

「……話を逸らさないでくださいませ。……もしかしてリタ、あなたは知っていたのですか?」

「いえ、私は存じておりませんでした」

「アレイシア、誤解をさせぬために言っておくが、リタにはお前と同じ内容を伝えている」

 

 ラクシル様とアレイシア様のやりとりが続く。

 だが、雰囲気が悪くなるのを耐えかねたのか、父上が話に割り込んだ。

 

「あの、ラクシル様。アレイシア嬢に訳を説明した方がよろしいのでは?」

「そうだな。……アレイシア、少し冷静になった方が良いのではないか?」

「あ……申し訳ありません」

 

 どうやらアレイシアは少し冷静になったようだ。

 そして再び鋭い眼光を僕に向けた。

 ……正直少し怖かったりする。

 

「がははは。すまなかったな。……今回の件の話であったな」

 

 それにしてもラクシル様は何故こんなに楽しそうなんだろう?

 

「……もう、真面目な話をする雰囲気ではない。……ここは単刀直入に言おう」

 

 そう切り出したラクシル様はやっと本題に入ったようだ。

 僕を見定めるやら、親子のこんなやりとりを見せるとか、一体この人は何を考えているのだろう?

 だが、僕は次のラクシル様の発言でフリーズしてしまうことになる。

 

「アレン君、アレイシアを貰ってくれないか?」

『ドクドクドクドク』

「……はえ?」

 

 

 はえ。

 その言葉がアレイシア到着後初めて出る言葉であった。また、何故か今までで聞いたことのない鼓動がアレイシアから聞こえてきた。

 

 あれ?今ラクシル様なんて言った?

 

 婚約と言ったか?

 

 

 

 

 

 …………はえ?

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