実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と嫌われていた悪役令嬢、実は重度のあがり症だった〜【改訂版】   作:花河相

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少し乙女ゲームの内容について語りたいと思う。

 

 タイトルは「夢見る乙女のファンタジア」

 通称「夢ファン」……ある日、庶民出身の主人公が16歳となった貴族子女が通う王立エルス学園に入学するところからゲームは始まる。

 

 主人公視点でゲームが進み、ミニゲームでステータスや好感度を上げ、攻略対象たちと愛を育むというシンプルな内容の恋愛シミュレーションゲーム。

 

 攻略対象は三人。

 一人目は主人公と同級生のグラディオン王国王太子アドリアン=グラディオン。

 俺様属性の金髪紫目のワイルド系イケメン。

 幼い頃に病気で亡くなってしまった才能溢れる第二王子に比べられ劣等感を抱いていた。

 アドリアンは公妾の息子であり、繰り上げで王太子になったという少し特殊な立ち位置にいた。

 そのせいで性格が歪み少し自己中心的な俺様キャラになった。

 ゲームでは主人公と関わることで劣等感を改善していく。

 

 

 二人目はオーラス=グレゴリー。

 グレゴリー侯爵家の長男。

 緑の髪、緑目が特徴の主人公の一つ年上。

 外交を担当する名家。

 昔から商人家出身の母親から商いについての話を聞かされ、商人になりたいと思うようになるも、父親から猛反対され夢を諦めた。

 学年主席の優等生で腹黒キャラ。主人公の平民出身の出自に興味が湧いたが、純粋な主人公と関わることで自分の夢を語るようになり、心を開く。

 

 

 最後にこの僕、アレン=ユベール。

 主人公より一つ年下。

 キャラは甘えん坊な年下キャラ。

 銀髪緑目が特徴。低身長、女っぽい容姿がコンプレックス。

 自分に自信が持てず、内向的な性格をしている。

 確か主人公に関わることで自信を持てるようになる……だった気がする。

 

 実はそのアレンというキャラはある意味有名だった。

 アレンはその美少年の容姿から女装をさせれば男の娘になる。「夢ファン」のファンの腐った女の子達により同性愛のカップリングとかも誕生していた。

 

 うん……想像しただけで吐き気がする。

 しかも精神年齢20後半の僕が弟キャラって……絶対無理だ。

 

 それともう一つ、アレンルートに欠かせないキャラがいる。

 悪名高い悪役令嬢。

 

 ソブール公爵家の長女アレイシア=ソブール。

 海外に留学中の兄がいるという設定がある。

 

 ちなみにアレイシアはユーザーからの評価は低い。

 理由はシナリオでの彼女の行動内容。

 

 アレイシアは「感情のない人形」と呼ばれていた。

 アレンルートで主人公に嫉妬して嫌がらせやいじめをするのだが、行動一つ一つに顔の表情が変化しない。

 

 他のルートのライバル令嬢ですら笑ったり怒ったりするのだが、アレイシアは全く無反応。

 その姿はまさに鉄仮面のようであった。

 

 アレイシアの容姿は整っているものの吊り目が特徴。

 そのせいでアレンルートをプレイしていて恐怖すら感じたユーザーもいた。

 

 制作側に何でこんなキャラにしたのかと疑問を持つ人もいた。

 僕も一応妹から調べて欲しいと言われてググったのだが、何も出てこなかった。

 出てきたのはアレイシアの悪い書き込みだけ。

 

 「感情のない人形」というのは表情の変化がなく、操り人形のように悪役令嬢の役割をこなしていたため、ついた。

 一部のユーザーからはアレンのキャラを際立たせるためこのような性格にしたと予測している人もいた。

 アレイシアがライオンならアレンは子猫。

 

 ま、それはあくまで一部の人の考えだ。

 僕からしたらこんなサイコパスみたいな人と婚約したくない。

 良好な関係を築ける女性と婚約したいものだ。

 

 僕は今世では寿命をまっとうしたい。

 前世のような死に方をしたくない。

 働きすぎて過労死なんていやだ。

 幸せな家庭を築きたい。

 

 アレイシアと婚約したら良好な関係を築ける気がしない。

 どう接すれば良いかわからないし。

 

 伯爵家と公爵家の身分差があるのに何故婚約していたかは不明だがなにかしらの事情があったのかもしれない。

 制作側が適当につけたありきたりな設定かもしれないが。

 

 

 

 まぁ、今考えたところで赤ん坊の僕にできることは何もない。

 何より、僕がアレンになったからって乙女ゲームに関わる気はない。

 

 僕は伯爵家だ。

 婚約は互いの家の利益を考えて組まれたものに、平民の女にうつつを抜かして婚約破棄をしようものなら勘当されかねない。

 相手の家にも迷惑がかかるし。

 

 また誰とも婚約しないで主人公と結婚するのも嫌だ。

 マナーや礼儀作法の基礎ができていない主人公だと貴族社会を生きるのは厳しいかもしれない。

 それに婚約者がいる相手に横恋慕するような常識知らずと婚約するのは嫌だ。

 

 リスクに縁のない無難な人生を送りたい。

 

 ま、今から対策とか考えても意味はない。

 今は行動せずにゆっくりとベビィライフを満喫しよう。

 

 そう結論づけて僕は寝た。

 赤ちゃんは寝るのが仕事なのだから。

 

 




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