実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と嫌われていた悪役令嬢、実は重度のあがり症だった〜【改訂版】   作:花河相

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 昼食を食べた後、目的の場所に到着した。

 場所から外を眺めると、オシャレな店が並んでいる。

 綺麗に着飾った女性が多く……いや、女性しかいない。

 男性いないんだけど。

 

「あの……母上、僕の装飾品を買うんでしたよね?なんで女性しかいないのですか?」

「大丈夫よ。ここの通りって洋品店が多いから女性客が多いだけよ。それにオシャレのための小物や香水が多く売っているからたまたまよ。……ほら、あそこにいる女性の近くに男の人いるでしょ?」

「あ……本当ですね」

 

 てか、その男明らかに荷物持ちさせられてる人ですよね。

 大量の荷物を持たされ大変そうだ。

 あれは店に立ち寄っていると言って良いのだろうか?

 

 ここは「ベリッシモ通り」と呼ばれている。

 オシャレな人しかいなくて、僕とウェルは立ち寄るのをやめたんだ。

 なんか、男だけだと立ち寄るのに抵抗感があった。場違い感があったので遠慮した。

 

「アレイシア様への贈り物買うんならここがいいと思うわよ。それに男物の装飾品も多くあるしね。次向かうところも私がよく行ってたお店だから」

「わかりました」

 

 もう、今日は母上に全て任せた方がいいと思った。

 僕の知らない世界だし。

 

「良いものがあるといいのですが」

「大丈夫、一緒に探してあげるから」

 

 贈り物に関しては母上の意見を聞きつつ、自分でも探そうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 母上のおすすめの店に到着した。

 中に入ると店内は広く、3階建て。

 そこは……種類が豊富にあった。

 宝石やアクセサリーなどの装飾品、女性が好むようなセンスや香水、化粧道具。

 

 ……男物がないような。いや、よく見たらガラスケースに入っている装飾品を見ると男物の商品も数多くある。

 そう思いつつも、母上からの付け替え人形が始まった。

 

 ネックレス、腕輪など……つけては次、つけては次と繰り返す。

 

「あの、さっきこれつけましたよね?」

「いえ、少し宝石の色が違うわ。うーんアレンって私に似ているし、これ似合うと思ったんだけどねぇ。やっぱり男の子だと少し印象が変わっちゃうのよねぇ……はい次このネックレスつけて見て」

「……はい」

 

 そう言って母上は金銀のネックレスチェーンに緑色の宝石が着いたシンプルなデザインのネックレスを手渡してくる。

 

 かれこれ1時間くらいやってますよ母上。

 

「あの……僕男の子ですよ」

「ええ、知っているわ」

「……なら、なんでアクセサリー選びにこんなに時間かかるんですか?」

 

 今思うと疑問だ。

 女の子ならともかくなんで男の僕にアクセサリー選びをしているんだか。

 

 すると母上は手を止めて話し始める。

 随分と真剣な表情をしていた。

 

「アレンって昔から自分から欲しいって言ったことないのよね」

「ええ……確かに」

「普通の子供なら何かしら我儘で欲しいもの言うものなのよ。私もそうだったしね。アレンは昔から本も家にあるものだけを読んでいたし、服も用意したものを着ただけ……アレンから欲しいと言ったものはなかったのよ」

 

 ……そういえばその通りだ。

 昔から何不自由なく暮らせていた。その生活に満足していたし、読みたい本も屋敷にあった。

 服に関しても何か着たいデザインがあったわけではないから用意してくれたものを着ていた。 

 一度デザイナーを呼んで作ってもらったことあったけど、オートクチュールってすごく金がかかる。だから、無駄だと思ったから次以降は呼ぶことなくサイズに合った服を購入して着ていた。

 

「どうせアレンのことだからオシャレに興味ないでしょ?」

「……まぁ」

「せっかく社交界に出たんだから少しは自分を着飾って欲しいと思ってね。……うん、やっぱりこれが一番似合うわね」

 

 母上はそう言って一つのネックレスを取り出す。

 だが、装飾品としては地味なものだ。

 銀色のチェーンにオレンジ色の宝石の着いたネックレス。

 

「地味じゃありません?着飾るならもっと派手な方が」

「私もそう思ったのだけど、やっぱりアレンは着飾らない自然体の方がいいと思ったのよね」

「えぇ……なら、なんでこんなに時間かけて選んだんですか?」

「何もないのじゃ味気ないじゃない?それに、社交界デビューしたお祝いにと思って」

 

 嬉しそうに話す母上は「それに」と言葉を続ける。

 

「この宝石ってオレンジサファイアって言うんだけど、成功って石言葉があるのよ?アレンのこれからのアレイシア様のことうまくいって欲しいなって思って。お守りよ」

「母上……大切にします」

 

 そんな意味があったなんて。

 今まで悪いふうに疑ってしまってすいませんでした。

 

 僕は内心で謝罪しつつ、母上に渡されたネックレスをつけた。

 その後も腕輪とかネックレスを見たが結局購入したものはそのネックレスだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(うふふ、アレン、ネックレスつけるの少し嫌がると思っていたけどよかったわ)

 

 喜んでいるアレンを見てユリアンは内心で安堵した。

 購入したネックレス、ユリアンがアレンに渡した理由には別の願いも含まれていた。

 まず、アレンの綺麗な銀髪と茶色の瞳。

 その容姿に合わせたネックレスを選んだ。

 そして、オレンジサファイアのもう一つの石言葉、慈愛。

 ユリアンはアレンを少し心配していた。夜泣きもしない、母乳を飲むのを嫌がる。普通の子供とは少し変わっているところが多々あったからだ。

 それに、第二王子が5歳で死亡してしまったとキアンから聞いた時には、とてもアレンを心配した。

 だからこそ、無事に10歳まで成長してくれたので安堵した。

 プレゼントにはユリアンがアレンに今後も健やかに成長して欲しいという願いも含まれているのだ。

 それを祈って渡したプレゼントだった。

 

 その意味をアレンは今後も知る由もない。

 

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