実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と嫌われていた悪役令嬢、実は重度のあがり症だった〜【改訂版】   作:花河相

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 アレイシアとのお茶会は……特に会話が弾むことはなかった。

 それでも鼓動バクバクさせてるアレイシアに積極的に話しかけた。

 

「普段は何をされてるんですか?」

「基本勉学に勤しんでおります。時間があれば本を読んでおりますわ」

「そ、そうなんですね。えと……どういった本を読まれるのですか?」

「ソブール公爵家の令嬢として恥じない淑女になるため、必要と思ったものは全て読んでおります」

「ジャンルが広いんですね。僕も本読むの好きなんですよ。たまにロマンス小説なんかも読むんですよねぇ」

「そのような書物を読む時間があるならもっと有益なものを読んでみては?」

「あ……はい」

 

 女の子ならロマンス小説読むと思ったけど、違うらしい。

 うーん。会話が広がらないなぁ。

 その後も趣味の話や好きな食べ物とか、無難な会話をするも。

 

「刺繍を嗜んでおります」「選り好みしません。せっかく用意してくださった料理人の方に失礼になります」

 

 返答はすぐだが会話が終わってしまう。

 どうも会話が広がらない。

 食べ物の話をした時も「実は僕、アップルパイが好きなんですよ」と言ったところ「そうですか」と返されて終わり。

 

 ……話の話題が見つからず、互いに黙ってしまった。

 まだ予定終了時間まで余裕がある。

 当たり障りのない会話を続けるも限界かもしれない。

 

 もうしょうがない。このままお茶会が終われば何も進展しないまま終わってしまう。なので、本日最後のファイナルアタックを仕掛けることにする。

 僕はもしもの時に備えて香水キャンドルを馬車に置いてきた。

 そのため、一度退室しようと思う。

 

「アレイシア嬢、実は本日もう一つ贈り物をご用意していたのですが……うっかり馬車に忘れてきてしまいました。取りに行ってもよろしいですか?」

「そちらのウェルさんに取りに行ってもらえばよろしいのでは?」

「いえ、大切なものなので、どうしても自分で取りに行きたいのです」

 

 これは本音だが,退室したい一番の理由はアレイシアに休息をとってもらいたいから。

 お茶会がはじまってから相当気を張っていて疲労も溜まっているはず。

 

「実は……すいません。少々お手洗いにいきたくてですね。……少し席をはずしたいのです」

「……」

 

 そう言った瞬間またアレイシアがフリーズしてしまった

 アレイシアに下品と思われてしまったかもしれない。

 でも、僕が泥を被ってでも今はアレイシアに休息を取ってもらいたかった。

 

「あの、アレイシア嬢?」

「……わかりましたわ」

「申し訳ありません。では行ってきます。……リタさん、戻るまで少し時間がかかるかも知れませんのでその間アレイシア嬢をお願いします」

 

 名を呼んだ瞬間、アレイシアは常人がギリ聞こえる声で許可を出してくれた。

 僕は了承とリタにアレイシアに休ませて欲しいと言う旨を伝えウェルを連れて部屋を退室した。

 伝わるか分からないけど何となく察してほしい。

 

 部屋を出て廊下を歩いているとウェルが話しかけてくる。

 

「アレン様、何やってるんですか?」

「そう怒らないでよ。……これは僕が泥を被ってでも必要なことだよ」

「……はぁ、何も聞きません。何となく休息を入れる理由は察しましたので。俺は問題に発展しないことを祈ります」

 

 ウェルはため息をつきながら言った。

 悪いね。気苦労をかけてしまって。僕が席をはずした理由も何となくわかってくれてありがとう。

 僕はそんなウェルに感謝した。

 

 ……さて、香水キャンドルをどう渡すべきか。

 そう思いながら歩いていると……リタとアレイシアの会話が聞こえてきた。

 

『リタ、わたくしはダメな人ね。アレン様がせっかくお話ししてくれても上手く話せず。……とうとう嫌われてしまった』

『気にしなくていいですよ。あれはアレン様なりにアレイシア様を気遣った行動です。その証拠にアレイシア様がアレン様に少しきつい言い回しをしても気にせずに接してましたし。むしろ好意的だと思いますよ?』

『へ?……ほ…本当?』

『嘘言ってどうするんですか?』

『よ…よかった』

『安心するなら多少言い回しキツくなってもいいので本音を話しては?……読書の話の時、【白黒の王子様】のこと言えばよかったのに』

『…な?!…リ、リタなんでそのことを知っているの?!』

『机の上に置いてあったんで読んでみました。結末少し悲しかったですけど、読み応えありましたよ。アレイシア様、王子様に憧れあったんですね』

『ちょっとリタ?!』

 

 あ…うん。どうやら大丈夫らしい。

 安堵しつつ、二人の会話聞いていたらいつの間にか馬車に着いた。僕は香水キャンドルを取り出して、ゆっくりお茶会の会場に戻ったのだった。

 

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