実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と嫌われていた悪役令嬢、実は重度のあがり症だった〜【改訂版】   作:花河相

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 転生して早三年が経過したが、目立った行動はしていない。

 

 ちなみにだが、僕の容姿は乙女ゲームのアレンと同じだった。

 母親譲りふわふわの銀髪に、茶色目が特徴で、幼くても将来は容姿端麗が期待できそうな容姿。

 そのせいで母上は僕に何度か女の子ものの服を着せようとしていた。大泣きして暴れ続け拒絶したおかげでどうにか免れたが。

 もしかして、乙女ゲームのアレンがコンプレックスを抱いた原因は母上かもしれない。

 

 まぁ、嫌がる子供に無理やり着せることはしないらしく、残念そうな顔をして迫って来なくなった。

 

 まぁ、それはともかく、さすがは乙女ゲームの攻略対象、この美形には飛び跳ねるほど嬉しかった。

 

 前世では地味顔だったので、嬉しい。

 

 また、問題の耳の良さについても3年で慣れてきた。

 やはり、この耳の良さは便利だ。

 この世界が乙女ゲームと知れたこともそうだが、何より耳をすませば使用人たちの小言や噂も聞き取れるし。

 そのおかげで周りの僕への評価、愚痴や人間関係、労働環境など……諸々知ることができた。

 

 どうやら父上は僕のことを神童かもしれないと思っているらしい。

 

 だから、僕はこの耳を生かしてそう言う評価を聞きながら今後の立ち振る舞いを決めていた。

 

 年相応を演じようと決めた。

 

 

 僕のスペックは良くも悪くも前世と同じ中の上、平均より高いくらい。

 幼い頃から天才だなんて思われたらどんどん難しい課題をやらされるに決まってる。

 僕が目指すは平穏な人生、寿命を真っ当に生きることが第一目標。

 

 期待は自分を苦しめる足枷にしかならない。

 あいつに任せれば大丈夫。多少のミスはあいつがいるから問題ない、勝手に修正してくれるだろうなど。

 有能だとわかると難しい案件の仕事を任せられることが多い。

 前世の死因もそれだしな。

 

 夜遅くまで、睡眠時間を削ってでも仕事をするなんてごめんだ。

 不健康な生活は体調を崩す原因であり、弱った体に菌が入り込み病気になるかも知れない。

 

 

 僕は伯爵家長男、将来父上の仕事を継ぐ。

 将来約束されている。

 

 前世のように苦労して就活する必要もない。

 学校に通い教養を身につけ、婚約者と結婚して子供を作りその子供に爵位を継いでもらう。

 

 それが今世の僕の仕事であり、理想の人生設計だ。

 

 前世の教訓から僕は無難な人生を生きることに決めた。

 

 閑話休題。

 

 さて、3歳になり、歩けるようになった僕はこの時期になったら行動を開始しようと思う。

 

 

 僕がまずやることは、父上の仕事見学だ。

 現場で見て学ぶ。

 将来自分もやらなければいけないことだから、雰囲気を見ておきたい。

 

「ちちうえ〜」

「アレン様、走らないでください。転んでしまいますよ」

 

 僕は3歳児を演じながら屋敷を移動していた。

 

 こんな演技20代の僕からしたら恥ずかしいことこの上ない。

 それでもやるのは必要以上の期待をされないため。

 考えても見てほしい。幼い子供が言葉を流暢に話し、勉強も平均よりもできている。

 難しい言葉も理解する。

 

 これらを神童と呼ばずになんと呼ぶ。

 

 だから、年相応らしい行動をする。

 

「ちちうえ?」

「アレン様、こっちですよー。シンのところにきてください」

「ちちうえ、どこー」

「アレン様……」

 

 現在僕は父上を探すため、屋敷の廊下を彷徨いている。

 先ほどから僕の面倒を見ているのは父上の専属執事のシン。

 年齢は40代ほどで痩せている白髪で執事服を着ている。

 他の使用人たちから聞こえた会話から、ベテランらしく、今後の僕の教育も担当するらしい。

 心優しく、常に家のことを思ってくれているシンのことは好きだ。

 

 僕の行動にシンはため息をつきながら、どうしようかと考えている。

 

 早く見つけないとなー。そう思うも、残念ながら父上の書斎の場所はわからない。だから、耳を頼りに進むしかないのだ。

 僕は廊下を移動しながら父上の声がしないか移動しながら探す。

 さっきこっちの方から聞こえたんだよね。

 ここの部屋かな?

 

『今日のお昼なんですかね?』

『何?もうお腹すいたの?』

『……はい』

『さっき朝食食べたばかりじゃない。しっかりしなさい』

 

 なんだ、メイドさんの会話か。ここじゃないな。

 たしかにお腹すいたけど、今は父上を探さなければ。

 僕は奥の部屋へと移動する。

 

『掃除だりぃ。なんで、毎日同じところしないといけないんだよ』

 

 ん?なんだこの声は。この人やる気なさすぎだろ。

 

 少しお灸を据えた方がいいかな。ちょうどシンもいるし。

 僕はこの部屋のドアを入りたいというアピールをシンにした。

 

「しん、ここあけてー」

「ここに入りたいのですか?」

「うん!」

 

 僕の頼みでシンは不届きもののいる部屋のドアを開けた。

 

「?!シンさん!なんでここに!」

「……ウェル、何をしているんだ?」

 

 シンがドアを開けると、ウェルと呼ばれた茶色髪の癖っ毛の使用人が椅子に座っていたが、慌てて立ち上がった。




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